さて、意気揚々と目標を掲げてみたはいいものの
クラン「まあそう簡単に見つかるわけないよな」
フレイン「地道に探していけばいいのよ。私たちには寿命なんてあってないものだから、時間だけはたっぷりあるわ」
クラン「焦っても仕方ないしなぁ」
ルー「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)」
フェア「あ、クラン!あそこ!あそこのお店に行きましょ!」
フェアが指さした先には、なにやら大きな酒場のような場所が。
フロウ「人もいっぱいいそうですね」
クラン「ま、そうだな。とりあえずは腹ごしらえと行きますか」
クラン「あ」
スワン「え?」
・・・・参ったな、なんでこんな場所で出会っちまうんだ。
ローチェ「あ、あなたがたは・・・・!」ガタッ
ノイス「落ち着け。今は飯の最中だろう」
ローチェ「ですが、ノイスさん!」
フレイン「こんな人だらけのところでおっぱじめるつもり?」
フェア「えっ、えっ、誰?」
スワン「・・・・・クラン。誰?その女」
クラン「彼女はフェア。わけあって旅に同行して―」
フェア「はいはーい!私はフェア・タイタニア!クランのお嫁さん(予定)ですっ!よろしくね、お義姉様!」
スワン「・・・・・・・はぁ?」
姉さんの殺気がやばい。てか、なんで姉弟だってわかったんだ!?
ノイス「スワンも落ち着け」
スワン「でも、クランに嫁なんてまだ早いし!」
クラン「なんで姉さんにそんなこと言われないといけないんだよ」
スワン「魔物と結婚だなんて、許さないから!」
フェア「ふふ、お義姉さま、少しあちらでお話しませんこと?」
スワン「・・・・・いいわ。私を納得させてみなさい。納得する気なぞさらさらないがな!」
フロウ「面白そうなんでついていきまーす!」
フレイン「あ、おーい!・・・・・行っちゃったわ」
ローチェ「ああ、スワンさんが行ってしまった・・・・」
フレイン「ルーちゃん、クラン、私たちはあっちで食べましょ」
ローチェ「せめて私だけでも、あなたたちを監視します!」
フレイン「えぇ・・・・・まあいいけど。向こうに行くわ。ルーちゃん、クランのとこにいなさい」
ルー「(; ・`д・´)」
ローチェ「あっ!どうして分かれようとするのですか!まとまりなさい!監視しにくいでしょうが!」
フレイン「はぁ、あのさ、あんたらはルーにとってどういう存在なのかってのをちゃんと思い出してからそういうことは言いなさい」
ローチェ「?」
フレイン「・・・・だめね。私は向こうに行くから、来たければ来ればいいわ」
ローチェ「あっ!待ちなさいってば!」
ノイス「・・・・・・」
クラン「・・・・・・」
ルー「・・・・・・」
ノイス「あー、そういえばサンダーバードの姉ちゃんはどうしたんだ?」
クラン「紆余曲折あって離脱中だよ」
ノイス「その紆余曲折の部分を知りたいんだが・・・・」
クラン「まあ、なんていうか、俺が恋愛関係に疎いせいで怒って出て行ったっていうところさ」
ノイス「なるほどな。人ってのは恋愛が絡むと途端に面倒になるからな。そこんところは魔物も変わらんみたいだな」
クラン「と、いうと?」
ノイス「スオウ・・・・おまえさんにやられたアイツは、ローチェの恋人だったんだ。それで、あいつはあれだけ執念深くお前らを追っているんだ」
ノイス「そもそも、お前さんら自体は何かやったわけじゃないから、教会から指名手配されるようなことなんてない」
ノイス「だが、ローチェはそれを許さなかった。あいつはどこだか忘れたが、教会の中でも上の方の人間の娘なんだ。それで、その権力を使ってお前さんたちを追うことにした」
ノイス「スワンの方も、お前さんを探すのに躍起になっていたしな」
もちろん、彼女の怒りはわかっている。俺が彼女の恋人を殺したから、追い回されているというのもわかる。
クラン「だが、原因はどうであれそちら側もルー・・・・この子の兄を直接殺してるんだ。魔物だから、なんて言い訳が通用しないのはあんたならわかるだろう?」
ノイス「ああ、わかっているさ。だから結局、俺たちはいがみ合うしかないのさ」
ルー「・・・・・・」
ルーの手を握る。軽く震えているのがわかる。今の彼女にあるのは、怯え。彼女の兄だけではなく、一族郎党全て殺されてしまったのだから。自分までも殺されるのではないかという怯えが、彼女から感じられる。
クラン「でもま、そんな問題もどっかで解決できる方法を探るしかねぇよな。一生追って追われてっていうのは勘弁だ」
ノイス「・・・・・・・・ハッハッハ!違いない!」
ルー「!」
ノイス「ま、とりあえずはすまんかったな。スオウを止めれなかった責任は俺たちにある」
クラン「こちらこそ、悪かった。前に姉さんにも言ったが、やり過ぎたと思っているんだ」
こんな言葉で、お互いが納得できるとは思えない。だが今この瞬間だけは、表面上だけでも、この話を終わらせたかった。怯えるこの子を笑顔にするために。
ノイス「そういやお前さん、運命って信じるか?」
クラン「いや、信じない。そんなものがあるならくそくらえだ」
ノイス「ま、お前さんの人生を聞く限りはそうだろうな。だが、この世には絶対的な「運命」ってやつが存在するんだ」
クラン「というと?」
ノイス「タロットカードって知っているか?」
クラン「ああ、あのアルカナの・・・・」
ノイス「そう、それだ。そいつで、お前さんの姉であるスワンは、ありえないことを引き起こした」
クラン「ありえないことって、同じカードを何回も引き続けるとか?」
ノイス「その通りだ」
クラン「そんなまさか・・・・二回続けて引くだけでも22の2乗分の1、ありえないわけではないが難しい確率だ」
ノイス「そのまさかだ。あいつは『正義』のカードを10回連続で引いた」
クラン「!?」
22の10乗・・・・・計算したくもないような値だ。そんな確率を引き当てただって?
