10年近く在籍した京都大学を、そして7年近くお世話になった固体量子物性研究室を去り、2021年の1月からアメリカのメリーランド大学でポスドクをすることになった。新型コロナウイルスのパンデミックの中、延期に延期を重ねてようやくビザが下りて渡米がかなった。まずは入国後2週間の自己隔離生活が始まる。やることがなくて暇なのでちょっとした日記を書くことにした。
12月21日
渡米の日。不安しかない。メリーランド大学のポスドクに応募したときは研究のことしか考えておらず、「アメリカお金いっぱいありそう」「研究設備整ってるんやろなー」「海外で研究とかカッコよくない?」みたいに思っていた。しかし渡米が決まってアパートを探したり大学周りの住環境を調べたりしていると、今まで出町柳と百万遍に甘やかされてきた人間が住める環境とは思えなかった。これからの日記の前提条件として、京都とメリーランドの環境を比較してみる。
最寄り駅からアパートまで
徒歩5分(京都)
徒歩36分(メリーランド)
メリーランドでは駅までのバスが30分くらいに1本ある。駅までバス使うの?
大学までアパートから
自転車で10分、徒歩15~20分(京都)
バスを乗り継いで40分~50分、自家用車なら10分で行けるらしい(メリーランド)
車は運転したくないので毎日バスで行くことになる。今までは自分の好きな時間に自転車で行けたが、これからはバスの時間に合わせて生活することになる。「このバスを逃すと次は30分後か」という時間的制約がストレスになりそう。
スーパーまでアパートから
徒歩3分、信号のタイミングが合えば2分(京都)
徒歩25分(メリーランド)
京都では道を渡ってすぐスーパーがあった。別のスーパーが徒歩10分くらいのところにあった。メリーランドでも徒歩25分だからいけなくはないか……
コンビニまでアパートから
徒歩3分(京都)
徒歩45分(メリーランド)
45分も歩くのがコンビニエント(便利)なのか?京都では徒歩10分圏内に4件ほどコンビニがあったのに。
デパートまでアパートから
自転車で20分くらい(京都)
バスで30分、自家用車なら6分で行けるらしい(メリーランド)
やはりアメリカは車社会。こっちの人間は一家に一台どころか一人一台持っているし、おそらく京都でいう自転車みたいな感覚なんだろう。京都で自転車に乗らない人間がいたら私も「なんで乗らんの?三条とか四条とか行きやすいで」と言うだろう。
ホームセンターまでアパートから
徒歩6分(京都)
バスを乗り継いだり30分歩いたりして全体で40分くらい、もしくは自家用車で7分(メリーランド)
メリーランドではAmazonを使うしかない。
比較が終わったところで、いよいよ日記スタート。
いつもは国際線は映画を見まくっているのだが、今回はあまり見たい映画がなかった。あと単純に疲れていて眠いので寝ることにした。なんとか「カールじいさんと空飛ぶ家」だけ見た。
メリーランド大学はワシントンDCの近くなので、ワシントンDCの空港に降り立った。(アメリカの首都「ワシントンDC」とは関係ない「ワシントン州」というのがあるので、アメリカの人はワシントンDCのことは「DC」と呼ぶらしい。)到着したのは朝の9時前だった。とりあえず日本円をドルに換えた。いつもはクレジットカードでキャッシングしているのだが、今回は日本円が結構財布に入っているので両替してもらうことにした。手数料として2割ほどぼったくられたので二度と両替所なんか使うもんかと決意した。
アパートまではLyft(日本でいう白タク)を使った。ワシントンDC近くは一応電車やバスが発達しているのだが、コロナウイルスのパンデミック中に異国からの入国者が公共交通機関を使うというのもどうかと思ったし、アメリカの感染者数を見るとこちらから願い下げでもあった。アメリカでは白タクが合法かつ一般的で、私はむしろ普通のタクシーを利用したことがない。Lyftならスマホで配車依頼時に行き先を指定して大体の料金がわかる。普通のタクシーなら口頭で行き先を伝え、ぼったくられないかとかそもそも怪しい場所に連れていかれないかとかひやひやしながら過ごさないといけない。どうやら外国では(信頼できる会社に自分で手配したのではなく)空港で待っているタクシーに乗るというのは危険な行為らしい。白タクサービスとして有名なのがLyftとUberだが、今までアメリカで会った人がなぜかLyftをおすすめしていたので私はLyftを使っている。
アパートについて部屋の鍵を受け取った。アパート共用のコインランドリーの使い方とか入居時の点検とか説明された気がするが英語だからわからなかった。同じアパートにこれからお世話になる研究室のポスドクが住んでいるのでその人に聞けばいいや。同じ研究室の人が住んでいるからこそこのアパートを選んだ。
さて、とりあえず部屋に何があるか確認しよう。下見なんてできなかったので、どんな家具があるのかすら知らない。……電球と冷蔵庫しかなかった。ベッドも電子レンジもない。むしろなぜ冷蔵庫はあるのだろうか?まだ午前中なので、日本ならすぐに家具と家電を買いに行くところだが、アメリカではどこで家具が手に入るのかわからない。アパートで鍵をくれた人にどこでベッドを買えるか聞くと、「IKEAあるよ。車じゃないと行けないけど。」との返事をいただいた。あきらめて今日は床で寝ることにしよう。異国への長旅で肉体的にも精神的にも疲れたので床で昼寝。
気づいたら日暮れギリギリだった。自己隔離はまだ始まっていないことにして徒歩25分のスーパーへ行った。とりあえずミネラルウォーターと、3日分くらいのサンドイッチとサラダと、バナナと牛乳とケロッグのコーンフロスティーを買って帰った。アメリカでは水道水は飲まないらしい。徒歩25分だがギリギリ通えなくはない距離に感じた。京都ではスーパーまで徒歩3分だったんだけどなー。
アメリカは当然ながら風呂とトイレが一緒になったユニットバスなのだが、シャワーカーテンが無い。トイレを水浸しにしながらシャワーを浴びた。暖房を華氏85度(摂氏30度)に設定し、ダウンジャケットをかぶって床で寝た。華氏ってなんなんだよ。アパートの床はカーペットなので一応柔らかい。欧米は室内でも靴で歩く文化だが、気にしたら寝られないので気にしないことにした。
12月22日
一日寝てしまえば慣れた気がする。「これをあと700回か1000回かくらい繰り返すだけでしょ?」という気になった。今日から朝ごはんはバナナとコーンフロスティーで、昼と夜はサラダとサンドイッチの生活が始まる。コーンフロスティーがうまい。なぜこれをもっと大量に買い込まなかったんだろうか。2週間も隔離期間があるのに1箱しか買わなかったのは間違っている。
そういえば昨日は疲れていて、入国したことを大学に連絡していなかった。大学に連絡すると、「この書類をかけ」みたいなメールがいっぱい来た。しかも明日から1月3日までクリスマス休暇らしい。書類を出したところで大学での処理に数日かかるので正月明けもまだ大学に行けないようだ。しかも、2週間自己隔離すればいいと思っていたが、コロナウイルスの検査で陰性結果が出るまで登校できないと言われた。その検査が大学で受けられるのが一番早くて1月5日、検査結果が出るまでまた数日かかる。いったいいつ大学に行けるのだろうか?
今日は大学の書類で一日が終わってしまった。朝は「これをあと700回か1000回かくらい繰り返すだけでしょ?」とか思っていたが、立ちながらサンドイッチを食べているときやふと我に返ったときに京都に帰りたくなる。椅子と机も早く欲しい。
12月23日
大学が閉まったことで事務的なメールが(あまり)来なくて時間ができた。やっと家具をそろえる気力が回復した。IKEAは遠いので、配達の時間はかかるが全部Amazonでそろえることにした。寝具一式や炊飯器、電子レンジ、包丁、鍋などの調理器具、スリッパや机、掃除機といった生活用品をそろえると15万円くらいになった。「一人暮らし応援セット」みたいな安いものではなく、全部ちゃんとした家庭用を買うので高くなってしまった。でももうすぐちゃんとした生活ができると思うと元気が出た。「アメリカでもなんとかなるんじゃない?」と「京都帰りたい」を一日に何度も繰り返すのは精神衛生上よくない。アメリカできちんとした生活を送りたい。京都では10年近くいたのに一度も自炊したことはなかった。近くにいくらでもレストランもコンビニもあったから。でもアメリカでは近くにレストランはほぼないし、宅配してもらえるのはピザやマクドナルドなどの不健康なものばかり。アメリカ人みたいな体形にならないために自炊することにした。
今日はこれからお世話になるメリーランド大学の研究室内ミーティングがあるらしい。ミーティングはオンラインなので参加させてもらうことにした。それぞれが「今週はこんなことをしました」という報告を口頭でしていく。一人当たり数分でサクサク進んでいく。実験方針などは基本的に個人に任せていて、大きな問題が無いかだけ確認している感じがした。京大では実験データと今後の方針の資料を用意して、一人当たり1時間ほどみっちり話していたのでえらい違いだ。
夜になると、同じアパートに住む研究室のポスドク(アメリカに来て10年ほどになる韓国人らしい)が米4合ほどとリンゴ、ティラミスを持ってきてくれた。ついでに使ってない象印の炊飯器も貸してくれた。少し早いクリスマスプレゼントだ。ありがとうポスドクサンタ。おかずになりそうなものも欲しかったよ。
12月24日
調理器具は買ったが、食材を買っていなかった。料理なんてしたことがないので、何を買っていいのかわからない。とりあえず研究室の元後輩がおすすめしてくれた「沼」を作ろう。炊飯器に米とわかめとシイタケとオクラと鶏肉とたくさんの水を入れて、ドロドロになるまで炊けばいいらしい。食べ物もAmazonで買う。私にはAmazonしかない。AmazonではAmazon freshまたはwhole foods marketという銘柄(?)で食べ物を扱っている。whole foods marketで注文しようとしたらアメリカの携帯電話番号を求められた。日本の携帯電話しか持ってない私はあきらめた。Amazon freshでは携帯電話の登録は不要なのでそちらで注文することにした。シイタケの代わりによくわからんキノコ、わかめの代わりにノリを使うことにした。(ちゃんと探せばシイタケもわかめもあったが、この時は見つけられなかった。)26日に届くらしい。
昼寝から目を覚ますと、「ドアの前の食べ物置いといたから」というメールが来ていた。まったく意味が分からないが、たしかに食べ物が置いてあった。しかもおにぎりとか日本のカップ麺とか。添えられていた手紙によると、メリーランド大学でビザを扱っている人事担当の人が自己隔離中の私をあわれに思ってクリスマスプレゼントをくれたようだ。その人の家は結構遠いのだが、行きつけの日本食スーパーがあるらしく、そこで買ったものを持ってきてくれたらしい。カップ麺とともにアルミ鍋も入っていて感動した。日本からインスタント味噌汁を持ってきたのだが、お湯を沸かすすべがなくて飲めなかった。本当にありがとうビザサンタ。人の優しさと食べ物に感謝する毎日だ。
夜になるとAmazonから枕と掛布団が届いた。マットレスは配送に時間がかかっているらしい。これでダウンジャケットをかぶって寝る生活とはおさらばだ。
12月25日
首から頭が痛い。枕があっていないのか、よく眠れなかった。枕と言いつつふかふかのクッションなので、まったく首を支えてくれない。とりあえず起きてコーンフロスティーを食べたが、起きていても頭が痛い。ひょっとして風邪かコロナか?今まで枕として使っていた服を使って昼寝をする。
起きたら17時過ぎだった。5時間くらい寝られたようだ。頭痛は消え去っていた。枕の大事さを実感してほとんど一日が終わってしまった。
スマホを見るとポスドクサンタから「メリークリスマス!ラグーソース作ったからパスタゆでるんやけど欲しい?」とメールが来ていた。「欲しい」と返す。18時くらいに一食として十分な量のパスタを届けてくれた。ありがとうありがとうポスドクサンタ。自己隔離が終わったらお礼するから。
12月26日
新しい枕をAmazonで注文した。そば殻やビーズが入った枕を探したが見当たらなかった。アメリカでは枕というとクッションのことなのだろうか?しかたないので平べったくて首にフィットしそうな形の枕を注文した。
沼の材料が届いた。沼は炊飯器で8時間ほど保温してドロドロにするらしいので、夜に作って翌日食べるものらしい。沼だけだとシイタケとオクラとわかめしか食べられないので、豚汁にも挑戦してみよう。大体の野菜は味噌汁に入れていいと別の後輩が言っていた。そのために圧力なべ?マルチクッカー?もAmazonで買った。メーカーのサイトに載っているレシピをもとに材料をAmazonで探す。にんじんはある。なんか皮をむいたベビーニンジンなるものがあるのでそれでいいだろう。普通のニンジンの皮をむいて切るのは面倒だ。大根がない。ごぼうもない。こんにゃくもない。作戦変更して、Amazonにある野菜を味噌汁に入れることにする。大体の野菜は味噌汁に入れていいと後輩が言ってたんだ。すごく小さいキャベツみたいなやつと、玉ねぎとじゃがいもとほうれん草を注文した。味噌汁にズッキーニは聞いたことがないので頼まなかったが、味噌汁になすびが入っていることはあるのでスッキーニも頼んでよかったかもしれない。豚は消費期限が短そうなので頼まなかった。具沢山野菜味噌汁でいいだろう。
記憶とAmazonの注文履歴を頼りにこの日記を書き始める。Amazonにすべての購入履歴が残っていて日記が書きやすい。
夕方にまたビザサンタさんが食糧と調味料を持ってきてくれた。ありがとうありがとうビザサンタ。なんだか食材がたまってきてしまった。どれから先に食べないといけないんだろう?自炊するとこういう「在庫管理」もしないといけないのが面倒だな。さっきビザサンタが持ってきてくれた中に総菜があったから、それから食べたほうがいい気がする。ついに、ご飯を炊く時が来た。
人生初の炊飯。米を研ぐのがもっと面倒かと思ったが、意外と数分で終わる作業だった。米の研ぎ方はポスドクサンタがYoutubeの動画を送ってくれていた。家庭科の授業で習ったけど覚えてなかったよ。ありがとうポスドクサンタ。米と水を入れスイッチオン。そういえば家庭科の授業では何分か給水させると習ったような……?すっかり忘れてスイッチオンしてしまった。15分ほどで炊飯から保温モードに切り替わった。なんか焦げ臭いがこれでいいのか?家庭科の授業では何分か蒸らすと聞いた気がするので20分ほど待ってみる。……炊けてた。給水時間1分ほどだったのにちゃんと炊けてる。さすが象印の炊飯器。スプーンで茶碗とタッパーに分けた。そういえばしゃもじ貸してくれなかったなー。Amazonで注文した炊飯器にはしゃもじがついているだろうか。
朝に注文した枕が夜に届いた。すごい。これで今日はぐっすり寝られるだろうか。
12月27日
よく寝た。やはり枕は大事。
とりあえずバナナとコーンフロスディーを食べた後、沼を作り始める。正しくは夜に炊飯を始めて翌日に食べるものらしいが、今日の晩御飯にしよう。塩がまだ届いてないから無しで作る。沼の材料としてオクラの缶詰を買ったのだが、缶切りがないと開けられないヤツだった。21世紀にもこのタイプの缶詰あったのか。Amazonで缶切りを注文した。ついでにキッチン用のはさみとシンクで生ごみを受け止めるネットも注文した。オクラと塩以外の食材を入れて炊飯開始。ノリのいい香りがする。楽しみだ。
Amazonからマットレスを届けたというメールが入っていた。アメリカでは宅配はサインなど不要で、玄関先に段ボールを放置する「置き配」なのでなかなか気づけない。そもそも来るの明日じゃなかったっけ?まあ早い分にはいいか。ところが、玄関を開けてもマットレスはない。私の部屋は建物の裏口に面しているので、まさかと思って表玄関に回ると置いてあった。建物の玄関から部屋までマットレス入りの段ボールを引きずって歩いた。とりあえず部屋の中でマットレスを広げる。でかい。部屋が広いので調子に乗ってクイーンサイズのマットレスを買った。これで床で寝る生活とおさらばだ。
お昼ご飯として昨日の惣菜とご飯の残りを食べよう。冷蔵庫からタッパーに詰めたご飯を取り出して、ふと考える。どうやって温めればいいんだ?電子レンジは明日届く予定だ。お茶碗に移してビザサンタがくれた鍋で湯煎してみるか。……鍋に指が当たってとても熱かったので断念。まだ冷たいが、冷蔵庫から出したてよりはマシなので良しとしよう。
お昼ご飯を食べ終わると、またAmazonから配達完了のメールが来ていた。今日は夕方まで何も来ない予定なのに……。先ほども書いたが、アメリカの宅配は玄関先に段ボールを放置する。日本人の感覚としては家の中で使うものを土足で歩く地べたに置かれるのは抵抗があるので、宅配予定時刻に家の前に空き段ボールを置いて宅配ボックス風にしている。早く来てくれるのはありがたいが、段ボールを出すタイミングを逃すのであまりうれしくない。ドアを開けると、電子レンジと浄水器とシャワーカーテンが置いてあった。電子レンジ来るの1時間遅いよ。ポスドクサンタによると、料理には浄水器を通した水道水を使っているらしい。料理にもミネラルウォーターを使うとあまりにも頻繁に買わないと行けなくて面倒だから、ミネラルウォーターはあくまでそのまま飲む用らしい。シャワーカーテンはうれしい。これでトイレを水浸しにする生活とおさらばだ。
重いマットレスを運んで疲れたので昼寝。夕方に具沢山野菜味噌汁の材料が届く予定なので早めに空き段ボールを出しておこう。思ったより本格的に寝てしまった。Amazonから配達完了のメールが来ている。ドアを開けると野菜のほかに、炊飯器、マルチクッカー、追加のミネラルウォーター、包丁、まな板、鍋、野菜の皮をむくピーラー、はかりが来ていた。炊飯器にしゃもじとお米の計量カップがついていて安心した。これで調理器具は缶切り以外そろった。本格的に自炊するぞ。味噌汁のための野菜とマルチクッカーはあるのだが、肝腎のみそがまだ届いていないので明日にしよう。さすがに味噌が無いみそ汁は飲みたくない。
沼ができている頃なので炊飯器オープン。「これは食べ物なのか?」という見た目をしている。「沼」と呼ばれるだけある。食べてみると、味がしない。コロナウイルスにかかってしまったか?いや、鶏肉やキノコの味はする。塩を入れていないのが原因らしい。調味料の偉大さを知った。とりあえず台所にあるものをかけてみる。本家の沼ではカレー粉を入れているので、さっき届いたカレー粉を振りかける。まあ、まずくはないしカレー味にもなるけど、本質的な解決とは言い難い。あくまで「味がないものにカレー粉がかかっている」という感じ。ビザサンタがくれたゆかり(ふりかけ)をかける。うまいが、単純にゆかりをかけたおかゆがおいしいだけで、沼としてはどうなのだろう?同じくビザサンタがくれためんつゆをかける。これが一番しっくりくるが、甘いなあ。普通に塩か醤油が一番だと思う。本家では塩を入れてるんだから、塩が一番なんだろう。沼を紹介してくれた後輩に連絡すると、「必要な調味料がないのに自炊する意味が分からない」と笑われてしまった。料理って難しい。
夜には京都の研究室でオンライン研究発表があった。もう関係ないのだが、暇だし声の出し方を忘れないために参加することにした。「元気にしてんの?」みたいな雑談をした。そのあとで日記を書いているとおなかが減ってきた。沼はおかゆみたいなものなのですぐにおなかが空く。エネルギーを節約するために寝る。さっきも書いたが、やっとトイレを水浸しにせず柔らかい寝床で寝られる生活が始まる。
12月28日
目を開けて、寝ぼけた頭で「ここどこ?」となるのが悲しい。メリーランドに来て一週間になるが、心はまだ京都にいるようだ。マットレスはすごくやわらかくて寝心地がいい。床に慣れてしまった身からすると柔らかすぎるくらいだ。あと、少し枕が高くなったように感じる。今までは暖房をつけっぱなしで寝ていたが、この部屋の暖房はかなりうるさい。昨日は暖房を消して寝たので睡眠の質が少し上がった気がする。部屋の温度は華氏64度(摂氏18度)まで下がっていた。布団から出ると少し寒いが、布団の中は温かかった。
今日は何をしよう?そういえば昨日Amazonからハンガーが来た。服の整理でもしよう。服に限らず、スーツケースからほとんど物を出していなかった(だってほとんどパソコン以外使ってないし)ので荷解きをしよう。この部屋にはウォークインクローゼットと言って、両側に服をかけるためだけの細長い部屋がある。いったいどれだけの服とハンガーを買えばこの部屋をいっぱいにできるのだろう。そんなに服を持っていないので物置として使うことになると思う。一人暮らしには無駄に広い部屋なので棚がいっぱいある。いろいろな小物を棚に置いていくと、少しこの家に落ち着きを感じるようになった。「ここで生活するんだ」という気持ちがわいてきた。
そんなことをしているとドアがノックされた。のぞき窓から見ると段ボールが見える。おそらくAmazonだろう。アメリカの宅配は荷物を放置するだけだが、親切な人はノックで知らせてくれる。といってもよほど素早く反応しないと宅配員と会うことはないのだが。念のためチェーンをかけたままドアを開けて周囲をうかがってから荷物をとる。掃除機と、炊飯器や電子レンジを乗せようと思っていた棚が届いた。炊飯器と電子レンジとマルチクッカーは昨日届いたが、床に置きたくないので箱から出していなかった。棚を置く前に掃除機をかけたい。その前に、まずは大量のごみを捨てないと。Amazonからの段ボールはもちろんだが、アメリカではミネラルウォーターのペットボトルもたまってしまう。
おなかが減ったので先にお昼ご飯を食べた。昨日の残りの沼だが、ビザサンタがくれたポン酢をかけるとおいしいことに気づいた。材料が鶏肉とキノコとわかめなので、水炊きと雑炊を一緒に食べているようなものだ。悪くない。しかしかなり大量のポン酢を消費してしまう。一食で70 mL(355 mL入りの瓶の5分の1)くらい使ったと思う。貴重なポン酢をこんなに使うわけにはいかない。やはり次からは塩か醤油にしよう。初めての自炊を経て、思いついた改善点を挙げておく。
ノリは炊くのではなく後から乗せる。炊飯中はノリのいい香りがしたが、食べてみるとほとんど感じなかった。食べる直前に乗せるのがよさそう。雑炊の時もそうする気がする。
水は普通の量でいい。そもそも沼というのはボディービルダーが減量のために食べるものとして考案されたらしく、水分でおなかを膨らますためにおかゆにしている。私は減量したいわけではないし、味が薄まって調味料の消費が増えてしまうので、おかゆにはしない。
鶏肉は小さく切ったほうがよさそう?水を減らすと鶏肉が水につからない気がする。火が通らないと怖いので小さく切ったほうがいいかも。
塩を入れる。人間はナトリウムを摂らないと死んでしまうので、塩(塩化ナトリウム)を「おいしい」と感じるようにできているらしい。
おなかが満たされたところで、ポスドクサンタにごみの捨て方を聞いた。段ボール、ペットボトル、空き缶は外にあるリサイクルボックスに入れるらしい。それ以外はテキトーなレジ袋に入れて建物内のごみ置き場に捨てる。外にあるというリサイクルボックスを見たが、段ボールを入れるには小さい。というか、段ボールを箱に詰めるという捨て方がいまいち理にかなってないように感じる。重ねてひもで縛るという日本の捨て方に慣れているだけだろうか?さらにリサイクルボックスを開けてビックリ、段ボールとペットボトルと缶が一緒に捨てられている。分別しなくていいんだね。部屋に戻り、段ボールを箱に入る大きさに切っていく。めっちゃしんどい。ひもで縛って捨てたい。結局全部捨てるのはあきらめて、棚を置く台所だけ片付けて満足した。
そうこうしている間にまた荷物が届いていた。缶切り、キッチンバサミ、塩と胡椒、味噌、ちゃぶ台だった。塩が届いたのはありがたい。人間はナトリウムを摂らないと死んでしまう。味噌が届いたので味噌汁が作れるが、今日はもうそんな元気が残っていない。沼は昼ご飯とおやつで食べきってしまったので、日本から持ってきた電子レンジで作れるご飯に、ビザサンタがくれたゆかりをかけて食べよう。インスタントの味噌汁もあるし。
もう夜じゃないか。急いで晩御飯を作らなくては。台所の掃除機をかけた後で棚を出してみると、組み立て式だった。今から組み立てるのか?かなりめんどくさいぞ。しかたないので組み立て始める。ドライバーとトンカチがいるらしい。工具ついてないのかよ。こんなこともあろうかと日本からドライバーは持ってきていたが、トンカチは京都でも持っていなかった。ドライバーのお尻でたたいて何とかした。
電子レンジを箱から出してみると、かなり大きかった。コンビニに置いてありそうな900ワットの電子レンジだ。火力が10段階で調整できるのだが、それぞれが何ワットなのか分からない。なんて不親切なんだ。しかも日本企業の商品なのに説明書が英語だけだし。漢字の社名を捨てて心まで米国に染まってしまったのか?とりあえず電子レンジ調理のご飯を900ワットでチンしてみる。(「チン」とは鳴らないのだが。)……かなり熱々になってしまった。まあいいだろう。
ご飯にゆかりをかけて食べる。中学生の頃のお弁当を思い出して懐かしい。やっぱりゆかりはおいしい。いつものようにノートパソコンの上にご飯を置いて3口ほど放り込んでから、気づいた。そういえばちゃぶ台が来ていたな。床で寝ている間にすっかり床に座ることを受け入れてしまったので、机といすではなくちゃぶ台を買った。さすがにちゃぶ台は組み立て式じゃないだろう。箱から出して、足を立て、ご飯とインスタント味噌汁を並べる。いい感じだ。立ちながらサンドイッチを食べていた頃からえらく成長した。ちゃぶ台というには少し高いが、まあいいだろう。座椅子でも買おうかな。
明日のための沼を作ろう。象印の炊飯器を箱から出して棚に置く。しゃもじもついてるし、普通のコメと無洗米用の計量カップもついてるし、なにより日本語の説明書が入っている。やはり社名が日本語の会社はいい。今日からはAmazonで買ったカリフォルニア産の無洗米だ。米を研がなくていいので時間と労力が節約できる。オクラ缶を缶切りで開けると、酸っぱいにおいがする。ひょっとしてピクルスか?たしかに生のオクラが缶詰で届くと思っていたのが間違いだ。これは沼に入れて大丈夫なものだろうか?とりあえず入れるしかないのだが。まな板と包丁を箱から出して鶏肉を切ったり、浄水器を箱から出して洗ったりしていると1時間半くらいかかってしまった。沼の調理に1時間半もかかるならほかの料理はどれだけかかるんだ。明日からは調理器具を箱から出す作業が無いので少しは手早くできるはずだが。炊飯器に材料を突っ込んでいくが、入らない。ポスドクサンタから借りていた炊飯器は5合炊きだが、買ったのは3合炊きだった。入る分だけ押し込んで、残った材料は冷蔵庫に戻す。明らかに入れすぎになってしまったが、ちゃんと炊けるだろうか……?
