ルルト「く、クランと結婚・・・・・・えへへ・・・・・・」
クラン「もう勝った気でいるのか?余裕だな」
ルルト「あったりまえだよ!君は気付いてなかっただけで、それぐらい僕の想いは大きいんだ!この想いに関してはこの世界のどんなやつにだって負けはしない!」
ああ、本当にルルトには申し訳ないことをしたと思っている。それだけの想いに気付かず、今までずっと過ごしていたのだから。正直今でもそれがどんなものなのかわかっちゃいない。
クラン「さて・・・・・・行くぞっ!」
ルルト「スプラッシュウィング!!!!」
ルルトの翼が大きく開かれ、四方八方に雷を纏った羽が飛び散る。
クラン(新技か!よけきれるか?いや、無理だ。ならば突っ込む!)
クラン「フォースド・アクエリア!」
ルルト「水を纏った?それじゃあ僕の餌食だぞ!!!!」
ルーチェの魔法をヒントにして作った新魔法だ。水を身体に触れないように纏うことであいての遠距離攻撃の威力を弱める。ルルトが放ったのは羽、水には無力だ。加えて雷もこの水が防いでくれる。
ルルト「あ、あれっ?効いてない?」
クラン「まずは一発、ぶちかます!!!!」
ルルト「くっ、ボルトグレイズ!!!!」
ボルトグレイズは雷を纏って突撃し、その反動で距離をとる技。その性質上、直接こちらに触れる必要がある。だからそこを狙う。
クラン「ミミックナイフ!!!!」
服の中に仕込んでおいたナイフを前面に配置する。所謂カウンター技だが、ルルトの勢いを全て殺しきれるほどの技でもない。
ルルト「ぐっ!」
クラン「ぎっ!」
お互いにダメージを負う、だがルルトは雷ですぐに回復してしまう。
クラン(ここでルルトに勝つには相手の魔力切れまで粘る、意識を飛ばすの二択しかない。だが、魔力切れまで粘らせてくれるような相手じゃないのは事実だ)
なんとかして一気に片を付けたいのだが、そうも言ってられない。相手はあのルルトだ。お互いに相手の癖や戦い方はわかり切っている。俺の得意な体術も、ルルトには通用しない。
ルルト「・・・・・・へっへっへ、最初のがクランに全部防がれたのは予想外だったけれど、僕はまだまだこんなもんじゃないぞ!エレキフォース!」
そういうと、ルルトが近くの岩に雷の強化魔法をぶつける。
クラン(どうしてあんなことを・・・・・・?)
岩に強化魔法をかけても固くなるわけじゃないし、そもそもルルトにはあんな大岩を持ったりできるような筋力はないはずだが・・・・・・・。
ルルト「・・・・・・マグネティック・キャノン!!!!」
クラン「なっ!」
ルルトがそう唱えると、大岩が勢いよくこちらへ向かって飛んでくる。いったいどうやったんだ、いや、それよりもまずは
クラン「アンチ・グラビティ!!!!」
重力で方向をそら――
クラン「がぐっ!?」
せなかった。それもそうだ、あれだけの質量の物があのスピードで飛んできているのだ。この近距離で軌道を変えられるわけがない。
ルルト「レール・ループ!!!!」
クラン「もどってき――」
咄嗟に躱そうとするが、対処しきれずあたってしまう。
クラン「う、ぐっ・・・・・・」
ルルト「僕自身もなんで電気でこんな磁石みたいなことができるのか、ってのはわかんないけど・・・・・・使えるものは使わなきゃね!どう、クラン。まだやる?」
クラン「あ、たりまえだ・・・・・・!こんなことでやられる俺じゃないのはお前がよく知ってるだろう!」
ルルト「へへっ、そうこなくっちゃ!ま、多少無理してもファイスが回復してるから遠慮はしないよ!」
ミヤビ「あれが、噂に聞くルルトさん・・・・・・なるほど、クランさんが言うだけはありますね」
フェア「あんな大岩を飛ばして来るだなんて!」
フロウ「ルルトお姉ちゃん、確かにすごく強くなってますね」
テトラ「彼女もそれだけ苦い思いをしたと言うことだ。フェア嬢、これから大変だぞ?」
フェア「うっ、そうか・・・・・・このあと矛先が向かうのは私か・・・・・・」
フロリーナ「あ、あの、クラン様はあんなものを喰らって大丈夫なのですか!?」
ディア「なんていうか、大分やばいわよね」
ルー「(; ・`д・´)」
テトラ「なんだかんだ頑丈な奴ではあるが・・・・・・少なくとも何本か骨は折れているだろうな。死にはしなくともかなり不利だ」
オッド「クラン、がんばれ!」
ルルト「クラン、また女の子引っ掛けたんだー」
クラン「その言い方はやめてくれ。さて、と。どうしようかな」
正直あの大岩の攻略法が思いつかないというのが現状だ。正面から破壊するには俺の力が足りないし、そもそもそんなことができるのなら受け止めている。今のパフォーマンスではよけ続けるのも難しい。
クラン(しかも微妙に追尾してきたように見えたし・・・・・・ん、追尾?)
