クラン「ルーがいない?」
フレイン「宿中を探し回ったけど、どこにもいないの!店主に聞いても知らないって!」
ルーが気が付いたらいなくなっていた、これだけでもおかしいことだ。それに加えて、目撃情報が無い、とは。
フロウ「入れ違いになってる、とか?」
フェア「流石にこの雨の中外には出ないだろうし・・・・・・」
外は昨日から雨が降り続けており、とても出れるような状態ではない。
クラン「そもそもルーはひとりで外に出ないしな」
フレイン「じゃあ、どこに!」
クラン「落ち着け、フレイン。今魔力探知をする」
探知魔法を使えば近くにいるならすぐに発見できるはずだ。たとえどこかで入れ違いになっていても。
クラン「サーチ」
細やかな魔力の粒子を周囲に放つ。俺を中心に半径100mぐらいなら捜索できるのだが・・・・・・
クラン「・・・・・・おかしい、いない」
魔力探知にひっかからない、つまりそれはルーは近くにいないということだ。
フロウ「ど、どどどどうするんですか!?こんな見知らぬ土地でルーちゃんがいなくなったら探しようがありませんよ!?」
クラン「・・・・・・フレイン、俺は昨日の洞窟まで行って来る。何か知っているかもしれない」
フレイン「わかったわ。私は周辺の植物に話を聞いてくる」
フェア「じゃあ、私はここに残るわね。万が一戻ってきたら保護しないといけないから。あと、フロウもここ」
フレイン「なんでですか!?私も探しに行きたいです!」
フェア「ミイラ取りがミイラになったらいけないでしょ」
フロウの気持ちももちろんわかるのだが、彼女もまた子供であり、ルーと同じように目を離したすきにいなくなってしまう可能性がある。
クラン「フロウ。ルーが戻ってきたときに、落ち着かせてあげるのが君の役目だ。何が起こっているかはわからないが、無事ではいないだろうから」
フロウ「うう・・・・・・わかりました。二人とも、おねがいします」
聞き分けのいい子で助かる。今は一分一秒でも惜しいのだ。
周囲に人がいないことを確認して、昨日いた場所まで飛んでいく。普段は使わない自分に対する重力操作だ。
クラン「ミヤビ、いるか!?」
ミヤビ「ん・・・・・・なんですか・・・・・・まだ朝じゃないですか・・・・・・」
ミヤビは吸血鬼だという話だ。旧月の弱点は日光、なので朝から昼にかけては普段は活動しない時間なのだが、今はそんなことは言っていられない。
クラン「ミヤビ、起きてくれ!ルーはここに来ていないか!?」
ミヤビ「吸血鬼に朝は・・・・・・えっと、ごめんなさい、なんですって?」
クラン「昨日俺と一緒にいた女の子、ルーがここに来ていないか?今朝、朝食の後にいなくなったんだ」
ミヤビ「・・・・・・あの、声を出すことができない女の子ですか?」
クラン「ああ、そうだ」
ミヤビは少し悩むような仕草をした後、こう告げた。
ミヤビ「・・・・・・彼女は、人柱にされていると見た方がいいでしょう」
クラン「ヒト、バシラ?」
ミヤビ「はい。話をしましょう、この地域の呪われた因習を」
ミヤビ「古来より、この地は水害の多い土地でした」
ミヤビ「毎年この時期に降る大雨、これによって川は氾濫を起こし、家は水に飲まれ、農作物は流されてしまう」
ミヤビ「そこである年、雨が降り始めると住民たちは神に祈りだしたのです。どうかこの雨を止めてくれと」
ミヤビ「そうするとそこに水の神が降臨し、こういいました」
『5年に一人、生娘を我に捧げよ。されば其方らの願いを聞き届けん』
ミヤビ「そして言われたとおりに、幼い少女が捧げられました。そうするとたちまち雨は止み、村に平穏が訪れました」
ミヤビ「それ以来、5年に一度、この村では少女が捧げられることになっています」
ミヤビ「・・・・・・ですが、誰も自分の娘を生贄になどしたくはありません」
ミヤビ「格好の的だったでしょうね。声を出せない異国から来た少女というのは」