今日はいっぱい作業して疲れた。日記を書くのは明日にして、一刻も早く眠ろう。
12月29日
いつものようにバナナとコーンフロスティーを食べる。バナナが残り1本しかない。Amazonで買わないと。なんだかんだ、入国した日にスーパーに行って以来部屋から出ずにちゃんと隔離できている。Amazonとポスドクサンタとビザサンタのおかげだ。食べていて気付いたのだが、朝にコーンフロスティー、昼に沼、夜にまた沼というリズムよりも、朝と夜に沼を食べて昼にコーンフロスティーを挟んだほうが味に変化があって飽きないのではないだろうか?しかし大学に行くようになるとタッパーに沼を詰めて持っていくので必然的にお昼ご飯が沼になってしまう。いや、そもそも沼って常温でタッパーに詰めて腐らないのだろうか?やってみるまでわからない。
朝ごはんを食べて炊飯器の様子を見る。最後に入れた乾燥わかめが戻らずに内ぶたにへばりついていた。まあ、わかめなんて乾いたままポリポリ食べられるし……。水の量を普通にしたつもりだが、ご飯がかなり柔らかくなっていた。次回からもっと減らしてよさそうだ。鶏肉にはちゃんと火が通っていそうなので食べても問題ないだろう。塩を入れた沼がどんな味がするのか楽しみだ。
ノートパソコンをちゃぶ台に移し、昨日の分と今日の朝までの日記を書いた。床に座っていると腰が痛い。企業に就職して在宅勤務を経験した研究室の同期や後輩からは、ちゃぶ台では仕事にならんと言われていた。そのとおりかもしれない。ちゃぶ台が高いので高めの座椅子を買うか、ベッドに座るか、どうしよう。
おなかが減ってきた。塩ありの沼を食べよう。そんなに塩味を感じないな。目分量ですら測らずにテキトーに入れたから足りなかったか?でも、この前よりはパクパク口に運べるので、おそらく舌はこれを食べ物と認識しているのだろう。塩なしの沼は「口に入れて、かんで、飲み込むんだ」という意識が必要だった。醤油が来たら塩の代わりに使ってみよう。そのほうが炊き込みご飯っぽくなるはずだ。ノリの後乗せは大成功だ。2膳目の沼にノリを乗せると味が変わっておいしく食べられる。
そろそろ健康保険に入らないといけない気がしてきた。そもそもメリーランド大学の職員は大学の保険に入れるのだが、私の場合は雇用開始が1月4日で、2月1日までは健康保険が始まらないと言われた。アメリカでは民間の「短期保険」というのがあるらしいので、それに入ることにした。飛行機での移動中も無保険にならないために海外旅行保険に入りたかったのだが、どうやら旅行保険というのは旅行の始めから終わりまですべての期間について申し込まないといけないらしい。勝手な予想だが、旅行中に事故に遭ったとき、それが「旅行中かつ保険期間中にあった事故」なのか、「旅行中だが保健期間が切れてから起こった事故」なのか判断が面倒になるからだろう。1月初めには部屋から出るし、外には危険がいっぱいだ。短期保険に入ろう。
短期保険に入ろうとすると、アメリカの電話番号を求められた。よくあるパターンだ。+81など、国際電話番号は入力できない。アパートの契約の時もそうだった。そのときは+81抜きで日本の電話番号を入力し、「電話番号が間違ってるからここに電話して」というメールをもらうことで何とかした。しかし保険の契約となると、きちんとつながる電話番号を書いたほうがいいだろう。ということで、アメリカの携帯電話を契約しないと。
プリペイドsim以外で日本語対応のサービスを調べてみると、simアメリカというのがいい気がする。どうやら日本にいる間にアメリカの携帯電話サービスを契約するのが正解らしい。何も知らずにアメリカに来てしまったんだなーと実感した。とりあえず申し込んだが、会社が正月休み中なので1月10日くらいまで携帯回線が使えない。これでは遅いので、急場しのぎのプリペイドsimをAmazonで注文した。調べていて感じたのだが、アメリカの携帯回線は安い。simアメリカでは通話し放題と2GB/月のデータ通信がついて29ドル/月だし、プリペイドsimも通話し放題と5GBの通信容量がついて15日間で22ドルだ。物価の高いアメリカで、大手企業が日本の格安sim並みの料金でサービスを提供している。私が今使っているソフトバンクが通話し放題でもなく1GB/月しか使えないのに5千円するのを考えると、「日本のスマホ代は、高すぎる!」と叫んでいる米倉涼子の気持ちが理解できた。
とはいってもソフトバンクはアメリカ放題が使える。しかもアメリカでの通信は1GB/月の制限にカウントされずに使い放題らしい。なんて親切なんだ日本でも同じクオリティーのサービス提供すればいいんじゃないのか?ということで、アメリカではインターネット固定回線を契約せず、アメリカ放題のテザリングでやっていこうと思っている。そうすれば日本の電話番号を手放さなくて済むし。そうするとスマホをもう一つ買わないといけない。iPhone 12miniにしよう。Pixelも考えたがサポート期限がiPhoneのほうが長そうだったのでiPhoneにした。アップルのwebサイトから注文しようとすると、またまたアメリカの携帯電話番号を求められた。携帯電話を買うのに携帯電話番号が必要なのか?しかたない、プリペイドsimが来るまで待つことにしよう。
そろそろ晩ご飯を作ろう。沼は残っているが、味噌が昨日届いたので味噌汁を作ろう。まずは昨日組み立てたのと同じ棚をもう一つ組み立てる。2度目ともなると慣れたもんだ。棚の上にマルチクッカーを置こうと思ったのだが、コンセントの位置関係で置けなかった。しかたないので2個目の棚は作業スペースということにして、別の場所にマルチクッカーを置いた。本当はここで作業をしたかったのだが。
マルチクッカーに水とAmazonで買っただしの素を入れ、ベビーニンジンを投入。袋の5分の2ほど入れたら鍋の中がニンジンまみれになってしまった。次に小さいキャベツみたいなやつ(後で調べたらメキャベツと言うらしい)を投入。鍋がメキャベツで覆いつくされてしまった。沼の時もそうだったが、どうやら私は具材を入れすぎる癖があるらしい。まあ、葉物なんて加熱すればしぼむし。つづいてほうれん草をかなり雑に切って投入。切り方が大きいが、これもしぼむだろう。最後に玉ねぎを投入。鍋からあふれそうだ。本当はジャガイモも入れたかったがもう限界なのであきらめた。マルチクッカーの商品紹介ページに載っているメニューによると、3分加圧調理すればいいらしい。3分?さすがに短くないか?テキトーに5分にしておこう。スイッチオンして気づいたのだが、3分というのは水が沸騰して内圧が上がってから3分らしい。12分ほどすると温度が上がって5分のカウントが始まった。完成して鍋を開けてみると、野菜のいいにおいがする。あまりにもいい匂いなので味噌をとかずに味見。うまいぞ!かなり優しい味だが、野菜スープとして飲める味になっている。これが野菜を雑に切って10分やそこら待てばできるのか。味噌をといたが、薄いな。チューブのみそを買ったらかなり水で薄められている気がする。まあいいや。
沼とスープをちゃぶ台に乗せて晩ご飯。スープがうまい。やはり味噌汁というより野菜スープだ。ニンジンがかなり甘い気がするが、そのせいだろうか。あるいは単純に味噌が足りないのだろうか?このスープに豆を入れればタンパク質が取れるから鶏肉の扱いから解放されるな。鶏肉は消費期限に気を付けたり、切ったり、まな板や包丁を洗ったりがかなりめんどくさい。でもスープにはできるだけ野菜を入れたいのでやはりたんぱく質はご飯で取りたい。(豆も野菜なのだが。)調べてみると鶏肉ではなくツナ缶を使った炊き込みご飯もあるらしい。ツナ缶なら保存もできるし切らなくていいのでそっちを使おう。あるいはマルチクッカーをもう一台買えば白いご飯とおかずとスープを食べられるのでは?いや、作業量が増えるのでとりあえずは炊き込みご飯とスープでいいや。2回目の自炊を経て、改善点は次のとおり。沼ではなく普通の炊き込みご飯がいい。
炊き込みご飯の水は少なめに。生のキノコとかオクラとか、水分を含んだ食材を使っているからだろうか?
塩ではなく醤油にしてみる。醤油のほうが炊き込みご飯っぽい味を感じられそう。
鶏肉ではなくツナ缶を使う。とりあえず冷凍庫にある鶏肉がなくなるまでは鶏のまま。
スープに入れる野菜の量は控えめに。そうしないとたくさんの種類を入れられない。
明日の分の沼を準備した。まだ醤油もないし鶏肉が余っているので今日と同じレシピだが。その後、バナナとツナ缶と炊き込みご飯やスープの材料をAmazonで買って寝た。
12月30日
今日はかなり遅くまで寝てしまった。メリーランドに来てから時差ボケなのか6時前には起きていたのに、今日は2度寝して10時くらいまで寝てしまった。アメリカでは暗いときに出歩くのは危ないので、日が昇る前に起きて、日が昇ったら大学に行って、日が暮れたら帰る生活をしたい。時差ボケを直さないようにしないと。長い時間暖房を切っていたせいか、室温が華氏58度(摂氏14度)まで下がっていた。布団から出ると寒い。すぐに暖房をつけた。
最後のバナナを食べる。昨日の夜に頼んだ食材が今日の夕方に来るらしい。Amazonは仕事が速い。朝食後に沼の様子を確認した。やはりご飯がべちゃっとしている。これは水分量だけの問題だけではなさそう。今までは炊飯後も翌朝まで保温していたが、炊飯器の説明書には炊き上がったらすぐにほぐすよう書かれている。そうすると余分な水分が逃げてふっくらするらしい。逆にそうしないとご飯が固まったりべたついたりするらしい。まさに今の状態だ。象印が言うんだから間違いない。でも3合炊きの炊飯器で2合の炊き込みご飯を作ると混ぜにくいんだよな……。
昨日の分の日記を書いた。本当はその日の夜に書くのが日記なのだろうが、夜には日記を書く元気が残っていない。日記を書いていると、iPhone 12miniって高くないか?と思い直した。メリーランドに来てからいろいろな家電を買って金銭感覚がおかしくなっていたが、7万円以上もする最新スマホを買う必要はない気がする。どうせスマホなんて数年でサポートが切れて使えなくなるんだから、安価モデルのiPhone SEにしよう。それでもiPhoneにこだわるのはセキュリティーがしっかりしているからだ。ろくにOSの更新もしない1万円くらいのスマホに個人情報を預ける気にはならない。
日記の後はお昼ごはん。今日の沼は塩味が効いてる気がする。塩を入れすぎただけなのだが。そして昨日の残りのスープがおいしい。味噌をドバドバ追加したらちゃんと味噌汁の味になった。でも、そのままでも飲めるスープに味噌を入れる必要があるだろうか?確かに人間はナトリウムを摂らないと死んでしまうが、現代人は(特に日本人は)塩分の摂りすぎを指摘されている。沼に十分な塩分が入っている気がするし、スープに味噌を加えると無用な塩分を摂ることになってしまう。味噌は控えめにして、あくまで野菜スープとして飲もう。
ご飯の後はベッドに寝転がってのんびりしたりうとうとしたりしていた。夕方にAmazonから食材が届くので外に段ボールを出しておいた。それだけで気づけば18時前だ。晩御飯にしよう。いつもどおり沼とスープだ。いつまで飽きずに毎日食べられるだろう。飽きたら別のメニューに挑戦しないと。スープの中のニンジンがやっとなじんだ気がする。今日の昼まではニンジンを食べると口の中がニンジン一色に染まるくらい味が残っていたが、昼から保温している間にスープに味が溶けたのだろう。こっちのほうがおいしい。スープの鍋が空になった。昨日の夜から食べ始めたので、3食分弱あるようだ。奇数か。めんどうだな。昼に作ったり夜に作ったり毎日変わってしまう。
順番がおかしい気がするが、晩ご飯の後は料理をする。いつもなら明日の分の沼を作るのだが、一晩中保温することでご飯がべちゃべちゃになってしまうようなので、沼は明日の朝食後に作ることにする。その代わりスープだ。こっちは保温が長いほうがおいしい気がする。夜に作って一晩中保温してみよう。あいかわらずあふれんばかりの具材を入れて調理開始。今日はニンジンを控えめにしてじゃがいもを入れた。ジャガイモを大きく切りすぎたか?イモは過熱してもしぼまない気がするが食べにくいだろうか。
今日の分の日記を書いて寝る。今日は寝坊したし昼からもベッドでのんびりしていた。明日は掃除をしたい。棚やちゃぶ台を入れていた段ボールが床に散乱している。やはりこの部屋は広すぎる。床に段ボールが散乱していても生活できてしまう。あと、ベッドから水を飲むために台所まで10秒くらい歩かないといけないのがめんどくさい。それとティッシュをどこに置いたかわからなくなる。ティッシュとごみ袋が離れて置いてあるとイラっとする。
12月31日
朝起きると、すでに日本では紅白歌合戦が始まっている時間だった。なんだか大晦日に乗り遅れた気分だ。この家にはテレビが無いから見られないのだが、生さだは見たかったな。バナナとコーンフロスティーを食べた後、入居時の部屋の点検をした。棚がガタついてるよとか蛇口からちょっと水が漏れるよと報告した。来週に修理に来るらしい。そんなことをしていると、日本では早々に年が明けたらしい。実家とビデオ通話をして、家具がそろったとか炊き込みご飯とスープを食べているとか報告した。今年の紅白はどっちが勝ったのか聞くのを忘れてしまった。いや、去年の紅白なのか?時差があるとややこしい。
もう昼前なので沼を作ろう。調味料を測らないと味が安定しないということがわかったので、今回は塩の重さを測ってから入れた。炊き上がりを待っている間におなかが空いてしまった。食べたい瞬間にさっと食べられないのは自炊の嫌いなところだ。炊き立ての沼を初めて食べた。味は今までで一番おいしいと思う。豪華なわかめご飯という感じだ。塩が少し多い気がする。そんなことより、ご飯に芯が残っている粒がある。なぜだろう。水が少なすぎたか、無洗米に水をなじませる作業が足りなかったか。次回は水と米をもっとよくかき混ぜよう。スープを一晩中保温するとニンジンとじゃがいも以外の野菜がけっこう崩れてしまった。味はおいしいのだが、もうちょっと形が残っていたほうが食べ応えがある。さすがにもう少し保温時間を短くしよう。
炊飯器とマルチクッカーには大変お世話になっているが、電子レンジをもっと使いたい。せっかく高い電子レンジを買ったのに、冷凍の鶏肉を解凍したりタッパーの沼を温めるだけではもったいない。そういえば、京都から電子レンジ調理器を持ってきていた。調理器というほどたいそうなものではなく、タッパーに少し付属品がついている程度だが、使えるだろう。10年前に京都で一人暮らしを始めるとき、電気屋さんで一人暮らしセットのおまけとしてもらったものだ。京都では一度も使わなかった。付属のレシピにいくつか料理が載っているが、要するに野菜をレンジでチンすればいいらしい。ブロッコリーのサラダなら作れそうだ。次にAmazonで食材を買い足すときにブロッコリーも注文しよう。そうすれば沼に入っているわかめとシイタケとオクラ、スープに入っているニンジンとじゃがいもと玉ねぎとほうれん草とメキャベツ、さらにサラダとしてブロッコリーも食べられることになる。毎朝バナナも食べているし、アメリカ人のような体形にならずに済むだろう。
昼食後は部屋の掃除をした。大掃除ってことになるのだろうか。段ボールを捨てまくってまた部屋がガランとしてしまった。本当は掃除機もかけたかったが、今日はこれくらいで勘弁しといてやろう。掃除をしたらおなかが減った。沼とスープだと腹持ちが悪いんだよな。13時ごろに昼ご飯を食べても17時くらいにおなかが減ってしまう。早いけど晩ご飯にしよう。とりあえずスープを温めなおし始めた。待っている間に考える。おやつを食べるべきか、腹持ちのいいものを食べるべきか。沼とスープでその時はおなか一杯になるので、さらに腹持ちのいいものを追加で食べるというのはおそらくできない。となるとおやつか。研究室でもおなかが減るだろうからお菓子を買おうかな。
晩ご飯の後にクリスマスイブにビザサンタがくれた緑のたぬきを食べた。これが日本人の年の越し方だ。年が明けるまで頑張って起きていると、外からドンドンという音が聞こえてきた。銃撃戦かと思ったが、花火だったのかもしれない。眠いのでもう寝る。日本ではもう昼だ。日本では、日本なら、日本人の……。アメリカでの生活がまともに始まってないので日本のことしか考えられない。アメリカ人はどうやって年を越すのだろう。
2021年1月1日
今日も遅くまで2度寝した。バナナとコーンフロスティーを食べた後、おなかが減る件についてもう一度考えた。ひょっとしてカロリーが足りてないんじゃないか?アメリカに来てから脂質をろくに摂ってない気がする。鶏むね肉くらいだ。一日に食べているカロリーを計算すると、2,500キロカロリーくらいだった。意外にも足りている。だがおなかが減るんだからもっと食べていいだろう。お菓子を食べることにしよう。そうなるとお菓子を買わないと。
その後、これからやらなければならない事務仕事を確認した。大学が閉まったせいで宙ぶらりんになっている。
アメリカの社会保障番号を取得する。このために印刷した書類をどこかにもっていかなければいけないそうだが、うちにはプリンターが無い。ポスドクサンタにお願いして印刷してもらおう。さらに書類をどこにもっていけばいいのかもわからない。ビザサンタにメールで聞いた。
大学の留学生説明会に参加する。ここで社会保障番号の取り方が説明されるらしい。でも早めに取ったほうがいいよとビザサンタに言われた。
大学の職員アカウントをもらう。
コロナウイルスの検査を受ける。2週間の隔離だけでは不十分で、陰性結果をもらうまで大学で働けないらしい。検査させるならなんで隔離するんだ?大学で無料で受けられるが、学生か職員アカウントが必要なのでアカウントを手に入れるまで待たなければいけない。
雇用書類を提出する。こんなもの日本にいる間にくれれば書いたのに。なんでアメリカに来てからなんだよ。しかもこれも印刷して大学の事務所にもっていかなければいけない。ポスドクサンタにお願いして印刷してもらって、しかもコロナウイルス検査の陰性結果が出てから持っていくことになるだろう。
研究をするための安全講習を受ける。これもさっさと受けさせてくれればいいのに。大学の職員アカウントが無いと受けられないらしい。
銀行口座を開設する。どこの銀行がいいのかさっぱりわからない。どうやって開くのかもさっぱりわからない。でも給料を振り込んでもらうためには必要なんじゃないだろうか?今時現金とか小切手じゃないよね?(実は小切手という選択肢があった。)ポスドクサンタとビザサンタにお勧めの銀行を聞いて、隔離明けに開設に行こう。社会保障番号がいるとか言われたらどうしよう。
運転免許を取る。運転する気はない。でも身分証明書として役に立つ。いつもパスポートを持ち歩くのは紛失の危険がある。日本の運転免許と国際免許(日本の免許の英語訳みたいなもの)を持っていれば、メリーランド州では筆記試験も実技試験も免除で運転免許がもらえるらしい。まずはアルコールや薬物についての講習を受けて、それから日本でいう免許試験場みたいなところに行って申し込んで、視力検査をしてもらう。数日で家に郵送されるらしい。
やることいっぱいあるな。普通はどういう順番というかタイムスケールで進めるものなのだろう?1月4日から雇用開始のはずなのだが、絶対にその日に出勤できないし職員アカウントすら間に合わないかもしれない。これが普通なのか?コロナウイルス+クリスマス休暇という最悪のタイミングで来たからおかしなことになっているのか?これがアメリカの普通ならいいのだが、もし書類とか手続きの遅れで文句言われたら嫌だな。
昼ごはんの沼を作った。昨日の夜に醤油が届いたのにまた塩味で作ってしまった。今回は芯が残らず、いつもどおりべちゃっとしたご飯が炊けた。昨日の失敗は何だったんだ?そしていつになったらふっくらしたご飯が食べられるんだ?また象印の説明書を読んでみると、炊き込みご飯の時の具はご飯の重さの30~50%がいいらしい。鶏肉だけでこの重さを越えている。キノコもオクラも入れてるんだからご飯と同量ぐらい具を入れてるかもしれない。具が重すぎてうまく炊けないのかもしれない。具を減らしたくはないので、それならもうしかたないか……。
お昼ご飯の後は雇用書類を書いて給与係(?)の人にメールした。何とかメールで満足してくれないだろうか。その後Amazonでプリンターを選んだ。社会保障番号の手続きには間に合わないが、あとでやる運転免許証の手続きには使えるだろう。自宅のプリンターというのはめったに使わないが、「書類を印刷して提出しろ」という手続きがまれにある。しかもそういう書類に限って致命的に重要だったりするので買うしかない。ついでに日本から持ってきたトイレットペーパーが最後の1ロールになったので買いたそう。Amazonでトイレットペーパーを検索すると2千円くらいして何事かと思った。どんないい紙でお尻を拭いているんだ?どうせすぐ水に流すんだろ?なんとか5百円くらいのトイレットペーパーを探したが、それでも日本より高いしあまり評判がよくなさそうだ。どんな紙が届くのやら。
そのあとはだらだらしながら大学への行き方を考えた。バスで40分というのが嫌すぎて、もっといい方法はないものかと何度も考えてしまう。自転車なら30分で行けるそうだが、車がスピードを出すので危ないらしいし、雨の日が大変そうだし、アメリカは自転車の盗難が多いらしい。京都で生活していた人間としては自転車にこだわりたいが、あきらめたほうがよさそうだ。電車なら頻繁にあるしバスより遅延しないから信頼できる。しかしアパートも大学も最寄駅から遠い。アパートから最寄り駅まで徒歩30分、そこから一駅だけ電車に乗って、駅から大学まで徒歩25分。ほとんど歩いてるじゃないかバカバカしい。車で10分……。時間としては京都で自転車を使うのと変わらない。魅力的だが、車は嫌だ……。死角がある乗り物は怖い。人をひくかもしれないし、どこかにぶつけるかもしれない。周りが全部見えるから自転車が好きなんだ。何度考えてもバスで40分が一番いいという結論になる。高校とか塾はもっと遠かったし、その時を思い出して通勤しよう。
そろそろ晩御飯を作るか。昼ごはんが遅かったのでおなかが減るのはもう少し後だろうが、スープを早めに作って煮込みたい。時間を気にしてみたら、準備に30分くらいかかっていた。食べ終わった食器を洗う時間もかかるし、自炊すると一日が短くなるんだよなー。通勤にも時間がかかるし、京都にいた時より2時間以上短くなるんじゃないだろうか。京都で一日2時間も暇な時間あったかな?
スープを作ってからだらだらネットサーフィンしていると、ポスドクサンタから「galbijjim作ったんやけど欲しい?」とメールが来た。galbijjimってなんや?検索するとカタカナではカルビチムと書くようで、カルビを蒸した料理らしい。とりあえず欲しいと返す。晩御飯まだ食べてなくてよかったー。ついでに「トイレットペーパーとかある?」と聞かれた。超能力者か?ちょうどさっき探したが、まだ注文していなかったので「実は無くなりかけなんや」と返信した。しばらくするとポスドクサンタがカルビチムとコーヒーとトイレットペーパーを持ってきてくれた。毎日料理しているのかポスドクサンタに聞いてみると、「今年は家にいる時間が長かったからけっこう料理したね。いつもはサンドイッチとか買って食べてるけど。」との答えが返ってきた。やはり大学に行きながら自炊するのは面倒らしい。車を持っているポスドクサンタでもそうなんだから、スーパーまで徒歩25分かかる私はもっと面倒だろう。かといって外食するレストランも周りにはないし、おそらくずっとAmazonで食材を買って、待っていればできる炊き込みご飯とスープを食べることになりそうだ。
またお世話になってしまった。アメリカは一言でいうと日本の田舎で、車が無いと行動できないしいろいろ不便だが、コミュニティーに迎え入れてもらえると親切にしてもらえる気がする。こちらから何がお返しできるだろうか。カルビチムのふたを開けてビックリ、大根入ってないか?Amazonでradishと検索しても赤い株みたいな丸い根菜しか出てこない。どこで日本で見かける大根を買っているのだろう。さらにカルビは骨付きの塊だ。いったいくらするんだこれ?
カルビチムをもらったので、沼は冷蔵庫に突っ込んでお急ぎモードで白米を炊き始めた。そういえばこの炊飯器で白米を炊いたことなかったな。どんな味になるのやら。ご飯が炊けたのでちゃぶ台の上に白米とカルビチムとスープを並べた。ポスドクサンタのおかげで一汁一菜の食事にありつける。ありがたやありがたや。まずは(ポスドクサンタには悪いが)白米からいただこう。うん、ちゃんとお米の粒を感じられる炊き具合だ。やはり炊き込みご飯にしているのがご飯がべちゃつく原因らしい。そしてカルビチム。おいしい。味は醤油の濃い肉じゃがといった感じだ。ただし肉は骨付きカルビでジャガイモは無い。これご飯一合で足りるのか?というか、この肉の量は一食分じゃなくないか?結局もらったカルビチムの半分は冷蔵庫に入れて明日食べることにした。明日また白米を炊こう。白いご飯がおいしい。
豪華な食事に満足して眠くなったので寝た。
1月2日
昨日の晩御飯が遅くて寝るのも遅かったので、今日も少し遅く起きた。といっても昨日よりは早いのだが。バナナとコーンフロスティーを食べた後、また大学への行き方を考えていた。バスを使うのは仕方ない。だからバスが来る時間を手軽に正確に知りたい。バス会社のウェブサイトから、バスが今どこを走っているか、何分後に来るのかを調べられるようだ。使いそうなバス停の情報をスマホでお気に入り登録した。これで少しは生活が楽になりそう。大学に行くにはまずアパートから最寄りの電車の駅までバスで行き、そこでバスを乗り換えて大学に行く。電車の駅から大学行きのバスは20分に1本くらいあるのだが、アパートから電車の駅までのバスは平日でも30分に1本、休日なら1時間に1本とかになってしまう。タイミング次第では駅まで歩いたほうがよさそうだ。正確には駅の少し手前で大学行きのバスに乗れるので、朝晩25分ほど歩くことを覚悟した。出町柳から三条くらいか。歩けるけど、毎日は嫌だなー。しかも三条から歩く時は誰かとしゃべりながら川沿いを歩いてたので退屈しなかった。ここも森の中って感じで景色がいいところはあるが、一人で歩くのはどうなんだろう。
昼ごはんにポスドクサンタからもらったカルビチムの残りを食べた。まだご飯1合では食べきれなかった。残り少しは今日の夜に食べよう。昼ごはんの後はメリーランドでの研究テーマを考えた。教授からは特に指定が無かったので自分で考えないといけない。自分の好きなことができるというのはありがたいのだが、面白いテーマを考えるというは難しい。考えていると眠くなってきたので昼寝。
と思ったが、なかなか起きる気がわかない。結局晩ご飯も食べずにこのまま寝てしまった。疲れがたまっていたのだろうか。
1月3日
めっちゃよく寝た。ずっと眠っていたわけではないが、昨日の夕方から15時間くらいベッドの上にいたんじゃないだろうか。バナナとコーンフロスティーを食べた後、昨日寝ながら考えた研究計画のうち一つはちょっと無理なんじゃないかと思い始めた。まあほかのことやればいいだろう。シャワーを浴びて早々に昼ご飯を食べた。昨日の晩御飯を食べていないから朝食後もおなかが空いていた。
メリーランドに来て初めて洗濯をした。アパート共用のコインランドリーみたいなところでする決まりらしい。「洗剤はメーカーの規定量入れてください」みたいな説明が書いてあるのだが、水量が書いてないから洗剤をどれだけ入れればいいのかわからない。「洗濯物を入れすぎないでください」みたいな説明も書いてあるのだが、どれだけまでなら入れていいのかわからない。あまりにもわからないので洗濯機の型番で検索して仕様を確認した。水の使用量は103リットルと書いてある。そんなに使うのか?一方で洗濯物を入れるところの容量は92リットルと書いてある。水の体積より小さいぞ?ははーん、これは洗いとすすぎで51.5リットルずつ使うということだな?それだけ大きければ2週間溜めた洗濯物を全部突っ込んでも大丈夫だろう。必要な洗剤の量も分かったし洗濯スタート。柔軟剤をあらかじめ入れるところがわからなかったのですすぎが始まるタイミングを待ってふたを開けて入れた。洗濯が終わったら隣の乾燥機で乾かした。乾燥機というものを初めて使ったが、こんなにふっくら乾くのかと驚いた。京都で日当たりのよくないベランダで生乾きの臭いをさせていたのとは大違いだ。
洗濯ものを持って帰ってきて、ウォークインクローゼットにかけた。この時初めてひたすら大きいクローゼットの便利さがわかった。洗濯ものをたたまなくていいんだ。欧米人は家の中をつくで移動するので、ひょっとして床で洗濯物をたたむ習慣が無いのか?ハンガーは大量に必要だが、たたまなくていいのは時間と労力の節約になる。洗ったものをかけていくとクローゼットがわりと埋まってきた。まだ日本から服が届くから、結局このクローゼットをいっぱいにするかもしれない。ハンガーを買い足さないと。
洗濯の後、アメリカの銀行について調べた。銀行がいっぱいあってはっきり言って違いがわからない。ATMは大学の近くにそろっているが、実店舗が近くにある銀行は一軒しかなかった。そこでいいか。申し込みはインターネットでできるようだが、社会保障番号が必要らしい。社会保障番号の取り方もはっきりわからないし、銀行口座を開けるのはいつになることやら。
久しぶりに沼を食べた。カルビチムが豪華すぎただけで沼も悪くない。わかめの代わりにトマト缶を入れてリゾットのようにする「マグマ」というのもあるらしい。トマト缶は買ってあるので、大学に行き始める前に作る練習をしておこうかな。今日は昼寝をしなかったので早めに寝た。というか大学で昼寝なんてできないからこれが正し生活リズムなんだろう。
1月4日
本当は今日から大学に行きたかったのに。いったいいつコロナウイルスの検査をしてもらえるのだろう。職員アカウントはいつもらえるのだろう。今日から雇用は始まっているのだろうか。それとも職員アカウントが無いからまだ給料は発生していないのだろうか。わからないことだらけだ。大学の人はそれぞれが何をすればいいかわかっているのだろうが、私自身はどういう手続きが進んでいるのかさっぱりわからない。いろんな人からいろんな書類だの講習だのを要求されて頭がこんがらがる。手続きの流れ図とか、せめてやること一覧が載ったチェックシートみたいなものが欲しい。
大学とちょっとメールをしていたらもうおなかが減ってきた。今日はトマト缶を炊飯器に入れてマグマを作ってみる。なんとなく、塩を多めにしよう。塩味が効いてないトマトご飯はあまりおいしそうじゃない。あいかわらず「これは食べ物なのか?」という見た目だが、味は悪くない。塩を多めに入れて正解だった気がする。トマト缶の水分のせいでかなりご飯が柔らかいが、これは柔らかいご飯のほうが雰囲気が出る気がする。でも、食べていると飽きる。本家のマグマでは玉ねぎとニンニクをミキサーにかけて入れていた。それが無いせいか、スパイスが効かずに味がのっぺりしている気がする。途中でノリをのせて味を変えたのだが、沼とノリほど良い組み合わせではない。Amazonでニンニクの粉でも買うか。
ご飯の後は研究テーマの案をまとめて教授にメールした。本当に勝手に考えたテーマでいいのだろうか?京都では教授がやってほしい研究をいくつか挙げて、その中から学生が選ぶというやり方だったのだが。メールに意外と時間がかかってしまった。その間に、Amazonからプリペイドsimが届いた。これでいろいろ事が進むぞ。
