原子や分子の表示方法では、最も直観的な方法でしょう。
Avogadroを起動すると次のように表示されると思います。(例:Avogadro 1.2.0n for Windows)
上にメニューバーとツールバー、下の右側に大きな黒い画面(ビュー1タブ)が表示されています。
また、下の左側には
●「表示設定(表示タイプ)」サブウィンドウ
●「ツール設定(今は描画設定。ツールバーのツールアイコンがいま何を選択されているかで変わる)」サブウィンドウ
が(ここではメインウィンドウにドッキングした状態で)上下に表示されています。
ツールバーの中に、「ツールアイコン」が表示されているでしょうか。
ツールアイコン
もしツールアイコンが表示されていない場合は、「設定」メニューから「ツールバー」→「ツール」を選択してチェックを入れることで表示されます。
また、左下に「表示タイプ」サブウィンドウや「ツール設定」サブウィンドウが表示されていない場合は、ツールアイコンの「表示設定」ボタンや「ツール設定」ボタンを押してオンにすることで表示されます。
左下のサブウィンドウが表示されているが、「描画設定」でない場合は、ツールアイコンから鉛筆アイコンを選択することで、「描画設定」サブウィンドウにすることができます。
ビューはいま黒色ですが、「ビュー」メニュー→「背景色を設定(B)...」(Set Background Color...)で背景色を変更することができます。
ビューの左下には小さな3D座標軸が表示されています。RGBがそれぞれxyzです。「ビュー」メニュー→「座標軸の表示」(Display Axes)で、表示/非表示を切り替えることができます。
赤色にすることもできます。あまり落ち着きませんが・・・
準備が整ったので、マウス操作で分子を描いてみましょう。
ところで、私たちが「紙と鉛筆」で有機分子の構造式を描くときは、次のようにしているのではないでしょうか。
a 炭素の骨格を「線」で書く。つまり、六角形や五角形、ジグザグ線などを書く。
b 水素の付着状況にあわせて二重結合、三重結合を書く。つまり、線の一部を二重、三重にする。
c 炭素でない原子(酸素、窒素、...)を「線の頂点」に重ね書きする。
え?そうじゃない?・・・そうですか・・・。
・・・ともあれ、今回はこの思考パターンに沿って、試しにピリミジンを描いてみます。
左上の「表示タイプ」は「ボールとスティック」だけにチェックを入れて、それ以外のチェックボックスはすべて外してみましょう。これがわかりやすいので今回はこれでやってみます。
次に左下の「描画設定」サブウィンドウを見てみましょう。
デフォルトで、元素:「炭素(Carbon)(6)」、結合次数:「単結合」になっていると思います。
そうでない場合はドロップダウンリストから「炭素」「単結合」を選択しましょう。
「水素を補足」チェックを外してしまいましょう。
炭素骨格を描きます。
右下のビューウインドウ内で、マウス左ボタンを1回短くクリックします。炭素原子を表す灰色のボールが1個表示されます。
その次に、今つくったボールの上にマウスポインタを置き、左マウスボタンを押しつつ、ななめ右下にドラッグし、マウスボタンを離します。
C-Cができました。
これを繰り返して六員環をつくります。環を閉じるときは、最初のボールの場所までドラッグします。
あとで構造最適化をするので、多少いびつな六角形で構いません。
また、間違えた場合、ボールや結合の上で、右マウスボタンクリックすると、ボールや結合を消すことができます。
再度原子をつくるときは、つくりたい場所(何もない空間)で、短く左クリックします。
また再度結合をつくるときは、原子と原子を、橋渡しをするように、左マウスボタンでドラッグします。
次に描画設定サブウィンドウから、結合次数を二重結合にします。
ここで、二重結合にしたい結合(棒)の上を、マウス左ボタンで短くクリックします。
くりかえして、二重結合にしたい結合をすべて二重結合にします。
次に、描画設定サブウィンドウの「水素を補足」チェックボックスにチェックを入れます。
ここですべての炭素原子の上を、次々と左クリックしていきます。結合の種類に応じて炭素原子に水素が補足されます。
次に炭素原子を窒素原子に変えてみましょう。
描画設定から元素:窒素を選びます。
ここで窒素に変換したい炭素の上を、マウスの左ボタンで短くクリックしてゆきます。
これで、形はいびつですが、ピリミジンが一応できました。
最後に構造最適化をして形をきれいにします。ツールアイコンから自動最適化アイコン(Eの文字の下に下向き▽。エネルギー最小化を意味するのでしょう)を選択します。
今までの「描画設定」サブウィンドウが、「自動最適化の設定」サブウィンドウに変わりました。
力場やアルゴリズムなどは選択できますが、とりあえずならばデフォルトのままでいいでしょう。
スタートボタンを押して最適化してみましょう。
最適化計算が行われます。スタートボタンがストップボタンに変わります。構造に変化がなくなったところで、ストップボタンを押して最適化計算を止めましょう。
これでひとまずピリミジンが描けました。
ビューを回転させたり拡大縮小したりもできます。
ツールアイコンから「青い十字」の「ナビゲーションツール」を選択しましょう。
左下のサブウィンドウが「Navigate Settings」に変わりました。
右マウスボタンのドラッグで回転できます。
このとき、分子以外の黒い部分をドラッグすると、分子の平均位置を中心にして回転します。
原子の黒いボールの上をドラッグすると、その原子を中心にして回転します。
Navigate SettingsのDisplay visual cuesチェックボックスにチェックが入っていると(デフォルト)、ドラッグ時に黄色い矢印が表示され、どこを中心に回転するかを示します。
マウス真ん中ボタン(マウスホイール)で拡大縮小できます。
右マウスボタンのドラッグで平行移動できます。
ところで、こうして作成した分子モデルが「どれだけ正確か」という疑問は生じるのではないでしょうか。
「古典力場で最適化しただけだから、それほど正確じゃあないのでは」と思われるかもしれません。
しかし、結論から言うと、「結構、正確」です。
それは「Avogadroで結合長と結合角を調べる」で見てみたいと思います。