クラン「さて、到着だ。ここが――」
黄金の国、ジパング。アリスがいる場所。ついに俺は目的地までたどり着いた。
フェア「で、そのアリスはジパングのどこにいるのよ?」
クラン「さあ?」
フェア「さあ、って・・・・・・」
フレイン「しょうがないじゃない。私たちだってテトラから聞いただけなんだから」
そう、あくまでもいることを聞いただけだ。どこにいるかまでは詳しくはテトラも知らない。というか、手紙に書いてあったのはその情報だけだったし。
フロウ「テトラ?また新しい人の名前が出てきましたよ」
ルー「(´・ω・)?」
クラン「テトラも俺の幼馴染だ。で、アリスのことはある程度のあたりをつけてから気長に探すしかないさ」
なんせ時間だけはたっぷりあるんだ。人伝に聞いていけばいずれは見つかるだろう。
―1週間後―
クラン「・・・・・・未だに手がかり一つないとは」
フェア「そもそも、そのアリスって子は私たちと同じく船に乗ってきたんでしょ?じゃあ最初の港からあんまり離れない方がよかったんじゃ?」
フレイン「それが、そうでもないらしいのよ」
クラン「ああ。アリスが乗った船は西に向かってこの国を目指したらしい」
ルー「?」
フロウ「どういうことですか?」
クラン「フレデリア一家が国を追われる立場になったのは話したと思う。ただ、彼らはそれがわかっていたから貴族としての権力があるうちにアジアを開拓する船に乗り込んだんだ」
クラン「で、ここジパングを開拓してあとはゆっくり過ごせるようにしようっていう話だ」
無茶な話ではあるが、彼らにはもはやそれしか道が残っていなかったのだろう。祖国から遠く離れたこの国ならば、追ってもやってこない。安住の地とするためにここにきたのだ。
フェア「んん?私たちって確か東に向かって進んでたわよね?なんで西に向かった船が同じ場所にたどり着くの?」
フレイン「それはこの大地が丸いからよ」
フェア「・・・・・・ふぇ?」
そういえばフェアは地球が丸いということが提唱される前から森で生きてきたんだったか。そりゃ人間たちが知った事情なんてことをしるはずもないか。
フロウ「つまり、この氷をここだとすると、右と左からこうやって進んだわけですね。で、今ここです」
フロウが氷の球体を作ってフェアに説明する。この子はこの子で理解が早いから助かる。
フェア「あー、なるほど・・・・・・よくわかったわね、そんなこと」
クラン「人の学問は進んでいるってことさ」
フロウ「ん?ということは、アリスさんはこの国でも東側の方にいるんじゃないですか?」
クラン「・・・・・・それもそうか」
西から回ってきたなら東に到着しているはずだよな。ということは、東の方に向かえば情報は手に入るはずだ。
フェア「しっかしあれねー、どこ行ってもじろじろ見られるわねー」
クラン「他国の人間をあまり見かけないんだろう。しかたないさ」
フレイン「本当にそれだけかしらね」
フロウ「私たちが美男美女美少女ばかりだから注目集めるのはしかたないですよー」
ルー「(>_<)」
クラン「自分で言うな」
フロウ「で、そういえばアリスさんって美少女なんですか?」
クラン「そうだな、顔はかなり整っているな。母親の方を基準にして考えると相当な美人になっているはずだ。絶世の美女といってもさしつかえないぐらいには」
フェア「なんだか身内びいきが入ってそうね」
フレイン「クランって妹分にはそういうところあるわよね」
クラン「そうか?」
ルー「(*'▽')」
フロウ「ルーちゃんは妹分扱いで、私はいったい?」
フェア「多分近所の生意気なちびっ子みたいなもんなんじゃない?」
クラン「おおむねそんな感じだ。庇護欲は湧かない」
フロウ「えー」
そんなこんなでさらに東に向かって進んだが、さすがにずっと歩き通しでは限界が来てしまう。なので、道中のとある村で3日間ほど泊まることになった。
フェア「やーっと羽を伸ばせるわー!しっかし、不思議な国ねー。床で寝るだなんて」
クラン「しかも靴を履いて家にあがれないとは。しかしまあ、これはこれでいいな」
フロウ「床の上・・・・・・あそこを床扱いしていいのなら私はずっと床で寝てましたが」
フレイン「家かどうかすら怪しかったじゃないの、あそこは。それに、靴は脱がなかったでしょ」
フロウ「はい!床でごろごろできるのって最高ですね!あとこのタタミ?っていうのも気に入りました!」
ルー「(*'ω')」
クラン「ま、こっからしばらくは雨になるしゆっくりしよう」
フェア「天気ってわかるものなの?」
クラン「サーナさんから教えてもらったんだ。空模様とかから直近の天気を予測する方法」
こういう状況も想定しての勉強だったのだろう。やはりサーナさんには頭が上がらないな。
フレイン「んじゃ、もう少し休憩してから私はあたりの探索に行ってくるわ」
クラン「俺も付き合うよ。フェアたちはどうする?」
フェア「私は今日はもう出たくなーい」
フロウ「私もですー」ゴロゴロ
ルー「(/・ω・)/」
クラン「よし、ルーは来るんだな。荷物は頼んだよ」
フェア「あいあいさー」
フレイン「ここは、いい山だわ」
クラン「山にいいとか悪いとかあるのか?」
フレイン「ええ。植物たちがとても元気。これは、人の手が入って管理されている山ね」
クラン「人の手がある方がいいのか?」