ノイス「そして、あえて『正義』のカードを抜いた上で引かせたら・・・・『正義』を引いたんだよ。抜いたカードは別のものになっていた。いや、もともと別のものになる運命だったんだ」
クラン「・・・・・ホラ話じゃないよな?」
ノイス「実際にやってみせたいところだが、あいつはあいにく向こうだ。それで、だ。お前さんも引いてみないか?」
クラン「・・・・・・いいぜ。面白い結果は出ないと思うがな」
そういうと、ノイスは目の前でカードをシャッフルしはじめた。そして、まずは1回目
クラン「『愚者』だ」
ノイス「さて、次だな。もう一度『愚者』を引いたら面白いんだが」
クラン「多分期待には沿えないぜ」
そういい、よく繰られたカードをもう一度引く。
クラン「・・・・・・『愚者』だ」
その後、5回、10回、何回引いても俺のカードは『愚者』だった。これが、こいつの言う『運命』ってやつなのか。
ノイス「ハッハッハ!どうやら、お前さんも『運命』をもつヤツだったみたいだな!」
クラン「つまりこれは、俺は絶対『愚者』だってことなのか?」
ノイス「そういうこった。立ち回りからなにまで、愚者の行動になってしまう。お前さんはそういう星の下に生まれたんだ」
愚者になる、というのはそれだけを聞くと侮辱されているようだが、実際はそうではない。俺の人生の中で、大衆として見て正しかったことはほぼないのだろう。むしろ、一般人と相対するようなことばかりやってきた。
クラン「なるほど、愚者か。いいじゃないか」
だが、その理論で行くとウチの姉は絶対『正義』になってしまう。いや、それが正しいのか。世間の目で見て見れば、アイツは正義であることに間違いないのだろうから。
ルー「(*'▽')」
ノイス「ん?嬢ちゃんも引いてみるか?」
そう言われて、繰られたカードからルーも1枚引く。
ノイス「なるほど、『世界』か。さ、もう1回だ」
ルー「( ・ω・)」
そしてもう一度・・・・・彼女は『世界』を引いた。
ノイス「ほう!こいつは面白い!」
そして、俺と同じく何度やっても彼女は『世界』以外を引くことはなかった。つまり、この子は、ルーは
ノイス「『世界』の運命を持つってことだな」
クラン「ルーが、世界か・・・・確かに世界一かわいいとは思うが」
ルー「♪」
ノイス「お前さんは何を言っているんだ」
クラン「この調子だとフロウとかフレインとかフェアとかも引きそうだな」
ノイス「ま、それはまた今度に取っておくことにしよう。それで、だ。『運命』の話の続きだ」
クラン「まだ何かあるのか?」
ノイス「折角だし聞いてくれ。といっても、これは俺自身も占い師から聞いた話で眉唾物ではあるんだが・・・・」
ノイス「このタロットカードは22枚。それに対応した『運命』の持ち主が、この世界にはいるらしい」
ノイス「そしてそいつらは、『王』の元に集まるそうだ。『運命』の持ち主の中の誰かである『王』の元に」
クラン「へぇ、それじゃ・・・・・」
ノイス「それで、だ。こっからは俺の推測になるんだが、その『王』っていうのはお前さんじゃないかと俺は睨んでいる」
クラン「・・・・俺が?『王』?」
ノイス「ああ。お前さんには、なにかと人を惹きつける魅力がある。実際に今旅をしている奴らはお前さんについてきてるやつらだろう?」
クラン「それはまあ、そうだけど」
ノイス「そして、スワンもお前さんを追っている。つまり、お前さんの元に行こうとしているわけだ。あ、俺やローチェは残念ながら『運命』の持ち主じゃないぜ」
クラン「・・・・・実感がないな」
いきなり『王』と言われてもな。そういうことだと、この先俺の元には『運命』の持ち主が集まるというのだろうか。もしその中にアリスがいるのだったら、彼女ともまた会えるということだろうが・・・・
クラン「アリスは、なにかしらの運命を持っていそうな気がするんだけどな」
ノイス「・・・・・ああ、お前さんらの妹分か。・・・・・悪いな、月並みだが気の毒だったなとしか言えん」
