セルキーの少女、ルーを保護してから数日たった。件の場所から東へ向かって進み、俺たちは今・・・・・
フレア「やいやいやい!ここで会ったが百年目、燃える炎のフェニックス、フレア様の参上だ!」
カレア「どうも、この間ぶりです」
厄介な奴らに絡まれていた。
クラン「あのさあ、今こっちは結構真面目な話してるんだから、そのあたりもう少し考慮してくれないか?」
フレア「え?あ、えっと、ごめん」
ルルト「ごめんね、ルーちゃん。あの人たちちょっと頭の悪い人なんだ」
カレア「フレアちゃんはともかく私まで一くくりにされることは心外です!」
フレア「あたしはともかくってなんだよ!」
ルー「(*‘∀‘)」
フレイン「あら、案外喜んでるのかしら?」
フレア「はっはっは!そこのお前は見どころがあるな!そうだろうそうだろう、なんせあたしはカッコいいからな!」
ルー「(;'∀')」
フレア「なんで目をそらすんだ!」
クラン「で、なんだ?またルルトを連れて行きたいっていうのか?」
フレア「もちろんだ!我ら不死鳥旅団は圧倒的に人数が足りない!有望なやつがいたら即スカウトだ!」
クラン「じゃあ、何を賭けるんだ?俺はルルトの魂を賭けるぜ!」
ルルト「えっ!?」
フレア「じゃあこっちはカレアの魂を賭ける!」
カレア「ちょっと!?」
ルー「(。´・ω・)?」
フレイン「バカがバカなこと言ってそれに乗ってるだけよ。大丈夫、私たちには関係ないわ」
ルルト「僕には大いに関係あるんだけど!」
ノリで魂を賭けるとか言ってみたものの、結局なにを賭けるのか具体的なものは決まっていない。はずなのだが、
フレア「あたしの華麗な勝利を見せてやるからな!カレア、任せとけ!」
カレア「不安だよ・・・・・クランさん、この勝負なしにできませんか?」
向こうはなんかもういろいろと決まっているみたいだ。
クラン「で、だ。肝心の勝負の内容はどうするんだ?」
フレア「そうだな・・・・純粋に腕っ節で!」
フレイン「却下。このあたり木が多いのにあなたが戦ったら大火事が起こるわよ」
それもそうだ。フェニックスというからには炎の魔法が得意なのだろう。大惨事が起こるのは火を見るよりも明らかだ。火事だけに。
クラン「そういえば、演説の修行をしてたんじゃないのか?あれはどうなったんだ?」
フレア「あれは、ダメだ。あたしはどうやってもお前みたいな演説は出来ない」
カレア「一応これでも、名のある演説家の方々を訪ねてコツとか聞いてきたんですけども、いかんせん中身がお子様なので・・・・」
ああ、ちゃんと修行してたんだな。思ったより行動力のあるやつだ。なら、ここはひとつ発破をかけてみるか。
クラン「おいおい、なんで諦めるんだ?俺の知ってるフレアってのはもっと熱いやつのはずだぜ。たかが2週間程度の修行で諦めるような弱い奴だったのか?」
単純な彼女の事だ、こういえば簡単に乗ってくるだろう。
フレア「なっ・・・・そ、そうだ!あたしはちょっとできなかったぐらいで諦めるやつじゃない!いいぞ、今ここで演説勝負だ!」
カレア「クランさんに一票」
ルルト「クランに一票」
フレイン「同じく」
フレア「なっ、戦う前から!?」
乗せられてる時点で口で負けてるってことを自覚した方がいいと思うんだがな。
ルー「( ・ω・)/」
クラン「うん?ルーはフレアに一票か?」
ルー「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」
フレア「おおー!見たか、クラン!これがあたしの演説力だ!」
カレア「ルーちゃんは優しいですねー」
ルルト「この子にはいい子に育ってもらいたいよ」
フレイン(そういえば、この子喋れないけど魔法って使えるのかしら?)