フレイン「ええ。私がいた森もそうだけど、放っておいたら植物同士が栄養を奪い合ったりしていい植物は育たないの。だから適度な間引きが必要で、人だけでなく森の動物や虫たちが木々を減らしてくれるんだけど・・・・・・」
ルー「(; ・`д・´)」
フレイン「こうして歩いていると、人の手が入っているのがすぐにわかる。だって、人が通りやすいようになっているんですもの」
クラン「なるほどな」
植物の事に関しては、フレインには大変お世話になっている。とくに食べられる植物なんかは彼女に教えてもらうことも多い。また、森で道にまよったりしないのも彼女が植物の声を聴けるからだ。
クラン(改めて、俺には計画性が無いんだな)
ルルト、テトラ、ファイス、フレア、カレア。今ここにいない彼女たちにも、助けられて俺はここまでたどり着いた。俺一人では決して超えられなかった旅路だろう。
クラン(ルーの件が解決したら、一度落ち着ける場所を探してもいいかもな)
サーナさんのところに戻ってもいいし、俺自身で住まいを用意してもいい。やりたいことが全部終わったら、とりあえず落ち着こう。
ルー「(*^▽^*)」
ルーは・・・・・・どうするんだろうか。彼女には、帰る場所がない。フロウもそうだが、この旅が終わったら彼女たちをどうするかも考えなくてはならない。
クラン(一緒にいられたらそれが一番なんだろうけどな)
まあ、今はそんなことを考えていても仕方ないか。
クラン「・・・・・・天気が悪くなってきたな」
フレイン「近くに洞窟があるみたい。そこに一旦行ってみない?」
クラン「そうだな」
一応、俺自身は魔法で雨を避けられるが、その姿を見られるのはあまりよろしくない。もし普通の人間に見られたら説明が大変面倒だ。
クラン「よし、なんとか本降りになる前に来られたな」
フレイン「あとは雨が止んだら戻ればいいかしら」
「雨が止むまで待つのですか?」
クラン「ああ。もしくは多少収まればそれでいい」
「それはむずかしいですね。この雨は、ここから数日間勢いを落としませんから」
クラン「・・・・・・誰だ?」
「私はこの山の主です。ミヤビと申します」
クラン「俺はクランだ。こっちはルー」
フレイン「私はフレインよ。あなたも雨宿り?」
ミヤビ「いえ、私は普段からここで過ごしています。あなた方は、異国の方ですね」
クラン「ああ、そうだ。知り合いがこの国にいるはずで、ここに来たんだ」
ミヤビ「なるほど、それで遠路はるばると・・・・・・」
フレイン「クラン、自己紹介はいいんだけど、この後どうするの?さすがに夜には戻らないと」
クラン「そうだな、夜まで待とう。夜になったら人に見られることもないだろうし」
ミヤビ「夜の山を歩くのはお勧めしませんが・・・・・・いえ、あなたがたは大丈夫そうですね」
クラン「わかるのか?」
ミヤビ「はい。だって、あなたたち、人間の臭いがしませんもの」
クラン「・・・・・・一応、俺は人間のつもりなんだがな」
フレイン「残念、クランは魔人よ」
ルー「(/・ω・)/」
クラン「そうかぁ・・・・・・人間にカテゴライズされないかぁ」
ミヤビ「そういえば、クランさん。あなたが訪ねる方は何というお方なのですか?」
クラン「アリスっていうんだ。アリス=フレデリア。知ってる?」
ミヤビ「いえ。異国の方がこの国に来るのはほとんどないと言っても差し支えありません。ましてやこの土地に来るだなんて、普通は都に行きます」
フレイン「都ね。それってどこにあるの?」
ミヤビ「この地より北方にあります。私も行ったことはないので正確な道はわからないのですが」
クラン「情報を集めるなら都に行った方がいいのかな」
フレイン「ミヤビの話通りじゃ私たちみたいなのはほとんど来ないらしいし、見かけられてたら噂にはなってそう」
クラン「じゃあ東に行って、なにもわからなかったらそっちに行くか」
ミヤビ「では、皆様の道中の無事をお祈りしております」
ルー「(*^▽^*)」
クラン「まだ早いよ」
その後、ミヤビと別れて宿に戻り、ゆっくりと一晩眠った。その翌朝のことだった。
クラン「・・・・・・あれ、ルーは?」
フェア「ん?クランと一緒じゃなかったの?」
クラン「朝食を食べ終わった後、トイレに行ったっきり見てないな」
フロウ「おなか壊しちゃったんでしょうか?」
フレイン「ちょっと様子を見てくるわ」
クラン「ごめん、よろしく」
昨晩は寝る時にフロウと同じ布団で寝ていたから、それが原因で体調を崩したのかもしれない。ジャックフロストのフロウはなにもしなくても体温が低いから、同じ布団にしたのは間違いだったか。
フロウ「昨日、山で変なもの食べたりしませんでした?」
クラン「食べてないよ。ルーは拾い食いするような子でもないし」
フェア「寝る時はフェニックスの魂を懐に入れてたんでしょ?じゃあフロウで冷えたってこともなさそうね」
クラン「え、そうなのか?・・・・・・マジだ、荷物の中にない」
じゃあなんだ?純粋に体調を崩しただけなのか?
クラン「長旅の疲れが出た、とか?」
フロウ「かもしれませんねー。まあどっちにせよフレインさんが連れてきてくれるまで待ちましょう」
ドタドタドタ
フレイン「クラン!大変よ!」
クラン「ん、なにがあったんだ?」
フレイン「ルーが、どこにもいないのよ!!!」
クラン「・・・・・・・なんだって?」