「〇〇なのに、すごい」と言う言葉

よく〇〇なのに、すごいと言う言葉を耳にします。例えば「まだ若いのにすごいねぇ」とか「女性なのにすごい」とか。褒め言葉だと捉える人もいると思います。でも、これって本当に褒め言葉なんでしょうか?「すごい」は褒め言葉です。でもその前に「〇〇なのに」がついています。「なのに」は以下のような意味になります。

[接]《接続詞「それなのに」の「それ」が省略されたもの》前述の事柄に対し、あとの事柄がそれと矛盾する内容であることを示す。(goo翻訳より)

この意味でいけば「若い」や「女性」と言うワードと「すごい」は矛盾していることになります。これっておかしいですよね。

ここまで知った風なことを書いている私もつい先日、大学生の子に言っちゃったんです。「大学生なのにすごいね」って。それは私の劣等感から発せられた言葉でした。私の大学時代はザ・モラトリアムという感じで、やりたいこともなければ夢もない学生だったからです。うまいこと、興味がある風を装って面接をこなすこともできず、就活は全敗でした。社会不適合者の烙印を押された気分になって、それでもやりたいことなんかないし…と無難に人生を進めて来てしまった。だから、大学生やそれよりもっと若い年齢の子たちが自分が好きなことを熱心にやっている様子を見て本当に羨ましくなるんです。私が伝えたかったのは「大学生なのにすごい」ではなく「自分のやりたいこと見つけ、それを黙々とやっていることがすごい」だったはずです。

若いのにという言葉には「若い人にはできないことが多い」という根拠のないバイアスがかかっています。女性なのにという言葉も同じです。今の社会にはまだまだ”女性は男性より劣っている”と言う考えが存在します。女性だからこう!男性だからこう!という決めつけは、私も大嫌いです。男、女関係なく、同じ人間なんだからちゃんと人としてみてよって思います。

でも、私は大学生の子に言ってしまった。よくないです、ほんと。私もたくさんこの類のことを言われてきました。それが呪いのように染みついて、パッと考えなしに口に出してしまった。

特大の反省点です。名前はわからないけれど、きっと嫌な思いをしただろうな。ごめんなさい。私もあなたのようにかっこよく軽やかに生きてみたいと思います。かっこ良さを見せてくれてありがとう。