概要

課題代表:山本 雅之

平成24年度開始の文部科学省創薬等支援技術基盤プラットフォーム「大型創薬研究基盤を活用した創薬オープンイノベーションの推進」事業に、東北大学は7拠点の一つとして採択されました。本事業では、20万化合物ライブラリーをオープンリソースとして学内外へ開放し、生化学スクリーニング設備などを大学に整備します。


これを受けて、東北大学の創薬・早期臨床体制の中核をなす「創薬・探索臨床研究コアセンター」内に、化合物ライブラリースクリーニングおよび構造最適化のコア拠点となるプラットフォームを充溢しました。本プラットフォームでは、化合物ライブラリー構築、ハイスループット(HTS)スクリーニング、インシリコ(in silico)薬剤探索、化合物の構造最適化に注力します。今後、病態解明とアカデミアからの合理的で迅速な新薬開発を目標として、分子イメージングなどの先端科学を駆使し、レギュラトリーサイエンスを基にした早期臨床試験に取り組みたいと考えています。さらに非臨床試験に亘る先端創薬で、医薬品候補化合物の創生にチャレンジします。


今後の創薬開発においては、疾患感受性や薬剤反応性の違いを考慮して、層別化・個別化の視点を取り入れることが必須であり、ゲノム・オミックス情報の活用が重要な取り組みとなります。また、ヒトの遺伝子多型が個々の薬剤の効果に与える影響を考える上で、タンパク質の立体構造情報とそれに基づく構造機能連関の理解は非常に重要です。最近、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)では、本邦一般住民1万4千人の遺伝子多型情報および約5万人分のメタボローム情報を公開しました。これらのデータベースを利用することで創薬標的タンパク質の絞り込みの加速が期待されます。さらに、ハイエンドクライオ電磁顕微鏡も配備され、タンパク質構造情報を利用した創薬も可能となっています。


このように、創薬シーズの発見からスクリーニング系構築とHTS実施に加えて、in silico薬剤探索、構造最適化、非臨床試験、医師主導治験(POC)、知財化、出口(実用化)紹介、レギュラトリーサイエンスの基での早期臨床試験、まで一貫して実施できる「創薬・探索臨床研究コアセンター(ネットワーク組織)」を活かした東北大学独自の創薬研究に取り組んで参ります。