2.定期演奏会への道

定期演奏会の歩み

 演奏技術の向上は日々の練習が大切なことは勿論ですあが、発表の機会はさらに効果があるといえます。市内の福祉施設での演奏やイベント出演に加えて東京進出の機会が与えられました。1994年1月に開催される第3回ステューデント・ジャズ・フェスティバル東日本大会(世田谷区民会館)への出場が決まったのです。



当時の部員たちは東京の大舞台での演奏ということで張り切りつつも緊張と動揺が入り交じった状態で参加しました。しかし、関東一円の実力校が集まった演奏会で自分たちの実力を思い知らされるのです。

 帰りのバスの中、他校の演奏に圧倒されたメンバーが、口々に言うのは「もっと演奏の機会が欲しい」「もっと演奏して上手くなりたい」の言葉。それを聞いた伊藤和充氏(外部講師)が一言「それなら自分たちで演奏会を開けばいい」。そして、定期演奏会が開催されることとなったのです。



 第一回は1994年6月、総合福祉会館で開催されました。当時は部員の数が多く、定演に出演できるのは、2・3年生のみでし。

 第二回(1995年)から、会場を文化センター小ホールに移し開催されました。観客数は300人程。回を重ねるごとに、着実に観客を増やしていっきます。

 異変が起きたのは1998年の定演後です。3年生が引退した後、1・2年生11名の部員が、2名を残し、全員退部してしまったのです。つまり、たった2名の部活動になってしまいました。


 当時、部室は静かでした。物音一つしない部室が、どんなに寂しく、悲しかったことか。

 翌1999年、新一年生が6名入部してきました。それでも全員合わせて8名です。8人では、どう考えても定演の開催は無理、と誰もが思いました。

 しかし、そこで諦めなかったのが、顧問の沼田隆政先生でした。力強く「定演はやります」と宣言したのでした。その言葉に力を得て、何とか第六回の定期演奏会を開催しました。この厳しい時期の定演を乗り越えたからこそ、現在のブルビギの活躍はあると確信されます。もしあの年、諦めて定演を開催しなければ、今のブルビギはなかったであろうかと・・・・。


 振り返るに、あの当時は本当に辛い時期でした。以下、第六回定演パンフの「顧問挨拶」を引用しますと、

 

当時のポスター

 「…略…今回ほど、私ども顧問にとりまして課題の多い年はありませんでした。部員の激減により、定演の開催どころか、バンド自体の存続さえ危ぶまれた時期もあり、本当に辛い思いをしました。しかし、OBの皆様はじめ、たくさんの方々の支援により本日の開演までこぎ着けることができました。…略…部員達の成長にも目ざましいものがありました。上級生のいない中、いきなりリーダーになってしまった2年生。入学して直ぐに演奏曲10曲を全てこなさなければならなかった1年生。しかし生徒達は、日に日に自分の地歩を固め逞しくなってゆきました。その成長ぶりには人間の無限の可能性を信じさせるに余りあるものがありました。JAZZの、ひいては音楽の持つ力が彼らをそうさせたのだと確信いたしております。…略…」

 翌2000年からは、着々と部員も増え、いろいろなイベントからも声がかかるようになり、活動の範囲も広がっていきました。それにつれ、定演に来てくださるお客様も年を追うごとに増加の一途を辿るようになりました。

 2005年第12回の定演には、文化センター小ホールに入りきらないほどのお客様が詰めかけました。立ち見はもちろん、通路も満杯状態。入り口から中に入れず、諦めてお帰りになったお客様もいたほどでした。

 この年のアンコールは最高潮に盛り上がり、客席全員スタンディングオベーションとなりました。ステージから見たその光景は、まるで大きな「人の壁」ができたようで、地鳴りのような拍手は会場全体を震わせ、その振動は今も耳に鮮明に残っています。


これだけたくさんのお客様が来てくださるので、翌2006年から会場を水戸市民会館(客席数1004)に移して開催することとなりました。

 第13回・14回と市民会館で開催。しかし、2007年第14回には、多数のお客様においでいただき、とうとう立ち見まで出ることとなりました。

 立ち見は、消防法の観点から許されない事態です。そこで、2008年第15回定演は、初めて「整理券方式」を導入します。

 寒い中(12月開催)、長時間並んでいただいたお客様。しかし、コンサートが終わって帰るときは、皆満面の笑みを浮かべて会場を去っていかれました。そして、皆さん「また来年も来ます」と言ってくださっています。


 地元はもとより、千葉・栃木・群馬、遠く青森から足を運んで下さるお客様もいらっしゃいます。みなさん「今日のコンサートで元気をもらいました。また一年がんばれます」という感想を残してくださっています。「高校生のジャズ」というだけでは表現できない何かが、お客様の心を動かしているのでしょう。

 「元気になれる音楽」ブルビギの魅力はその辺にあるらしいです。

それは、卒業生達が長い歴史の中で育ててきた、ブルビギの「良き伝統」です。その「ブルビギ・スピリット」を守り、今後も活躍を続けていきたいと思います。

500枚を越える回収されたアンケート用紙

来場された皆様の熱い思いが凝縮されています