クラン「・・・・・・・わかった。それで、その生贄はどこに連れて行かれるんだ」
ミヤビ「ここに来るまでに、川があったでしょう。あそこを登って行った先にある社です」
クラン「ありがとう。行ってくる」
ミヤビが行っていた通りなのならば、すぐにでもこの村をでなければならない。ルーを見つけ次第、みんなを連れて出て行こう。
クラン「・・・・・・ここか!ルー!」
社に着いたものの、ルーの姿はない。魔力探知をしても、反応が無い。
クラン「・・・・・・というよりここに、何かいる気配がない?」
ミヤビの言うとおりなら、ここにその神とやらがいるはずだ。しかしながら、今は生き物の気配が全くしない。
クラン「しかし、まいったな。じゃあルーは今どこに・・・・・・」
ミヤビ「おそらくですが、今は村の長の下にいるはずです」
クラン「ミヤビ、ついてきていたのか」
ミヤビ「案内します。こっちです」
そう言ってミヤビに連れられて、村長の家のまで飛んでいく。そしてそこには
フレイン「クラン!それに、ミヤビも!」
クラン「フレイン、君も・・・・・・ということは、やはりルーはここにいるのか」
ミヤビ「おどろきました。自力でここにたどり着くとは」
フレイン「植物たちが教えてくれただけよ。ルーが連れて行かれた先を」
クラン「さて、じゃあ殴り込みと行くか」
クラン「ルー!いるか!」
勢いよく扉を開け、同時に魔力探知をはじめる。ルーの居場所は、これは・・・・・
村長「・・・・・・ん?おやおや、異国から来た旅のお方。どうなされましたかな?」
クラン「とぼけなくていい。ルーを・・・・・・フレイン、地下だ。地下にいる」
フレイン「わかったわ」
村長「なっ、なにを言っているんだ!あんたらは何をしに来たんだ!」
クラン「御託はいい。ルーを返してもらうぞ」
フレイン「地下への入り口は・・・・・・なるほど、ここね」
そう言ってフレインが戸棚をどけると、壁の後ろに人が一人通れそうな穴があった。
村長「な、何をする!やめろ!人の家に土足で上がり込んで!」
クラン「うるさい」
村長「がっ!?」
クラン「このまま黙るか死んで黙るかどちらかを選べ」
フレインを力づくで止めようとする村長を取り押さえ、首元にナイフを突きつける。流石の相手ももう騒ごうとはしなかった。
ルー「(´;ω;)」
フレイン「ルー!」
ルー「(*^▽^*)」
フレイン「大丈夫?怪我はない?」
ルー「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」
フレイン「この縄を解いて・・・・・いや、切った方が早いわね」ブチッ
フレイン「さ、戻るわよ。さっさとこんなところ出ましょう」
クラン「ルー!よかった、無事だったか」
フレイン「この状態で無事、なんて言い難いけどね」
村長「ま、待ってくれ!その子を連れて行かないでくれ!」
こいつは何を言っているんだ。これは本気で言っているのか。
クラン「・・・・・・そんな言い分を俺たちが聞くとでも思っているのか?」
村長「このままだと、ウチの孫を生贄に捧げなくてはならなくなるんだ!頼む、金目のものはいくらでも渡す、だから・・・・・・」
村長の悲痛な声が耳に響く。だが、それを聞き入れるつもりは全くない。
クラン「そんなものより、俺はルーの方が大事だ。お前も同じなんだろう?だからそんなことを言った」
クラン「なら、俺がどういうかもわかっているはずだ。これ以上その耳障りな声を上げるな」
フレイン「えっと、ちょっと待って、どういうこと?」
少女「・・・・・・もう、やめよ、おじいちゃん」
村長「何を言うか!せっかくお前が助かるかもしれないというのに!今年をしのげば、次にお前に回ってくることは・・・・・・」
少女「私は、覚悟はできてる。でも、突然つれてこられてなにもわからないまま人柱になるだなんて、そんな怖いことはその子にさせられないよ」