・・・・・・そうだったな。原理はわからずとも、使えるものは使えばいい。やることは、同じだ。
ルルト「さて、もう一回行くよ!マグネティック・キャノン!!!」
クラン「エレキフォース!!!!」
渾身の魔力を込めて近くの岩に強化魔法をかける。この狙いが当たってくれなければ俺は負ける。
クラン(その時は素直に俺の力不足だったってことだ)
さあ、どうなる――!
ドグォン!!!
ルルト「は、外れた・・・・・・ってか、逸れた?」
クラン「ルルトがその岩に電気を纏わせて動かしてるっていうんなら、電気を纏ったものに誘導されるだろ」
さっき俺を追尾してきたのは一番最初に纏っていた水が電気を帯びていたからだ。だからそれを解除して、さらに別の物に帯電させればそちらへと向くはずだ。
ルルト「ふっ、だけどクランが怪我をしてまともに動けないのはわかってるんだ!これで決める!エレクトロ・プラント!!!!」
クラン「エレキスパイク!!!!」
雷を纏わせた岩塊を俺の隣に地面から突き出す。そして、ルルトの個別魔法はルルト自身を雷に変える魔法。その状態で突撃してくるということは――
クラン「帯電してる物に、ルルト自身も誘導されるってことだよな」
ルルト「ふぇっ!?あっ」
クラン「スパイクニードル!!!!」
ルルトが岩塊にぶつかると同時に岩の中からさらに岩を突き出す。これはかつてフレインが使った魔法から着想を得たもので、ルルトが知らない魔法だ。
クラン(ルルトのエレクトロ・プラントは持続時間が長くない。なら、ここで決める!)
クラン「チェインスパイク!!!」
飛び出た岩からさらに岩を飛び出させ、それを繰り返す。そして
クラン「スパイク・ブレイク!!!」
それを四方八方に発射する。ルルトの魔法が終わった瞬間、彼女はまともに食らうことになる。
ルルト「こ、この程度!!!!」
もちろん、この程度でルルトが倒れるとは思わない。だからこれは、ただの目くらましだ。
クラン「ピュア・デバフ」
ルルト「なっ、後ろに――」
ルルトの首を後ろから掴み、そしてルルトの魔力を、俺の身体を通してろ過する。フェアとの契約があるからこそ使えるこの魔法は、ほとんどの魔物にとっては天敵ともいえるだろう。
ルルト「・・・・・・え、な、なにをしたの?」
クラン「ルルトの魔力をろ過した。これで属性魔法は使えないはずだ」
複雑に絡み合った魔力を紐解いて純粋な魔力となった以上、他の物に変換できない状態になる。この状態で魔法を使えるのはもともと純な魔力を魔法として撃ちだす妖精ぐらいだ。
クラン「これで回復もできないな。いくぜっ!」
ルルト「くっ、まだっ!」
クラン「グラビティフォース!!!!」
ルルトに大きく重力をかけ、地面にたたきつける。さて、これで気絶してくれていれば俺の勝ちだが・・・・・・・
ルルト「きゅう・・・・・・・」
よかった、効いたようだ。流石のルルトも雷を奪われては俊敏な動きはできない。だから急に受け身をとることもできなかったようだ。
ルルト「むー、あんな隠し玉があるだなんてー!」
フレア「すごいな、クラン。あれはなにをやったんだ?」
クラン「ルルトの魔力を俺の身体を通してろ過しただけだ。吸収とかとは違って魔力は循環したままだから効率がいいんだよ」
フェア「妖精の森でママに認められるためにやったやつよね。あれ?でもルルトの髪の色変わって無くない?」
ルルト「なんのことかわからないけど、僕は生まれつきずっとこの色だよ」
クラン「俺は金髪碧眼になるが」
フロウ「あのお兄ちゃんはあれはあれでアリです」
カレア「ではクランさん、これがウンディーネの魂とサラマンダーの魂です」
クラン「ありがとう。これであとはコアを作るだけだ」