まずはAppleのウェブサイトからiPhone SEを買おう。一つのスマホでいちいちsimカードを入れ替えるのは面倒だ。支払方法でクレジットカードを選ぶと、請求先住所として日本が選べない。なんでだよ。世界中で使えるサービスの意味を全否定している。クレジットカードのほかにはPayPalでも支払えるらしい。そういえば大昔に作ったPayPalアカウントがあるので使ってみよう。PayPalにログインしようとすると、本人確認として、登録されているメールアドレスでの受信、登録されている電話番号でのSMSの受信、登録されているクレジットカード番号の入力のどれかを求められた。メールの受信が一番簡単なのでそれを選ぶ。しかし、残り2つのうちどちらかをもう一度要求された。なんて面倒なサービスなんだ。クレジットカードはもう解約したものが登録されているので番号がわからない。私はたまたま日本の携帯回線を解約しなかったからSMSを受信できるが、もし解約してたらこのアカウントは永遠に使えないところだった。最近はパスワード以外に複数の方法で本人確認するのが流行っているが、メールアドレスや電話番号などパスワード以外の方法がいつまでも使えると思っているのは大きな間違いだ。しかも、メールアドレスを取得するのに電話番号が必要で、電話番号を取得するのにも電話番号が必要、みたいなあほらしい循環に陥りかねない。私はこの潮流に反対だ。で、やっとログインできたので今持っているカードを登録して、Appleのウェブサイトで支払方法としてPayPalを選ぶ。すると驚くべきことに、アメリカから作成したPayPalのアカウントでしか支払えないと言われた。だからなんでだよ!世界中で使えるサービスの意味を全否定している(2回目)。というかPayPalってアカウントに国の情報が紐づけされてたんだね。じゃあこの際だからアメリカのPayPalアカウントを作ろう。アメリカのPayPalサイトで日本のPayPalアカウントと同じメールアドレスを登録しようとすると「このアドレスは既に登録されています」と文句を言われた。そうだよ?でもお宅のサービスが国ごとに分かれてて使えないからもう一度登録したいんだよ。しかたないから別のメールアドレスで登録した。SMSによるアメリカの電話番号の確認も求められたので、simカードを差し替えてプリペイドsimでSMSを受信した。めんどくさい。やっとアカウントが作れて、PayPalにクレジットカードを登録しようとすると、やっぱり請求先住所がアメリカしか選べない。なんでなんでなんでなんだよ!世界中で使えるサービスの意味を全否定している(3回目)。いろんなサービスでアメリカの電話番号を要求される件といい、アメリカはアメリカ人のことしか考えていない。まあ、請求先住所はもう今住んでるアパートでいいか。と思ってクレジットカードを登録しようとすると、「このカードは既に別のPayPalアカウントに登録されています」と文句を言われた。そうだよ?でもお宅のサービスが国ごとに分かれてて使えないからもう一度登録したいんだよ(2回目)。しかたないから日本のアカウントからクレジットカードの登録を解除した。しかしそれでも「別のPayPalアカウントに登録されています」と文句を言われる。どないせえっちゅうねん。そもそも請求先住所をアメリカにするならPayPal使う意味もないわ。結局Appleのウェブサイトに請求先住所としてアメリカのアパートを入力して直接クレジットカードで払った。ちょっと物を買うだけなのに何時間もかかってめっちゃ疲れた。次からはiPhoneやめようかな。
アメリカでの短期健康保険の契約をして、残りのマグマとスープを食べて、明日の分のスープを作って寝た。短期保険はプランがいっぱいあってよくわからなかったが、日本の健康保険と同じくらいの値段になるプランを選んだ。ここでも請求先住所としてアメリカの住所しか入力できなかった。日本の住所を入力できるAmazonが親切なのか?今の時代、人は移動するし、だから世界中で使えるサービスを使うんじゃないの?「アメリカで何かするんだから住所がアメリカなのは当然でしょ」なんて考えは古いよ。
1月5日
昨日から朝の6時半に起きる生活をしている。なぜかというと、最寄りの電車の駅からアパートまでのバスが夜の19時くらい以降は1時間に1本しかない。バスが30分に1本あるうちに帰りたいので、大学を18時半くらいに出ないといけない。労働時間を逆算して朝8時過ぎに大学に着こうと思うと朝は6時半起きということになった。が、昨日その生活をシミュレーションしてみて今朝すでにつらい。大学に10時間もいるというのは睡眠時間が減って無理かもしれない。通勤時間も食事の準備にかかる時間も京都より増えているので、その分労働時間を減らすしかない。結局、京都ほど恵まれた環境でなければ8時間労働が人間の限界ということか。メリーランドの人は普段どれくらい研究しているのだろう。研究者の中にはまれに尋常じゃなく作業が速い人や尋常じゃなく睡眠時間が短い人がいる。しかしそんな人と自分を比べると心か体を壊すので、雇い主から文句を言われない程度に焦らず自分のペースで研究するのが大事だ。
バナナとコーンフロスティーの後は昨日の日記を書いた。AppleとPayPalへの不満がかなり長くなってしまった。まあいいだろう。それだけの不満をぶつけられてしかるべきサービスだ。日記の後は昼ご飯の沼を作った。今日は塩ではなく初めて醤油で味付けした。ついでにだしの素も入れた。どんな味になるのか楽しみだ。大学に行くようになれば、おそらく前日の晩に炊いた沼をタッパーにつめて冷蔵保存し、朝にそのタッパーをカバンにいれて大学に行くことになるだろう。炊き立ての沼が食べられるのも今のうちか。
醤油味の沼を食べてみると、おいしい。塩味の沼やマグマは「食べられる」という程度だったが、しょうゆ味の沼は炊き込みご飯としてちゃんとおいしい。なぜか鶏肉の味が良くなっている気がする。いつもより薄く切ったからか?わかめがいつもより多くて贅沢な感じになっている。ご飯もあまりべちゃついていない。たまたまうまくいったのか、しょうゆの力なのか。おこげで自然に味が変わるので途中でノリを追加する必要が無かった。
お昼ご飯の後は、今まで経験した失敗をもとにアメリカに留学するときにやるべきことみたいな説明書を書き始めた。京都の研究室に残しておけば何年後かに役に立つだろう。だいぶ長くなりそうだ。
そうこうしていると、「アメリカへの入国を大学が確認できたのでビザのプロジェクトが始まりました」みたいなメールが来た。やっとかよ。これで大学の職員アカウントがもらえるはずだ。つづいて「ちゃんと健康保険に入ってね」というメールも来た。もう短期保険に入ったんですがこれでいいですか?とメールすると、保障が足りなさそうだから駄目だと言われた。そんな。秘書さんみたいな人にお勧めされた会社の、割といいプランに入ったと思うんだが。しかも具体的に何がダメとか教えてくれずに、「このサイトに必要な保障額が載ってるから見ろ」としか言わない。じゃあおすすめの保険ありますか?と聞いても「おすすめはしないからとりあえず十分な保険もってこい」としか言わない。国民皆保険の国から来た人間がアメリカの保険とかわかるわけないだろう。そうこうしていると保険会社を紹介してくれた秘書さんみたいな人から「保険会社に必要な保障の情報を送ってプランを変えてもらったら?」とメールが来た。そのとおりだ。秘書さんみたいな人が言うには、この保険会社はポスドクサンタも一時的に利用していたから十分な保険があるはず、とのことだ。
保険会社からの申し込み受付メールを確認すると、「質問があればここに電話しろ」と電話番号が載っていた。いやだ。メールがいい。メールには「確認番号を入力してアカウントを作ってね」みたいなことも書かれている。作ろうとしたが、登録サイトにつながらない。どうなっているんだ。保険会社のウェブサイトをさまよっていると、別の登録ページが書かれていた。そこから登録しようとしたら、入力情報に合う契約者が見つからないと言われた。まだ保険が有効になっていないのか?ウェブサイトをさまよっていても、やはり問い合わせ用の電話番号しか書かれておらず、メールアドレスは載っていない。あきらめて電話した。すると自動音声で何とかの人は何番を押せみたいなことを言っているのだが、英語が速くてさっぱりわからない。だから電話は嫌なんだ。テキトーに押して進んでいったが、「ほかの人を対応中だからちょっと待ってね」から進まない。我慢できずに切った。ウェブサイトを見ると、facebookから質問もできるらしい。質問してみると、「保険証に載っている電話番号に電話しろ」という答えが返ってきた。お前は何のためにfacebookで受付をしているんだ?何が何でも電話なんだな。保険証はまだ届いてないから今日はあきらめた。
アメリカのアパートに申し込んだ時もやたらと電話してきたな。メールアドレスと電話番号を入力して「連絡はメールでお願いします」みたいな項目をチェックしているのに、「この番号に電話しろ」とだけ書かれたメールが届いた。アメリカは電話文化なんやな。耳が聞こえない人はどうするの?日本なら電話、メール、お問い合わせフォーム、会社によってはFAXというように、複数の手段が用意されてると思う。まだ2週間しか生活してないけど、アメリカは性に合わない。研究環境は整っているだろうが、日常生活で不便だったり納得できないことが多すぎる。車が無いと生活できないとか、アメリカの電話番号がいろいろなところで要求されるとか(これは日本でも日本の電話番号を要求しているのかもしれないが)、アメリカのPayPalアカウントしか使えないとか、ウェブサイトにつながらないとか。まだアメリカでの研究生活が始まってすらいないが、さっさと日本に帰ろうと決めた。
じゃあ最後に職員アカウントの申請でもするか。と思ったが、なぜかこれもできなかった。必要情報を入力しても、この人のアカウントは設定できません。みたいなエラーが返ってくる。秘書さんみたいな人とシステム管理者的な人にメールを送っておいた。明日には返事が来るだろう。
なんとなく迷惑メールフォルダーを開くと、朝に引っ越し会社からメールが来ていた。「日本からの荷物が倉庫まで届いてるから、いつ届けたらいいですか?」とのことだ。明日は教授とオンラインで打ち合わせをするので、夕方遅くか明後日にお願いしますと返しておいた。迷惑メールフォルダーを見てなかったらいつまでも荷物が来ないところだった。京大の職員メールは必要なものまで迷惑メール判定するから嫌なんだ。それを知っているから毎日迷惑メールフォルダーも確認している。迷惑メール判定機能の意味がないどころか、判定機能が迷惑だ。
おいしい炊き込みご飯を食べて寝た。明日もしょうゆ味にしよう。
1月6日
バナナとコーンフロスティーを食べ終えてちょっと作業していると、職員アカウントの設定について返事が来た。状況を確認してもらうと、どうやら私に「一時的な社会保障番号」というのが割り当てられていたのが問題らしい。一時的であれ社会保障番号が割り当てられると、社会保障番号以外の普通の登録番号などの認証方法が使えなくなるそうだ。そういえばメリーランドに来た直後に一時的な社会保障番号を教えてもらっていたので、それを使うと設定できた。これでやっとメリーランド大学の一員になれた。いろいろな講習だの手続きだのが進められる。
まずはコロナウイルスの感染防止に関するビデオを見た。それから体調に問題ありませんみたいな報告もした。コロナウイルス検査の予約をしようと思ったが、「あなたは患者として登録されていません」みたいな画面が出て予約できなかった。なぜなんだ。秘書さんみたいな人にメールで聞いたが、解決策は得られなかった。そのかわりCVSという薬局で無料でテスト受けられるよと教えてもらった。もっと早く言ってよ。CVSで予約をしようと思ったが、webサイトへの海外からのアクセスが禁止されていた。ソフトバンクのアメリカ放題を使っていると、アメリカにいたとしても現在地が日本と認識されるらしい。日本からアクセスできないサイトが多々ある。あとでわかったのだが、昨日に保険会社の登録ページにつながらなかったのも日本からアクセスしていると認識されているのが原因だった。国で門前払いするなんて差別の国らしいやり方だ。日本のウェブサイトもこんなことをしているのだろうか?プリペイドsimとiPhone SEはもう届いているのでそちらの回線を使えば拒否されないはずだ。でも、iPhoneは届いたけど画面の保護フィルムがまだ届いていない。画面にほこりを付けないためにiPhoneを箱から出しだ瞬間に保護フィルムを貼りたいので、もう少し待つことにした。どうせ今日の夜届く予定なんだ。
ポスドクサンタから「11時半からミーティングやで」というメールが届いた。クリスマス休暇明けにミーティングするのか。いったい何を話すのかと思ったが、もちろん実験を進めた人はデータを報告したし、「メリーランド州から出たからコロナの検査待ち」という私を似たような状況の人もいた。このミーティングは成果を発表するのはもちろんだが、毎週(ビデオ通話とはいえ)顔を合わせようというのが狙いなのかもしれない。
おなかが減ったが、昼ご飯を作るのをすっかり忘れていた。食べたい瞬間にさっと食べられないのは自炊の嫌いなところだ。今日もしょうゆ味の沼にしよう。今まではAmazonで買ったよくわからない生のキノコを使っていたが、そいつは昨日で使い切ったので今日からは同じくAmazonで買ったdried shiitake(乾燥シイタケ)だ。さすがに丸ごとは大きいので小さく切ろうと思ったが、硬くて包丁が入らない。え、シイタケって切れないの?しかたないから丸ごと入れるか。食べるときにかみ切ればいいだろう。今日は教授と研究計画を話し合うのだが、ちょうど沼が炊ける頃に話し合いが始まってしまう。お昼ご飯はしばらくお預けになりそうだ。
教授との話し合いでは、やっぱり何をしてもいいと言われた。事前に教授に送っていた計画案をもとに話し合ったのだが、もっとやってほしい研究ありますか?と聞いても「いやー、基本的に自分で考えてほしいなー」と言われた。研究テーマを考えるのも仕事のうちというか、テーマを考えさせるのも教育のうちということなのかもしれない。とりあえず事前に送っていた計画を否定はされなかったので、このまま進めるとしよう。
やっとご飯にありつける。沼を食べると、シイタケの風味が前面に出た味になっている。やっぱり乾燥シイタケはだしの強さが違う。が、その乾燥シイタケが水で戻っておらずカッチカチのスッカスカだ。かみ切るのがやっとだし、かんでいると口の中の水分を持っていかれてしまう。調べてみると、使う前に半日ほど水につけて戻さないといけないらしい。乾燥シイタケってそんなに乾燥してるの?これはさすがに食べにくすぎるので、炊飯器からシイタケだけ取り出して水につけた。調理後でも戻ってくれるだろうか。
遅い昼ご飯を食べている途中だが、猛烈に眠くなってきた。いろいろな手続きの先が見えない不安と大学に行けていない焦りで精神的に消耗しているのかもしれない。あるいは単純に一日中パソコンに向かっているから体が疲れているのかもしれない。思い返すと大したことはしていないのに、いろいろなことを調べたり手続きがうまくいかなかったり四苦八苦している間に時間が過ぎてしまう。昼ご飯を食べる気力もなくなったので、スープだけ飲んで沼はタッパーにつめて冷蔵庫に入れた。
仮眠をしようと思ったら、ちょうどポスドクサンタが訪ねてきた。社会保障番号の申請に必要な書類の印刷を頼んでいた。ちょうどよかったので、ポスドクサンタは留学当初どんな保険に入ったのか聞いた。すると秘書みたいな人がおすすめしてきた短期保険ではなく、現地で入れる旅行保険のようなものに入ったそうだ。保険会社を教えてもらった。最初からポスドクサンタに聞けばよかった。一応もう一度ビザ担当の人に聞いて、それでよければそれに入ろう。短期保険分の保険料が意味なくなってしまうが、1か月分の保険料なんて安いもんだし、何よりもう調べたり交渉したりするのに疲れたからお金で解決したい。改めて仮眠を始めたら、そのまま朝まで寝てしまった。
1月7日
今日は疲れていてなかなか起きられなかった。バナナとコーンフロスティーを食べてスープを作り終えたところでメールが来た。「留学生のための説明会したいんやけど」とのことだ。10時からだと思っていた説明会が9時半からだったらしい。急いでビデオ通話を始めた。参加者は私一人だったので待ってくれていたようだ。ありがとうそしてごめんなさい。基本的に知っている内容ばかりだった。ビザの種類とか、社会保障番号と運転免許の取り方とか、保険についてとか。これを今説明するということは、今までは何も知らなくてよかったのか?先回りしていろいろやりすぎていたのだろうか。少し安心した。あと、人と話すと気分が晴れる。一日中一人でパソコンに向かって四苦八苦するのはしんどい。
そういえば、ポスドクサンタに教えてもらった旅行保険に入る前に、短期保険の会社のFacebookにメールで問い合わせできないか聞いてみようか。なんかしぶしぶという感じだが、メールアドレスを教えてもらった。そのメールアドレスにビザに必要な保障内容が書かれたウェブページを送り付けた。これで答えがはっきりするだろう。
お昼ご飯として昨日残した沼を食べた。あとからシイタケを水につけたが、効果はいまひとつだった。すっかり忘れているが、もともとの沼では水を大量に入れておかゆにするし、一晩中炊飯器の保温で放置する。その間に乾燥シイタケがきちんと戻るのだろう。私が作っているのはもはや沼ではなく普通の炊き込みご飯なので、次からはちゃんと水で戻してから使おう。
ご飯を食べ終えてしばらくすると、日本から引っ越しの荷物が届いた。そもそも京都を去るときに荷物がスーツケース一つに入るはずもなく、海外引越サービスで服とか本とかを送っていた。ちゃんと日本人が届けに来てくれて安心した。これで本当に移住が完了した。服はウォークインクローゼットにかければいい。本は無駄に広い部屋だから床に並べてもいいし、そこそこある棚に入るだろう。なぜかこの部屋はクローゼットがいっぱいあるのに棚は少ない。就職する人間は物理学の参考書などは古本屋に売っていくらしいが、さすがに研究者を続ける身として専門書を手放すわけにはいかない。しかも日本語で書かれた本はアメリカの図書館では置いていないだろうからなおさら持っていかなくてはならない。
昨日の夜にiPhoneの画面保護フィルムが届いていたので、iPhone SEを箱から出してフィルムを貼ってプリペイドsimを入れた。今日から日本とアメリカの携帯電話2台持ち生活が始まる。アメリカの携帯回線はデータ容量か限られているので電話専用にするつもりだ。国で差別してくるウェブサイトを使う時だけアメリカの携帯電話でアクセスする。
電話も手に入ったし、社会保障番号の申請をしよう。社会保障番号を申請するには役所に行かないといけないのだが、コロナウイルスのせいで事前の予約が必要になっている。そして予約は電話でしかできなさそう。アメリカは電話文化なんやな。性に合わないよ。電話をかけると、案の定自動音声が流れ始めた。この世でこんなに不親切なサービスがあるだろうか?と思うくらい電話の自動音声が嫌いだ。人間が相手なら聞き返せるしゆっくり話すようお願いもできるが、自動音声には人情ってもんが無さすぎる。しかし短期保険の会社の自動音声よりは聞き取りやすい英語だったので、きちんと人間と話ができる選択肢を選べた。新しい社会保障番号が必要やねんけどと言うと、26日なら空いてると言われた。2週間以上も先なの?しかたないからそれでOKしたが、電話番号を聞かれて困ってしまった。このプリペイドsimは26日には契約が終わっている。とりあえず日本の携帯番号を伝えておいた。話がわかる人で良かった。これで社会保障番号はなんとかなりそうだ。
短期保険の会社から返事が返ってきた。「補償内容が十分かどうかこちらでは判断できないから大学に聞いてくれ」と書かれていた。なんやそれ。と思ったが、「はっきりした答えができなくて申し訳ない」と書かれていたので許した。やはり旅行保険に入ろう。ということで購入手続きに進もうとしたが、「あなたの資格では購入できません」と言われてしまった。なぜだ。保険会社への問い合わせ方法を調べると、電話番号だけでなくメールアドレスが書いてあるではないか!これは信頼できる会社だ。営業終了5分前に問い合わせメールを送ると、10分後くらいにメールが返ってきた。返事も早い!これは信頼できる会社だ。単純に私が質問の意味を間違えて「アメリカ」を選ばなければいけないところで「日本」を選んでしまったことが原因だった。日本人が日本に行くために海外旅行保険を買うという意味不明な状況を申告してしまっていたようだ。
これで一件落着かと思ったが、ビザ担当の人から帰ってきたメールには「その保険でいいから、1月4日の分から買ってね」と書かれていた。今日が7日なのに4日からの保険が買えるわけなくない?過去に始まる保険は買えへんけども……とメールを返しておいた。とりあえず明日の朝まで旅行保険を買うのは待っておこう。
晩御飯を食べて、さぼっていた昨日の日記と今日の日記を書いた。今日は手続きが結構進んで気持ちが軽くなった。そのあと明日のために干ししいたけを水につけてから寝た。ちゃんと戻ってほしい。
1月8日
バナナとコーンフロスティーを食べた後、大学でコロナウイルスの検査ができないことについて大学の病院にメールで聞いてみた。するといつもどおり「この番号に電話して」というメールが返ってきた。あなたの目の前にあるものは何?いま私とコミュニケーションをとってる手段は何?アメリカ人はなんでそんなに電話にこだわるの?だんだん慣れてきたというかあきらめてきたのですぐに電話した。はい自動音声来たー。せめて直接つながる電話番号を教えてくれよ。しかしゆっくり話してくれる自動音声だったので何とか対応できた。メールを送ってくれた人と話すところまでたどり着いた。状況を説明すると、入国後最初の検査は大学では受けられないらしい。コロナウイルスの陰性が確認できないと大学に来てはいけないので、検査を受けるためにすら大学には来てはいけないらしい。もっと早く言ってよ。CVSで予約するよ。という気持ちだったが、去年の12月21日に入国してから自覚症状はないと言うと、「そんな待ってんのかいな」と言われて大学で検査を受けられることになった。人情派のおばちゃんって感じだ。驚くべきことに、メリーランド大学では入国後だけでなく2週間ごとに検査を受け続けなければいけないらしい。つまり大学にいる何千人という人が2週間ごとに検査を受けていることになる。検査をしぶる日本とは大違いだ。無症状の人も見落とさずに隔離するという意思を感じる。それなのになぜアメリカ人はマスクをしないのか。(メリーランド大学ではマスクが義務付けられているのでみんなしていると思うが。)
保険について、ビザ担当から返事が返ってきた。本当は4日から保険に入らないといけない決まりだけど、しかたないから今から入れる一番早い日でいいよ、とのことだ。まあそうなるだろう。ということでやっとビザ担当を満足させる保険に入ることができた。保険に入ったら、その証明を大学に提出しなければならない。ウェブサイトから提出するのだが、入った保険会社を選択肢から選ぶときに大学が提供している保険しか選べない。なんで?大学が提供してくれないから自分で民間の保険に入ったんだが?ビザ担当の人にメールすると、昨日説明会をしてくれた人から「メールで送ってくれたらこっちから提出するわ」とメールが返ってきた。メールで送るとちゃんと提出してくれたようだ。なんかメリーランド大学って留学生の扱い下手なんかな?と思えてきた。コロナの検査が大学で予約できない理由を答えられなかったのは今年(去年?)初めてで慣れてないからしかたないのかもしれないけど、職員アカウントの設定方法は間違ったこと言われたし、ちゃんとした保険を紹介してくれないし、保険の証明を提出できないし。初めの面倒な手続きが終わればこんなに下手な扱いされることはなくなると思うんだけど。
沼を作った。昨日の晩につけたシイタケはちゃんと柔らかくなっている。包丁で小さく切って炊飯器に入れた。さらに、鶏肉がなくなったので今日からツナ缶を入れる。海のチキンだから陸のチキンの代わりになるだろう。食べてみると、ちょっと味が薄い?醤油が足りなかったか。シイタケは柔らかくて食べやすいが、香りがほとんどご飯に移っていて出がらしみたいだ。どうすればいいのだろうか。ツナ缶はやはりツナ缶であって鶏肉の代わりではない。まずくはないが別物だ。そしてツナ缶を小さくほぐしすぎて食べ応えが無いので、次からはあまりほぐさずに使おう。
お昼ご飯の後は化学薬品についての講習を受けた。講習といってもウェブサイト上で資料を見て、最後にちょっとしたテストを受けるだけだ。これが長い。資料が100ページ以上あるものと、80ページくらいあるものの2つ受けなければならなかった。専門用語がわからないので辞書で調べながら受けた。テストは無事通過できたが、もう夕方になってしまった。最後にもう一つ、研究者の心得的な講習もあるらしい。それを受けようとすると、これはちゃんと人間が講義するようだ。そしてその講義は1か月に1回しかなく、次の講義は21日らしい。遅すぎないか?この講習を受けないと研究室に入れないそうだ。21日まで大学に行かずに何をすればいいのだろう?この日記をいつまで続ければいいやら。1月4日か5日に「行ってきます!」と書いて終わりたかったのだが。まさかアメリカに来てから1か月も大学に行けないとは思わなかった。
無限に思えた手続きも終わりが近づいてきたので、これからやることを整理した。というかやることがなくなったから次に何をすればいいか考えた。
アメリカのクレジットカードに申し込む。今は日本から持ってきて日本の銀行口座から引き落とされるクレジットカードを使っているが、アメリカで生活するならアメリカの銀行口座から引き落とされるカードが欲しい。そうしないと日本の口座のお金がどんどん減って、アメリカの口座には貯まる一方だ。しかも日本のカードを使って海外で買い物すると事務手数料とかいうのが2パーセントくらい取られる。もったいない。アメリカでクレジットカードを申し込むには普通は何年もアメリカの銀行と取引して信用情報を築かなければならないが、日本の信用情報を使って発行してくれるアメリカのカードがあるのでそれに申し込む。
12日にコロナウイルスの検査を受ける。これでやっと大学に入れるようになる。(講習を受けてないから研究はできない。)
アメリカの銀行口座を開設する。クレジットカードを申し込む段階では必要ないらしい。しかしクレジットカードを使うには当然引き落とし口座が必要になる。アメリカ人ならインターネットで口座開設できるようだが、私は銀行に行かないといけないらしい。12日の検査のついでに近くに銀行に行こう。
給与を銀行口座に振り込んでもらうよう手続きする。銀行口座ができるまでは小切手で渡されるらしい。なんというか、アメリカではいまだに小切手なんて使ってるんやな。現金よりは安全なのかもしれないけど。日本では留学生が来たらどうするんだろう?来てすぐ銀行口座を作ってもらって、そこに振り込むようにすると思うんだけど。小切手とか現金手渡しなんてしないよね?
21日に研究講習を受ける。これでやっと大学で研究できるようになる。
26日に社会保障番号を申し込む。7日に電話したのに実際に行けるのが26日とは遅すぎないか?
運転免許を取る。運転免許を取るのに社会保障番号が必要らしい。社会保障番号と運転免許があればやっとアメリカ人並みに信用してもらえると思う。アパートに申し込むときも銀行口座をインターネットで開設するときも社会保障番号と運転免許証を持っているか聞かれる。いろいろな手続きをインターネットでできるようになればうれしいのだが。
こんなもんか。まだいっぱいあるが、今できることは少ないな。本当に21日までどうやって時間をつぶせばいいのだろう。職員アカウントをもらったからもう給料が発生しているはずなんだが、こんなことでいいのだろうか?研究するのに必要な講習が1か月に1回しかないなんておかしくない?それでアメリカ人は給料払う側ももらう側も納得してるの?安定した職業なら働かずに給料もらえれば最高なんだけど、ポスドクなんて任期付きだからいつまでも続けられるわけじゃないし、研究者はスポーツ選手みたいに成果主義だから研究できないというのは次の就職に影響するんだが。初めての研究室で、京都より通勤や自炊に時間がとられて一日が短くなって、しかも研究できない期間もあって、京都以上の成果が出せるだろうか。
不安に駆られてきたのでご飯を食べよう。と思ったが、スープが切れていた。急いでスープを作った。出来立てのスープを食べるのは初めて作って以来か。何時間か保温状態でほっといたほうが好きなんだが。そう思って食べると、やはりあまりおいしくなかった。ニンジンは甘いし、メキャベツは苦い。食べられるくらい火を通しましたよというだけで、素材が強すぎてスープとしての一体感が無い。そういえば、Amazonから冷凍ブロッコリーが来ていた。電子レンジでチンすると(「チン」とは鳴らないのだが)、こっちはおいしい。今日からは炊き込みご飯とスープに加えてブロッコリーも食べられる。だんだん豪華になってきた。疲れたので食後にすぐ寝てしまった。
1月9日
特に何をしたか覚えていないが、午前中は昨日の日記を書いていたように思う。午後からは久しぶりにネットサーフィンしていた気がする。京都にいたときは暇つぶしに毎日ネットサーフィンしていたが、メリーランドに来てからは事務仕事がいっぱいで暇がなかった。が、今できることがなくなって一気に暇になってしまった。研究が始まってもこんな感じだろう。平日は通勤と研究と自炊で手いっぱいで、週末に一気に休むことになると思う。
夕方に教授から研究テーマについてメールが来た。結局教授に紹介されたテーマをやることになりそうだ。私が考えたテーマに興味が無かったのか、それとも初めは装置の使い方を覚えるためにだれかと同じテーマをやった方がいいと思ったのか。ついでに21日の講習が終わるまで大学に行けそうにないと伝えると、「そんなことないはずやけど」と言われた。やっぱりおかしいようだ。秘書さんみたいな人のメールに書いてあったことを伝えると、その秘書さんに確認のメールを送ってくれた。早く大学に行ければいいのだが。
昨日の沼は味が薄かったので今日は醤油を多めに入れた。やはり人間は塩分をおいしいと感じるようにできているようだ。今日は本当にダラダラしていた。これが正しい休日の過ごし方なんだろう。
1月10日
今日もやることが無いので午前中はほとんど寝ていた。しかし教授と秘書さんみたいな人がメールしているので、それに合の手を入れる感じでメールをした。なんだかこの秘書さんは信頼できない気がしてきた。短期保険を勧めてきたのもこの人だし、職員アカウントの間違った設定方法を伝えてきたのもこの人だし、コロナウイルス検査が大学で予約できない理由も答えられなかったし、今だって講習はオンラインでいつでも受けられるはずだとか言ってるし。ビザ担当の人とポスドクサンタを信頼することにしよう。
沼を作った。この日記を読んだ母親から、干しシイタケは洗うものだとメールが来た。知らなかった。戻し汁の底にゴミが沈むから上澄みだけ使うものだとも言われた。今まではゴミも食べていたのか。何を洗って何を洗わないべきなのかさっぱりだ。ほうれん草に泥みたいなのがついているときだけ洗っているが、もっとしっかり全体を洗うものなのだろうか?メキャベツは洗わなくていいんだろうか?さすがに皮をむいたニンジン、ジャガイモ、玉ねぎは洗わなくていいだろう。乾燥わかめも洗わないよね?
