出勤途中、いつも見かける女の子とお母さん。
女の子は肩まで日よけのある赤い帽子をかぶって、その先にある保育園へ歩いて向かっているのだろう。
私は車で後ろから追い抜いていくので二人の表情は見えないのだけれど、手をつないでお母さんを見上げる女の子の姿を見て、
どんな話をしているのかな、と想像する。お母さんは、どんな気持ちで女の子の話を聞いているのかな。
雨の日には、小さな傘を差し、レインコートと長靴姿で楽しそうに歩いている。
手を放して歩く日も、お母さんはゆっくりと歩幅を合わせ、女の子を見つめて歩く。
毎朝、この二人の後姿を撮りたいなあ、と思いながら行き過ぎる。
何気ない日々の、一瞬のそこにある物語。それを感じるだけで優しい気持ちになる。
写真を見たときに、その時の幸せな気持ちや楽しそうな声が伝わる、そんな写真を撮りたい。
成人式の記念写真では、ヘアセット、着付けから完成までの写真(男性はヘアセットのみの場合も)を撮ります。
この時、必ず、おうちの方が写りこんだ写真を撮ることにしています。
おうちの方が娘さん(息子さん)を見守る姿に、温かな物語を感じます。
赤ちゃんの写真を撮る時には、パパやママの表情を大切に撮りたいと思っています。
赤ちゃんが大きくなって写真を見返すとき、
「ボクってこんな赤ちゃんだったんだ」と思うだけでなく、
「パパとママはこんな風にボクを見ていたんだ」とパパとママの愛を感じられる、
そんな温かな物語を写したいと思っています。
初めてのいちご狩り、初めての水遊び、初めてのシャボン玉、初めてのホットケーキ作り、
初めての書道…
初めての体験には残したい表情がいっぱいです。
そこに、パパやママも一緒に写ってほしいなと思います。
その時に生まれる温かな物語は、写真を見返す度に鮮やかに蘇る思い出の宝物になるはずです。