フレイン「人柱?」
ミヤビ「端的にいうと生贄です。この子が連れ去られたのは、そのためです」
俺にした説明を、ミヤビがもう一度フレインに話す。その話に、フレインも大層驚いている。
フレイン「・・・・・・なによ、それ」
もちろん胸糞悪い話ではあるが、俺は自分や仲間の身の方が大事だ。こいつらのためにそこまで面倒見る義理はない。
フレイン「そんなことのために、子供を犠牲にしようだなんて・・・・・・ひどすぎる」
村長「だが、それしかないんだ。そうしなければ、全滅してしまう。だから私たちは、そうするしかないんだ」
ミヤビ「・・・・・・」
少女「ごめんなさい、異国の人たち。ご迷惑をおかけしました。おじいちゃん、私、行ってくるよ」
村長「待て、待ってくれ!やめるんだ!」
必死の形相で、村長は止めようとする。だが、少女の方はもう覚悟を決めている。
クラン「・・・・・・行こう。これ以上長居する用事はない」
フレイン「ねえ、あなた。名前はなんて言うの?」
少女「私、ですか?私は夏女でございます」
フレイン「ナツメちゃん、ね。あなたも間違っているわ。あなたは生贄になる必要もない」
クラン「・・・・・・何を言っているんだ、フレイン」
フレイン「だっておかしいじゃない。天災を鎮めるのに、子供の命を捧げなければならないなんて。納得がいかないわ」
フレインが真剣な目で語っている。もちろん彼女が言っていることに理解も共感も、そして同意もできる。だが、今はそんなことを言っている場合じゃないだろう。
クラン「じゃあ、どうするんだ?」
フレイン「要は雨が降り続いてる間、川が氾濫しなければいいのよね?」
少女「あの、何を言っているのか・・・・・・」
フレイン「私が、川が氾濫するのを防ぐ」
フレイン「そういうわけだから、これから土魔法で川に沿って壁を作るわ」
フェア「そんなまた無茶な・・・・・・」
クラン「俺は反対だ。ルーが帰ってきた以上、長居する必要はない。さっさと出よう」
フロウ「でもでも、私もその女の子はかわいそうだと思います!」
ルー「(´・ω・)」
フレイン「おねがい、クラン。私は、いまここであの子を見捨てたら一生後悔する。ずっとあの子を、そしてこの村のことを悔やみ続けることになる」
フレインの言い分はわかった。そしてフロウも、連れ去られたルー本人も同意見のようだ。
クラン「・・・・・・わかった。ただし、無理だと思ったらすぐにでも逃げるからな」
フレイン「ええ。ありがとう、わがままを聞いてくれて」
ミヤビ「フレインさん、こちらをお使いください。このあたりの地図です。そして川が氾濫しやすい場所も印をつけています」
フレイン「ええ、ありがt・・・・・・ミヤビ!?いつのまに!?」
さっきの俺の時もそうだったが、彼女はかなり神出鬼没だ。全く気配を感じさせない。
ミヤビ「私は、今まで人柱に捧げられた子たちを見ていることしかできませんでした。私に川の氾濫を止める力はありませんので」
ミヤビ「・・・・・・この悪しき因習を止められるというのなら、私も力を貸します。私に出来ることなら、いくらでもやりましょう」
ずっと昔からこの地に住んでいるといっていた、ミヤビ。彼女は俺が思っているよりもはるかに多く人々と関わり、そして生贄に捧げられた瞬間を見てきているはずだ。彼女の心象は計り知れない。
フレイン「さて、やるわよ。ウォール・オブ・フォーチュン!!!!」
何そうにも重なった壁を川に沿って出現させる。そのための魔力はドリュアス・ルートで回復し続ける。この状態なら、そうそう川が氾濫することはないだろう。
フロウ「なーんだ、簡単に終わりそうですね」
フェア「そんなわけないわよ。あの大量の土の壁、維持するだけでも相当な労力よ。一か所でも壊れてみなさい、そこをふさぐためにさらに力を注ぐことになるわ」