おとといの沼ではシイタケが出がらしのようになっていた。今までは米、わかめ、シイタケ、ツナ缶、オクラの順で炊飯器に入れていたので、シイタケが水につかっていた。今日はシイタケを一番上にのせて水につからないようにしてみた。これで味が残るだろうか。原料を入れる順番というのは物理学の実験だも大事だ。食べてみると、シイタケに味が残ってる気がする。作り方を変えたという思い込みのせいかもしれないが、思い込みでもおいしく食べられるならいいだろう。
遅めのお昼ご飯を食べていると、ポスドクサンタが日本で見かける大根を持ってきてくれた。ありがたい。でもどうやって料理していいのかはわからない。京都から持ってきた電子レンジ調理器には田楽味噌で味付けするふろふき大根の作り方が載っているが、田楽味噌なんて手に入らないだろう。とりあえず次のスープに入れてみるか。調べてみると煮物がたくさん出てくるが、時間がかかるし火の管理をしたくないので気が進まない。ツナ缶と一緒に電子レンジでチンする(「チン」とは鳴らないのだが)料理があるらしいのでそれも試してみよう。ちょうどツナ缶はある。大根料理には酒やみりんを使ったものが多い。無くても何とかなるだろうか。また後輩に「必要な調味料がないのに自炊する意味が分からない」と笑われてしまうだろうか。
お昼ご飯の後はまたネットサーフィンした。京都では毎日ちょっとずつやっていたものを週末に一気にやるんだから大変な作業だ。そして昨日と今日の分の日記を書いた。昨日に何をやったのかあまり覚えていない。おそらく今日のように何もしていなかったんだろう。
もう夕方になってしまった。この家に来てからずっと掃除機をかけたかったんだ。今日かけよう。無駄に広いので時間がかかるかと思ったが、1時間もかからずにさっと終わった。物を動かすスペースがあるから小さい部屋を片付けながらやるより速いくらいだ。机といすにせずにちゃぶ台にしたのも正解だった。これなら毎週末かけられそうな気がする。掃除機を見るとほこりは入っていたが、砂は入っていなかった。安心した。ここにきて数日はこの上で寝ていたんだから。それにしても広すぎる。なぜ2部屋+ちゃんとしたキッチン+ウォークインクローゼット+ユニットバスもあるんだ。なぜこんなに広くてユニットバスなんだ。一人なら半分の広さでいいが、アメリカは不便すぎるのでこの広さで2人で住むのがいいのかもしれない。2人で住んでも料理や掃除の時間は倍にならない。日本人の非婚化の原因の一つは一人で生きていける便利な環境なのかもしれない。
大根を料理し始めた。皮をむくのはピーラーですぐできるが、いちょう切りというのが面倒だな。こんなに薄く切らないといけないのか。ジャガイモも玉ねぎも切っているが、切る回数はもっと少ない。水、砂糖、しょうゆ、めんつゆを混ぜた。調味料が多いと測るのが大変だ。砂糖溶けないし。ツナ缶と大根をタッパーに入れて調味料にひたしてレンジでチンした(「チン」とは鳴らないのだが)。途中で少し混ぜてもう一度温めて完成。平日にやるのはちょっと……という作業量だ。週末に一週間分作って冷蔵保蔵するのがよさそう。大根が常に手に入ればの話だが。食べてみると、そこそこおいしい。調味料は偉大だ。大根は色がついている程度でまだシャキシャキしているが、冷蔵庫で保存している間にもっと味が染みるらしい。やはり煮物は時間をかけないとだめだ。しかしツナ缶がいまいちだな。炊き込みご飯と味がかぶってしまう。どちらかを違うものにしようかな。
すごくおなかがいっぱいになった。当然だ。初めは本当におかゆのような沼しか食べていなかったのに、今ではスープにブロッコリーに(ぶり大根ならぬ)ツナ大根まで追加された。これは昼と夜に分けて食べたほうがよさそうだな。まずスープは大学に持っていけないので夜食べる。水筒に入れればいいのかもしれないが、それでも冷めてしまうだろう。そうするとブロッコリーとツナ大根をタッパーにつめて沼と一緒にお弁当にすることになるか。
おなかがいっぱいになって眠くなったのでまたすぐ寝てしまった。
1月11日
なんだかまだ眠いが、平日なので仕方なく大学に行くのと同じ時間に起きた。本当にこの時間でいいのかはまだわからない。アメリカ人は朝型だと聞くが、みんな何時に来て何時に帰るのだろう?バナナとコーンフロスティーを食べながら、大学に行くシミュレーションとしてバスが来る時刻を気にしていると、定刻より9分ほど早く最寄りのバス停を出発したらしい。なんてこった。日本では公共交通機関の遅延はあっても早発は無いと思うのだが。30分に1本しかないバスが9分も早発するなんて、やはりアメリカの公共交通機関は信用できない。早発の可能性も考慮して朝は行動しないといけないのか。
朝ごはんの後はプリンターの設定をした。どうやら最近のプリンターはWi-Fiでパソコンやスマホと接続するものらしい。10年前とは違うようだ。箱を開けてみると、日本語の説明書が入っていなかった。やはり社名が横文字の会社は信頼できない。と思ったが、「ここのウェブサイトを見てください」と(英語で)書いてあったので見てみると、きちんと日本語の説明が出てきた。キヤノンはカタカナとしてのプライドをギリギリ守ったようだ。パソコンで使うソフトもスマホから印刷するためのアプリもすべて日本語で使用できる。これで一安心だ。しかしこのプリンターは何回使うのだろう?京都にいたころは学部時代はレポートの印刷などに使っていたが、大学院に入るとすべて研究室のプリンターで印刷していた。1年に1回も自宅のプリンターは使わなかったと思う。メリーランドに10年もいるつもりはないし、もったいないなぁ。日本に帰るときに引っ越しの荷物として送ろうか。それとも日本で新しいのを買った方が安いのだろうか。
それから日本人向けのアメリカのクレジットカードを申し込んだ。パスポート番号は聞かれたが、日本の運転免許証番号は聞かれなかった。パスポート番号で日本の信用情報にアクセスできるのだろうか?審査が通るか不安だ。申し込みに思いのほか手間取った。おなかが減ったのでお昼ご飯を作り始めた。沼はいつもどおりだが、今日からは昼はスープをやめてブロッコリーとツナ大根にしよう。これも大学に行き始めた時のシミュレーションだ。ツナ大根が昨日よりおいしくなっている気がする。ツナの味が薄くなっている。あまりわからないが、大根に味が移っているのだろう。とりあえずツナを食べたときに沼と味がかぶるというほどではなくなった。おなかはいっぱいになったが、スープが無いと寂しい。沼の次に長い付き合いだったのに。いや、沼が現在のしょうゆ味+ツナ缶になったのなんて最近の話だ。私の健康を支えてくれていた期間はスープが一番長い。
お昼ご飯の後はいろいろなサイトやメーリングリストに登録されているメールアドレスを京大からメリーランド大学のものに変更した。いろいろ思い出しながらやったが、全部を一度に変更するのは無理な話だ。これから京大のメールアドレスにメールが届くたびに変更届を出すことにしよう。
まだ夕食には早いが、いよいよやることがなくなってしまった。と思ったが、そういえばもう一つ雇用関係でやることが残っていた気がする。よくわからないが、年金のプランを選べと言われていた気がする。あまりにもよくわからな過ぎて手を付けていなかった。「ここを見て選んでね」と言われたウェブサイトを読んだがさっぱりわからない。給与係の人に「とりあえず一番安いのは何?老後までアメリカにいるつもりはないんですけど」とメールしておいた。
さあ、晩ご飯にしよう。最近は食事が豪華になっていたが、今晩はまた沼とスープだけに戻した。ひたすらおかずを追加していくとおなかがはちきれてしまう。沼とスープだけで十分おいしい。意外としょうゆ味の炊き込みご飯に飽きずに毎日食べ続けられている。いつかのタイミングでもう一度マグマに挑戦したい。そのためにニンニクチップはAmazonで買ってある。
ご飯の後は明日のためのスープを作って爪を切ってから寝た。メリーランドに来て初めて爪を切った。だんだんメリーランドで「日常」を過ごせるようになっている気がする。明日はいよいよ初登校だ。といっても研究ではなくコロナウイルスの検査だが。メリーランドに来た日にスーパーに行って以来、3週間ぶりの外出だ。年末にアパートの受付に書類を出しに行ったが、そのときはアパートの敷地からすら出なかった。緊張する。うまく大学にたどり着けるだろうか。
1月12日
バナナとコーンフロスティーを食べてからバスを気にしていると、今日も5分ほど早発したらしい。これならもう早発を前提に動けるんじゃなかろうか?前にも書いたが、大学に行くにはまず最寄りの電車の駅までバス(または徒歩)で行く。そこで大学行きのバスに乗る。アパートの最寄りのバス停をバスが早発するなら、電車の駅で1本早い大学行きのバスに乗れるかもしれない。いつか試してみよう。今日は昼前にコロナウイルス検査なのだが、タイミングが悪く電車の駅行きのバスが無い。早朝と夕方以外は平日でも1時間に1本しかない。まったく不便なところだアメリカってやつは。しかたないので大学行きのバスが通る道まで歩くことにした。電車の駅の少し手前まで歩くことになるが、一度歩いてみるのは大事だと思う。
検査から帰ったらすぐにご飯を食べられるように沼を作っておこう。と思ったのだが、シイタケを水につけていなかった。これでは沼を作れない。しかたないのでシイタケを水につけて、検査から帰ってからご飯を作ることにした。
それから出発の時間まではホッチキスを探していた。信じられないかもしれないが、1時間くらいホッチキスを探していた。そもそもなぜホッチキスが必要になったかというと、バスの時刻表を印刷した紙をまとめたかったからだ。スマホでバスの位置や時刻表も検索できるが、やはり紙のほうが速いときもあるし、スマホの充電を気にする必要が無い安心感がある。いつもホッチキスをしまっているカバンのポケットを見ても見当たらない。ホッチキスは一応機内持ち込みの荷物からは抜いたっけ?そう思ってスーツケースを開けてみたが見当たらない。これは面倒なことになった。引っ越しの段ボールに入れたのかもしれない。ひょっとしたらそもそも持ってきていないのかもしれない。とりあえず段ボールを1時間近くあさったが見当たらなかったのであきらめた。段ボールからテレビゲームがたくさん出てきたが、絶対にメリーランドではやらない自信がある。京都から出るときは自分のものはできるだけ自分の近くに置いておきたいと思ったのでテレビゲームもメリーランドに送ったが、この不便な土地でそんなことをしている余裕が無いのは明らかだ。日通には悪いがほとんどこのまま日本に運びなおしてもらうことになりそう。
そんなことをしていると出発したほうがいい時間になった。最初は道も分からないし、余裕を持って歩き始めよう。グーグルマップによると24分かかるそうだが、ちょっと近道すると16分で行けるらしい?期待を持って近道のほうを見てみると、高速道路を横断しないと行けなくてとても無理だった。片側3車線くらいある道路の横断歩道でもないところを渡るなんて無理だ。しかも結構車通ってるし。あきらめて24分かかる道を選んだ。かなり早歩きしたせいか、18分で着いた。18分ならまあ歩けなくはないか?出町柳から京大までゆっくり歩くくらいの時間だ。というか、前にアパートからそのバス停までは出町柳から三条くらいだと確認した気がする。出町柳から三条まで速足なら18分で歩けたのか?
早く出発したし速足で歩いたのでバス停で結構時間があったが、無事に大学行きのバスに乗り、バスの中でワシントンDC版ICOCAをチャージして席に着いた。ちょうど1年前メリーランドに来た時にDC版ICOCA(スマートリップsmartripというらしい)を買っていた。バスはおつりが出ないのでこれが無いと不便でしょうがない。バスの中ではグーグルマップで自分の位置情報を確認したり周りの景色を見たりしながらそわそわしていた。このバスは途中で大きなショッピングモールを通る。車を持っている普通のアメリカ人はここで買い物するのだろう。私は面倒だからすべてAmazonで済ませているが、いつかショッピングというものもしてみたい。
無事に大学に着いた。見覚えのある景色でなんだかなつかしい。今住んでいるアパートより「ホーム」を感じられる。アパートの室内はもう慣れたが、建物から一歩出るとまだ「アウェイ」を感じる。検査は数分で終了した。インフルエンザ検査のような綿棒を渡されたので鼻に突っ込んだら「入れすぎ」と言われてしまった。0.5インチ(1.27センチ)以上入れるなと書かれている。本当に鼻の先をこすっただけだがきちんと検体を採取で来たのだろうか。結果は数日でわかるらしい。結果次第ではこの日記が延長されてしまう。
検査の後は銀行に向かった。歩いて10分ほどのところに支店があったので助かった。受付みたいな人に「口座開きたいんやけど、外国人やから社会保障番号も運転免許証もないねん」と言うと「パスポートとビザの申請に使った書類と住所の証明があれば開けますよ」と言われた。よかった。しかし「今日は予約がいっぱいだから明日来てください」と言われてしまった。また明日も来るのか。まあ研究が始まれば毎日行くんだからこれが普通か。
帰り方がわからない。グーグルマップで調べると、ここまで来たバスを逆回りで乗ってもいいし、電車の駅まで歩いてもいいらしい。電車の駅まで歩いたほうが良かったと思うが、なぜかバスを逆回りするやり方を選んだ。あの時は何を考えていたんだろうか?焦っていたのか、緊張していたのか。行きは1時間弱で来られたのに、帰りはバスのタイミングが合わず1時間半くらいかかった。やはりタイミング次第で通勤時間が大幅に変わってしまう。たいていの場合行きは予定を立てていい時間に出発できるが、帰りが何時になるかはその日しだいだ。もっと頻繁にバスがあればいいのだが。
今日は大冒険をして疲れた。もう一日分頑張ったから寝てしまいたいくらいだが、まだお昼ご飯も食べていない。作ってすらいない。沼が炊けるのを待っている間にAmazonで食材を買い足した。それからブロッコリーとツナ大根を沼と一緒に食べた。ご飯の後は申し込んだクレジットカードの追加書類を提出したり、この日記を書いたりした。Amazonでホッチキスとアルコール消毒液も買った。大学から帰ってきたときに手を洗うとともに、スマホやドアノブを消毒した。今日はビザサンタがずっと前にくれた消毒液を使ったが、すぐに無くなってしまうだろう。そう思ってAmazonで買い足した。
もう晩ご飯の時間だ。遅い昼ごはんを食べてからあまり何もしていないがとりあえず生活リズムを乱さないために食べよう。晩ご飯の後はまた移動手段を考えた。駅までのバスが平日昼間に1時間に1本しかないというのがどうしても受け入れられない。まず考えるのは自転車だが、前も書いたように自転車は盗難が多いらしい。じゃあ持ち運べる乗り物と言えば、キックボードはどうだろうか?メリーランドを法律を調べたが、歩道を走っていのかどうかよくわからなかった。アメリカの歩道は人一人分しかないからキックボードは乗らない方がいいとも思うが、人一人分の歩道を歩いている人は一人もいないので乗ってもいいんじゃないかとも思う。しかしキックボードのほうを調べてみると5 kgくらいあったので断念した。やはり乗り物は持ち歩くものではない。じゃあスケートボードはどうかというと、なぜかスケートボードのほうがキックボードより評判が悪い雰囲気がする。「公道でスケートボードは違法ですか?」みたいな質問がインターネットにたくさんある。よくわからないものには乗らない方がよさそう。君子危うきに近寄らずってやつだ。万策尽きたので徒歩という結論になった。自分の足を鍛えるのが無難。日本に帰ったときに自転車の乗り方を忘れていないだろうか。
今日の分の日記を書いてから寝た。明日は電車を使って銀行まで行こう。
1月13日
今日からコーンフロスティーの味が変わった。ずっと前にポスドクサンタに買ってきてもらった分がなくなったのでAmazonで注文した。せっかくなので味を変えてはちみつ入りみたいなやつにしたらとても甘い。おいしいからいいけど。朝食後に通勤に使うつもりのバスの位置をスマホで確認すると、今日は5分ほど遅延していた。やはりアメリカの公共交通機関は信用できない。結局バスの乗り換えがうまくいくかはその日の運次第ということになりそうだ。
朝食後は昼ご飯のために沼を作った。昨日の晩からシイタケを水につけておいたので準備万端だ。これで銀行から帰ってきたらすぐにご飯を食べられる。銀行に行く時間までは論文を読んで時間をつぶした。
銀行に行くために、今日はまずバスで電車の駅まで行き、そこから電車で大学と銀行の最寄り駅に行った。駅から銀行までは徒歩15分くらいで、意外と近く感じた。(ただし大学まではさらにそこから10分ほど歩く。)昨日早歩きしたせいで足がだるい。今日は急ぐ用事ではないので普通に歩いた。銀行での口座開設は1時間くらいで終わった。必要書類は昨日確認していたのでトラブルはなかった。これで給料を口座振込にしてもらえるはずだ。小切手を手渡しなんて時代遅れにもほどがある。
さあ、昨日と同じく帰りが問題だ。今日は電車で帰ろう。アパートの最寄りの電車の駅までは問題なくたどり着いたが、1時間に1本のアパート行きのバスがちょうど行ったところだった。グーグルマップで調べると、別の会社が運航しているバスがあるらしい。これも1時間に1本だが、タイミングよく10分後くらいに来る。それに乗ることにした。ワシントンDC版ICOCAのsmartripは使えず、運賃は現金でピッタリ用意しないといけなかった。何度かアメリカ出張を経験してたまたま1ドル札を持っていたからいいけど、ずっと現金を用意しないといけないのは面倒だな。両替機すら見当たらなかったし、ATMで1ドル札を引き出し続けるしかないのだろうか。行きは40分弱で着いたし、帰りも50分くらいで帰れたと思う。別会社のバスでもsmartripが使えればなー。別会社のバスも1時間に1本しかないので、結局帰りの方法はそのときどきでグーグルマップで調べないといけない。最悪の場合は大学からアパート最寄りの電車の駅までバスに乗って、駅から25分くらい(速足で18分)歩くことになる。これだと大学でどれだけバスを待つかによって最大で1時間半くらいかかってしまう。しかもほとんど待ち時間か歩いている時間だ。不便。こんなのは最初だけで、大学に行き始めればバスが比較的頻繁にある通勤時間に行動すれば移動時間は短縮できるのだろうか。
家に帰ってご飯を食べてからはまたまた交通機関について考えた。あたらしいバスを発見するとそれを使ってもっと効率的な(というか待ち時間が少ないというか頻繁にあるというか)行き方があるんじゃないかと悩んでしまう。結局ないのだが。何をどう頑張ってもここは不便だ。
論文を読んでいるともう晩ご飯の時間になってしまった。食べようとしたが、スープを温めるのを忘れていた。いつもはマルチクッカーの保温機能で温めるのだが、それでは遅い。早く食べたいのでビザサンタがくれたアルミ鍋で温めることにした。鍋でスープを混ぜながら温めているとき、京大卒エリートの私は気づいてしまった。これにカレールーを溶かせばカレーになるんじゃないか?なんということだ。スープをカレーに変身させる方法を思いついてしまったぞ。ご飯を食べながらAmazonで検索すると、日本のカレールーが売っているではないか。それならシチュールーを溶かせばシチューになるんじゃないか?なんということだ!一瞬で料理のレパートリーが2つも増えた。スープを作っておけば、その日の気分でスープのまま食べたり味噌汁にしたりカレーにしたりシチューにしたりできるではないか。炊き込みご飯と白いご飯を毎日交互に2合ずつ炊けば、昼は炊き込みご飯をタッパーにつめて研究室で食べ、夜は白いご飯とカレーなどを家で食べられる。毎食違うものが食べられる。すばらしい。
今日は大事な仕事を終えたし大発見もしたので満足感に浸りながら寝た。
1月14日
バナナとコーンフロスティーを食べた後は炊き込みご飯を作ったのだが、今日は炊飯器を台所から寝室に移動させてから炊き始めた。今日は台所とお風呂の害虫除け(?)業者が来るらしく、台所とお風呂を空っぽにしろと言われていた。本当は昨日の夜やるつもりだったが、満足感に浸ったまま寝たかったので早起きしてやることにした。台所を空にしろと言われてもなかなか困るが、無駄に広いこの家ならできてしまう。それにしても、害虫除けなんて私が入居する前にやっておけよって感じだ。どうやら建物全部の部屋を一日でやるらしい。たしかに業者からすればその方が効率的だろうけど。しかも私が不在でも勝手に部屋に入ってやるような張り紙がしてあった。アメリカの賃貸はプライバシーの意識が日本より低いのだろうか。ほかにも、「退去の10日前くらいから掃除業者が出入りします」みたいに契約書に書いてあった気がする。京都で住んでいた賃貸では、消防装置やガス設備の点検には必ず立ち合いが必要で、留守の時に勝手に誰かが入ってくることはなかったと思う。家にいなくてもいいというのも楽なのかもしれないけど、個人的にはプライバシーが尊重される日本がいいなー。
お風呂場からも歯ブラシやバスタオルを避難させたのだが、ちょっと掃除したいな。しかしどうやって掃除したらいいんだ?風呂掃除の仕方を知らないわけではないが、このお風呂はあまりにも勝手が違う。シャワーが取り外せず、決まったところにしか水がかからない。つまり洗剤を使っても場所によっては水で流せない。「水だけで汚れが落ちる」みたいなスポンジでこするしかないのだろうか。とりあえず今日のところはキッチンペーパーで軽くふいておいた。
ひととおり掃除が終わったのでメールを確認すると、12日に受けたコロナウイルスの検査結果が来ていた。ドキドキしながら開くと無事に陰性だった。これで大学に行ける。この日記も終わりが見えてきた。
残りの一日は論文を読んだり、給料を銀行口座に振り込んでもらうための書類を提出したり、クレジットカード会社に本人確認の電話をしたり、Amazonで掃除用具や食料やカレーとシチューのルーを買ったり、日本への絵葉書を書いたりして終わった。いよいよ論文を読むしかやることがなくなってきた。次の予定は21日の研究講習だ。あと1週間もどうやって過ごせばいいのやら。そして害虫除け業者は来なかった。なんでやねん。来るって言ったなら来いよ。向かいの部屋や上の部屋に入っていくのは足音やのぞき窓から確認したから、私の部屋だけ飛ばされたんだと思う。やはり入居前に作業していたのか?それなら来るって言うなよ。また私の中でアメリカの株が下がってしまった。
1月15日
今日は一日中論文を読んでいたと思う。新しいテーマを始めるための勉強といえばかっこいいけど、やることがないだけだ。
昼過ぎにやっとAmazonから座椅子が届いた。背もたれがあるって素晴らしい。これで少し集中力が続く気がする。しかし背もたれに体重をかけすぎて後ろにひっくり返ってしまった。そしてノートパソコンごとちゃぶ台をひっくり返した。幸いパソコンは壊れなかった。このパソコンは大学入学前に買ったので10年使っているが、いまだに現役だ。ノートパソコンとしては当時いちばん高性能のものを買ったと思う。高かったが10年使えているんだからいい買い物だった。
メリーランド大学では2週間ごとに勤務表を提出するので、1月3日から今日までの分を提出した。なにも研究した気がしないが、これで教授はお金を払ってくれるのだろうか。私のせいではないのだが、ちょっと申し訳ないな。
夜になって、パソコン用のディスプレイを買うことにした。画面が1枚しかないと効率が悪い。しかもディスプレイがあればテレビゲームができるし(数日前に「絶対にメリーランドではやらない自信がある」と書いたところだが)、TVerとかAmazonプライムビデオとか観やすいんじゃないだろうか。アメリカで英語の番組が映るテレビはいらないと思うけど、せっかく日本からアクセスしてると思われる携帯回線を使っていることだし、動画のオンラインストリーミングサービスを使ってみるのもいいかもしれない。ちゃんとTVerが見られることをパソコンで確認して、Amazonで1万円ちょっとのディスプレイを注文した。テレビに比べてディスプレイは安い。
晩御飯を食べて寝た。カレールーが明日届くらしい。明日の晩御飯はカレーにしよう。楽しみだ。
1月16日
今日は休日だがいつもどおりの時間に目が覚めた。Amazonから荷物が届く前に段ボールやペットボトルを捨てて掃除機をかけた。2週連続で掃除機をかけるなんていつぶりだろうか。一人暮らしというのは最初のうちはやる気がある。このやる気がいつまで続くことやら。
お昼ご飯にいつもの炊き込みご飯を食べていると、Amazonからたくさん荷物が届いた。ディスプレイ、カレーとシチューのルー、お米、掃除用具、アルコール消毒液、養生テープだった。今晩はカレーにしよう。
お昼ご飯の後は2週間分の洗濯をした。少し洗濯物を溜めすぎな気がする。しかしコインランドリーで洗濯するので、なるべく溜めたほうが節約になる。洗濯機にギリギリまで洗濯もの入れてスイッチオンした。今は日本から持ってきた洗剤と柔軟剤を使っているが、これもいずれ無くなるのでAmazonで探さないといけない。なるべく知っているメーカーの物買いが、あるだろうか。洗濯洗剤だけでなく食器を洗う洗剤も今は日本から持ってきたものを使っている。こっちは半年くらいもってくれそう。
それからディスプレイを箱から出して、あーでもないこーでもないとパソコンとの配置を考えた。ちゃぶ台に置くと高すぎる気がするが、床に置くと低すぎる。あと23.8インチを買ったら結構大きかった。ノートパソコンと同じ距離で見ると大きすぎるくらいだ。どうしたものか。とりあえずちゃぶ台に乗せてしばらく使ってみよう。
晩御飯にカレーを食べようとしたが、ご飯を炊いていなかった。そうか。炊き込みご飯ならあるけど白いご飯を炊かないといけないんだ。どれだけ炊けばいいのかわからないので3合炊いた。これで明日の分もあるだろう。3合の半分は冷蔵庫に入れた。そしてスープを鍋に移してカレールーを溶かした。S&Bは名前は横文字だが日本企業で、ちゃんとカレールーの箱に日本語で作り方が書いてあった。やはりカレーはおいしい。かなり具沢山のカレーだがそれがいい。しかし1.5合は少し多かった。次は2合半にしてみよう。
カレーを食べながらTVerでアニメを見た。しかし最新の1話しか配信されていないので途中からだ。やはりNetflixでも契約しようかな。しかし週末に少し見るだけなのに見放題サービスを契約するのはむしろ損な気がしてしまう。どうしたものか。月に数百円くらい間違いなく払えるのだが、馬鹿にできる金額ではない。とりあえず研究生活が始まるまで少し様子を見よう。
カレーはおいしかったが、食べた後の皿や鍋を見ると心が折れそうになる。どうやって洗えばいいんだ。とりあえずスポンジが汚れないように水で洗って、油だけ洗剤とスポンジで落とした。これはかなり面倒だ。食事の準備は食べるために頑張れるのだが、後片付けが面倒でしょうがない。カレーを食べ続けるために頑張ろう。
カレーを食べるとすごく眠くなったのですぐに寝た。消化に悪そう。今日は掃除も洗濯もしたし初めてカレーも作ったし大満足だ。京都でもこれくらい人間らしい生活をするべきだったのかもしれない。自転車でふらっと研究室に行けてしまう環境も考え物だ。ワークライフバランスが崩れて研究一色になってしまう。
1月17日
今日は昼まで寝ていた。毎日それなりに疲れているはずなのになんでこんなに朝に目が覚めるんだ?と思っていたので眠れたことに少し安心した。どうせ起きてもやることはない。昼の時間だが、とりあえず朝ごはんとしてバナナとコーンフロスティーを食べた。それから昨日の分の日記を書きながらAmazonで売っている洗剤や動画配信サービスを調べた。洗剤はアリエールが売っているが高い。これはあきらめて知らないメーカーの物を買おう。動画配信サービスは正直いってよくわからない。Netflixが高いことだけはわかった。しかし配信サービスではNetflixが一番人気だとも聞いた気がする。安いものから始めて、不満があれば高いサービスに乗り換えればいいか。しかし日本からやってないテレビゲームや読んでない本などを持ってきているので、まずはそれを消化してからにしよう。
そんなことをしているともう夕方だ。だいぶ遅めのお昼ご飯を食べよう。昨日の炊き込みご飯と、昨日あたらしく作ったツナ大根と、ブロッコリーを食べた。昨日までは1週間前に作って冷蔵庫で寝かせたツナ大根を食べていたが、今日のツナ大根はまだ味が染みてない。結構変わるもんだなと思った。これでポスドクサンタからもらった大根を使い切ってしまった。来週からは何を食べよう。インターネットで検索すると、ピーマンをめんつゆや鰹節で味付けした料理があるらしい。電子レンジでできるしツナ缶を入れてもよさそうだし、これにしよう。ピーマンならAmazonで手に入る。
ご飯を食べながら今日はTVerで鉄腕DASHを観た。テレビとして離れて観るには画面が小さい。中途半端な大きさの画面を買ってしまった。ご飯の後はパソコンについて調べた。今使っているものはノートパソコンとはいえ15.6インチもあって持ち運びたくない。京都では研究室にデスクトップパソコンを置いており、出張中にブラウザとプレゼンソフトを動かす用途にはキーボードがついたタブレットという感じの安くて性能の低いものを使っていた。京都で使っていたデスクトップは科研費で買ったものなので海外には持ってこられなかった。(国内のほかの大学になら持って行けたらしい。日本に帰ったら返してもらえるだろうか。)メリーランドで研究する用のパソコンが欲しいところだ。京都のようにデスクトップを研究室においてそれをメインに使うのか、それとも高性能のノートパソコンを買うべきか迷う。絶対にデスクトップのほうが安くて高性能なのだが、コロナ禍で研究室にあまり行けないならノートパソコンを買った方がいいのだろうか。京都大学では自宅から研究室のパソコンをリモートコントロールできたが、メリーランドではどうなんだろう?研究室のみんなはどうしているのだろう。これも研究室の雰囲気がつかめるまでしばらく様子見しようかな。でもノートパソコンを買いたくない理由はほかにもある。リチウムイオン電池がついているので飛行機での持ち運びが面倒なのだ。スーツケースや引っ越し段ボールには入れられず、機内持ち込みしないといけない。すでに今使っている15.6インチのノートパソコンと京都で持ち運び用に使っていたキーボード付きタブレットの2台持っているのに、これ以上増やすと日本に帰る時に大変だ。バッテリーが取り外せるものを買えばいいのだろうか。
そんなことをしているともう晩ご飯の時間だ。今日は昨日炊いた白いご飯を食べるわけにはいかない。なぜなら、炊き込みご飯と白いご飯を同じ日に食べきってしまうと、2日に一回炊き込みご飯と白いご飯を同時に炊くことになってしまう。一日ごとに交互に炊くリズムを作りたいので、白いご飯は明日に取っておかなければならない。昼ごはんが遅くてあまりおなかが空いていないので、今日は軽く別のものを食べよう。実はクリスマスにビザサンタが持ってきてくれた冷凍のおでんとうどんがある。これを食べよう。やはりおでんはいい。おいしいし、それ以上になんだか安心する。しかし京都のスーパーで売っていたものと違う具が入っているのはなぜだろう。パッケージを見る限り日本企業の商品だと思うのだが、京都以外の地域ではこういうおでんを食べているのだろうか。
晩御飯を食べながらまたTVerで孤独のグルメなどを見た。テレビを見ながら長時間だらだら食べているとなんだか食べ過ぎてしまった。おなかいっぱいだ。冷凍庫にうどんがまだまだあるのだがどうしたらいいのだろうか。いつか炊き込みご飯とカレー以外のものが食べたくなった時に食べよう。
食事の後もまたパソコンを調べた。買わないパソコンを調べるのはウィンドウショッピングのようで楽しい。だいぶ夜更かししてから寝た。
1月18日
昨日だいぶ夜更かししたのに朝に起きてしまった。とはいえ大学に行く時間よりは遅いのだが。金曜日に勤務表を書いていて気付いたのだが、今日はアメリカではキング牧師誕生日という祝日らしい。誕生日のくせに1月の第3月曜日という曜日指定の祝日なのがおもしろい。ということで今日も休みだ。調べてみると、アメリカの休日は少ない。元日、キング牧師誕生日(1月第3月曜日)、大統領の日(2月第3月曜日)、春休み(今年は3月15日と16日)、戦没者追悼祈念日(5月最終月曜日)、独立記念日(7月4日だが5日に振り替え)、労働者の日(9月第1月曜日)、コロンブスの日(10月第2月曜日)、退役軍人の日(11月11日)、感謝祭(11月第4木曜日)、感謝祭のついでの祝日(感謝祭の翌日)、クリスマス(12月25日だが24日に振り替え)、冬休み(今年は12月30日)の14日が祝日だ。しかし大学が祝日どおりに休みわけではなく、大統領の日に働く代わりに12月27日に休んで、コロンブスの日に働く代わりに12月28日に休んで、退役軍人の日に働く代わりに12月29日に休んで、(12月30日は冬休みで、)来年の正月の振り替えとして12月31日に休むらしい。年末年始に連休を作るために別の祝日に休む権利を使うとは驚いた。そんなに祝日を動かして記念日として意味があるのだろうか。京都大学では12月29日から1月3日まで「冬休み」として連休なのに。
バナナとコーンフロスティーを食べた後にまた寝てしまった。昨日からの睡眠時間を考えれば当然だ。そして気づいたらとっくに昼を過ぎていた。昼ご飯を食べようと思ったが、また干しシイタケを戻すのを忘れていた。まだ生活リズムが確定していない。炊き込みご飯は夜にして、昼はシチューと白ご飯を食べよう。ハウスのクリームシチューには日本語の説明が無い。なぜなんだ。あとから牛乳を入れるのを知らずに具沢山スープに水を足してしまった。牛乳を入れたらだいぶ水増ししたシチューになってしまった。そして味が濃い。ルーを入れすぎたみたいだ。次からは水を入れずにルーを減らそう。ホウレンソウやメキャベツなどの具はカレーよりもクリームシチューに合ってる気がする。ご飯を食べながらまたTVerを見た。京都ではそもそもあまりテレビを見なかったが、TVerを楽しむという気持ちがあれば見るものはいっぱいある気がする。
日記を書いていたらもう晩ご飯の時間だ。昼ごはんが遅かったせいで晩ご飯が早く感じる。シイタケも戻っているだろうし、炊き込みご飯を作らなくては。炊き込みご飯を炊き始めて、待っている間にシチューの洗い物をしたりスープを作ったりした。シチューは放置すると固まってめんどくさいということを学んだ。炊き込みご飯を食べながらまたTVerを見た。とりあえずご飯の時は何かつけるようにしようかな。でも食べるのが遅くなってしまうので休日だけにしておこう。そういえば、アメリカに来てから卵を食べていないことに気づいた。どうやら卵もAmazonで売っているが、割れずに配達してくれるのだろうか。卵も電子レンジで調理できるので次に食材を頼むときに注文しよう。
今日はがっつり昼寝をしたが、明日は平日なので早めに寝た。
1月19日
今日は30分ほど寝坊してしまった。大学に行かないから寝坊もないのだが、これでは乗りたいバスに間に合わない。やはり、自転車と違ってバスに合わせて起きないといけないというのは大変だ。しかも、実際に大学に行く前にはお昼ごはんを作るんじゃないのか?前日にタッパーに入れておいた炊き込みご飯とブロッコリーとツナ大根を電子レンジで温めないといけない。今よりさらに10分ほど早起きしないといけない気がする。どんどん一日が短くなる。大学で8時間も労働する時間あるのか?
