研究課題名
熱帯多島海域における沿岸生態系の多重環境変動適応策
研究期間
5年間
研究代表者名 (所属機関・役職)
灘岡 和夫 (東京工業大学大学院情報理工学研究科・教授)
国内共同研究機関
北海道大学、東京大学、横浜市立大学、高知大学、長崎大学
相手国名
フィリピン共和国
主要相手国研究機関
フィリピン大学ディリマン校海洋研究所
研究課題
1 海-陸統合系における物質循環把握に基づく熱帯沿岸生態系への多重ストレス波及過程の解明
1-1 熱帯沿岸生態系への陸源負荷の作用過程の解明
1-2 熱帯沿岸生態系を含む広域系としての海-陸統合系における物質循環の時空間動態解明
1-3 地球環境変動影響とローカル環境ストレスの複合作用過程の解明
1-4 CO2放出・吸収特性から見た沿岸生態系の評価
2 生態学的アプローチによる熱帯沿岸生態系の生物多様性・生態系機能維持機構と多重ストレス応答評価
2-1 サンゴ礁,藻場,干潟,マングローブ等から構成されるlocal habitat内での生物多様性・生態系機能の相互連成構造の解明および多重ストレスに対する応答過程評価
2-2 巨大台風や大規模出水,油流出事故等のepisodic eventによる熱帯沿岸生態系の攪乱と回復過程の解明
2-3 超多島複雑海域におけるreef connectivity(サンゴ礁間連結性)の実態解明ならびに幼生分散・加入過程における多重ストレス影響の定量的評価
3 統合モデル開発による多重ストレス環境変動の定量的評価と広域生態系応答予測
3-1 多重ストレス評価モデルのベースとしての「大気-陸域-沿岸域-海洋」統合物理流動・物質循環モデルの開発
3-2 統合モデルに基づく熱帯沿岸生態系への多重ストレス変動の定量的評価と生態系の動的応答予測
3-3 統合物理流動・物質循環モデルと幼生分散過程モデルのカプリングによるreef connectivityへの多重ストレス影響の定量的評価と予測
3-4 台風や油流出等のepisodic eventによる沿岸生態系への負荷評価モデル開発と応用
4 多重ストレス下での熱帯沿岸生態系の緩和・適応スキームの構築
4-1 ストレス緩和策立案のためのストレス生成・波及過程と熱帯沿岸生態系の環境収容力の合理的評価スキームの構築
4-2 沿岸生態系ネットワークにおけるコア・ハビタート同定および環境ストレス評価に基づく熱帯沿岸生態系の回復力強化策としてのMPAネットワーク設定とその維持方策の提言
4-3 多重ストレス評価・予測に基づく熱帯沿岸生態系の広域的ダメージポテンシャルマップの作成
4-4 多重ストレス環境変動と生態系応答の常時モニタリングシステムの構築と現地展開
4-5 緩和・適応スキームの社会実装ツールとしての統合的意志決定支援システム(IDSS)の構築とその運用のための人材育成
4-6 環境ストレス発生源としての地域コミュニティーの社会構造分析と統合沿岸管理
研究成果
<モデル・評価班>
大気ー陸域ー沿岸海洋結合モデルの開発
様々な時空間スケールでのシミュレーションを行うため、大気-陸域-沿岸海洋モデルの開発を行っています。
ギマラス海峡周辺における気象計算結果 矢印:10m風速 コンター:降雨量
アグノ川からボリナオエリアへのガルフスケールのコネクティビィティ
近隣河川と養殖エリアのコネクティビィティ
<生態・遺伝班>
集団遺伝学的研究に基づく熱帯性海草と底生動物の個体群維持機構およびreef connectivity実態解明
対象地域:フィリピン全域、日本・南西諸島、中国・海南島(左)、対象種:海草、ヒトデ等(右)
フィリピン全域におけるリュウキュウスガモのクローン多様度(左)と集団遺伝構造(右)
生息域縁辺集団を含む熱帯・亜熱帯域のウミショウブの遺伝的多様度(左)と集団遺伝構造(右)
<生態・生態班>
<地球化学班>