Avogadroの「計測ツール」を使って、結合長と結合角を調べてみましょう。
ここでは「マウス操作で一から作る」で作ったピリミジンを調べてみることにします。
ツールアイコンの中の「物差しの目盛りの上に両側赤矢印」アイコン「計測ツール」を選択します。
左下のサブウィンドウは「Measure Settings」に変わりました。
次に、今までは下に隠れていたメッセージタブも、クリックして開きましょう。
画面右下のメッセージタブをクリックします。
メッセージタブの表示枠が開きます。
またこの後、実験値との比較するため、原子のラベルも表示してしまいましょう。
左上の「表示タイプ」サブウィンドウの中の「ラベル」チェックボックスにチェックを入れます。
デフォルトだと、このように「元素記号と番号」になっていると思います。
炭素、水素、窒素で、それぞれ1から番号がふられています。
ここでは、元素の種類によらない「全原子でとおしの番号」をふるため、表示設定を変更します。
ラベルの設定を変更するため、今の「ラベル」チェックボックスの右のレンチアイコンをクリックします。
設定ダイアログが開きます。
「Atom Labels」グループのTextドリップダウンリストから「Atom Number」を選択します。
ラベルが「数字」に変更されたと思います。
設定ダイアログは、右上の「×」をクリックして閉じます。
「マウス操作で一からつくる」でつくったピリミジンをみている人がいれば、きっと番号は違うと思います。
米国国立標準局(NIST)のCCCBDB(Computational Chemistry Comparison and Benchmark Database)に、ピリミジンの構造の実験値と計算の結果が公開されていますが、それと比較するために同じ番号にしました。
原子の番号は、マウスクリックで作成した順番につけられますので、次のgifアニメのように描画すると、同じ番号になります。
では、さっそく計測してみましょう。
ツールアイコンは「計測ツール」を選択されていることを確認します。
結合長を求めるには、結合の両端の原子を、マウスの左ボタンで順番にクリックします。
例として1の炭素と7の水素を順番にクリックしてみます。
クリックした原子に、順番に「*1」「*2」とラベルがつき、同時に「*1」と「*2」の間の長さがオングストローム単位で「ビュー」の下と「メッセージタブ」の両方に表示されます。
何もないところを左クリックか右クリックで「*1」「*2」のラベルは解除されます。同時に「ビュー」の下の長さ表示も消えますが、「メッセージタブ」の表示は消えず、蓄積されます。
ラベルを解除してから、別の結合に対しても同じように、両端の原子を順番にクリックして「*1」「*2」のラベルをつければその結合長が求まります。
メッセージタブには数値が蓄積されます。
一方、結合角を求めるには、結合角をつくる二つの結合を構成する三個の原子を、端から順番にクリックします。
クリックした原子に「*1」「*2」「*3」と順番にラベルがつき「*1ー*2」と「*2ー*3」の間の角度が表示されます。
AvogadroのUFFで構造最適化した結果より、CP2Kで計算したxTBの計算結果のほうが、わずかですが実験値に近づいていることがわかります。
とは言え、AvogadroのUFFの結果であっても、実験値との誤差は1%未満で、事実上ほとんど変わらないといえます。
また、CCCBDBから引用した、より精度の高い計算結果(QCISD 6-311G**、6-311G**基底を用いた2電子励起電子配置を含む配置間相互作用 Quadratic CI計算)も、UFFやxTBとほぼ変わらないといえるでしょう。