バナナとコーンフロスティーを食べたあとは、京都の研究室の後輩の学会発表の相談をしたり、また論文をチェックしたりした。昼からはメリーランドの教授と研究の相談をした。研究してないから相談もなにもないのだが、やっぱりこうしたほうがいいんじゃないかとかこの作業は誰に教えてもらえるとか、実際に会って話せばすぐ終わることをメールで何往復もしている。私にとっては時間つぶしになっていいのだが、教授の時間を食いつぶすのは非常に申し訳ない。それから5日に書き始めて途中で止まっていたアメリカ留学の手引きの続きを書き始めた。やはり大作になりそうだ。ホテルに泊まって旅行するのと違い、外国に生活の拠点を築くというのは大変な作業だ。
晩御飯は白いご飯と、久しぶりにスープに味噌を入れて味噌汁にしよう。なんだか炊きたての白いご飯が美味しく感じる。やっぱり炊き具合が炊き込みご飯と違う気がするんだが、気のせいだろうか。そして久しぶりの味噌汁も美味しい。最初の方に食べたときは炊き込みご飯と一緒だったと思うが、白米と一緒に食べるのはメリーランドでは初めてかもしれない。白米と具だくさん野菜味噌汁という昔の農民のような食事だが、満足度は高い。カレーやシチューに浮気しても、結局日本人は白米と味噌汁に戻ってくるものだ。そしてカレーやシチューに比べて圧倒的に洗い物が楽なのも良い。
夜になって、京都と少しメールのやり取りをしたあとに早めに寝た。明日は早起きしたい。生活リズムがどんどん朝方になっていく。
1月20日
朝起きると、昨日の夜に京都の研究室からミーティングのお誘いが来ていた。京都にいたときは間違いなく起きていたし、何なら大学にいることもあった時間だが、アメリカで朝方の生活をしているせいで気づけなかった。今日もひたすら論文を読む。それしかやることがない。
水曜日なので、昼前にメリーランドの研究室のミーティングがあった。みんなそれなりに実験しているようだが、毎週大した成果が出るわけではないので一人あたりの報告は短い。ずっと家で論文読んでますと報告すると、教授から「大学きてもええんやで」と言われた。それは知っているが、コロナウイルスの影響で建物が施錠されていて、明日の研究講習を受けるまでカードキーを登録してもらえない。「研究室の誰かに頼んで入れてもらったらいいから」とも言われたが、そんな都合よく誰か来てくれるだろうか。
ご飯を食べようと思ったが、また作るのを忘れていた。ミーティングが11時からなので、ミーティングの前にご飯を仕込まないとお昼に食べられない。2週間前と同じ過ちを犯してしまった。今日も遅いお昼ごはんになった。
御飯のあとはまた論文を読んた。するとこれから一緒に実験することになる学生から「明日実験するけど見にけーへん?」と連絡が来た。もちろん行く。ちょうど教授にも大学に行くことを勧められたし、すこしでも実験の気分を味わえる。午後から実験するらしいので、朝に大学に行って職員証をもらおう。(職員として登録はされているがカードはまだもらっていなかった。)
晩御飯はカレーを食べた。すると日記を読んだ母親から、「炊き込みご飯は傷みやすいから2日目の弁当にはするな」との連絡が来た。なんてこった。弁当にできないなら炊き込みご飯の存在価値とは何なんだ。そして炊き込みご飯以外にタッパーに詰められる料理を私は知らない。白ごはんは炊けるので、なにかおかずを考えなければ。しかし毎日おかずを作る時間なんてあるわけないので、ツナ大根のように週末に1週間分作れるものを考えなければならない。(1週間前に作ったものをお弁当にするほうが危ないんじゃないかとも思うが。)大根の次はピーマンを使うつもりだったが、めんつゆ味のツナピーマンはおかずになるだろうか。
明日は遅くなるかもしれないので、夜の分の白ごはんを炊いてから寝た。明日の夜に炊けるように予約したかったが、さすがに1日近くも先に予約はできなかった。炊きたてご飯を食べずに冷蔵庫に入れるというなんだかもったいないことをした。
1月21日
今日はいよいよ初出勤だ。と言っても実験はしないが。バナナとコーンフロスティーを食べたあと大学に向かった。乗り継ぎのタイミングの問題で、今日も電車の駅まで歩くことにした。少しギリギリになったので小走りで行ったのだが、やはり18分かかった。速歩きと変わらない時間だ。パソコンを入れて荷物が重たくなったからか、それとも小走り以外の歩く速さが遅かったからか。こんなことなら速歩きのほうが楽だったと思う。
大学に着いて、職員証をもらった。この職員証の磁気テープが建物や部屋の鍵になる。しかしまだ登録されていないので今日は誰かに頼んで開けてもらわないといけない。研究室のスラック(グループチャットみたいなもの)に「誰か入れてくれへん?」と投稿した。返事がない。しばらくすると数人から「今日は昼から行くわ」と連絡が来た。ほらね。そんな都合良く誰かいないから今まで来たくなかったんだよ。昼から来るといううちの一人から、「この人に連絡すればいいよ」と事務員さんか誰かの電話番号を教えてもらった。(アメリカではみんな下の名前で呼び捨てにするので、誰がどんな役割・地位の人なのか全然わからない。この人は事務員さんではないのかもしれない。)電話してみると、その人も今日は来ないという。万策尽きた。結局誰か来るまで1時間弱散歩した。今日は来ないと言っていた事務員さんだが、別の事務員さんに連絡してくれた。その人はもうすぐ来るそうで、よくわからないが講習を受けなくても入口を開けられるように登録してくれるらしい。これで明日からは自由に出入りできる。ところが今日来る方の事務員さんは今まで誰かの登録をしたことがないらしく、来ない方の事務員さんと電話しながら四苦八苦して登録してもらった。
もう昼じゃないか。実は12時から別の講習を受けることになっていた。実験とは全く関係ないのだが、パソコンを使った電子署名の使い方の説明会に暇つぶしのために登録しておいた。こんなことなら登録しなきゃよかった。お昼ごはんとして昨日炊いた炊き込みご飯を持ってきていたのだが、説明会までに食べる暇がなかった。
説明会のあとは予定どおり実験を見せてもらった。(お昼ごはんを食べられなかったのは予定外だが。)実験のあとは大学で講習を受けるつもりだったのだが、実験が意外と早く終わったので家に戻ってきた。どうせ講習はビデオ通話で行われる。講習の前に遅いお昼ごはんをササッと食べた。講習はひたすら長かった。もう晩御飯の時間だ。あまりお腹が減ってなくてあっさりしたものを食べたかったのでカレーやシチューではなく味噌汁にした。
明日は午後から実験する予定だ。いよいよ自分で実験できる。1か月以上手を動かしていない。なまってなきゃいいけど。
1月22日
今日から自分で実験を始められる。まずは装置の使い方を教えてもらわないといけないが、教えてくれる人が午後からしか時間がないらしい。私も昼ごはんを食べてから行くことにした。バナナとコーンフロスティーを食べたあとは、おもにこれからの昼ごはんのことを考えていた。ずっと昼から行くことにしようか?でもそれだと実験時間が短くなる。炊き込みご飯を冷蔵保存するのではなく、ちゃんと毎朝炊けばいいのだろうか?それでも朝に炊飯している時間がもったいない。炊き込みご飯は予約炊飯できないらしい。梅干しおにぎりにしたら防腐効果あるよと母親に言われた。インターネットで調べると梅ペーストを混ぜたおにぎりがあるらしい。Amazonで梅ペーストが売っている。(普通の梅干しも売っていた。)にぎる意味はあまりわからないので、梅ペーストご飯をタッパーに詰めていくことにしよう。そうするとおかずだ。炭水化物だけでお腹を満たすと糖尿病になってしまう。日本の貧困層はおかずをもう一品頼むのではなく安価なご飯大盛りなどでお腹を満たすため、痩せるのではなくむしろ太って糖尿病になると聞いたことがある。そうならないために、ご飯以外にもなにか食べないと。冷凍ブロッコリーを朝にチンする時間はあるだろう。(「チン」とは鳴らないのだが。)ピーマンも週末に切って冷凍しておけば朝にチンできるはず。ツナピーマンにするつもりだったが、ツナ缶は使わずにピーマンだけにして、かわりにAmazonで売っている冷凍のフライドチキンを食べることにしよう。そうすればツナを混ぜる時間が省けるし、ツナ缶よりもタンパク質と脂質が取れる。今までは健康的な食事を意識して出来合いの冷凍食品を避けてきたが、さすがにまったく使わないのは無理だった。
食事の予定をまとめておこう。週末にピーマンを切って、一日分ずつラップに包んで冷凍する。翌朝に白ごはんが炊けるように夜の間に予約する。予約炊飯ができるのが白ごはんのいいところだ。朝にごはんと梅ペーストとかつお節を混ぜる。混ぜながらブロッコリー、ピーマン、フライドチキンをチンする。ピーマンにはめんつゆで味付けする。ご飯とおかずをタッパーに詰めて大学で食べる。夜は白ごはんとカレーかシチューか味噌汁かスープか。こんなもんだろう。日本からタッパーを2個持ってきた自分は先見の明がありすぎなんじゃないかと思う。しかしあと30分くらい朝に早起きしないといけない気がする。むしろ大学に行く時間を遅くしよう。どうせほとんどの人は朝に来ない。
結構時間が過ぎたので炊き込みご飯を作ろう。と思ったが、また干しシイタケを戻すのを忘れていた。何回同じ失敗を繰り返せば気が済むんだ。どうやら水に入れて電子レンジで温めると数分で戻るらしい。温めたシイタケは電子レンジに放置して、さきに今晩のスープを作った。これからは炊き込みご飯が食べられなくなると思うと残念だ。大学に行かない週末はこれからも炊き込みご飯にしよう。食べてみると、戻っているシイタケと戻っていないシイタケがある。短時間の電子レンジでは均一には戻らないようだ。
ご飯を食べて大学に向かった。今日も電車の駅まで歩きだ。やはり速歩きで18分だった。かかる時間が一緒なので、走ったり歩いたりを繰り返すのではなくずっと速歩きすることにしよう。家を早く出たせいでバスが来る時刻の10分前くらいについた。スマホで時間を潰していてふと顔を上げると、乗るはずだったバスが通り過ぎていった。なんでやねん!まだ予定時刻の5分前やし、なにより人がバス停で立ってるのに通り過ぎるか?アメリカのバスはこういうものらしい。バス停ではずっとバスが来ないか見続けないといけないと学んだ。しかたないので20分後の次のバスまで待った。電車の駅から大学までのバスは20分に1本あるが、アパートから電車の駅までのバスは通勤時間帯でも30分に1本、平日昼間や休みの日は1時間に1本しかない。乗り過ごしたのが大学までのバスでまだ良かった。
大学に着いて職員証を建物の入口にかざすと、無事に鍵を開けることができた。これで好きな時間に自由に建物に入れる。まだ少し早いので、机に置いてあるパソコンの設定をした。京都では個人で持ち込んだパソコンを使っていたが、メリーランドでは大学が用意したパソコンを使うのが普通らしい。大学の職員アカウントに紐付いたマイクロソフトアカウントが用意されている。ただしパソコンの管理者権限は与えられていないので、設定できることが制限されている。17日にノートパソコンを買おうかデスクトップを買おうか悩んだのがまったく無駄になってしまったが、大学がパソコンを用意してくれるならそれを使おう。色々設定していたら、実験を教えてくれるという人がやってきた。いよいよ実験かと思ったが、実験室に行ってみると試料合成に必要な原料が見当たらない。グループチャットで聞くから待っててくれと言われた。パソコンの設定やメールのやり取りをしながら2時間くらい待った。結局原料は見つかったのだが、作業に必要な装置を他の人が使っていたので今日のところは無理という結論になった。昼過ぎに来て5時間以上いたのにパソコンの設定とメールのやりとりで終わってしまった。唯一の収穫は、大学のパソコンは家から遠隔操作できるとわかったことだ。
帰ろう。もう夕方じゃなくて夜だ。大学でバスを待っていると、またバスが私を無視しかけたので手を振ってアピールした。そもそも一番右側の車線を走っていないし(アメリカでは車は右側通行)、客を乗せる気があるのだろうか?ちょうど電車の駅から家までのバスに乗り継げる時間なので、帰りはすべてバスで帰ることにした。しかしこれが失敗だった。電車の駅でバスを待っていると、バス停でひたすら叫んでいるおばさんがいる。ちょっと怪しいというか怖いが、こういう人は日本にもいる。しばらくすると、行き先が「Not in Service(回送)」になっているバスが停まった。そしてみんなそれに乗り込んでいく。ひょっとしてこれがアパートに行くバスなのか?運転手に確認すると、めんどくさそうに「Yes」と言われた。表示が回送になってるけど?というと、「さっき似たような質問に答えたよな?」と言われた。おぉ……客を客と思わないこの感じ、アメリカやなーと変に感心した。そして車内では叫んでいるおばさんに向かって運転手が「黙れ!」と叫び続けていた。ある意味頼もしい運転手なのだろうか。しかしおばさんは叫び続けた。とりあえず乗っているが、妙にスピードが速い気がする。そして停留所のアナウンスが少ない気がする。暗くて外が見えないのでスマホのGPSで現在地を確認すると、アパートを通り過ぎていた。急いで降りた。幸い行き過ぎたのは歩いて数分の距離だったが、何が起こったのだろう?単純にスピートを出してバス停を飛ばしまくっただけだろうか。ひょっとして違う道を来たんじゃなかろうか。夜は乗客も乗務員も質が下がると学んだ。
晩ごはんは久しぶりにスープのまま食べた。白ごはんにはビザサンタが買ってくれたゆかりをかけた。炊き込みご飯は毎日食べられたが、カレーやシチューは毎日食べると飽きてしまう。味噌汁やスープなら飽きにくいだろう。
晩ごはんのあとはまた大学への行き方を考え直した。今日はバスに恵まれない一日だった。アメリカに来た時に床で寝るのは耐えられたが、こんなバスで通勤するのは床で寝る以上に嫌だ。アメリカが車社会なのは、公共交通機関が使える範囲や時間が限られているだけでなく、サービス面での質の悪さも原因だろうと思った。そしてみんな公共交通機関を使わないからサービスも改善されないという悪循環。やはり車を買うしかないのか。少し調べてみると、中古車でも100万円するのが普通らしい。アメリカでは中古車が人気のようだ。うーん、やはり車は最終手段だな。日本では一般的ではないが、電動キックボードが最近アメリカで増えているらしい。自転車くらいの速さが出るようだ。これなら電車の駅までバスを使わずに行ける。電車の駅から大学までは(都会行きなら質はそこまで悪くないと期待して)バスに乗ってもいいし、電車に乗って大学の最寄り駅からまた電動キックボードに乗ってもいいし、大学までずっと電動キックボードでも30分ほどらしい。これにしよう。最終的に車を運転するにしても、アメリカでの車の雰囲気を把握する練習になるかもしれない。とりあえずAmazonで電動キックボードとヘルメットと盗難防止の鍵を買い物かごに入れた。月曜日に大学に行って駐輪スペースを確認してから注文しよう。
今日は肉体的にもそこそこ、精神的にはかなり疲れた。帰りのバスで運転手に「さっき似たような質問に答えたよな?」と言われたのが頭から離れない。悲しいとか腹が立つ以前に、あまりに衝撃的すぎて心が消化不良を起こしているようだ。あんな敵意と言えるくらいの拒絶を示されたことは日本であっただろうか。おそらく消化不良のまま忘れたほうがいいだろう。疲れているのでさっさと寝た。
1月23日
なにもない土曜日が平和だ。研究はやっていけると思うのだが、通勤とか事務仕事が日本とは比べ物にならないストレスだ。言葉の壁はもちろんだが、全体的にサービスが悪い。これが文化の違いってやつなのだろうか。はっきりいって「差異」ではなく「優劣」だと思う。「日本と違う」ではなく「日本より悪い」。特に昨日の一件で、アメリカにおける公共交通機関は身分の低い人向けの粗悪なサービスなんじゃないかと思えた。ずっと思っていたが、バスに乗っている人は大学にいる人達とは雰囲気が違う。(おそらく大学にいる人はアメリカでは結構な上流階級なので比べるべきではないのかもしれないが。)人間は暇だとネガティブになるらしい。今はめんどくさいことや不満で頭がいっぱいだ。早く研究に熱中して研究で頭を一杯にしたい。バナナとコーンフロスティーを食べたあとは二度寝した。平和だ。
昼には昨日炊いた炊き込みご飯の残りを食べた。またTVerを見た。ちょっと見るものを広げすぎて週末の食事中だけじゃ見きれない気がしてきた。睡眠時間が短くなるかもしれないが、平日の食事中も見よう。それくらいの娯楽は許されるはずだ。そのあとで部屋を片付けた。ディスプレイを買ったときのダンボールや、1週間分のミネラルウォーターのペットボトルを捨てた。そうこうしているとAmazonから食料が届いた。バナナ、牛乳、ピーマン、卵、梅ペースト、かつお節などだ。卵は無事に割れずに届いた。ピーマンがやけに大きい気がする。握りこぶしより大きいんだが、日本のピーマンってこんなに大きかったっけ?ひょっとしてピーマンではない?「ピーマン」というのは英語ではないらしく、Amazonで「Bell pepper」というものを買った。見た目は似ているが、味はどうだろうか。掃除のあとに日記を書いていると夜になった。掃除機をかけたり洗濯もしたかったが、明日にしよう。
晩ごはんはカレーにした。前回はS&Bのゴールデンカレーだったが、今回はハウスのこくまろだ。クリームシチューと同じく、ハウス製品には日本語の説明がない。パッケージには「KOKUMARO」というローマ字と「こくまろ」というひらがなが併記されているのに。まったくもってけしからん。ルーを溶かしたが、なんだがとろみが弱い。パッケージを見ると、S&Bのは一箱で12食分なのに対し、こくまろは8食分しかない。作り方に書いてある水の量もこくまろのほうが少ない。とりあえずそのまま食べたが、やはり味も薄かった。カレースープとしてそのまま飲むくらいの薄さだった。次からはルーを増やそう。
ごはんのあとは1週間分のネットサーフィンをした。日本語を読めると嬉しいし、日本のニュースを知ると心が落ち着く。なんだか今日はテレビゲームがしたくなってきた。京都でも院生になってからはめっきりゲームをしなくなってしまったが、まったくしなかったわけではない。とりあえず以前と同じように、思い立った時にゲームができる環境を整えたい。アメリカではコンセントの電圧が違うが、日本で買ったPS3は使えるだろうか。最近の製品は海外の電圧にも対応しているものも多く、その場合は対応電圧100~240 Vのように書かれている。(ただし調理器具やドライヤーのように熱を発するものは海外に対応していないことが多いらしい。)ところがダンボールからPS3を出して説明書を読むと、対応電圧100 Vと書かれている。まさか変圧器が必要なのか。めんどうなことになった。念の為インターネットで調べてみると、PS3を分解すると内部に使われている部品には100~240 Vと書かれているという記事があり、実際に海外で使っているという人が何人かいた。怖いが、このままコンセントに挿してみよう。電源を入れると、なんの問題もなく起動した。1時間半くらい遊んだと思うが爆発したりしなかった。これで気が向いたらゲームができる。だんだん住環境が整ってきた。
ゲームで夜ふかししたから寝た。明日も特に予定はないし、昼から掃除機をかければいいだろう。
1月24日
今日は昼まで寝た。昼ごはんを食べてもいい時間だったが、昼ごはんを作っていないのでいつものようにバナナとコーンフロスティーを食べた。今日はあと何回食べるんだろう。とりあえず炊き込みご飯用に干しシイタケを水につけておこう。本当は昨日の夜につけるべきだったがまたしても忘れてしまった。
予定どおり掃除機をかけて洗濯をした。夕方になりかけたので昼ごはんの炊き込みご飯を作った。いつもは2合炊いているが、もう夕方近いので寝るまでにあまり食べないだろうから1.5合にしておこう。でも具材はわかめ以外減らせない。ツナ缶はひと缶単位で使いたいし、オクラもひと袋の3分の1と決めているし、シイタケもいつもどおりの量を水につけてしまった。ご飯が少ないせいでいつもより具だくさんになった。
そのあとはお風呂とトイレの掃除をした。お風呂はメラミンスポンジでこすっただけだが、見た目はきれいになった。トイレの内側は日本でも使っていた海外製の洗剤付きブラシで掃除したが、外側を拭くシート的なものを買っていなかった。トイレットペーパーを水で濡らして拭いたが、これでいいのだろうか。やはり洗剤入りシートかトイレットペーパーにつける洗剤がほしい。知っているメーカーのものがAmazonであるだろうか。
お腹は減っていないが晩ごはんを食べた。すると京大から「年末調整できなかったから確定申告して税金を払ってくれ」というメールが来た。私は去年の3月までは特別研究員として日本学術振興会から給料をもらっており、4月以降はポスドクとして京大から給料をもらっていた。実際の働き方はまったく一緒だが、給料の出どころが違うから3月までと4月以降で源泉徴収票が2枚あった。3月までの源泉徴収票を事務室に提出するのが遅れたせいで年末調整に間に合わなかったらしい。ということで、海外から確定申告することになった。日本で税金を返してもらう確定申告(還付申告)はしたことがあるが、海外からできるのだろうか。調べてみると、日本にいる人を納税管理人なるものに任命するらしい。……日本の出国前に。もう出国しちゃってるよ。ちょうど日本では朝になっているので、税務署に電話で聞いた。(アメリカ放題なので日本への電話は無料だ。)出国してからでも書類を郵送すれば管理人を任命できるらしい。なんとかなりそうだ。でも確定申告書類ってネットで提出できるから、実際に書類を作って提出するのは私だと思うんだよな。管理人を任命しても、日本に残してきた書類を探してもらうくらいしかやってもらうことはなさそう。税金を払う方の確定申告は期限が厳しいし遅れたら罰金を取られるのでちゃんとしなければ。
今週も掃除と洗濯をして、きちんと人間的な生活を営むことができた。が、掃除と洗濯で週末がほとんど終わってしまう。もう少し自由時間がほしい。自由時間を昼まで寝ることに使っていると言われればそのとおりなのかもしれないが。明日の朝に白ごはんが炊けるように予約して寝た。
1月25日
今日からお弁当が炊き込みご飯じゃなくなる。(お弁当が炊き込みご飯だったのは1日だけだが。)バナナとコーンフロスティーを食べながら、白米をタッパーに詰めて梅ペーストをかけ、ブロッコリーとピーマンとフライトチキンをレンジでチンした。(「チン」とは鳴らないのだが。)少し早起きしたおかげで乗りたいバスにぎりぎり間に合った。電車の駅で大学行きのバスを待っていると、「駅行き」と書かれたバスが停まった。電車の駅はバスの終点でもあるので、ここで行き先表示が変わるだろうとじっと見ていた。でも変わらない。じーっと見ていると、運転手が「どこ行きたいん?」と聞いてきた。メリーランド大学ですと答えると、「あぁ、10分後くらいに出るけど、それでもいいなら乗っとき」と言われた。愛想のいい人だが、なぜ行き先表示を変えないのか理解できない。そして大学まで停留所のアナウンスがまったくなかった。スマホで地図を見ながらじゃないと降りるタイミングがわからない。アメリカのバスは運転手の質もサービスも安定しないし、土地勘がないと乗れないし、ろくなもんじゃない。
今日は大学でコロナウイルス検査を予約していた。ずっと2週間に1回検査しなければならないのだろうか。検査自体は時間がかかるわけでも難しいわけでもないが、単純にめんどくさい。とはいえ、無症状の人間を見つけるためには検査しまくるしかないだろうから、ひたすら検査する姿勢には賛成する。しばらく大学でパソコンの設定をしたあと、時間になったので検査に向かった。2回目なので慣れたものだ。
新しく来たポスドクは院生向けの授業で研究発表するらしい。私にも声がかかったのでしばらくは発表準備に時間を使うことになる。どうやら実験装置の調子が悪いらしく、今日も実験できそうにない。一体いつになったら実験できるのやら。
お腹が空いた。お弁当を食べよう。どんな味がするのか楽しみ……お箸持ってくるの忘れた。お箸持ってくるの忘れた!お箸忘れた!なんてこった。京都なら研究室に割り箸が常備されていたし、さっと家に取りに帰ることもできたのに。通勤に時間がかかると忘れ物が致命的になる。なにか方法はないのか。手で食べる?流石に嫌だ。研究室の薬さじで食べる?絶対にやめたほうがいい。結局お弁当は諦めて、リュックサックに入っていたカロリーメイトとアメを食べた。これからはカロリーメイトだけでなく予備の箸もリュックに入れて持ち歩くようにしよう。日本から持ってきたものだけじゃなく、ビザサンタが買ってくれたお箸が余ってるんだ。
カロリーメイトのあとは医療保険を選んだ。大学の職員は大学が契約している保険に入れる。保険料の一部を大学が負担してくれるのでお得らしい。様々なプランが用意されており、必要なものを自分で選ぶ。といっても必要なものなんてわからないので、一番サービスが充実してそうなのを選んだ。保険とは万が一のときに備えるものなので、保険料を必要最小限に抑えようというつもりはなく、最悪の事態に最高のサポートをしてくれるものを選んだ。
やはりお腹が空く。そしてそれ以上に、お弁当が余ると料理のリズムが崩れる。お弁当を食べるために早めに家に帰った。帰りのバスでは降りるときに運転手が「段差あるから気をつけてね」と言ってくれた。やはり明るい時間の運転手はまともな人間のようだ。アメリカは昼と夜で別世界みたいだ。
夕方になってようやくお弁当を食べた。フライドチキンは美味しい。梅ペーストが足りなくてほとんどただの白米。ピーマンにめんつゆをかけたはずなのにこっちも味が薄い。これからは梅とめんつゆを増やそう。そして絶対にお箸を持っていこう。
そういえば、帰ってきたときに扉の前に封筒が届いていた。少し大きめの封筒だから郵便受けに入らなかったのだろうか。開けてみると、大学からの半月分の給料の小切手だった。大金の小切手も扉の前に放置するの?小切手はあくまで紙という扱いなのだろうか?盗まれたら新しい小切手をもらえるのだろうか?アメリカの感覚はよーわからん。そして小切手をもらっても使い方もよーわからん。
研究発表の準備を少ししたら、もう晩ごはんを食べなければいけない時間になった。お腹は減っていない。今日はカレーにしよう。この前のこくまろが薄かったのでルーを増やしてリベンジだ。ルーを増やすととろみは出た。こくまろというだけあってまろやかな味わいだ。スパイスが効いたゴールデンカレーとは対照的。そして今日から晩ごはんに電子レンジで爆発させた目玉焼きが追加された。インターネットで検索すると、黄身に穴をあけると良いだとか低出力で加熱すると良いだとか書いてあるが、どうやっても爆発してしまう。味は変わらないから開き直って爆発させた料理として食べることにした。卵を食べていれば生命維持に必要な栄養は摂れるはずだ。しかし、多い。満腹を超えて苦しくなった。やはり昼ごはんは普通の時間に食べるべきだ。
ご飯のあとは日記を書いて、電動キックボードをAmazonで注文して、運転免許の取得に必要な薬物とアルコールの講習に申し込んで寝た。今日のバスはハズレではなかったが(アタリとも言えないが)、やはり電動キックボードに乗る意志は変わらない。自由に使える何らかの移動手段はほしい。あと、なるべくバスに乗らないほうがコロナウイルスへの感染リスクが下がる気がする。
1月26日
今日は午前中に社会保障番号の申請に行った。7日に電話したのに今日まで待たされた。事務所まではLyft(白タク)を使った。バスは1時間に1本しかなく、バスを使ったら予約まで時間がありすぎて事務所で40分ほど待たなければならなかった。こういうときは本当に車がないと移動できない。Lyftを使って20分足らずだったが、徒歩なら1時間40分、自転車なら30分で行けるらしい。申請手続き自体は15分ほどで終わった。申請書、パスポート、webから印刷できる入国履歴みたいなものを提出したら、あとは事務員さんが作業しているのを眺めるだけ。途中で「今までアメリカに来たことがあるか?」と聞かれたけど、あるって一言答えたらそれ以上聞かれなかった。いつとかどことかビザの種類とか聞かずに何を知りたかったのか不明。また途中で「メリーランド州からフードスタンプや保険を貰う予定あるか?」と聞かれた。「フードスタンプ」って何か知らなくて、しかも「プットスタンプ」に聞こえて、え、何?みたいな顔してたら。「食料の配給みたいなもんよ。普通はいいえやで。」って言われたからいいえって答えといた。メリーランド大学からの給料で生活できるはずだ。手続きが終わって、またLyftで帰った。20分後にバスがあったが、大回りしていくため家につくのは1時間後くらいだった。Lyftに1000円ちょっと払って時間が買えるなら安いもんだと思う。もっと積極的にLyftを使ってもいいのかもしれない。アメリカで車を買ったり自動車保険に入ったりする手間とお金を考えると安い。特にアメリカでの運転歴がないと自動車保険が高いらしい。
家に着いて昼ごはんを作った。今日は家で食べるのでお弁当ではないが、メニューは変わらずフライドチキンとブロッコリーとピーマンと梅ご飯だ。昨日ピーマンの味が薄いと思ったが、電子レンジで温めるとかなり水が出ていることに気づいた。めんつゆをかけてから温めるのではなく、温めて水気を切ってからめんつゆをかけるべきだと思う。梅ペーストを増やした梅ご飯は美味しい。しかしフライドチキンを食べたあとは白ごはんが欲しくなるので、梅ペーストを全体にかけたのは間違いだった。半分だけ梅ペーストを乗せることにしよう。
ご飯のあと大学に行った。どうやら昨日調子が悪かった装置はひと手間加えることで普通に動くらしい。大学でしばらく作業していると、「今から測定装置の説明するから見にけーへん?」と連絡が入った。説明か、まあいいだろう。測定自体は京都でもやったことがある内容だったが、機械が違うので使い方が違う。覚えないと。京都では装置についている分厚いマニュアルしかなくて簡単な説明書なかったから自分で作りまくったなー。末永く後輩の役に立ってほしい。メリーランド大学でも説明書はないようだ。どこの研究室もこんなもんなんだろう。説明が終わったあと、いよいよ実験できることになった。が、昨日とは別の装置の調子が悪い。ごまかしながらなんとか作業をして、無事にメリーランドひとつ目の試料合成を始めることができた。大きな一歩だ。これで明日のミーティングで話す内容ができた。
今日も夜になってしまった。実験を始めたのが夕方だったのが遅すぎる。一人で実験できるようになったら朝から作業して、お弁当を食べてまた作業をして夕方くらいに帰りたい。今日のバスは夜だったがハズレではなかった。大声で鼻歌を歌う人がいたくらいだ。この前のひどい運転手はやはり特別だったのだろう。あんな運転手が何人もいてたまるか。電動キックボードはあさっての夜に届くらしい。来週からは電車の駅とアパートの間はキックボードを使おう。
今日もカレーにしよう。頑張った日はカレーを食べたくなる。(疲れ果てていると味噌汁でホッとしたいときもあるのだが。)S&Bのゴールデンカレーにした。昨日は満腹を超えて苦しくなったが、今日はご飯を減らしたら足りない。(そもそも昨日苦しくなったのは昼ごはんが遅かったからで、ご飯を炊く量を減らしたのは間違いだった。)日本から持ってきた電子レンジでできるご飯を追加した。レンジでできるご飯はAmazonでも売っているようだ。追加で買っておこう。
今日は残業して寝るのがかなり遅くなってしまった。明日は11時くらいからミーティングなので、朝はのんびりしてミーティングのあとお昼ごはんを食べてから大学に行こう。
1月27日