フェア「その前に、妖精の森に行ってエアが持ってるシルフの魂を譲ってもらわないとね」
クラン「あ、そうだった」
エア「こいつがいるのか?」
クラン「そうそう、それそれ・・・・・・エア?」
フロウ「お久しぶりですー」
エア「おう!久しぶりだな!」
フロウ「( ・ω・)/」
クラン「待ってくれ、なんでいるんだ?」
ファイス「あの、それなんですけれども・・・・・・」
サーナ「私が連れて来たの」
ルルト「あっ、サーナさん!」
クラン「サーナさん、どうして?」
サーナ「ふふ、がんばる子供を応援したい親心ってものよ。私ができるサポートはこれぐらいだから」
テトラ「アクリヴィア卿、協力感謝する」
サーナ「シスター・ヴァイス。それにシスター・セイクリッド。あなた方もお疲れ様です。この1年間大変だったでしょう?」
ファイス「アクアリヴィア様の支援があったからこそなしとげられたことです。感謝いたしております」
フロリーナ「アクリヴィア様、我々の身を保証してくれたこと、非常に感謝しております。レオミュール家は解体いたしますが、いずれ恩返しさせていただきます」
ディア「行く当てのなかった私たちを助けてくれてありがとう」
オッド「ミダス王の腕のこと、私の力の事。その両方を教えてくれたことに感謝する。ありがとう」
サーナ「どういたしまして。さて、クラン。あなたは魔力のコアを作ったことあったかしら?」
クラン「いや、本で読んだだけだし、うろ覚えだけど・・・・・・そこはまたサーナさんの書庫を借りようかなと」
サーナ「コアの製作は一朝一夕でできるものではありません。これは魔法の中でも最上級の、錬金術に値するものです。非常に危険なものですから、あなたには教えていませんでした」
クラン「え、そうなの!?」
ルルト「錬金術って?」
クラン「物を全く別の物に変える術だ。もともと金を作ろうとして始めたことだったと思うけど・・・・・・」
サーナ「だからこそ私が来たのです。この4つの宝石を一つに交わらせ、新たな宝石として生まれ変わらせる。そのような技術があるのは世界中を探してもほとんどいませんから」
そうだったのか。今まで魔法に関しては本を読んだらたいていうまくいっていたから今回もなんとかなると思っていたが、サーナさんの口ぶりからしてそうではないらしい。
サーナ「ふふ、ですが覚えたいと言うのなら話は別よ。今回はあまり時間をかけないほうがいいでしょうから私がやるけれども、いずれはクラン、あなたがやるときが来るかもしれません。だから、よーく見ておきなさい」
サーナさんはそういうと4つの魂を並べ、魔力を籠めて陣を作る。
サーナ「錬金術の基本は等価交換。なにかを得るためには何かを失わなければならない。今回はこの4つの宝石を基に新たな魔力の宝石を作る」
サーナさんが込めた魔力が陣を巡り、それぞれの魂が呼応する。
サーナ「さて、仕上げです。あとはこの中央にそれぞれの魔力を流し込むだけ。ただし、寸分の狂いもなく同時に」
彼女の言うとおり、魔力が陣の中央部に向かって流れ、4つの魔力がぶつかり合い――
サーナ「完成よ」
強烈な光を放つと同時に、4つの宝石が消えて新たな一つの宝石が生まれていた。
クラン「これが、錬金術・・・・・・」
サーナ「ふふ、本当はもっと楽な移譲の方法があるんだけどね。材料が家になかったから合成の方法を使わせてもらったわ」
ルルト「サーナさん、さっすがー!」
なにはともあれ、ルルトたちやサーナさんのおかげでコアを作ることができた。
クラン「あとは、これをミダースに埋め込むだけだな」
オッド「おう!」
ゴールが目の前に近づいてくると気が楽になる。だが、まだ終わってはいない。最後まで気は抜けない。やることをやってから、気を落ち着けよう。