『15年ぶりに剣道を再開して』
吾妻剣道スポーツ少年団 指導員 海老原一彰
私は、昨年より指導員として吾妻剣道スポーツ少年団に関わらせていただくこととなりました。娘が入団させていただいたのを機に私も剣道を再開したのですが、実に15年ぶりに竹刀を握り、コロナルールには少し戸惑いながらも、久しぶりに頭の中が剣道に染まっていることを実感でき、とても楽しくこの1年を過ごすことができました。私を指導員として受け入れてくださった吾妻剣道の先生方、後援会の皆様には心から感謝しております。
少し自己紹介をさせていただきますと、私自身も茨城県で少年剣道を経験し、高校生までは茨城県で剣道に打ち込んでいました。高校卒業後は剣道中心の生活からは少し離れましたが、断続的に剣道は続けており、剣道を通して得た経験は私の人生で大きな財産となっています。高校卒業後は、東京、千葉、高知など様々な地域で剣道を行う機会があり、それぞれの場所で多くの先生方や仲間と出会えたことは、剣道をやってきて本当に良かったと心から思えるものとなっています。特に、アメリカでも様々な国の人と剣道を行う機会があったのですが、そこでの経験は本当に印象的でした。彼らは私たち日本人よりはるかに剣道の作法が身についており、純粋に剣道が好きで、剣道が上達したいという気持ちに溢れていました。私も指導を求められたのですが、逆に彼らから学ぶことの方が多かったことを覚えています。今、子供たちの指導に関わっていると、この時の経験をよく思い出します。子供たちも本当に純粋に剣道を楽しんでおり、教えられたことを頑張ってやろうとしている姿には、いつも心が熱くなります。剣道が上手になりたい、強くなりたいという子供たちの思いに、これまでの私の経験が少しでも役に立てるのであれば嬉しい限りです。
少年剣道の指導の難しさも肌で感じてはいますが、私も子供たちから多くのことを学びながら、子供たちと一緒に強くなっていきたいと思っています。そして、大人になった子供たちとも将来楽しく剣道ができることを願っています。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
2023年度 文集剣道より
『出会い』
吾妻剣道スポーツ少年団 指導員 駒田美香
「私の使っているダンボール、役に立つかも‼」
これが今年三月末、吾妻剣道スポーツ少年団で指導をさせていただいた初日に思った事です。
三年ほど前、私は七段受審をするにあたり指導を仰いでいた八段の先生に「まずは足の構えを見直す事」とご指導をいただきました。当時の私の足幅は知らず知らずのうちに前後に広く、左足のつま先は外側に開いていました。さっそくその日から左足を今までよりも前へ身体の下に持ってくるイメージで、つま先は外側を向かないように意識しながら稽古を始めたのですが、次の週もまた次の週も「左足をもっと前へ」「つま先は外を向かない」とご指摘を受けたのです。自分ではやってるつもり、できているつもりでも、実際には稽古に夢中になっていると、もとの足の構えに戻っていたのです。どうしたら正しい構えを習得する事ができるのだろうかと悩んだ末、ダンボールに自分の理想とする構えの位置に足形を書いて、一歩前進、一歩後退を繰り返し、その都度正しい位置に戻れたか確認を何度も行うようにしました。稽古で気剣体一致の打突ができるようになってきたと実感した頃、七段に合格する事ができました。
この経験を踏まえ、吾妻の剣士たちにもぜひ今のうちに正しい足の構えを身につけてほしい、気剣体一致の打突ができるようになってほしいと思い、一人一人にダンボールを用意しました。 「はい、このダンボールの上に乗ってね。右足前、左足後ろでね、そうそうその位置、つま先はまっすぐね。」と言いながら一人一人の足形を書いていきました。「はい、次は一歩前へ出て、そうまっすぐね。」立派な剣士に成長しますようにと願いを込めながら、小さな足をマジックでなぞって正しい足構えの足形を示したダンボールを完成させました。今でも稽古前にはこのダンボールを使って足さばきの練習を取り入れるようにしています。