寝るのが遅くても割と朝早くに目覚めてしまう。生活リズムができているということだろう。あと夜明けくらいにリスが窓を登ってガタガタ音を立てるのでそれが目覚ましになる。しかし明らかに睡眠時間が短いので二度寝した。ミーティングまではこの日記を書いたり発表準備をしたりミーティング後にご飯が炊けるように予約したりして時間を潰した。ミーティングの時間に教授から連絡が来た。「今日は忙しいからすまんが明日にしてくれ」とのことだ。もっと早くわかってれば朝から大学に行ったのに。ご飯はお弁当と同じものを食べた。
大学に行った。といっても特にやることはない。昨日合成を始めた試料が完成するまで1週間以上かかる。何をして時間を潰せばいいのだろう。幸い(?)私は発表準備で忙しいが、他の人は何をしているのだろうか。京都では長くても3日、早ければ当日中に完成するものしか作ってこなかった。アメリカでのんびり研究をスタートするにはちょうどいいが、なんだか働いていないと不安になるな。大学でやることがないとき、感染予防の観点からは家に引きこもるのが正解なのだろうが、今はなるべく研究室に顔を出して人や装置になじみたい。念の為試料を入れたオーブンがちゃんと動いているかだけ確認して、あとはパソコンで作業した。京都に残してきた研究について京都の後輩やスタッフと議論した。京都ときっぱり縁が切れたわけではなく、京都での研究が一段落するまでは遠くから議論に参加することになるだろう。京都に思いを馳せる時間ができるのは嬉しい。(京都京都言い過ぎな気がする。)
夕方に家に帰ってきた。日は暮れていたが、まだなんとなく安全な雰囲気がする時間帯だ。いつもこの時間に帰りたい。晩ご飯はシチューにした。ルーを減らしたが、またしても味が濃い。色も濃いし、ひょっとすると牛乳が足りないのかもしれない。次は牛乳を増やしてみよう。シチューやカレーは乾くと面倒なのですぐに食器を洗わないといけない。食後はちょっと休憩したいが頑張って洗った。カレーを洗うとスポンジが黄色くなるのにシチューを洗っても白くならないのが納得できない。
ご飯のあとも少し京都と議論した。理論の話は難しい。難しいが、論文のイントロなどに間違ったことを書くと恥ずかしいのできちんと理解しておきたい。早く帰ってきた割には寝るのが遅くなった。ミーティングが明日になったので、また午前中は家で作業しよう。
1月28日
今日も朝は遅めに起きた。バナナとコーンフロスティーを食べたあとは、スープを作ったり発表準備をしたりした。発表のタイトルと概要を提出していなかったので催促された。今日中に提出すると返信しておいた。
ミーティングの時間になったが一向に始まらない。教授は忘れているのだろうか?もう待ちくたびれたのでご飯を食べようと思ったところで教授から連絡が来た。渋滞に巻き込まれていたらしい。今からミーティング開始だ。今日のミーティングはいつになく長かった。参加者はいつもより少なかったが、これからの実験方針がなかなか決まらなかった。
ミーティングのすぐあとに、日本の運転免許をアメリカの免許に変換するのに必要なアルコールと薬物の講習を受けた。ミーティングが遅れたし長引いたのでご飯を食べる暇がなかった。講習もビデオ通話で行われたが、車を運転しながらスマホで参加してきた人が追い出されていた。どういう神経しているんだ。これがアメリカか。といってもこの講習を受けているということは外国の免許を持っているということで、おそらくアメリカ人ではないのだが。アメリカにはアメリカ人に限らずとんでもないやつがいるということを学んだ。そんな人間が車に乗っていると思うと恐ろしい。講習のあとのテストに無事合格したので、土曜日に証明書を取りに行くことになった。それくらい郵送してくれよ。英語で講習を受けるのはすごく疲れる。内容自体はあたり前のことを説明しているだけで難しくなかったが、頭を英語モードにしているだけで体力を消耗してしまう。講習のあとはかなり遅い昼ごはんを食べて仮眠した。
もう日が暮れている。今日中に出すと言ってしまった発表のタイトルと概要を考えて提出した。そのあとはあまりお腹が減っていないが晩ごはんを食べた。今日は英語で講習を受けたせいで体が和を求めていたので味噌汁にした。やはり味噌汁はホッとする。今までは電子レンジ目玉焼きに何もかけずに食べていたが、塩と胡椒をかけると劇的に美味しくなった。調味料の偉大さを知った。
また京都と少し議論してから寝た。議論と言っても時差があるのでビデオ通話などしてるわけではなく、slackというグループチャットに書き込んでいる。図を送ったりできるのは便利だが、図を作るのに結構時間がかかる。あと時差のせいで一日に一往復くらいしか会話できないのでなかなか話が進まない。明日はどうしようか。正直、朝から大学に行くモチベーションが上がらない。どうせ朝は人が少ないし、お弁当より炊きたてのご飯のほうが美味しい。お昼ごはんを食べたあとに行くことにしよう。どうせ発表準備をするだけだ。
1月29日
今日は昼から大学に行くつもりだが、昨日早く寝たので早く起きた。というか、ここ数日が遅かっただけで今日の生活リズムを普通にしたい。朝は京都から来ていた質問に答えていると結構時間が経った。それから論文をチェックした。昨日は忙しくて論文チェックをさぼってしまったので今日は2日分チェックしないと。超伝導関連の論文は毎日何十本も投稿される。そのうちのほとんどは興味のない論文なのだが、一応タイトルはチェックしている。興味のある論文が1日に1件くらいある。
お昼ごはんを食べてから大学に向かった。今日も電車の駅までは歩いた。早足で18分歩くのにも慣れてきたが、来週からは電動キックボードで行くつもりだ。バスの予定時刻の5分前について、スマホでバスの一を確認した。一つ前のバス停(ここが終点で折り返し地点)にいるらしい。もうすぐくるだろう。しかし、待てど暮らせどこない。もう一度スマホで確認すると、バスが消えていた。なんでやねん!さっきおったやんけ!今日はバスが来る方向を凝視しながら待っていたので、絶対に見落としてはいない。他にも待っている人がいたので、その人も一緒に見落としたなんてことはありえない。やはりアメリカの公共交通機関は信用できない。20分後の次のバスに乗った。バス停で30分くらい待っていたと思う。バス使うの一切やめようかな。電車に一駅だけ乗って、ほとんど電動キックボードで移動しても大学には行ける。あてにならない粗悪なサービスにお金を払いたくない。全体的に、アメリカでは意識的に良いサービスを選ばないといけない気がする。日本では230円で丁寧な運転のバスに乗れるし、300円ちょっとでまともな牛丼を食べられるが、アメリカの安いサービスはちゃんと悪い。
大学に着いてからは、パソコンとスマホにメモ帳ソフトをインストールした。この研究室では個人用の実験ノートというのは無いらしい。どのような試料を作ったかなどの事実を淡々と書く共用のノートはあるのだが、書き込む情報が限られている。気づいたこと、思いついたこと、ちょっとした計算などを書き留める場所がほしい。紙のノートが使い慣れているが、今風にパソコンで記録を残すことにした。ただしパソコンで書いたものに証拠としてどれだけの効力があるのかわからないので、あくまで自分用メモになるだろう。
論文をチェックしているともう帰る時間だ。昼過ぎに来て夕方に帰るという、移動時間の無駄と思えることをした。今日は大学に来たけど「See you」しか話さなかった。アパート最寄りの電車の駅までバスで帰り、そこから歩いた。帰りに駅から歩くのは初めてだ。バスに乗るよりだいぶ気楽だ。運転手も乗客も質が悪い(かもしれないという不安を抱えながら)バスに乗るより、車しか行き来しない道を歩いたほうが気分がいい。帰りは早足ではなく普通に歩いたので24分かかった。やはり出町柳から三条くらいか。自転車ならなんの苦もなく行ける距離なので、電動キックボードがあればバスを使わずに済む。
晩ごはんにカレーを食べたあと、今週もテレビゲームをした。ゲームをしたいと思えるくらい余裕が出てきたということだ。夜ふかししてしまったが、明日は昼からしか予定がないのでゆっくり寝られる。
1月30日
昨日夜ふかしした割には早めに目が冷めた。とりあえずバナナとコーンフロスティーを食べて昼ごはんの炊き込みご飯を作り始めた。13時に家を出て運転免許の取得に必要な講習を受けた証明書を取りに行くのだが、それまでにお腹が空くだろうか。お昼ごはんまでは日記を書いた。
TVerを見ながら炊き込みご飯を食べたあと、証明書を取りに自動車教習所に向かった。電車の駅までバスで行き、そこから大学行きとは違うバスに乗る。アメリカではどこに行くにも1時間くらいかかる。時間がもったいない。教習所のはずだが、ビルの一室を借りているただの事務所といった感じだ。日本のように教習所内で運転の練習はしないのだろうか。受講証明のようなものを書くと証明書をもらえた。20分ほどで今日の予定は終了。
教習所はショッピングセンター(この日記の最初の比較でデパートと書いた場所)の近くなので、ショッピングをすることにした。ショッピングモールはまさかの1階建てだった。日本なら5階建てくらいのビルに入りそうな店舗が全て平面に広がっていた。土地余り過ぎだろう。そして100台か200台か停められそうな駐車場も平面に広がっていた。土地余り過ぎだろう。建物も街ももっとコンパクトにできないのだろうか。日本とは感覚が違う。
いろいろ店舗がある中で、とりあえず有名なデパートに入った。商品を見ながら歩いているとかなりワクワクする。京都ではコンビニはもちろん、ドラッグストアやホームセンターにもよく行った。日常を取り戻した気がする。こうやって自分の地図を広げていけばアメリカもだんだん好きになってくるのだろう。アメリカで初めてのショッピングなので、とりあえず店内を歩き回った。食器、家電、服、薬、食品など何でもあった。ドラッグストアと服屋と小さめのスーパーと小さめのホームセンターが一緒になった感じだ。2時間くらい歩きまわって、弁当箱とポテトチップスとたくさんの冷凍食品を買った。日本から持ってきたタッパーを使っているが、予備は必要だ。実家にいた頃はポテトチップスをよく食べていたので懐かしくて買ってしまった。冷凍食品は中華風焼きそば(?)やラーメンなどアジア系のものとピザを買った。これで料理したくないときでもなにか食べられる。
かなりに買い込んでしまったのでもう帰ろう。バス停まで歩く途中でsuper Japanというレストランが目に入ったのでのぞいてみたら、唐揚げやシュリンプフライしか売っていなかった。そんなんで日本を名乗るんじゃねぇ。ショッピングセンターはまだまだ探検しきれていないが、残りは次回のお楽しみだ。ひっそりと5台くらい停められる駐輪場を確認したので、電動キックボードで来られるはずだ。バスを乗り継いで40分以上かかったが、グーグルマップによると自転車なら15分かからないらしい。それにしても、車は100台以上停められるのに自転車は5台しか停められないとは。
バス停について時刻表を確認すると、30分くらい待たないといけないらしい。待つのは嫌だし、そもそも荷物も多いのでLyftで帰った。運転手から「日本人なん?」と聞かれたので「せやで」と答えると、「どこ出身?京都とか?」と言われた。驚いた。出身は大阪だが、京都も第二の故郷だ。「え、なんで京都知ってるん!?日本来たことあんの?」と聞くと、「いやー行ったことは無いけど、京都は有名やからな。京都議定書とか、歴史とか。」との答えが返ってきた。東京より先に京都が出るとは驚きだ。それからも運転手と日本の話をした。日本のタクシーと違って、海外のタクシーで世間話をするのはかなり珍しいと思う。気分が良かったのでチップをはずんでおいた。
家に着いたらお腹が減った。お昼ごはんを少なめにしたからだろう。今日は新しい挑戦として、野菜スープに砂糖と醤油を入れて肉じゃが風にした。肉じゃがにはもっといろんな調味料を入れるようだが、とりあえずこれでいいだろう。肉もないのでただの「じゃが」だが、そこは気にしない。しかし食べてみるとあまり美味しくない。もとがスープなので水気が多すぎる。調味料の味が薄くて、野菜スープの味と混ざって変な感じだ。肉じゃがを作りたいならスープに調味料を加えるのではなく、はじめから水を減らして肉じゃがとして作らないといけない。明日もう一度挑戦してみよう。
ご飯を食べると急激に眠くなった。今朝早めに目が冷めたのもあるし、ショッピングセンターではしゃぎすぎて疲れたのだろう。さっさと寝た。
1月31日
雪だ。けっこう降っている。アパートの前には芝生の丘が広がっていて、そこは雪に覆われている。そして家族連れがそりで滑っていて楽しそう。車道も一部は雪で覆われている。1年前にメリーランドに来たときも雪が降ったなーと思い出した。
バナナとコーンフロスティーを食べたあとは、昨日の分の日記を書いてから炊き込みご飯を作った。昨日の夜にちゃんとシイタケを水につけておいた。炊き込みご飯を待っている間に掃除機をかけた。昨日はショッピングを楽しんだので、掃除や洗濯を今日一日でやらないといけない。忙しくなりそうだ。
掃除機をかけているとAmazonから食材が届いた。デパートで冷凍食品を買い込んだせいで冷凍庫が一杯になってきた。ビザサンタからもらったうどんもまだ入っているし、少しずつ消費しないと。毎週1日は冷凍食品の日にしようかな。その日は野菜スープに味付けせず、野菜スープのまま飲めばいいや。郵便受けに社会保障番号カードが入っていた。この番号を大学とかクレジットカード会社に届けないといけない。運転免許を取るのにも必要だ。そういえばクレジットカード遅いな。早く届いてもらわないと日本の口座残高がどんどん減ってしまう。
お昼ごはんのあとは晩ごはんを作った。昨日の肉じゃがが失敗だったのでもう一度挑戦する。砂糖と醤油しか無いなら肉じゃがじゃなくてすき焼きなんじゃないか?と思ったのですき焼きの作り方を調べた。すき焼きでも料理酒やみりんがいるようだが、そんなものはない。具材はスープと一緒で、水を減らして大量の醤油と砂糖を入れた。焼くわけではないのですき焼きじゃなくてやはり肉じゃがかもしれない。どうなることやら。
料理のあとはお風呂とトイレを掃除して洗濯もした。アメリカに来たときは洗濯物を2週間ためようとか思っていたが、トレーナーやズボン、バスタオルにバスマットを定期的に洗おうと思うと1週間でかなり洗濯物がたまる。京都にいた頃は干す場所が狭かったので3日に1回くらいは洗濯していた。1週間に1回の洗濯でも少ないほうだろう。
もう晩ごはんの時間になった。肉なし肉じゃがはそれなりに美味しい。しかしかなり甘い。砂糖を入れすぎたようだ。そして、甘いだけでなんか物足りない味になっている。やはり料理酒やみりんが必要なのだろうか。それとも肉が入っていないからだろうか。とりあえず次は砂糖を減らして、それでも物足りなければ新しい調味料を買おう。
晩ごはんのあとは来週分のピーマンを切って冷凍した。今日届いたピーマンはいっそう大きい。そのあと日記を書いて寝た。
2月1日
もう2月になった。雇用が始まって1か月だが、何の成果が得られたというのか。ここからグングン実験を加速しないと。
外には昨日の雪が残っている。いや、残っているのではなくさらに積もっている。パラパラ雪が降っているので傘をさしながら駅まで歩いた。車道は除雪されているのか雪がないのに、歩道には積もったままだ。何度も滑ったしはっきり言って危ない。歩行者を何だと思っているんだ。速足で歩けるはずがなく、駅近くのバス停まで30分弱かかった。スマホでバスの位置を確認したが、「時刻表ではここにいる予定」と表示されるだけで現在地はわからない。そして予定時刻になっても当然のように来ない。次のバスが来る時間になっても来ない。おそらく雪の日はバスを走らせる気がないのだろう。走ってないなら走ってないって言えよ。やはりアメリカの公共交通機関は信用できない。バスはあきらめて電車に乗ることにした。電車の駅はさらに10分弱歩いたところにある。ここがバスの終点だ。幸い電車は動いていたので、大学の最寄り駅まで移動した。大学の最寄り駅から大学までも徒歩30分かかる。歩道は雪で滑って危ないので車道を歩いた。ところどころ歩道を歩いているときに滑って転んで、新品の傘を道路にたたきつけてしまった。雪だからと電動キックボードを使わずに歩いてきたが、キックボードで車道を走るほうが安全だと思う。結局大学まで1時間40分かかった。うち1時間は歩いて、30分はバスを待っていた。
大学では午前中はメールを確認したり京都とやり取りしたりした。12時からビデオ通話で「ポスドク説明会」なるものがあったので参加した。何言ってるかわからなかったし意味のない説明会だった。ひたすら言葉で話しているだけで、文字として書いてくれない。何のためにプレゼンテーションソフトがあり、何のためにビデオ通話に画面共有機能があると思っているのか。意味不明だし長いので途中で抜けた。
午後からは研究室の学生と一緒に実験することになっていた。説明会終わったでと連絡したら、「雪で遅れてるから1時間くらいかかる」と返信が来た。歩行者はもちろん、車にとっても雪は相当な影響があるようだ。電車が一番だ。少し作業をしていると学生が来たので実験を教えてもらった。何日か前に個人の実験ノートはないと書いたが、秘書さんに言わないともらえないらしい。実験ノートがいらない実験家なんていないんだから、新人には何も言わずにくれよ。実験ノートのもらい方も教えてくれよ。この研究室には日本で博士号を取得したインド人研究者がいるのだが、その人が「日本はホスピタリティーにあふれてるけど、アメリカでは自分から言わないと誰も構ってくれないよ」と言っていた。そのとおりだと思う。
実験の後は学生むけの授業に参加した。主に学生が順番に研究発表していくのだが、最初は学生ではなくポスドクが発表する。来週は私が発表することになっている。思ったより短い発表で良さそうで少し安心した。といってもまだほとんど発表資料ができていないので急がないと。昼の説明会でも思ったが、ビデオ通話が時々止まる。大学のインターネット回線速度を測ってみたら、アメリカ放題の携帯回線と同じくらい、下手したら携帯回線より遅いくらいだった。しっかりしてくれよメリーランド大学。京大は10倍速かったぞ。
授業が終わったので少し早いが帰宅した。帰りもバスは動いてなさそうだったので、徒歩と電車で帰った。電車に揺られているとなぜか懐かしい気分になった。日本ではバスはあまり使わなかったし、そもそもアメリカと日本ではバスのシステムもサービスも客層も違う。電車の中は日本と同じ雰囲気がした。帰りは1時間10分くらいでアパートに着いた。通勤時間としては少し長いが、バスを使うより精神的に楽だ。アメリカで心穏やかに過ごせない原因のほとんどはバスなんじゃないだろうか。バスは使わないことにしよう。
晩ごはんは昨日作ったすき焼きか肉じゃがかわからないものを食べた。鍋のふたを開けたときはすき焼きのようないいにおいがするのだが、食べてみると甘ったるいドロドロしたスープだ。すべての具材が溶けて同じ味になっている。スープとして飲むときは具材の主張は強くないほうが好きなのだが、すき焼きでは別だ。砂糖と醤油で味付けされていても、肉を食べれば肉の味がして、ねぎを食べればねぎの味がするのがすき焼きだと思う。肉は使っていないし、ねぎではなく玉ねぎを使っているし、そもそも材料が悪いのだろうか。それとも圧力調理器で作るからドロドロになってしまうのだろうか。調理時間を短くしてドロドロになる前に食べてしまえばいいのだろうか。
ご飯の後に電動キックボードを開封して充電した。ハンドルやブレーキワイヤーを取り付ける簡単な組み立て作業がいるのだが、説明書に載っている写真と実際の商品が違う。Amazonに組み立て動画を載せている人がいたのでそれを参考にした。そしてねじ穴の位置が悪くて締め付けがめっちゃ固い。よくこんな商品でお金をとっているな。
キックボードを組み立てていると寝る時間になったので寝た。明日の通勤はどれだけかかるのだろう。
2月2日
今日もまだ雪が積もっている。昨日の夜にアメリカの日本大使館から、「明日は2時間遅れで開館します」とメールが来ていた。アメリカ政府が職員の出勤時間を2時間遅らせることを認めたらしく、大使館もそれにならうらしい。バナナとコーンフロスティーを食べながらチェックした日本のニュースでもアメリカ東海岸の雪が取り上げられていた。ニューヨークでは数年に一度の大雪らしい。ニューヨークは青森と同じくらいの緯度で、メリーランド大学はニューヨークよりはだいぶ南だがそれでも仙台より少し緯度が高いらしい。
電動キックボードで駅まで向かった。電車は5分から10分間隔で来るので、到着時刻(から逆算した出発時刻)をまったく気にしなくていいのがありがたい。電車の駅までのバスは30分に1本、駅から大学までのバスは20分に1本しかない。しかも予定時刻の10分前くらいについてバスが来ないか目を凝らさないといけないのも面倒で時間の無駄だ。駅までは13分で着いた。徒歩の3倍近く早い。速足よりも倍くらい速いと思う。しかしハンドルや加減速の感覚が自転車と違うのでちょっと怖い。慣れれば問題ないだろう。ちょうど電車が来ていたので乗った。大学の最寄り駅からはまた電動キックボードを使った。住宅街を行くので一時停止が頻繁にあってアクセル全開というわけにはいかない。それでも15分で着いたので、徒歩の倍くらいの速さだ。アパートから大学まで35分ほどで来られた。速い。バスを使うのと同じくらいだ。もちろん走るのはバスのほうが速いはずだが、キックボードを使うとバス停での待ち時間や乗り継ぎの時間が節約される。これからは大雨じゃない限り電動キックボードで通勤しよう。
大学にはやはり誰もいない。単純に朝早いし、雪だから余計に遅くなるだろう。1時間半ほど作業していると一人目(私を含めて二人目)がやってきた。「How are you?」と聞かれたが、この質問の答え方が全く分からない。中学では「I'm fine. Thank you. And you?」と答えるように教わったが、そんなに「I'm fine.」と言える日があるか?だいたい「I'm tired.」なんだが。雪の話になったので昨日の通勤時間と電動キックボードの話をした。その人は自転車で来てるらしいが、電動キックボードが自転車より安いというと驚いていた。アメリカではママチャリというものがなくて「なんとかバイク」を買うことになるので高い。「俺アホやったわー。自転車より安いんやったらこっち買うわ。」と言っていた。
今日は集中してプレゼン資料を作った。バスなら帰る時間になったが、電動キックボードと電車ならキリが良いところまで続けられる。この自由度が欲しかったんだ。帰りも40分でアパートに着いた。大学の最寄り駅でちょうど電車を見送ってしまったが、5分も経たずに次の電車が来た。やはりバスとは比べ物にならないくらい電車は便利だ。しかし、雪と泥でわりと汚れたキックボードを室内に持ち込むのには抵抗がある。充電しないといけないので外に置いておくことはできない。カーペットの上にダンボールを敷いて、その上に汚れたキックボードを置いた。もうちょっと改善したい。
今日もすき焼きもどきを食べた。やはりにおいは完全にすき焼きなのだが、食べると甘ったるいドロドロのなにかだ。苦し紛れににんにくニップを入れたら少し美味しくなった。完全ににんにくの美味しさに頼っただけなのだが。次はもっと薄味にしよう。特に砂糖を減らそう。
明日からの分のスープを作って、炊飯を予約して寝た。
2月3日
昨日はなぜかなかなか寝付けなかった。大学から帰るときは疲れていたのに、お風呂に入ると目が覚めてしまった。今日は睡眠不足で大学で眠くなってしまうだろう。バナナとコーンフロスティーを食べて大学に向かった。電動キックボードに乗っているが、賠償保険に入らなくていいだろうか?京都では自転車に乗るときは保険への加入が条例で義務付けられている。歩行者と事故を起こした場合、1億円近い賠償を求められることもある。昨日電動キックボードの話をした人に保険に入っているか聞いてみた。「入ってない。自転車は遅いし専用レーンがあるから事故はまず起こらん。」とのことだ。遅いというのには同意できない。歩行者と接触するとそれなりの怪我を追わせるスピードが出る。専用レーンがあるというのにも同意できない。ある道もあるがない道もある。大学の最寄り駅から大学までの道にはない。事故はまず起こらんというのには同意できる。なぜならアメリカには歩行者がいないからだ。自分が車にひかれないようにだけ気をつければいいということか。インターネットで検索しても、エンジンが付いたバイク用の保険は出てくるが、自転車や電動キックボード用の保険は出てこない。アメリカでは自転車やキックボードは歩行者と同じで「事故を起こす側ではなく起こされる側」という認識なんだろう。保険には入らず、車にひかれないように反射素材の上着をAmazonで買うことにした。キックボードの前後にライトは付いているが、人間の形もわかったほうが安全だろう。
今日は少し早めにミーティングが始まった。月曜日に試料を作り始めたことを報告して終わりだ。待ち時間が長すぎてプレゼン資料を作るしかやることがない。他の人も「試料を作りました」とか「実験装置があくのをひたすら待ってます」みたいな簡単な報告をしている。待ち時間が長いのは教授も承知しているので、それで許される研究室なんだろう。京都にいたときほどガツガツ実験できないので焦ってしまう。
大学ではまたプレゼン資料を作った。お昼ごはんのあとに集中力が切れたが、耐えられない眠気には襲われなかった。ちょうど集中力が切れた頃、月曜日に試料作りを教えてくれた学生が話しかけてきた。どうやって大学まで来てんの?と聞かれたので、アパートから大学まで電動スクーターと電車で30分くらいやな答えた。「近いな!」と感心していた。30分は通勤時間としては普通なんだろう。そういえばビザサンタも大学まで(車で)30分と言っていた気がする。ほかにも、日本のどこ出身だとか京都ってどんなとこだとか淡路島の国際会議に行こうとしたけど中止になってしまったとか雑談した。暇そうにしてる私に気を遣ってくれたんだろう。アメリカにもホスピタリティーのある人はいるようだ。
晩ごはんはカレーにした。今日のこくまろは前回より美味しい気がする。そういえば、昨日は節分だったのか。吉田神社の節分祭が懐かしい。今年からは行けないが、どうせ今年はコロナウイルスのせいで儀式や出店は中止らしい。アメリカでは季節のお祭りとかあるんだろうか。ハロウィン、感謝祭、クリスマスくらいかな。あったとしてもパンデミック中に参加したくはないけど。少しネットサーフィンしてから寝た。
2月4日
今日は寝坊してしまった。バスの時間を気にしなくていいと二度寝がはかどってしまう。バナナとコーンフロスティーを食べたあとは大学には行かず、昨日やっと届いたクレジットカード関係の手続きをした。銀行のキャッシュカードもそうだったが、アメリカのカードは届いたあとにアクティベーションというのが必要らしい。電話で本人確認をして、カードが届いたことを知らせるまで使えない。日本ならクレジットカードは書留で送られてくるので確実に本人に届くが、アメリカは郵便受けに入れるだけなので郵便事故の可能性を考えてきちんと届いたあとしか使えないようにしているのだろう。あと驚いたのが、アメリカのクレジットカードには暗証番号がないらしい。(デビットカードにはあるらしい。)つまりカードを使う瞬間には本人確認されないので、盗まれたら終わりということだ。今までクレジットカードを無くしたことはないが、もしものときに備えないセキュリティーの甘さは不安だ。アクティベーションのあとは、家賃、保険、携帯料金、Amazonといったドルで引き落とされるものに登録されているカードをアメリカのカードに変えた。これで外貨決済手数料を節約できるし、日本の口座残高を守れる。アメリカに来てから家具などを買いまくった分がちょうど今引き落とされていて、日本の口座残高が何十万と減っている。海外だから特別だが、転職と引っ越しってお金がかかる。研究者とは教授になるまで転職の繰り返しなので貯金がたまらなそう。最後にsmartrip (アメリカ版ICOCA)の残高が少なくなると自動的にクレジットカードでチャージするよう設定した。アメリカのクレジットカードがないとこれができなくて不便だったんだ。(駅でチャージできるので不便と言っても日本と使い勝手は変わらないのだが。)
そのあと、運転免許をもらうために免許センターを予約した。最速でも4月の初めまで待たないといけないらしい。また待つのかよ。日本の免許証で運転できる期間はメリーランドでは入国後60日しか無いんだぞ。社会保障番号をもらうのに数週間待って、免許証をもらうのに数ヶ月も待っていては間に合わない。私は身分証目的で車は運転しないからいいけど、車に頼った生活をしている人はどうするんだ。アメリカって国は本当にサービスが悪い。これに至ってはサービスが悪いどころじゃなくてシステムの欠陥だ。
もうお昼の時間だ。もっと早く大学に行くつもりでお弁当を作っていたが、家で食べることにしよう。ご飯を食べながらメールを確認すると、16時からだと思っていたセミナーが14時からだったことに気づいた。ご飯を食べたらすぐだ。大学に行く時間はないので家から参加することにした。セミナーのあとに夕方近くから大学に行くのは馬鹿らしいので、今日はもう家で作業することにした。どうせ大学に行ってもパソコンで発表資料を作るだけだ。
晩ごはんの時間になった。今日はお米ではなくデパートで買った冷凍食品にしよう。決まったもの以外を食べられるので嬉しい。アジア料理も買っていたが、冷凍のピザを食べることにした。もともとピザは好きだし、久しぶりに洋食を食べたい。作り方を読むと、電子レンジではなくオーブンで焼かないといけないらしい。意外と本格的なピザを買ってしまったのかもしれない。このアパートは家賃が高くて無駄に広くて設備が揃っているので、ピザが3枚くらい焼けそうなオーブンが備わっている。華氏400度にしたオーブンで15分焼いた。電子レンジと違って時間がかかる。オーブンで焼いたピザは美味しかった。しかし腹5分といったところだ。追加で冷凍のタイヌードル(?)を食べた。今度はお腹いっぱいになりすぎた。冷凍食品は量の調整が難しい。
お腹いっぱいになったので寝た。
2月5日
今日も少し寝坊してしまったが、バナナとコーンフロスティーを食べたあとに大学に行った。昨日の夜に試料が焼き上がっているので、できれば今日測定したい。実験を教えてくれている人に時間があるか聞いてみると、夕方ごろから手伝ってくれることになった。それまでは発表資料を作った。だいぶ完成に近づいたが、ギリギリ終わらなかった。週末に家で作らないと。
試料の様子を見ると、見た目はいい感じに焼けている。京都ならX線を使って試料がどんな物質か確かめるのだが、この研究室にはその装置がないらしい。そんなことってある?じゃあ今まで試料を作った人はどうやって自分の目的の物質かどうか確かめていたんだ?試料を取り出すのに時間がかかったので今日はもう終わりにした。月曜日にとりあえず磁化を測ろうということになったが、何かわからない物質の磁化を測ってどうなるんだろう。順番がおかしい。できた試料を京都に国際郵便で送って測ってもらおうかな。でもそれなら私がアメリカに来た意味とは何なのだろう。
アパートに帰ってきてシチューを食べた。なんだかシチューの量が多い。スープのペース配分を間違えたらしい。本当はAmazonで食料を買い足さないといけないのだが、今日は真剣に実験して疲れたので寝てしまった。
2月6日
今日は朝起きてすぐに日本にいる研究室の元後輩たちとオンラインでゲームをした。京都にいた頃は月一以上の頻度でやっていたと思うが、アメリカに来てからは時差があってタイミングが合わなかった。週末は掃除で忙しいが、できれば遊びたい。
ゲームのあとに炊き込みご飯を作って、炊けるまでの間にAmazonで食材を買った。届くのは月曜日になるそうだ。週末にピーマンを切って冷凍したかったのだができない。さらに今日の炊き込みご飯でオクラを使いきってしまった。明日の炊き込みご飯はオクラなしだ。やはり食材は金曜日に頼むべきだ。しかし昨日はめちゃめちゃ眠かった。通勤・実験しながら自炊というのは無理があるのではないだろうか。