クラン「ま、それはそれで過ぎたことだからもういいんだ。実際問題としてアリスは生きて逃げ延びた。だから俺はアリスに会いに向かっている。ただそれだけだ」
ノイス「ほう、お前さんはそういう目的で旅をしてたのか。てっきりあてもなく放浪してるだけかと・・・・」
クラン「俺は何かしらの目的がないと動けないタイプなんだ。今はアリスを探すこと、そして腕のいい医者を探すことの二つを目的にしている」
ルー「(´・ω・)」
ノイス「あー、悪いが俺たちはどっちについての情報ももってないんだ。悪いな」
教会側の伝手でなにかないか、と正直少し期待していたのだが無理だったか。
ノイス「さて、そろそろいい時間だ。俺は引き上げたいんだが・・・・・向こうはどうなってるんだ?」
スワン「絶対に認めない!料理も掃除も何一つできない女などクランにふさわしくない!」
フェア「だから、それはこれからできるようになりますから!今は修行中なんです!」
スワン「いらん!私が全部やる!」
フェア「クランが全部できるからお義姉さんの手出しは無用です!」
スワン「いいや、私がやる!あいつは私が見ていないと駄目なんだ!昔っから臆病で、弱気で・・・・」
フェア「クランが臆病で弱気って・・・・・」
フロウ「昔のお兄ちゃんのこと気になりますねー」
スワン「ああ、昔はかわいかったんだ。どこへ行くにしても私の後ろをついてきてだな、それが今ではああも反抗的に・・・・」
フェア「それって自業自得でしょ?」
スワン「私にその気はなかったんだ!私にはクランがいればそれでいいんだ!」
フロウ「お酒入ってぶっちゃけてますけど、これって結構危ない発言ですよね」
フェア「なんだろう、弟離れできない姉ってこんな感じなのかな・・・・」
スワン「うう、クラン・・・・・」
フレイン「・・・・・さて、うるさいから酔い潰したけど」
ローチェ「zzz」
フレイン「この女、本当に魔物を虫けら同然に見ているのね。心根からそう考えているから意思疎通ができない・・・・吐き気がしそうだわ」
フレイン「いっそもうこの場で・・・・・・いや、それは私がこいつと同じところまで堕ちることになる」
フレイン「はぁ、ルルトがいなくてよかった。絶対ヒートアップして口論になってたし」
ノイス「2人とも潰れてやがるな。はあ、しかたねぇ。会計もまとめるか」
クラン「え、いいのか?」
ノイス「こうなると別になんてしたら余計に面倒だろうが。ま、迷惑代とでも思ってくれ」
クラン「そういうなら、ありがたく従っておくさ。ルー、みんなをつれて宿に戻るよ」
ルー「(>_<)ゝ」
本のひと時であったが、互いに平和な時間を共有することができた。このひと時をなんども繰り返せば、いずれはわだかまりも解けるだろう。そうしないことには、アリスを心配させそうだしな。
クラン「・・・・・・・結局、ルルトはどこまでいったんだろうな?」
フレイン「さあね」
フェア「そっちからはわからないの?」
クラン「さっぱりだ。むこうはわかるらしいけど・・・・」
フェア「確かに、私もクランの位置は離れててもだいたいわかるわ。魔力を感じるもの」
フロウ「どこかで冷静になって帰ってきてくれたらいいんですけど・・・・・」
ルー「(´・ω・)」
クラン「ま、結局のところなるようになるさ。こっちからコンタクトが取れない以上、向こうから来てくれるのを待つしかない」
なんだかんだ言って、ルルトがいないとは俺としても寂しいのだ。何年も一緒に育ったわけだから、アリスやテトラと同じく、彼女も幼馴染といえるだろう。そしてまた、俺にとっては妹のような存在だ。だから、早く帰ってきて欲しいのだ。
フレイン「その考え方がダメだってのにねー」
フェア「いいじゃないいいじゃない、そういうとこも好きよ」
フロウ「お兄ちゃん・・・・」
ルー「?」
くそ、手厳しいな・・・・。何がダメなのかさっぱりわからない・・・・。追々それも考えないといけないな。