クラン「これからしばらくは不眠不休になる。辛くなったら代わるから、いつでも言ってくれ」
フレイン「大丈夫よ。私は魔物、身体は頑丈にできているの」
そうはいっても、これほどの大規模な魔法を作り、維持するのはやはり無茶がある。
クラン「今の内に、仕掛けをしておくか」
フレイン「仕掛け?」
クラン「そう。ミヤビが言っていた氾濫しやすいポイントにちょっとな」
雨足はだんだん強くなってきている。今の内にやっておいた方がよさそうだ。
クラン「よし、まずはここか」
例のポイントに到着して、そこの地面に魔法の準備を仕掛ける。
クラン(ここの壁が崩壊したときに、すぐに新たな壁を作れるように)
なんせ補強も何も入っていないただの土の壁だ。川次第で簡単に崩れてしまう可能性がある。
クラン(ある程度水を逃がす機構も必要だよな)
新たな壁の方は入念に設計をし、魔法陣の中に仕込んでおく。それを、各ポイントごとにやっておく。
クラン(あとはフレインが崩れたことを感知したら、すぐに出すだけだ)
壁が崩れたらたけのこのように地面から生えてくる壁、魔法陣に仕掛けた魔力は5回分だ。
クラン(必要に応じてまた補強しよう)
あとはただ待つだけなのだが・・・・・・
女「あの、もしもし、そこのお方?」
クラン「ん、なんだ?」
突然、謎の女性に声をかけられる。
女「この村に、こんな土の壁は前からありましたか?」
クラン「・・・・・・さあな。俺も異国からきたばかりなんだ、わからない」
相手の素性はわからないが、あえて言う必要もないだろう。
女「そうですか・・・・・・では、このあたりで妖怪は見ていませんか?」
クラン「妖怪?とは?」
女「人ならざる強大な力を持った怪異、それが妖怪。その様子だとわかっていないようですね」
クラン「ああ、力になれなくて済まない」
女「いえ、それでは失礼いたします。あなたも風邪をひかないうちに宿に戻った方がいいですよ」
クラン「ああ、そうさせてもらうよ」
彼女が言っていたのは、もしかしたらミヤビのことかもしれない。知り合いだったとしたら悪いことをしたな。
そして、夜。雨は一層強くなり、周りの音が一切聞こえない状態だ。
クラン「フレイン、大丈夫か?」
フレイン「ええ。壁に植物の根を這わせたから、そうそうには崩れないわ。そしてこの雨が、私に力を与えてくれる」
クラン「俺が心配してるのはお前自身の方なんだが」
フレイン「ふふ、ありがと。大丈夫よ。知っての通り、私はもともと森で暮らしていたんだから、この程度の雨も慣れっこよ」
そういえばフレインはそうだったな。かなり長いこと一緒にいるから忘れていたが、彼女はもともと野性のアルラウネだ。雨の中外で一晩、くらい何の問題もないだろう。
女「なるほど。やはりあなたは嘘をついておられたのですね」
クラン「!?」
うしろから突然剣を向けられる。
ヒノワ「私はヒノワ。この地に巣食う怪異を退治しに来た巫女です」
ツクヨ「・・・・・・ツクヨだ」
リュウセイ「私はリュウセイよ。この子たちと一緒に妖怪退治の度をしている魔女」
気が付くと、三人の女に囲まれていた。この雨もあって、気配を全く感じ取ることができなかった。
クラン「誤解だ。俺たちはこの村にきたばかりだ。ここに巣食ってなんかいない」
ヒノワ「この地に強い妖気を感じた。そして今、あなたたちから強い力を感じる」
フレインは壁に集中しているから、動くことができない。なんとかしてこの三人を誘導しなければ。
ツクヨ「人を喰らう妖怪は退治しなければならないのだ。恨むなよ」
重力でふっとばすか?壁に当たらないようにだけ気をつけて?いや、一度浮かせるか?そうしたら標的は俺に向くだろう。
クラン「やれるもんなら、やってみなっ!グラビティ・オフ!」
両方やるのが一番だ!出来るだけ川下の方に向けて浮かせて吹っ飛ばす!