剣道は基本をしっかり身につけることが大切だとよく言われています。その基本を一人一人が正しく身につけられるように、気剣体一致の打ちが「できた!」と実感してもらえるように、そして末永く剣道を続けてもらえるように、「師弟同行」を常に心がけていきたいと思います。
吾妻剣道スポーツ少年団の先生方、後援会のみなさん そして吾妻の剣士たちに剣道を通して出会えたことに感謝しながら、今日も剣道着に着替え、足形ダンボールを持って吾妻小学校体育館に向かいます。
2022年度 文集剣道より
『37年間、子供の成長を見つめて』
吾妻剣道スポーツ少年団 指導員 高橋正春
私が子供たちの指導員となったのは、1984年4月。吾妻剣道教室が新設され、金田先生、村越先生が吾妻の指導員として頑張っておられた。指導員不足の補充として職場の研究室が同じ村越先生に声をかけられたことがきっかけである。
足掛け37年、長く続いたものだと思っている。自分の容姿はそれほど変化していないが(実際は髪が少なく白くなり、体形は樽型に成長している)、子供たちの成長に伴う容姿の変化はとても大きいと感じている。年長さんから剣道を始めた子が6年生になると可愛さが少し薄れる(ちょっと生意気になる)。
ある日、街で会ったおじさんから声を掛けられ、誰か判らなかったが、「吾妻剣道の〇〇です」などと言われると昔の面影がよみがえり懐かしく感じる。最初の6年生が37年で49歳になる計算だから、こんなことはよその剣道教室でもよくある話なのかもしれない。
毎年、新人の子供たちが入団してくるので、団内の新陳代謝は比較的上手く回っているのだろう。今年の新人さんは、それぞれ個性豊かな子供たちがそろった。まだまだ遊びたい盛りで稽古中にも遊びを取り入れて飽きさせないように工夫している。7級合格したら稽古着袴を着るのだと、11月の昇給審査前には、自己紹介の猛特訓もした。昇給審査の講評では、7級受信者の自己紹介が一番良かったとの事。審査員に聞こえるように大きな声ではっきりと言っていたのは特訓の成果かと思う。
最近の稽古では稽古着袴を自分で着装し、稽古中の遊びはどこかへ行き、稽古に集中している。「稽古着袴」の力はすごいと感じた。これが「防具着用」となったらどのように変化するのか、子供たちの成長がとても楽しみである。齢とともに腰が痛い、足が痛いとポンコツになっていくが、もう少し子供たちの成長を見守りたい。
2021年度 文集剣道より
【吾妻剣道教室ニュース】
1. 元気よくはつらつとしていること。とにかくこれが一番大切です。子供は、子供らしく。
くよくよしないこと。 明日があるさ。
2. 礼儀を重んじ、相手を尊敬するようになること。思いやりのあるやさしい人間になってほしい。
3. 自分のことは自分でできるようにすること。何でも人を当てにするようなことはしない。
できることは、自分の力で自主的に行うこと。
4. 責任感のある行動をとること。 言い訳をしないこと。自分の行動に責任を持ち、
今何をすべきか思いついたら実行。
5. 心と技と体を鍛えること。 剣道は生涯を通して親しめるスポーツ。
正しい剣道を今から身につけましょう。 心は素直に、技は大きく、体は丈夫に。
【三つの「き」=気・機・喜】
吾妻剣道スポーツ少年団 指導員 金田 重保
20年記念の会の文集ということでまとまったものではなく、この頃、思うことを述べさせていただきます。本来なら、思い出やこれからのことをまとめて書いたほうが良いのかもしれませんが、日頃の筆無精をご容赦ください。
剣道を習ってから早30年の年月が過ぎ去ってしまいました。まじめに精進しておれば、などと周りの昇段に我が身を埋没させることも無いわけではありません。
私の場合、剣道を修行するうえで、意識することは、「好きこそものの上手なれ」ということでしょうか?端的に言えば、“趣味”としてやっているにすぎません。それでも、やるからには、上手になりたい・強くなりたいと思うのは、当たり前です。
そこで、剣道が上手になるために、この頃意識しているのが題名のことです。
「気」とは、気合いです。元気の気とか勇気の気とか気剣体の気とかがあります。気が優しいなんてのもあると思います。