炊き込みご飯を食べたあとは昨日のシチューの洗い物をして、晩ごはん用のスープを作った。日記を書いているともう夜だ。発表資料を作らないといけないが、まずは晩ごはんを食べよう。晩ごはんのあとに発表資料を作って寝た。資料が思っていたより完成していたのでちょっと体裁を整えるだけで終わった。ありがとう昨日の自分。
2月7日
今日は昼前まで寝た。バナナとコーンフロスティーを食べたあとにオクラなしの炊き込みご飯をセットした。待っている間に部屋を片付けた。毎週毎週Amazonからのダンボールが溜まってしまう。ゴミを捨てに行こうと思ったが、外はまたうっすら雪が積もっていた。今は雨が降っているようだ。午後からは止むそうなのでお昼ごはんのあとに捨てに行くことにしよう。
お昼ごはんのあとはまず洗濯を始めた。その間にゴミを捨てて掃除機もかけた。掃除機をかけ終わるとお腹が減った。まだ晩ごはんには早いのでポテトチップスを食べた。昨日のゲームといい今日のおやつといい、少しずつ決まった行動以外をする余裕が生まれている。おやつを食べると眠くなったので1時間ほど休憩した。そのあとでお風呂とトイレを掃除した。今週も人間らしい生活をすることができた。晩ごはんのあとで今作ろうとしている物質について調べて寝た。
もう大学で普通に研究できるようになったし、だいたい日常生活を遅れるようになったのでここらへんで日記を終える。2週間のつもりが1か月半も書いてしまった。
2月14日
今週の出来事
アメリカの社会保障番号をクレジットカードに紐付け
社会保障番号の通知カードをスキャンして、カード会社の問い合わせフォームから送れば完了。これでオンラインで支払いや明細確認などができるようになった。いちいち電話や郵送で手続きしないといけないのはめんどくさい。(日本人向けのクレジットカードなので日本語で電話できるのはありがたいが。)あとポイントが貯まるようにもなったらしい。
クレジットカードの自動引落
社会保障番号を登録したのでインターネットで手続きできた。口座番号を入力するだけで終了。もし社会保障番号を持っていなければ、VOIDと書いて無効にした小切手をカード会社に郵送しないといけないらしい。今どき小切手って。今どき郵送って。アメリカはクレジットカード以外は時代遅れな部分が多いように感じる。
銀行のキャッシュカードのアクティベーション
以前にも書いたが、アメリカのカードはきちんと本人に届いたことを確認するためにアクティベーションというのが必要。銀行のキャッシュカードの場合、銀行に電話するかATMで暗証番号を入力すると使えるようになる。電話は嫌なのでしない。アメリカはクレジットカード社会だし買い物は全部Amazonで済ませているので、今までATMを使う必要がなかった。しかしキャッシュカードをもらってから1か月経つし、そろそろアクティベーションしたほうがいいんじゃないかと思い立ってATMで4ドルだけ引き出した。チップ用の1ドル札のストックが増えた。
年金選び
メリーランド大学では2種類から選べる。ひとつ目はメリーランド州の年金。こちらは日本の年金と近い制度だと思う。でも退職後に貰える金額がメリーランド州でどれだけ勤務したかに基づいて計算されるので、私のように数年しかいない人間にとっては意味がないというかお金を捨てるようなもの。もうひとつは確定拠出年金で、ようするに大学指定の証券口座を開いて投資する。早期退職した場合はもらえる年金から所得税が多めに取られるが、メリーランド州の年金よりはお得そうなので確定拠出年金にした。
休日出勤
土曜日に初めて休日出勤した。装置に試料を入れるだけだったので30分で作業終了。京都にいたときならなんの苦もない作業だけど、大学まで往復1時間以上かかるとなると休日出勤したくない。おそらく休日出勤したくないと思うのが健康的な精神なんだろう。
電車で乗り換え聞かれた人に日本人ってバレた
休日出勤中の電車で、中国人みたいな人から乗り換えを聞かれた。一駅しか乗らない私は乗り換えなんて知らないが、車内の路線図を見て案内した。そのあと「日本人か?なまりでわかるわ。昔日本人と一緒に働いててん。」と言われた。日本人と言われて嬉しいような、なまってると言われて悲しいような。どこが日本人っぽいなまりなんだろう。
あられ
休日出勤の帰りにあられが降った。30分の作業のために1時間以上通勤したと思うのが馬鹿らしいので本当は帰りにスーパーに寄りたかったが、早く帰ることを優先して寄り道せずに帰った。あられが積もって滑りそうだったのでアパートの最寄り駅からはキックボードを押して歩いた。
包丁で指を切った
包丁を洗っているときに指の腹で刃をこすってしまった。物を切っているときに爪に刃が当たることは何度かあったが、血が出たのは初めてだ。しかし水気を拭いて傷口を押さえたらすぐにふさがった。ありがとう血小板さん。
湯船にお湯をためた
久しぶりにお湯に浸かりたくなった。ユニットバスだが一応湯船と栓はあるのでお湯を貯めることはできる。しかし湯船が浅いので強制的に半身浴だ。京都では風呂トイレ別のアパートに住んでいたのに、大学院に入ってからは忙しくて湯船に浸からないことが多かった。アメリカは不便すぎるせいで日常生活に意識と努力が必要で、かえって京都にいたときより人間らしい生活をしている気がする。アメリカのアパートは家賃が倍以上するのになぜユニットバスなんだろう。失って初めて分かるお風呂のありがたさ。
2月21日
今週の出来事
X線や放射性物質取り扱いの講習
被爆の可能性がある実験を行うには講習を受けて許可を得る必要がある。講習は自分で資料を読むパートと講師の話を聞いてテストを受けるパートの2部構成で、今週は資料を読むパートをこなした。講師の話を聞くパートは、X線は2週間に1回、放射性物質は1か月に1回、現在はオンラインで開催されるらしい。確か京大は半年に1回しか開催していない気がする。講習が頻繁にあるのはありがたい。
雪で大学閉鎖
今週も雪が降った。そのせいで大学も日本大使館も合衆国連邦政府も臨時閉鎖。大学職員には臨時の有給休暇が与えられた。外を見ると車道にうっすら雪が積もっている程度で、そんなに騒ぐことか?と思った。電動キックボードで走ろうとは思わないので、車社会では車道に少しでも雪が積もると致命傷なのかもしれない。地震でも台風でも出勤する日本人は頑張り過ぎだと思うが、アメリカは逆に交通インフラが脆弱すぎると思う。
定期券購入
通勤に電車を使っているので、1か月単位の定期券を買った。しかしあまり安くない。1か月の乗り放題が36回分の乗車料金で買える。1か月の平日なんて20日ちょっとなので、2割引きくらいか。まあ、日本でも通勤定期ならこんなもんなのかな。学生用の通学定期って無いのだろうか。
電車のほうがバスより高いことに気づいた
電車はラッシュアワーなら2.25ドル、それ以外なら2ドルかかる。私は一駅しか乗らないが、当然遠くに行くと運賃が上がっていく。一方バスはいつ乗っても2ドルだし、2時間以内なら乗り継ぎも含めて乗り放題だ。やはりバスは安くて粗悪なサービスなんだと思う。安くても極力使わないようにしよう。こうやって生活環境を選ぶ意識がアメリカの分断を加速させるのかもしれない。
週末に電車が止まった
駅だか線路だかの工事か知らないが、土日に5駅の区間で電車が走らなかった。その区間にアパートと大学も含まれていた。休日出勤する予定はなかったから影響なかったが、普通電車を止めるか?日本なら工事は深夜だけで済ませると思うのだが。アメリカでは深夜に働かせるほうが問題ということなんだろうか。電車の代わりに無料のシャトルバスが走っていたらしいが、バスには乗りたくない。
味噌煮込みご飯を作った
料理のレパートリーを増やしたくて、味噌汁にうどんを入れたらどうだろうと思いついた。調べてみると、味噌汁にめんつゆを入れてうどんを入れるといいらしい。しかしうどんは高いのでご飯を入れた。雑炊のような見た目になったが、味は味噌煮込みうどんだ。でも食感がうどんじゃないので変な感じ。あと塩味が濃い。味噌汁にめんつゆも入れたから当然か。味噌いるのかこれ?
シチューがうまく作れた
実は今まであまりシチューをうまく作れていなかった。ルーの味が濃くなったり、サラサラのスープになったりしていた。今回は弱火で丁寧に加熱したおかげでとろみのある美味しいシチューになった。サボって強火で温めてはいけないらしい。
スープになすびを入れた
じゃがいもが多い気がしたので、じゃがいもを半分にして代わりになすびを入れた。しかしAmazonでなすびを頼むと日本のものの長さも太さも倍くらいあるんじゃないかという巨大なものが来た。ピーマンといいなすびといい、野菜もアメリカサイズなのか。半分だけ鍋に入れたが、鍋が一杯になってメキャベツを入れるスペースがなかった。鍋からあふれそうなほど具材を入れたのは久しぶりだ。しかし調理後に蓋を開けてみると、あんなに入れたはずのなすびがあまり見当たらない。ほとんど水分で溶けたり縮んだりしてしまったのだろうか。メキャベツを入れるためには茄子の量を減らさないといけないが、調理後の茄子の量はこれ以上少なくしたくない。どうしたものか。押し込めばメキャベツも入るだろうか。
確定申告
去年3月までの源泉徴収票を年末調整に出し忘れるという凡ミスのせいで確定申告が必要だった。実家に届いた源泉徴収票などの書類の写真を送ってもらって、インターネットで確定申告した。税金もインターネットバンキングで納付できた。一体何のために親に納税管理人になってもらったんだか。納付方法は口座引き落とし、インターネットバンキングでの払い込み、クレジットカード、コンビニ支払い、窓口での現金が用意されている。めちゃくちゃ親切だ。勝手な予想だが、アメリカならクレジットカードか小切手郵送の2択だと思う。なぜアメリカ人は銀行振込を使わないのか理解できない。アメリカでアパートを探していたとき、申込金をマネーオーダー(小為替 )で送れと書かれていて諦めたことがある。アメリカは日本より遅れている。
2月28日
今週の出来事
タッパーを溶かした
今までAmazonで買っていた冷凍のフライドチキンが売り切れていたので、別の冷凍の鶏肉を買った。そしたら生のまま凍った鶏肉が届いた。冷凍でも「Fully cooked」と書かれていないものは生のまま凍っているらしい。パッケージを読むと電子レンジでの調理には対応していないようだが、タッパーに入れてなんとなく電子レンジで10分温めた。めっちゃ臭いにおいがするので見てみるとタッパーが溶けていた。温めすぎたようだ。デパートで予備の弁当箱を買っていたので困ることはないが、日本から持ってきた思い出のタッパーを一つ失ってしまった。日本から持ってきた残りのタッパーや器は電子レンジ禁止にしよう。あと、軽い電子レンジ恐怖症になってしまった。
包丁を落とした
使い終わった包丁を台所の端に置いたら、端しすぎたようで落ちた。先端5ミリくらいが少し曲がった。真っ直ぐに曲げなおそうとしたら折れてしまった。さきっぽ5ミリくらいなくても使える。タッパーを溶かした件といい、今週は失敗続きだ。「慣れてきた頃の失敗が怖い」というやつだろうか。
Amazonの荷物が消えた
お米とだしの素が2週間に1回自動で届くようにしているのだが、3週間経っても来ない。Amazonを見てみると、「荷物がなくなりました」と書かれている。なんてこった。これがアメリカクオリティーというものだろう。お米というライフラインに近いものが届かないと相当困る。すぐに改めて注文したら2日後に配達されて助かった。届かなかったお米はウェブサイトから返金処理できた。だしの素も返金処理しようとしたら、こっちはなぜかカスタマーサービスに連絡しろとメールが来た。Amazonはまともな企業なので電話ではなくウェブサイトからのチャットでカスタマーサービスに連絡できる。連絡するとすぐに返金処理してもらえた。Amazonの株は上がったが、アメリカの株はまた下がった。
久しぶりに鶏肉入り炊き込みご飯を食べた
間違えて買った生のまま冷凍された鶏肉があるので、これからしばらくは炊き込みご飯にはツナ缶ではなく鶏肉を使うことにした。久しぶりに鶏肉入り炊き込みご飯を食べたら美味しかった。ツナ缶より手間はかかるが、どうせ土日しか炊き込みご飯を食べないからこれからは鶏肉にしようかな。
3月20日
最近の出来事
スーパーに行った
毎週水曜日に食べている冷凍食品がなくなったのでスーパーに行った。アメリカに来た日は徒歩25分のスーパーに行ったが、今回は電動キックボードでショッピングセンターにあるスーパーに行った。とてつもなくでかい。日本のスーパーの3倍か4倍くらい広いんじゃないだろうか。面積を10分の1にして店舗数を10倍に増やしてくれれば便利なのに。一通り見て回るだけで一苦労だ。生鮮食品売り場の近くで冷凍食品を見つけたが、それほど多くない。「冷凍食品はデパートのほうが品ぞろえが良いのか?」と思っていると、本当の冷凍食品売り場が店の反対側に合った。とんでもない品揃えだ。アメリカにいる間に食べきれるだろうか。(食べきる必要はまったくない。)冷凍食品だけで7000円くらい買ってしまった。この日は料理をサボって早速買ってきた冷凍食品を食べた。カニのスープが美味しかった。値段を見ずにポンポン買ったが、このスープはいったいいくらだったんだろう。
夏時間が始まった
ある日、スマホの時計と電子レンジや炊飯器の時計が1時間ずれた。夏時間が始まったようだ。1年に2回も家中の時計を合わせ直さないといけないとは、なんて馬鹿げた制度なんだ。目覚まし時計として使っているガラケーには「夏時間設定」というのがあり、それをオンにすると時計を1時間ずらしてくれた。夏時間が終わったらオフにすればいいらしい。ガラケーの親切心に感動すると同時に、馬鹿げた制度に振り回される技術者に同情した。高速移動もしていないのに時刻をずらすなんて、アメリカ人には相対性理論を構築した人に謝ってほしい。個人的な意見としては、「日の出が早いから早起きしよう」という発想は理解できる。でもそれなら単純に始業時刻を早めればいいではないか。そもそも、時刻の基準は日の出や日の入りではない。太陽が南中を迎える時を正午としているはずだ。日の出や日の入りに合わせて時刻を変えるなんて、アメリカ人には地球の自転軸が傾いていることを発見した人に謝ってほしい。南中を12時にするか11時にするかは大した問題ではないのかもしれないが、時間というのは連続していることに意味があると思う。今回は3月14日の午前2時から午前3時が飛ばされたようだ。夏時間が終わるときはもっと悲惨で、11月7日の午前1時から午前2時を2回繰り返すらしい。アホなん?時間の連続性をぶった切るなんて、アメリカ人には太陽が周期運動していることを発見した人に謝ってほしい。
アメリカ物理学会3月大会
アメリカ物理学会の集会があった。2年前にボストンに出張したのと同じ学会だ。去年はデンバーで行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開会前日に中止になった。私は空港に向けて家を出ようかという段階で中止の連絡を受けた。前野教授はすでに空港で荷物を預けていたらしいし、すでに飛行機に乗っていた日本人も多くいた。今年はオンラインでのビデオ会議として開催された。発表は毎日朝9時から夜7時まで続く長丁場だ。長丁場と言っても、大学に9時間(8時間労働+1時間休憩)いて通勤に1時間かけると思えば普通だろう。しかし、真面目に発表を聞いていると寝不足になった。大学に行きながら薄々気づいていたが、アメリカでは8時間労働できないということがはっきりわかった。
停電
大学の建物で工事があるらしく、学会中に停電があった。いきなり電気が切れて実験装置が壊れないよう、停電前には装置の電源を切らないといけない。ということで、発表を聞く合間に実験装置の電源を切るためだけに大学に行った。京都にいた頃ならなんの苦もない作業だが、通学に往復1時間以上かかるとなると非常にめんどくさい。京都なら家と研究室を一日に2往復してもなんのストレスも感じなかったのに。帰りは親切なポスドクサンタが車で送ってくれた。ビデオ会議の学会には家のパソコンから参加したが、おそらく京都なら研究室から参加していただろう。研究室のほうがインターネット環境がいいというのもあるが、一番の理由は「なんとなく」だ。研究に関係あることはなんとなく研究室でしたい。なんとなくフラッと研究室に行ける環境が恋しい。
醤油スープ
味噌じゃなくてもいいんじゃないか?と思ってスープに醤油を入れた。まあまあ美味しい。ご飯よりもラーメンと合いそうな味になった。しかし醤油の消費量が多い。昼と夜に分けて食べる炊き込みご飯に入れる量の、さらに1.5倍を一食分に入れないと美味しくならなかった。塩分を取りすぎではないだろうか。味噌汁にもこれだけの塩分が入っているということか?
辛いものが食べたくなった
辛いものは得意ではないが、たまに辛いものを泣きながら食べたい気分になる。ということでAmazonで唐辛子を買った。アメリカに来て早々に買ったが一度も使っていなかったサラダ油で唐辛子とにんにくを炒め、野菜スープに投入。とりあえず辛いが、求める美味しさではない。そういえば塩分が入っていない。人間はナトリウムを取らないと死んでしまう。醤油を入れると少しマシになった。これからだんだん改良していこう。
4月14日
最近の出来事
地震がないと知った
背が高い装置を固定しようとしたときに「地震来たらどうするん」と言うと、「地震なんかないよ」と返された。西海岸ではあるらしいが、東海岸のメリーランドでは地震は起きないらしい。
だいぶ研究室に慣れてきた
初めのうちは何をするにも誰かの助けが必要だったが、やっと一人で一通りできるようになってきた。研究としては京都にいるときとほとんど同じなのだが、何がどこにあるだとか、研究室のルールや慣習はどうだとか、最初はわからないことだらけだった。
夜23時に帰った
一人でできるようになると自分を追い込んでしまうのが研究者というものではないだろうか。「やめどき」がわからずに23時まで実験してしまった。この日は夕方から新しい作業を初めてそれが思いの外時間がかかってしまった。昨日と一昨日も21時まで実験した。しかし夜に帰るのは危ないようで、スタッフからは「夜は駅までスクーターじゃなくて大学のシャトルバス使いや」と言われている。夜遅くまで実験した次の日は朝から出勤できるはずもなく、生活リズムが乱れてしまう。人間らしい生活をするよう意識しないと。京都なら通勤は自電車で数分だったし、いつでもコンビニで食べ物を買えたし、自炊する時間を節約できたし、長時間実験しても生活リズムが乱れても問題なかったんだけどなー。
給料を換金できなかった
給料は小切手で郵送されてきて、写真を銀行に送ると口座に入金してもらえる。しかしひと月の間に換金できる額に制限があり、それ以上は銀行に行って対面で換金してもらわないといけないらしい。いつもの給料なら問題ないが、なんやかんや上乗せされた小切手が送られてきたときに上限を超えて換金できなかった。銀行に行くのは面倒なので、制限が解除されるまで数週間待たないといけなかった。
給料を銀行振込にする書類を送った
今どき小切手なんて時代遅れだ。換金は写真を送るだけなので意外と簡単なのだが、小切手を受け取るために家に居ないといけないのがめんどくさい。ドアの前に置き去りにしてもらうこともできるが、数十万円の小切手を置き去りにされるのは怖い。銀行振込にしてもらう書類を提出した。なんで今まで提出しなかったかと言うと、提出方法がメールじゃなくて郵送で、郵便の送り方を調べるのが面倒だったからだ。切手付きの封筒がインターネットから買えるのでそれで送った。あとから知ったが、大学の中に郵便局の支店があるからそこに持っていけばよかったと思う。それにしても、今どき郵送なんて時代遅れだ。
クレジットカードの請求が20万円を超えてた
アメリカではすべてクレジットカードで払っていて現金はほとんど使っていない。smartrip(DC版ICOCA)が使えないバスに乗ったときに1ドル使っただけだ。クレジットカードの請求を見ると20万円を超えていた。家賃が14万円なので、ほかで6万円以上使っているということだ。食費と電車の定期代だけでそんなに使うのか。信じられなくて明細を確認するとひたすらAmazonが並んでいた。でもやっぱり家賃が高すぎる。
運転免許証取得失敗
アメリカで車を運転する気はないが、身分証代わりに免許は欲しい。しかし京都で発行してもらった国際免許をメリーランドの免許センターに持っていくと、「これは日本の免許の翻訳じゃないからダメ」と言われてしまった。たしかに国際免許というのは「日本の免許を持っている人が海外で運転するための新しい免許」であって、日本の免許の翻訳ではない。たとえば発行日や有効期限は全く違う。「日本大使館は国際免許でいいって言ってるんやけど」と食い下がったが、係の人がしばらく奥で作業した結果やっぱり「日本の免許証と情報が違うからダメ」と言ってきた。大使館に電話で確認すると、「係の人がそういうんなら仕方ない。翻訳は大使館でできるから、それなら受け付けてもらえると思う。たぶん。」と言われた。完全な無駄足だ。ここまでLyftで来たから往復3千円くらい無駄になってしまった。アメリカでは受け付ける人によって必要書類が変わるという話は聞いたことがあるが、これについては日本大使館の情報が間違っているのかもしれない。「国際免許じゃあかんかってんけど」とわざわざ大使館に電話する人はそういないだろうから、大使館はこれからも間違った情報を発信し続けるだろう。
simアメリカが変わった
アメリカで使っている携帯電話はsimアメリカという日本の代理店のようなものを通して買っている。しかしアメリカの携帯会社の都合でサービスが変更されるらしい。新しいプランに改めて申し込んだ。今までは電話し放題だったが、新しいプランでは月に100分までという制限がかかった。(その分ちょっと値下がりした。)100分を超えるとどうなるのだろうか。追加の通話料がかかるならいいけど、まったく電話できないのは困りそう。アメリカは時代遅れなのでメールではなくいまだに電話をよく使う。
辛いものがうまく作れた
醤油スープとして飲むのと同じ量の醤油を入れるとおいしくなった。カプサイシンはナトリウムの代わりにはならないということだろう。いままで作ってきた中ではカレーが一番好きだったが、唐辛子スープはカレー以上に好きかもしれない。次はお酢も入れてみようかな。
調味料をたくさん買った
TVerで見ている孤独のグルメでわさび丼なるものが出てきた。わさびが食べたくなったからAmazonで買った。ついでに味の素のコンソメと中華風調味料も買った。お酢は買い忘れた。
5月15日
最近の出来事
大学にキックボードだけで行った
土曜日に大学に行こうと思ったら駅が閉まっていた。やはりアメリカの公共交通機関は信用できない。さらにホームの工事とかいう理由で、5月29日から9月6日まで駅が閉まるらしい。いやいや、いやいやいやいや。はぁ?!やる気あんのか?ホームの改修くらい終電から始発までの間にちょこちょこやれよ!一応閉まっている間はシャトルバスがあるらしいし、大学に行こうと思った土曜日もシャトルバスはあったのだが、バスには乗りたくない。どうせ程度の低いサービスだろう。ということで大学まで電動キックボードだけで行くことにした。充電が保つか心配だったが余裕だった。あとから地図で調べると、どうやらアパートから駅までと、一駅電車で進んだ駅から大学までの合計距離とあまり変わらないらしい。電車を使うと少し行き過ぎてから大学まで戻ることになるし、そもそもアパートや大学は駅近ではない。アメリカでは駅近が発達するわけではないのだろう。しかも電車を使うより速い。電車を使うと30分以上かかるが、キックボードだけだと20分ちょっとで行けた。電車の意味……。しかしキックボードだけで行くのははっきり言って危ない。片側3車線の車道を走る。広い道路の右端をノロノロ走るのはいいが(アメリカは車は右側通行)、左折前に左車線に車線変更するのが怖い。「後ろから車来ないでくれ!」と念じながら運任せで車線変更する。
こけた
大学からキックボードだけで帰る途中、派手に転んでしまった。アメリカの道路は自動車の事以外考えていないので、自転車レーンは舗装がガタガタだし、嫌がらせのような砂利がおいてあったりする。電動キックボードは車輪が小さいので舗装のガタツキにつまずいてころび、小学生のように膝と手のひらを擦りむいた。後ろから車が来てなかったのは幸運としか言いようがない。まだ健康保険証が届いていないので病院に運ばれても治療してもらえるかわからない。治療してもらえても財布が死んでしまう。おそらく保険会社に請求すれば後からお金を返してもらえるのだが、それでも莫大な治療費を立て替えないといけない。(ポスドクサンタに聞いたら、社会保障番号があれば病院で保険を検索できるはずとのこと。)2月1日から保険に入っているはずなのに、一体いつになったら保険証が届くのだろう。今のところ歯医者さん用の保険証しか届いていない。日本なら1週間ほどで保険証が受け取れたのに。医療保険がないというのは文字通り致命的だ。こんな国で生きる自信がないのでさっさと日本に帰ろう。あと、キックボードに乗るときは長そで長ズボンを着て手袋もつけよう。
違う道で大学まで行った
こけたのは電車を使うのをやめて3日目のことだったが、これから3日に一回こけるわけにはいかない。いつか車にひかれてしまうし、ひかれなくても手の皮がなくなってしまう。ということで安全そうな別の道を調べたところ、公園の中を突っ切っていく行き方があるらしい。実際に使ってみると公園の中は車はいないし、公園以外の部分も安全そうだ。ただし公園のランニングコースのようなところを電動キックボードで走るので、普通にランニングしてる人とか散歩してる家族連れにちょっと申し訳ない。車にひかれたいか歩行者をひきたいかの選択を迫られることになる。車にひかれたくはないので公園の中をゆっくり走ることにした。こちらはかなり遠回りするので大学まで30分かかった。それでも電車を使うのと同じか、少し速いくらいだ。キックボードのバッテリーもギリギリ保った。
ワクチン一発目
大学でワクチンを受けられるようになったので打ってきた。副反応はほとんど無く、打ったところが腫れているのか、動かしたときの違和感が4日ほど続いただけだった。といっても接種の翌日は痛みまでは行かないがかなり違和感があった。ワクチンを打つときに小さな紙を渡されて、「接種の証明書やからなくさないでね。2発目打つときには持ってきてね。」と言われた。これがいわゆるワクチンパスポートってやつなのだろうか。アメリカはめちゃくちゃ大事な書類をペラッペラの紙で渡してくるから保管に困る。
そもそも大学職員や院生は教育関係者ということで優先接種の対象で、1月か2月くらいから接種できた。(東京オリンピックで大学生をタダ働きさせようとしている国とは教育に対する意識が違う。)しかしそのときはまだ車で30分以上かかる大規模接種会場まで行かねばならず、私は接種していなかった。あと接種の枠が限られているようで、まわりの人は予約を取るのに苦労していた。4月になるとアパートの最寄り駅が大規模接種会場になった。会場ができてすぐは駅までの道に車が増えて少し迷惑だった。しばらくしたら「ワクチン打ちませんかー」と駅でビラ配りが始まった。この頃には研究室の人はだいたい接種を終わらせており、ワクチンが余っているような印象を受けた。しかし私は大規模接種会場そのものが感染リスクなんじゃないかと思って行かなかった。あとアストラゼネカとかジョンソン・アンド・ジョンソンのワクチンで血栓ができるという話があり、ワクチンを信頼していなかった。同じく4月の初めに、大学でワクチンを打てるというメールが流れてきた。大学で打てるならということで予約しようとしたが、一瞬で枠が埋まっていた。このときはワクチンの対象が16歳以上のすべての人に広げられた直後で、大学生が予約に殺到したのだろう。4月終わりには大学が薬局と提携して、本格的に大学での接種が始まった。私はこの機会に接種した。ワクチンはファイザー製のものを使うと書かれていたので、血栓はできないだろうと判断した。大学から初めてきた案内メールには「今回も予約はすぐに埋まってしまうだろう」と書かれていたが、数日後には「大学生の家族も対象に広げるからどんどん予約して」というメールが来た。4月初めに16歳以上に対象が広げられてから2週間ほどで、ほとんどの大学生は接種を終えたということだろうか。
電気代を請求された
実は今まで水道代もガス代も電気代も払っていなかった。賃貸の契約書には「水道とガスはアパートが用意します」みたいに書かれていたので、電気代が請求されないことがむしろ疑問だった。入居前に電気の開通手続きを電力会社のwebサイトでやったのだが、そのときは住所を入力しただけで名前も支払い方法も不要だった。ひょっとして電気もタダなのか?と思っていたがやっと請求書が来た。3月の途中までの分はアパートの管理会社から家賃と同時に請求があり、それ以降の分は電力会社から直接請求書が届いた。電力会社から請求された分はwebサイトから支払えるらしい。しかしアカウントを登録しようとしたら「この住所はすでに登録されています」とか言われて登録できなかった。問い合わせフォームから連絡すると「契約者があなたの名前じゃないことになってるからここに電話して」というメールが返ってきた。ひさしぶりに出ました電話ー!20世紀の連絡手段ー!過去の遺物ー!問い合わせフォームを用意してるのに、メールで連絡取ってるのに、「電話して」と言う神経がさっぱり理解できない。実はアカウントを登録しなくてもゲストとして電気料金を支払えるのでそれで解決した。ただし手数料が200円ほどかかる。まあ、電話することに比べたら安いもんだ。だいぶ英語にも慣れてきたし電話もできると思うんだが、意地というかポリシーとして電話したくない。よほど急ぎでもない限りメールのほうが時間的制約もないしやり取りの記録も残って便利なので、電話を廃れさせる努力として電話を使わないことにしている。メール文化の日本に帰りたい。
水が止まった
「配管工事で水が止まるから明日の9時から17時まで水を使うな」という案内がドアに貼られていた。明日?!一日中?!京都で住んでいたアパートでも貯水槽の掃除のために年に一回水は止まったが、1ヶ月ほど前に案内が来たし、しかも止まるのは2時間だけだった。なんで一日中水が止まるなんて重大事件を前日に案内するのだろうか。私は大学に行けばいいが、専業主婦や家で仕事をしている人はどうするのだろう。やはりアメリカは住むのに適さない。
コンソメスープ
前回の日記に書いた調味料の一つ。水に対する規定量では味が薄い。大量の野菜を入れてるから、野菜から水分が出まくるのだろう。規定量の3倍入れるとおかずになるくらい味が濃いが、カレーにしたりシチューにしたりの応用が効かなそう。3日連続でコンソメスープになってしまう。
中華スープのもと
おいしい。が、インスタント味噌汁のように食べる直前に溶かそうとするとダマになって溶かしにくい。加熱調理の段階で入れるといいのかもしれないが、コンソメスープ以上に応用が効かなそう。結局コンソメスープも中華スープもあまり使っていない。
わさび
わさび丼はまあまあ。予想どおりというか、わさび風味のねこまんまだ。それよりもわさびを炊き込みごはんにつけると美味しいと発見した。ちょっとさわやかになる。それにしてもS&Bのわさびが辛い。こんなに辛くなくていいんだが。
5月23日
最近の出来事
ワクチン二発目
一発目と同じく、打った日は肩が腫れたのか少し違和感があった。2日目は肩が痛いくらい腫れた。あと腕に発疹ができてかゆかった。COVIDアームという副反応らしい。さらに37.3度の微熱が出た。3日目に治ったかと思いきや夜に寝付きにくいくらいの頭痛が始まった。4日目の朝も頭痛が残っていて弱い吐き気もした。5日目に肩の腫れも引いて完全復活?