ヒノワ「なっ!?これは、妖術!?」
ツクヨ「くっ、あの男、やるな・・・・・・だが!月夜の術!」
ミヤビ「だめよ」
吹っ飛ばした三人組を追いかけていると、ミヤビがツクヨに向かって攻撃を仕掛けていた。
ミヤビ「今、彼女たちの邪魔をすることは許さないわ」
リュウセイ「流星よ!」
フェア「フェアリージャミング!!!」
続いてフェアが、リュウセイに向かって妨害を仕掛ける。純な魔力を乱雑に出して、相手の魔法を乱す魔法だ。
ヒノワ「現れましたね、妖怪たちが」
ツクヨ「これで全員か?」
リュウセイ「んー、向こうにあと二人ぐらいいるっぽい?」
おそらくフロウとルーだろう。彼女たちはフレインの方を守ってくれているのか。
ヒノワ「では、改めて名乗らせていただきましょう。私は日輪の巫女、ヒノワ!天照大神の力を宿し、妖怪退治をしているものです!」
ツクヨ「月夜の忍者、ツクヨだ。月読の力を宿し、ヒノワと共に妖怪狩りをしている」
リュウセイ「流星の魔女、リュウセイ!素戔嗚の力を宿して妖怪を懲らしめている魔女様よ!」
この三人は姉さんたちと同じような目的で旅をしているグループのようだ。となると、かなり腕は立ちそうだ。
クラン「では、こちらも名乗らせていただこう。クラン。クラン=ソフライム。魔人だ」
フェア「妖精女王、ティターニアのフェア=タイタニアよ」
ミヤビ「・・・・・・アマノミヤビ。はるか昔からこの地に住まう吸血鬼よ」
ミヤビから、いつものおっとりした様子とは違う、静かな恐ろしさを感じる。相当な力をもっていることは間違いないだろう。
ヒノワ「相手にとって不足はないようですね。いざ、参ります!」
ヒノワは見事な剣捌きで俺のナイフをいなしている。視界も足元も悪いこの雨の中、よくもこれだけ動き回れるものだ。
クラン「とはいえ、俺もそれなりに場数はくぐっているつもりだ。そうそうやられはしないぜ」
ヒノワ「そこです!三重結界!!!!」
突如、背後に壁が現れる。いや、違う。四方を壁で囲われたようだ。
ヒノワ「この狭い空間ではその軽快な動きも制限されるでしょう。覚悟!」
クラン「おいおい、割とまずいな、これは」
他の2人が何かあった時に助けに行けない、それだけじゃなくフレインたちのもとへも行くことができない。
クラン(エレキパスを使えば圧倒できるだろうが、今使ってこの後動けないんじゃ意味ないし)
どうにかして相手の誤解を解ければいいのだが・・・・・・
クラン(さっき、人を喰らう妖怪とか言ってなかったか?だったら、そいつはミヤビじゃなくて・・・・・・)
リュウセイ「うー、私の魔法が使えない!」
フェア「妨害してるからねー」
リュウセイ「・・・・・・でも、あんたも使えなさそう」
フェア「妨害に徹してるからねー」
リュウセイ「・・・・・・このままだとお互い何もできないんだけど」
フェア「それでいいのよ。私は戦いは得意な方じゃない。クランは体術が得意だから、こっちに来てくれたらそのままあんたをボコってもらうわ」
リュウセイ「魔法とか妖術に頼らないのはヒノワもだしね。ヒノワが負けるはずもないし、ヒノワが来たらあんたの負けだよ」
ツクヨ「・・・・・・おかしい。私の術がなぜ効かない」
ミヤビ「伊達に年を重ねてはいないわ。時空を操る妖術、というのは驚いたけれども。驚いただけよ」
ツクヨ「それに、忍である私の動きにもついてくるなどと・・・・・・!」
ミヤビ「私は山をも砕き、風よりも速く飛ぶ大妖怪吸血鬼。蛇女如きに負けるいわれはないわ!」
ツクヨ「なっ、気付いていたのか!?」
ミヤビ「お前から感じる妖気、そして使う妖術。執念深さを感じるのよ」
ツクヨ(術をすべて無効にされ、身体能力で劣っている。そして、技も。私に勝ち目は・・・・・・)
川の勢いはますます強くなっている。私の壁であとどれくらい持つのか、わからない。
フレイン(このままだと決壊するかも・・・・・・そうなると、最悪の事態になるわね)
私の壁で溜め込んでいた分の水が一度に押し寄せ、全てを押し流す洪水に。無理やり抑え込んでいるからこそ、その反動は大きいだろう。
フロウ「うー、ちょいちょい壁を凍らせて強くはしてるけど、この雨のせいですぐに溶けちゃう・・・・・・」
ルー「(>_<)」
二人も手伝ってくれているのだが、最悪を考えて避難させた方がいいかもしれない。
フレイン(範囲が広い分、力が分散してしまう・・・・・・分散?)
そうか。分散させればいい。洪水被害の一番の問題は家や畑に被害が出ること。ならば、川を抑え込むのではなく、家と畑を守ればいい。
フレイン(そうとわかれば・・・・・・!)
フレイン「フロウ、今から5分間この壁を凍らせ続けられる?」
フロウ「へっ!?で、できますけど!」
フレイン「ルー、いつでも避難できるよう準備をしていて。私が戻ってきたらすぐにクランたちをつれて山まで上がるわよ」
ルー「(*‘∀‘)」
フレイン「一世一代の大勝負・・・・・・やってやろうじゃないの!!!!」