「機」とは、機会=チャンスです。打つべき好機とか、タイミングなどともいいます。対人技だけでは、ありません。昇段のチャンスも、話し出すタイミングも何かを始めるきっかけもそうです。
「喜」とは、喜怒哀楽の喜です。充分に打てたときや試合に勝ったときや合格したり、人に褒められたりしたときは、うれしいものです。
剣道の目的は、最終的には人間形成です。「剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道 である。」と全日本剣道連盟では提唱しています。剣の理法の修練によってそれが変わるのなら目標の持ち方によって、人間形成にも影響があると思います。そ こで、吾妻剣道として、私が団員達に日頃話していることを記します。
【稽古の心構え】
1. 元気よくはつらつとしていること。とにかくこれが一番大切です。子供は、子供らしく。くよくよしないこと。明日があるさ。
2. 礼儀を重んじ、相手を尊敬するようになること。思いやりのあるやさしい人間になってほしい。
3. 自分のことは自分でできるようにすること。何でもひとを当てにするようなことはしない。できることは、自分の力で自主的に行うこと。
4. 責任感のある行動をとること。言い訳をしないこと。自分の行動に責任を持って、今何をすべきか思いついたら実行。
5. 心と技と体を鍛えること。剣道は生涯を通して親しめるスポーツ。正しい剣道を今から身につけましょう。心は素直に、技は大きく、体は丈夫に。
1987年5月発行「吾妻剣道教室ニュース」より抜粋
【剣道の基本・心得】
面打ちについて
① 相手以上のスピードで思い切って身体を動かして打つ
② 左足のつま先に力を入れぶれないように打つ
③ 大きな声で、手足を前に出す
④ 何としても一本取りたいという気持ちで打つ
⑤ 思いを込めて、力強く打つ
⑥ 相手が打ってきた時、恐がって逃げながら打っても一本取れません。きちんと構えて打つ
⑦ 面打ちは基本です。その前に構えがしっかりしていないと、うまく打ち込めません。打ったあとの防御にもなるので、打った後の構えもしっかりするように
態度について
① 自信を持って試合をする
② 剣道では、とても呼吸が大切です。(息を吸う、吐く)
③ 元気良く練習する
④ 基本がしっかりしていないと後に続かないので、同じ練習でも嫌がらずにする
⑤ 姿勢を正しくして、大きな声を出す
⑥ 見学の人は、遊んでいないで、よく稽古を見ること
⑦ 技より前に、声が出ず、気合いで負けている。まず、気合いを入れること
⑧ 稽古を一所懸命やった人は、終わった後の顔が違う
⑨ 声を大きくすると、身体も動けるようになる
⑩ 道具を速くつけるように
⑪ 今まで習った色々な技を、掛かり稽古の時に自分から進んで、どんどん出すように
打ち方について
① 竹刀を上手に使い、相手との間合いをよく見て、集中して打つ
② 無駄な動きをしない
③ 息を一瞬止めて、吐く瞬間に振り下ろすと、良い振りが出来る
④ 最後の一本といった時に、押されて後ろに下がってしまうのが多い。頭を使って、横に動くとか、考えて練習する
⑤ 目標を決めて打つということは、ただノルマを達成すればよいのではなく、一本一本自分に課題を持って、ていねいに打つことが大切
⑥ まず相手との竹刀に攻め勝ち、それから面や小手をねらうこと。攻められたと思ってすぐに、あわてて打ちに行かないこと。
⑦ いつでも打てる状態を自分でつくってから打ち込むこと。打ち込みは、強く、大きな声で、速く
⑧ ただ打つのではなく、打つぞという気構えをしっかり持つこと
⑨ 相手に打って当たったときはにはアピールする。相手にしっかり竹刀を向ける
【後援会当番日誌】当番日誌に記載された先生からの指導まとめ
最後に、吾妻剣道の指導員を20年間続けてこられたのは、熱心に通ってくる少年剣士がいるからであり、それを応援する後援会や学校やスポーツ少年団という組織のお陰です。また、同行の指導者、家族、職場の同僚(いつも早く帰ってばかりですみません。)の理解と協力を得られてのことですから、この場にて感謝を申し上げます。
これから先も気が変わらなければ、こういう機会を得て喜んでこの道を歩み続けることができるよう、特に健康に気を付けたいと思っています。