はじめに
~アルコール依存症という病気について~
あなたがもし周囲(家族、職場、知人等)から、「酒さえやめてくれれば」と言われたり、また「自分でやめようと思ってもやめられない」としたら…あなたは知らぬ間に「アルコール依存症」になってしまっているかもしれません。
けれどもあなたは、自分が「アルコール依存症」だと思っているでしょうか?
「自分はアルコール依存症ではない」「やめようと思えばいつでもやめられる」「眠れないから飲んだだけだ」「今までは飲みすぎたから量を減らせば」…などと、いろいろな理由をつけて飲酒を続けようとします。これがこの病気特有の「否認」という症状(状態)です。酒をやめるには何らかのきっかけが必要となります。
長年の飲酒のせいか、胃がむかついたり、体がだるかったりする。胃や肝臓が悪いようだ。何か他の内臓(臓器)も悪いようだ。それに酒が切れると不安になったり、手がふるえたり…。
二日酔いが続いて仕事をする気力がなくなり、人と話すのもおっくうだ。無断欠勤もするし、仕事をしてもミスが多い。そのため職場やお得意さんの信用を失っている…。
酒の上で家族に肉体的な暴力を働いたり、暴言、罵倒などの言葉の暴力をあびせる。
しかし、自分ではそれを憶えていなくて、翌日家族に指摘されたりする。
また、無断で帰宅せず、家族に心配させたり、借金を家族に払わせたりする。そして家族との会話が途絶えがちになっている…。
もしこのようなことがあるとすれば、こころの病である「アルコール依存症」になっている可能性があります。
この病気になると、お酒をやめなければなりません。しかし、「アルコール依存症」は、一人では、なかなかお酒を止める事ができない病気です。そこで、お酒を止める方法として「断酒会」という自助グループがあるのです。
アルコール依存症の人たちが、自分の意思で酒をやめようと立ち上げた自助グループが、断酒会です。
私たちの会は「断酒新生会」と称し、市を単位とした地域の断酒会として「〇〇断酒新生会」が各地にあります。それらが集まって作った連合体として「特定非営利活動法人 千葉県断酒連合会」があります。
さらに全国の仲間が集まった「公益社団法人 全日本断酒連盟」があり、日本全国に約6千人の会員がいます。
千葉県には16の地域断酒会があり、約200名の会員が所属しております。
断酒会は、政治や宗教とは、全く関係がありません。ただし、保健所、病院、精神保健福祉センターなどの行政や医療機関とは、常に連携を取っております。
断酒会は、次のような活動を行っております。
🌿入会
あなたのお住まいの地域の断酒新生会にお申し出になれば、いつでも入会できます。職業、性別、年齢などの制約は、一切ありません。また、アルコール依存症のご家族も、家族会員として、入会することができます。→地域断酒会連絡先
これが、断酒会の基本というべき活動です。地域によって月に、1~4回の断酒例会(以下、例会)があり、千葉県内ではほぼ毎日、16の地域断酒会において、例会を開催しています。
時間帯は、最も多くの人が飲んでいる(飲んでいた)平日午後6時半から2時間開催され、地域断酒会によっては、昼間に例会を開催しています。この例会では、参加者が順次指名され、過去の酒にまつわる失敗体験や、それに対する反省などが正直に語られます。
例会により、断酒の意欲も生まれ、断酒の方法や酒をやめた後の生き方まで、自然な形で学び、発見することができます。また、例会は、アルコール依存症者本人だけではなく、家族も参加しますから、家族の体験談で、どれだけ家族を傷つけたか、気づかされることもあります。
例会に出席し続けることにより酒をやめ続け、社会復帰を果たしたアルコール依存症者が、全国には大勢います。
日常の例会のほかに、次のようなさまざまな活動を行っています。
研修会
例会とは違った形で会場を取り一日断酒研修を行います。年に一度、一泊二日の宿泊研修会を開催しています。
記念例会・大会
各地域断酒会の創立記念などで、医療や行政の方を招き記念講演を頂いたり、体験発表が行われます。
分科会
断酒会員は、皆平等ですが、性別や立場の違いもあり、研修会などで個別の会合(分科会)を開くことがあります。
アメシスト(女性酒害者のみの集い)、虹の会(身障酒害者を囲む会)、家族会(アルコール依存症の家族の集い)、シングルの会(男性単身酒害者の集い)などがあります。
レクリエーション
会員同士の “いこいの場”です。例えば、酒なし新年会、クリスマス例会、ソフトボールやグラウンド・ゴルフなどのスポーツ大会などがあります。
レクリエーションにより親睦を深め、親密な人間関係を作って一緒に断酒をしていく仲間意識を高めようとしています。酒を飲まずに生涯付き合える仲間ができます。その仲間こそ、酒をやめ続ける断酒の糧となり、お酒を呑まなくても楽しい生活へのきっかけとなります。