海と発光について

「海と発光」は本を読むのが限りなくおそく、書店で働いた経験もない店主が「いつか自分の店を持ちたい」「誰もが安心して、ただ居られる場所を作りたい」という思いで始めた本屋です。今は店舗もなく商品もありませんが「海のように深く広がる本の世界から、心が穏やかに光る一冊が見つかりますように」という願いを込めてスタートしました。

私は本屋に行くのが好きです。たくさんの本の中からずっと探していた言葉を、ずっと欲しかった言葉を見つけたとき、心が温かく、強く光る気がするからです。心を癒す力だけでなく、今までの自分をぶち壊し、再び作り上げていくための力をもらうこともできます。本屋という場所はそういう力のある場所だと思っています。

コロナウイルスが流行してオンラインで人と話をしたり、買い物をしたり、ますます便利な世の中になりました。その中で、実際に人と会い顔を見ながら話しをすること、本を手に取ってひらくこと、空間を肌で感じることの大切さに気づくことができました。場所があり、そこに人がいて、たくさんの本がある。それがどれだけ素敵なことなのか。これからそんな場所を自分の手で作っていきたい。そう思っています。

私がこれから作っていく本屋には次の理想とルールを詰め込むことにしました。

  1. 差別やヘイトにはNOを

  2. 助かりたいと思っている人に手を差し伸べることを諦めない

  3. ”こうあるべき”という価値観をゆるめ、動かす

  4. 誰もがジャッジされたり、決めつけられたりすることなく安心してすごせる居場所を作る

  5. 男らしさ、女らしさ、社会から背負わされた役割を脱ぎ捨てられるような場所にする

  6. お腹が空いている人が笑ってご飯を食べられるようにする

  7. ひとりで抱えきれなくなった孤独を分けあえる場所にする

  8. 「ひとりはみんなのために」でなく「みんながひとりのために」を実践する

これをどうやったら出来るのか、諦めずに考え続けていきます。(これからまだ増えるかもしれません)


私はもうすぐ30歳という年齢になります。今まで私は「親の期待に応える人生」を送ってきました。そして、期待という呪いをようやく解くことができて初めて、自分のやりたいことは何かを考えられるようになりました。私は、自分の人生を「本屋という場所を通じて、人に手を差し伸べ続けること」に使いたいと思っています。それと同時に、自分が面白いと思うことをもっともっと探しながら”面白違法建築(笑)”みたいな人間になっていけたらいいな、なんて思っています。

ここまで読んでくださったみなさま、どうか見守っていてください。そして、いつかどこかで本屋を始められた日には、そこでお会いできることを楽しみに待っています。


〜海と発光 店主より〜