結局勝負はうやむやになって、フレアたちは去っていった。多分何をしに来たのか途中で忘れてたのだと思う。
クラン「さて、そろそろ街が見えてくるはずなんだけど・・・・」
ルルト「クランー、なんでルーちゃんおぶってるのー?」
クラン「疲れてたみたいだったから」
ルー「(-_-)zzz」
フレイン「おかしいわね。クランがいつもよりルーにだけ優しい気がするわ。これは立派な差別よ」
クラン「歳を考える歳を。お前ら普通に歩けるだろうが」
ルルト「・・・にしても、ルーちゃん結構薄着だけど大丈夫なのかな?やっぱセルキーだからその辺に耐性があるのかな?」
クラン「いや、この服アザラシの皮で出来ているみたいで結構暖かいみたいだ」
たった一日の間に家も家族もすべてを失い、彼女に唯一残っているのがこの服だ。いわば形見のようなものだから、大事に扱ってあげないと。
街まではまだしばらくかかるようで、辺りも暗くなってきたからこの日は森の開けた場所で野宿することにした。いつもどおり夕食の支度をしていると、ふいに狼の遠吠えのようなものが聞こえて来た。
クラン「参ったな・・・もしかして野性の狼でもいるのか?」
フレイン「交代で見張りをする?誰が見張っててもまあ狼如きにやられはしないでしょうし」
ルルト「オッケー。んじゃ、スタミナつけるためにもごはんごはん!」
クラン「はいはい。簡単なスープだけどね。はい、ルー。熱いから気をつけるんだよ」
ルー「(。・Д・)ゞ」
ルルト「んー、狼がいるなら一匹ぐらいは捕まえて干し肉にしときたいな。食料があるにこしたことはないし」
フレイン「私は別にいらないけど。多すぎても荷物になるじゃない」
クラン「基本は追い払う方針で。やっちゃったときは食べよう。干し肉作るのも楽じゃないしな」
ルルト「りょうかーい」
ルー「(*^-^*)」
質素な食事だが、ルーは満足してくれているみたいでよかった。表情豊かな子だから、言葉を話せなくても言いたいことが伝わってくる。動きもいちいちかわいいから、なんというか守りたくなるな。
オオーン
クラン「・・・・大分近づいてきてるな。しかも、ただの狼じゃない。魔物だ」
ルルト「へっ?そうなの?」
クラン「ちょっと魔力探知をしてみたらひっかかったからな」
フレイン「そういえばあなたそんな便利なことできたわね。私もそれで見つかったし」
クラン「サーナさんがいろいろ教えてくれたからな。むしろルルトはどうしてできないんだって思ってる」
ルルト「いやー、僕そう言うの苦手だからさー。あ、でもでも電気を感じ取るのはできるよ」
ルー「(・・?)」
クラン「・・・・まずいな。囲まれた」
ルルト「どうする?空から一発ぶちかまそうか?」
フレイン「土壁で囲ってもいいけど」
クラン「近づいてきたやつを片っ端から遠ざければいいんだろ?向こうの動きを待とう」
とりあえず三人ともすぐに戦える準備だけしておく。そして闇の中にきらりと光る瞳が見えた瞬間、後方からすごい勢いでなにかが飛んでいき
ズドン
大きな音をたてて、近くにあった木に穴が開いた。
クラン「・・・・・えっ?」
ルルト「ぼ、僕じゃないよ!?僕の魔法であんなの出来ないし!」
フレイン「私も違うわね。あんな大きな木を貫通するような魔法は使えないわ」
クラン「俺もそこまで威力は出ないから・・・・」
ルー「(*'ω'*)」
ルルト「えっと、今の、ルーちゃん?」
ルー「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」
どうやら、ルーの魔法は何かを高速で飛ばすもののようだ。普通は木が貫通するほどの魔法を見れば、相手は退いてくれるのだろうけど・・・・
クラン「どうやら相手方は退いてくれる気がないようだ。仕方ない、出来るだけ殺さないようにしてやるぞ!」
ルルト「おー!」
フレイン「了解よ!」
そうして、狼の群れが一斉にとびかかってきて―
ラッキー「はい、ごめんなさい、反省しています・・・・」
ハッピー「調子に乗ってました・・・・」
クッキー「群れだからいけるかなと・・・・・」
なんとか双方ともに犠牲者ゼロで勝利することができた。
フレイン「まったく、これに懲りたら旅人を襲うのはやめときなさい。すぐに討伐対象に指定されるわよ」
クラン「ルー、ケガはなかった?」
ルー「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」
ルルト「まったく、こんなちっちゃい子もいるのに襲って来るとかひどすぎでしょ」
ラッキー「あ、その子はいらないです」
ハッピー「欲しいのはお兄さんだけです」
クッキー「魔力いっぱいあるからつがいにいいかなと」
フレイン「ルルト、こいつら締め上げときましょう」
ルルト「さんせーい。お客さーん、かなりビリっといくから覚悟してねー」
ラッキー「2人だけで独占とかずるいです!」
ハッピー「おこぼれ欲しいです!」
クッキー「痛いのは勘弁してくれたらいいかなと」
ルルト「まだそんな関係じゃないわーーー!!!!!」スパーククロス!
フレイン「あなたたちなんかには渡さないから!」ツルクビシバリ!
ラッキー「ぎゃあー!」
ハッピー「ぐにゃー!」
クッキー「わおーん!」
クラン「・・・・なにやってんだか」
ルー「?」
そんなこんなで、俺たちは新しい街―ではなく、小さな村に到着した。この際だから贅沢を言う気はない。早く休ませてもらいたいので、近くにいた子供に宿の場所を聞いてみる。
「えっ、宿?ここにそんなものないよ」
クラン「なっ、え、マジで?」
「うん、ないない。だってちっちゃい村だもん。誰も来ないし」
まあ旅人が好き好んで来るような場所でもないから当然と言えば当然か。しかしそうなると、今晩も野宿をすることになるのか。
「あ、でもお兄さんたち困ってるなら、私の家に泊まってく?」
ルルト「それはありがたいんだけど・・・・いいの?」
「いいよいいよ。えっと、私はね」
フロウ「フロウラルフロスト・フレイアムフロウっていうの」
やけに名前の長いその少女はそういうと、すぐ近くの湖に手をかざし、あっというまに凍らせてしまった。
ルルト「こ、こんな広い湖を一瞬で凍らせるなんて!」
フレイン「えっ、魔物だったの?」
フロウ「うん、そうだよ。私はジャックフロスト。さ、私の家はこの湖を渡った先だよ」
少女に連れられて、俺たちは凍った湖の上を歩いていく。ルーは歩きなれているのか、少女のペースに余裕で突いていけている。一方俺たちはというと、
ルルト「わわっ、す、滑る、滑る!」
フレイン「あいたっ!クラン、助けて。起き上がろうとしたらまた滑って・・・・」
クラン「うーん、周りの目もないし浮かせるか」
慣れない氷の道に苦戦しながらなんとかついていっていた。