CECAM(Coastal Ecosystem Conservation and Adaptive Management under Local and Global Environmental Stress in the Philippines)プロジェクトの最初の合同集中観測が2010年9月8日から10月28日の日程で行われました。今回の調査では日本とフィリピンから参加した研究者がフィリピンの沿岸海洋生態系を対象にその現状を共同調査しました。調査対象域はパンガシナンのボリナオにあるサンゴ礁リンガエン湾コンプレックス、ミンドロ島のプエルトガレラ、西ビサヤのギマラス海峡周辺海域、そしてミンダナオのナーワンです。
異なる研究分野を背景に持つCECAMプロジェクト内の3つのグループ(数値モデル班、地球化学班、生態学班)が合同集中観測を行うにあたり、まず以下のような目的を設定しました。
・海況および気象条件とともに変化する流動、水質、生物パラメータを同時に観測することにより、熱帯沿岸生態系の生物多様性と機能、維持機構およびそれらが複合環境負荷に対する応答を調査する。
・統合生態系モデルの構築に必要となる初期および境界条件といったデータを取得する。
・沿岸と沖の生態系間における流動、水質、生物の接続性(コネクティビティ―)を背後流域との関係と合わせて測定する。
主な調査活動として以下のような観測を行いました。
・海域における流動・水質パラメータ連続観測のためのデータロギング型センサーの展開
・流動および海水の生物化学的特性を測定するための航海調査
・定点における日周連続採水および水質測定
・気象条件観測のための気象台設置
・ANODおよびイリジウムブイを用いた漂流ブイ実験による表層流の測定
・海底地形調査
・河川水採水
・低質、微細藻類の採取
・サンゴ・海草調査
・魚の追跡調査
調査を行うにあたり、ADCPや多項目水質系、ラドン測定器、地下電気抵抗測定器、炭酸系測定器、採水器、GPS、音響測深器、可搬型フリーザ、ダイビング機材、ノートパソコンといった流動・水質を測定するために必要な種々の計測機材が日本から搬入されました。
調査期間中の様子はデータベース内の「CECAM survey pictures September 2010」をご覧下さい。