また水が止まった
前回と同じく「配管工事で水が止まるから明日の9時から17時まで水を使うな」という貼り紙があった。これ何回も続くの?アメリカって水も安定して供給できない後進国なの?
Whole Foods Market
日曜日にちょっと実験していると、帰るタイミングがポスドクサンタと一緒になった。「よかったらスーパー行かへん?」というので、Whole Foods Market(ホール・フーズ・マーケット)というスーパーに車で連れて行ってもらった。Whole Foods Marketは日本で言う成城石井的なちょっといいスーパーで、最近Amazonが買収したらしい。Amazon以外で食材を買っても新しい料理に挑戦するのは面倒なのだが、ポスドクサンタに言われるまま牛肉とか鮭とかを買った。アパートからは大学よりさらに遠いので一人で来るのは難しそう。しかしAmazonで頼めば配達してくれるらしい。実は去年の12月24日にAmazonのサイトから利用しようとしたが、アメリカの携帯電話番号を要求されたので使えなかった。今はアメリカの番号を持っているので使える状況ではある。
寿司
Whole Foods MarketでSpicy tsunami comboなるふざけた名前の寿司が売っていた。マグロとサーモンの握りと、アボカドが入った巻きずしのセットだ。もっとアメリカンな寿司もあったが、これが一番日本っぽかった。そこそこおいしかった。まぐろはなんかちょっと臭かったが、サーモンは美味しかった。アボカドの巻きずしも意外と悪くない。お寿司を食べたのは久しぶりだからだいぶハードルが下がっていたのだろう。京都でもお寿司を食べる機会はあまりなかったんだよな。
牛肉
牛肉を食べたのはアメリカに来て初めてか。厚さ2センチほどのステーキが焼けそうな肉だ。フライパンは持っていないのでビザサンタがくれたアルミ鍋で焼くことにした。とりあえず鍋に入らないので半分に切った。サラダ油を引いてとりあえず焼く。両面に焦げ目がついたのでとりあえずかじってみたら中がピンク色だった。レストランで出てきたら食べる色だが、自分で焼いたピンク色の肉は不安なのでもう一度焼いた。しかし焼けども焼けども内部の色を確認するとピンク色だ。しびれを切らして焼きながら包丁で細かく切った。食べてみると、焼きすぎたのかスカスカで固くなっていた。あまりおいしくないな。
数日後にリベンジした。今回ははじめから包丁で小さく切って、さらに弱火でじっくり焼くことにした。前回は強火で焼いたから表面だけ焦げてしまったのだろう。やはり固いが、美味しいと言える味ではある。でも労力に見合った報酬とは言い難い。小さく切って、鍋から目を離さず焼き加減を確認して、必要に応じて裏返す。それだけ手間を掛けて食べたい味ではない。自分で肉を焼くのはもういいかな。
鮭
とりあえず塩を振ってから無駄に大きいオーブンで焼いた。めちゃくちゃうまい。オーブンに突っ込んだら時間を測るだけなので肉よりも簡単で、しかも肉よりも美味しい。しかし脂が乗りすぎていてちょっと苦しい。次からは半分にしよう。
冷凍の鮭
生の鮭とは別に、すでに火が通っている状態で冷凍してある鮭も買った。電子レンジの解凍モードで解凍して、そのあと普通に20秒だけ温めた。こっちもおいしい。すでに火が通っているので、電子レンジで数分でできるのも嬉しい。(その分値段は高いのだが。)これはクリームシチューに入れたらいいんじゃなかろうか。
冷凍のエビ
エビだけでおかずにはならなそうなのでカレーに入れた。今までタンパク質が入っていなかったカレーに旨味が追加された。とても満足した。
大根
ひさしぶりにツナ大根を作った。おいしいけど、なんか味が薄い?
6月5日
最近の出来事
異臭騒ぎ
大学で廊下の床の張替え工事みたいなのがあって、薬品のにおいが実験室にも充満した。教授が苦情を出したが、「くさいけど健康に害はない」という返事が返ってきたらしい。しかしそのあとで化学専攻の人からは「このにおいは嗅がないほうがいい」という連絡が来たらしく、結局その日は教授の判断で実験をやめて建物から出ることをおすすめされた。アメリカって他人を気遣うって精神がないのか?京大なら「工事で騒音が出ます」とか事前にメールが来たのに。
電球が切れた
家でいつもパソコンを使っている場所を照らす電球が切れてしまった。小さい電球が4個あるうちの一つが切れた。まだ3個残ってるからいいや。
セミ
数週間前からセミが羽化し始めて、アパート周りにも大学周りにも、都会っ子には気持ち悪い量の抜け殻や死骸が歩道に転がっている。踏みたくないので歩くのが遅くなるし、キックボードに乗っているときは避けられないので嫌な気持ちを抱きながら踏んでいる。芝生があるとこんなにセミが出るのかと思ったが、どうやら今年は特別で、17年に一度の周期ゼミが大発生する年らしい。来年はこんな思いしなくていいのか。
鮭入りクリームシチュー
冷凍の鮭に脂が乗りまくっているので美味しくできた。エビ入りカレーと同じく、タンパク質って美味しいんだなと思った。
鮭のホイル焼き
具材は鮭としいたけのみ。ポン酢をかけて食べたが、なんだか味が薄い。焼く前にもっと塩を振るべきだったのか?でもそれって塩焼きと変わらないんじゃ?ポン酢の味で食べたいんだよな。鮭から水分とか油が出まくるせいでポン酢の味が薄くなる。これなら普通に塩を振って塩焼きとして食べたほうが好き。
ツナ缶の炊き込みご飯
間違えて買った生のまま冷凍された鶏肉をようやく使い切った。久しぶりにツナ缶の炊き込みご飯に戻った。こんなに美味しかったっけ?
しいたけのだし2倍炊き込みご飯
ホイル焼きに使ったしいたけを戻した汁が余っていたので、そこにさらに乾燥シイタケをつけて戻した。そのしいたけと戻し汁を使って炊き込みご飯を作った。つまりいつもより2倍濃いだしを使ったことになる。ご飯がかなり茶色い。でも食べてみるとそこまで美味しくない。まずくもないのだが。しいたけだけ濃くてもダメなんだなと思った。
天丼
Whole Foods Marketで冷凍の海老の天ぷらも買っていた。無駄に大きいオーブンで解凍し、めんつゆと醤油と砂糖でつゆを作って天丼にした。海老だけの天丼は食べている間に飽きるということがわかった。次は塩で食べよう。
7月18日
最近の出来事
停電
朝から研究室のグループチャットが騒がしい。どうやら大学で停電が起きているらしい。ほとんどの部屋は影響がないようだが、大事な装置がある一部屋が停電しており、低温実験を行うための液体ヘリウムを液化できなくなっていた。一度液体ヘリウムが枯れて装置が温まってしまうと復旧に1週間ほどかかる。たいへんめんどくさい。今までも月一くらいのペースで瞬低を連発していたし、今回は10時間以上停電していた。大学でさえこの程度だし、アパートにいたっては掃除機の電源を入れると電気が一瞬消える。アメリカはインフラが脆弱すぎる。京都では10年いても停電なんてなかったし、瞬低も1年に1回あるかないかだったのに。
エアコン停止
停電とは関係ないが、建物全体でエアコンが停止している。(まだ解決していない。)夏場にエアコンがないと生命に関わる。実験装置からの排熱でさらに暑くなるし、人間だけでなく装置も壊れるかもしれない。1月もエアコンがなくて寒かった。ふざけてんのか。京都では10年いてもエアコンが壊れたことなんてなかったぞ。
キックボードに空気を入れた
電動キックボードの充電の保ちが悪くなった。今までは大学まで往復できたのだが、ある雨の日の帰りに充電が切れた。バッテリーがヘタったのかと思ったが、さすがに早い気がする。雨の日は地面との摩擦が増えてバッテリーを消耗するのだろうか?摩擦といえば空気が抜けてるんじゃないか?ということでタイヤを確認すると後輪の空気がだいぶ抜けていた。Amazonで空気入れを注文した。タイヤの空気を入れるところに差すための延長コードみたいなものがキックボードについているのだが、それをつけると空気が逆流して抜けてしまう。せっかく空気を入れても延長コードを外している間にぺちゃんこだ。このキックボードを作った会社は何を考えているんだ。結局延長コード無しで空気入れを直接タイヤにつないで空気を入れた。直接繋げられるのだから延長コードの存在価値がわからない。
前輪パンク
しばらくするとまたキックボードの充電の保ちが悪くなった。確認してみると前輪がベコベコだ。空気を入れるとシューと言う嫌な音がする。パンクしていた。自転車屋さんに持っていけば修理してくれるのか?インターネットで修理動画を見てみると、タイヤの取り外しが自転車よりも面倒そうだった。持っていっても修理してもらえるかわからないし、何より近くに自転車屋がない。ということで新しい電動キックボードを買うことにした。3万円以上するので決して安くないのだが、車社会のアメリカで車の代わりに半年乗ったと思えばもとが取れた気がする。研究室の人に「キックボードがパンクしたから新しいの注文したわ」というと驚かれたし笑われた。私だって日本では絶対に修理してもらうのだが、不便の国アメリカでは修理がとてつもなく面倒なのだ。
後輪パンク
前輪のパンクに気づいてから4日後くらいに、今度は後輪もパンクした。新しいキックボードが届くまでの間、前輪がパンクしたキックボードに乗り続けていた。乗り心地は正直に言ってどうでもいい。パンクしてようとしてなかろうと、どうせアメリカの道はガタガタだ。乗り心地はどうでもいいのだが、パンクしているとバッテリーがアパートと大学の往復保たないのが嫌だ。大学で充電しないといけない。
アクセル故障
後輪がパンクした翌日だったと思うが、今度はアクセルが故障した。普段なら時速25キロメートル弱出るのだが、アクセル全開にしても時速11キロしか出なくなった。流石にこうなると使えない。前輪がパンクしたときに新しいキックボードを注文して本当に良かった。
バスで大学に行った
アクセルが故障してから新しいキックボードが届くまでの間、1日だけバスで大学に行った。アメリカのバスは大嫌いなので使いたくないのだが、キックボードが壊れてしまっては仕方ない。久しぶりに使ってみると大きなトラブルはなく、思っていたよりも快適だった。(「思っていたより」というのが重要で、けっしてまた使いたいサービスではない。)トラブルがなかったのも運が良かっただけで、アメリカのバスでは結構な確率でひどい乗客や運転手と遭遇する。キックボードが届いたらもうバスは使わない。
新しい電動キックボード
前輪のパンクに気づいてから1週間ほどで新しいキックボードが届いた。アメリカの道では空気入りのタイヤはパンクするということを学んだので、今回は空気入りではなくゴムかプラスチック製のタイヤが付いているものを選んだ。作っている会社も古いキックボードとは違うものを選んだ。今のところ快適に使っている。
ホームパーティー
週末に研究室の人からホームパーティーに誘われた。これがアメリカか。日本なら研究室でパーティーしたり近くの居酒屋に行くところだが、家が(無駄に)広いアメリカではホームパーティーが一般的なようだ。晩御飯をごちそうになった。自炊力の差を見せつけられてしまった。みんな車で来るので酒は飲まない平和なパーティーだった。
害虫駆除
アパートのドアに害虫駆除の貼り紙がしてあった。半年に一回やるらしい。(ただし半年前の1月14日は来なかった。)台所を空にして大学に行って帰ってくると、害虫駆除しましたという置き手紙が残されていた。やはり住人がいなくても勝手に部屋に入るらしい。あまり気分のいいものではないがありがたいと言えばありがたいのか?京都ではそもそも害虫駆除なんてなかったのだが。ここはアパートの目の前に芝生が広がっているから虫が多いのだろうか?どこかから入ってきた虫の死骸はよく部屋に落ちている。虫が怖いというわけではないのでティッシュで拾って捨てているのだが、気づかずに踏んでしまわないかハラハラしている。
洗剤を変えた
日本から持ってきた洗濯用洗剤がなくなったのでAmazonで新しいものを買った。説明を読むと「中くらいの量ならフタの3のところまで、たくさんの量なら4のところまで、洗濯機が満タンになる量なら5のところまで」と書かれている。洗濯機の大きさによるだろ、常識的に考えて。アメリカに来て思ったのだが、ここの人は教養がない数字にお弱いのかな?そもそも洗濯機の説明にも「洗濯物を入れすぎないでください」と書かれているのだが、何キロまで入れてもいいのかは書かれていない。話は変わるが私が使っている電子レンジは10段階で出力調整できるのだが、最高出力が900ワットである以外は残りの9段階が何ワットなのかわからない。冷凍食品の説明にも「電子レンジの設定を『高』にして何分間」と書かれているが、『高』が何ワットを想定しているのかは書かれていない。「分数ができない大学生」なんて言われる日本人が笑える話ではないが、アメリカって国の教養レベルがわかる気がする。
脱水と乾燥に失敗
洗濯が終わって乾燥機に移そうとしたら、脱水ができておらず絞れるくらい洗濯物が水を含んでいる。洗濯機が故障したのか?まあいいやとおもってそのまま乾燥機にかけたが、乾ききらずに湿ったまま出てきた。1週間ほど生乾き臭い服を着ることになってしまった。
焼肉のタレ
醤油の代わりに野菜スープに入れたら美味しいんじゃないか?と思って買ったが、あまりおいしくなかった。何故かフルーツベースの甘いタレを買ってしまったのが失敗だった。普通の醤油ベースのタレならもう少しマシだったかもしれない。
11月7日
けっこう前の出来事
装置誤作動
夏に書いた前回の日記でエアコンが動いてなくて装置が壊れるかもしれないと書いたが、実際に誤作動した。空気に触れさせたくない物質を保管しているグローブボックスという装置が誤作動して、内部に空気が混入してしまった。教授カンカン。「絶対に全部の物質を弁償させる。こんなことやらかしていいわけないやろ。」とのこと。完全に同意する。
エアコン停止(これは最近)
この大学は学習能力がないらしい。冬になって、またエアコンが動いていない。寒すぎると寒すぎるで装置内で結露とか凍結が起こると困る。大学に苦情を入れた。
エアコン効きすぎ(これは現在進行中)
この大学は限度ってものを知らないらしい。苦情を入れたら室温を30度にしやがった。そもそも、各部屋にエアコンのコントローラーがないのがおかしい。なんで自分たちで快適な環境を作れないんだ。
大学水浸し
大雨が降って、大学の地下にある実験室が雨漏りして水浸しになった。いったいなぜこんなことになるんだ。以前にも書いたが、アメリカはインフラが脆弱すぎる。日本にいるときは「ハリケーンが来て停電・家屋倒壊」みたいなニュースを聞くと「アメリカのハリケーンは強いんやなあ」と思っていたが、たぶん違う。都市がハリボテみたいに脆いだけだ。
冷却水停止
こちらもさっぱり理由はわからないが、装置を冷やしている冷却水が数時間止まった。しかし被害は数時間ではない。少しでも冷却が止まると、装置内で液体ヘリウムを循環させているパイプが詰まってしまう。(これが詰まるのもよくわからない。ヘリウムが詰まるわけないのに。)パイプが詰まるとヘリウムを液化できなくなって試料を冷やせず、低温実験ができない。詰まりを取り除くために数日間実験を停止した。せっかく数億円する装置があるのに、水が安定供給されないせいで使えなくなるなんて。これまでも停電のせいで数日間使えなくなったこともあるし、まったくアメリカって国は。本当に頭にきたので「アメリカって文明が発達してないんやな」と不満を言ったら研究室の同僚にウケた。
オリンピック
アパートのお向かいさんに「オリンピック一緒に見いひん?」と誘われた。これまで何度か話して、こっちが日本人であることは伝えていた。お向かいさんは国立の研究所で遺伝子工学を研究しているらしい。研究室のトップなので、大学でいうと教授の地位だと思う。新婚旅行でアジアツアーをやったらしく、昔の東京の写真を見せてもらったりもした。(ただし今は単身赴任中で一人暮らし。)
開会式
同時中継は時差のせいで見てられないので、ゴールデンタイムに流れた録画を見た。なんでこんなに一貫性がないんだと思ったら、面白くない部分はカットされていたらしい。バッハ会長のスピーチも大半がカットされていた。天皇陛下のスピーチはむしろカットされたのかと疑問に思うほど短かった。ピクトグラムは素晴らしかった。
女子バスケットボール決勝
日本とアメリカが戦うということで再び招待された。アメリカが得点を決めるたびに「身長が違いすぎるからフェアちゃうなー」とか「日本のスリーポイントが調子悪いわー」と言ってくれた。男女で競技が別れているのに、なぜ人種では別れていないのだろう?男女の筋肉量が違うのと同じように、西洋人とアジア人で身長が違うのは生物学的な事実だと思うのだが。それだと実質国で分けることになって地球規模の大会にならないからだろうか。混血の人をどう扱うかの問題もあるな。もう一つ疑問に思うのが、同じ国籍の違う人種が活躍してるのを見て嬉しいのか?ということだ。アメリカは人種のるつぼなので、アメリカチームはいろいろな人種から構成されている。とはいえ競技ごとに人種が別れているように思う。走るのが速い黒人アメリカ人を見て白人アメリカ人は誇りに思うのだろうか。泳ぐのが速い白人アメリカ人を見て黒人アメリカ人は共感するのだろうか。そもそも私は日本人が活躍しても「その人個人がすごい」と思うだけで「日本人がすごい」とか「同じ日本人で嬉しい」とは思わないので、オリンピック向きの性格ではないのだろう。
閉会式
相変わらずよくわからなかったので覚えていない。エッフェル塔に旗がかかっているのを見て、「なんで東京タワーでやらんかってん!」とお向かいさんと二人でツッコんだのは覚えている。
11月13日
かなり前の出来事
アジアスーパー
よく話すインド人がアジアスーパーに行くというので一緒に行った。大学からバスで20分以上かかるので決して近くはないが、遠足のようなものだ。バスを降りてからスーパーまで歩いているときに、庭にひまわりが咲いている家があった。一緒に行ったインド人が庭に踏み込んで写真を撮って帰ってきて、「家の人に気づかれんでよかった。テキサスなら撃ち殺されてるわ。」と言った。じゃあなんで撮った?!
マロニー
アジアスーパーで買った。CMで知っているが、日本にいたときに使ったことはない。というか日本では料理しなかった。「お汁の多いお料理にはマロニーをそのまま入れてお使いください」と書かれている。食べかけで少し冷めた辛いスープに入れて5分くらい待った。しっかり芯が残っている。茹でなきゃいけないならそう書いてよ。スープを温めるときに入れて茹でると美味しくできた。なぜAmazonで売っていないのだろう。いちいちあのスーパーまで買いに行くのは面倒すぎる。
トムヤムペースト
アジアスーパーはタイやベトナム製品がメインで、日本の商品はあまりなかった。しかし野菜スープに溶かして使えそうなものはいっぱいあったので、トムヤムペーストを買った。スープに溶かすとすごくアジアな感じの味になった。これもマロニーに合いそう。カレーとシチューとハヤシと唐辛子スープ以外のレパートリーができた。
米うどん?
もやしくらいの太さと長さの「米うどん」なるものが売っていたので買った。トムヤムスープに入れて食べたのだが、あまり美味しくない。味はほぼ無いのでまずくないのだが、コシがなくてプツプツ切れる食感が好きではなかった。あと箸ですするには短すぎるし、スプーンですくうには少し長いので食べにくかった。
日本人に会った
メリーランド大学の近く(といっても車じゃないと行けない距離)にはアメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology; NIST)があり、うちの研究室とよく共同研究している。そこで働いている日本人研究者がメリーランド大学で測る試料を持ってきた。受け取るついでにお昼ごはんをごちそうになった。レストランに行ったのはアメリカに来て初めてか?研究室の人とアイスクリームを買いに行ったことはあるが、料理を食べたのは初めてだと思う。あらゆるものをAmazonで買ってカレーとシチューとハヤシライスと冷凍食品しか食べていないというと驚かれた。あと日本で発行した国際運転免許証でアメリカの免許が取れなかった話をしたら、「もう一回行ってみたら?国際免許で取れるはずやけど受付の人によるから」と言われた。雑談していると、やはりアメリカのすべてのサービスは質が低いらしい。「自分もアメリカ人並みにテキトーになればイライラしなくなるけど、そうなったら日本人から嫌われるからおすすめしない」と言われた。電話社会のアメリカにうんざりしているのも同じだった。しかしアメリカのいい面もあって、事務仕事はほとんどないらしい。たしかに京都にいたときは面倒な書類がたくさんあったし、同じような書類を何度も提出しないといけないこともあった。年度末のアンケートに「京都大学の博士学生につまらない書類作成させないでください」と書いたことがあるくらいだ。それがアメリカに来てからはまったくと言っていいほどない。(ビザ関係や新しい職員向けの説明会はうんざりするほどあったけど。)大学にきちんとお金をかけているアメリカでは、研究者が研究に専念できるよう、他の仕事のためには他の人をちゃんと雇う。ちゃんとした人を雇えていないせいで結局研究に専念できていないのが問題だが。
キックボード破損
後輪の上の泥除けが折れた。キックボードを折りたたんだときにハンドルを泥除けに固定するようになっている。その状態でハンドルを持ってキックボードを持ち上げると、10キロ以上あるキックボードを泥除けで支えることになる。泥除けはプラスチック製なので折れた。このキックボードを作った会社はプラスチックでキックボードを支えられると思ったんだろうか。研究室にある強力接着剤でひっつけた。研究室のいいところは、こういうDIY用品が充実しているところだ。これからは折りたたんだときはハンドルで持ち上げないようにしよう。
キックボード再び破損
また後輪の泥除けが折れた。今度は何もしていないのに、おそらくアメリカの道がガタガタなせいで衝撃で折れた。前回修理した接着剤が外れたわけではなく、新しくプラスチック部分が折れている。恐るべきガタガタ具合だ。またもや強力接着剤でひっつけた。さらに他の部分が折れないよう、ガムテープで泥除けをぐるぐる巻きにした。これで衝撃で泥除けがしなるのを防げるだろう。
キックボード破損?
車道の端に太さ3センチ位の木の枝が落ちていた。アメリカではよくある。避けるべきところが、うっかり乗り上げてしまった。幸いこけなかったので怪我はなかったが、ハンドルが少し曲がった。ハンドルをまっすぐ向けると車輪は左を向いており、少しずつ左に曲がるようになってしまった。止まって観察してみると、曲がったというより、ハンドルと車輪をつないでいる部分がずれただけのようだ。研究室のレンチでネジを緩め、ハンドルと車輪を真っ直ぐにした。こういうDIY用品が充実しているのが研究室のいいところだ。
11月21日
しばらく前の出来事
マトリックス上映会
以前にホームパーティーに招待してくれた人(実は一緒にアジアスーパーに行ったインド人)が、今度は映画の上映会を開いた。これがアメリカか。その人はアパートではなく数人でシェアハウスに住んでいる。地下に広い部屋と大きなテレビがあるのでそこでマトリックスを見た。その人が一番好きな映画がマトリックスらしい。しかし英語だから何言ってるかわからなかった。字幕をオンにしてくれたが速すぎて読めない。映像を見ているだけでなんとなくストーリーはわかったからいいか。
バットマン上映会
マトリックスは3部作なのだが、なぜか2部と3部は見ずにバットマン3部作を見ることになった。こっちのほうがセリフが速くてなおのこと何言ってるかわからなかった。しかし主人公が敵を殴るだけの映画だからセリフなんて必要なかった。
Venmo
映画の上映会では宅配ピザを食べているのだが、その料金はVenmoという個人間送金サービスで割り勘することになった。利用登録しようと思ったらサイトにアクセスできない。久しぶりにこのパターンか。アメリカは国によって差別してくるので、日本の携帯回線を使っているとアクセスできないサイトがよくある。人種のるつぼが聞いて呆れる。アメリカの携帯電話を使って登録した。送金を簡単に行えるスマートフォン用アプリもあるのだが、それも日本のAppleアカウントからは使えないようになっていた。インターネットに国境を作るなんて中国と同じことをしている。自由の国が聞いて呆れる。
Subway
いつも冷凍のフライドチキンとブロッコリーとトマトとご飯をタッパーに詰めて持っていっているのだが、持っていくのを忘れた日があった。持っていくというよりご飯を炊くのを忘れたような気がする。研究室の隣の建物にあるサブウェイ(サンドイッチ屋さん)に行った。メニューを見てもさっぱりわからない。「ターキッシュなんちゃらを下さい」と言うと、まずはパンを選べと言われた。めんどくせーな。その後も具材を自分で選ばないといけないが、そもそも目の前にある具材が何なのかわからないので「これいる?」という質問に対してイエスとプリーズを連呼した。食べてみると混沌という言葉がピッタリの味だった。すごく辛い青唐辛子と吐き気がするくらい酸っぱい(というかエグい)ピクルスが入っていた。これだから海外でレストランに行くのは嫌なんだ。
メトロ開通
駅の工事で3か月以上止まっていたメトロが再開した。どんなにピカピカのホームになったかと思ったら、自動改札と電光掲示板しか変わっていなかった。こんなもん1週間もかからんやろ。どんだけチンタラやっとんねん。渋谷駅を見習え。
韓国スーパー
研究室にいる(ポスドクサンタとは別の)韓国人が韓国スーパーに連れて行ってくれた。その韓国スーパーはチェーン展開しているくらいなので、アメリカには韓国人が結構いるようだ。日本人はほとんどいない。おそらく来たとしてもすぐ嫌になって帰ると思う。スーパーは車で数十分かかる距離なので一人では絶対に行けない。相変わらず遠足気分で値段を見ずにポンポン買っていると1万7千円くらいになった。
寿司
アメリカで定番のマグロとサケに加えて白身魚が入っていたので買った。なんの魚かわからなかったが(歯ごたえのまったくないヒラメみたいな感じだった)、まあまあ美味しかった。マグロの質にも期待したが、Whole Foodsのマグロと変わらなかった。サケは安定して美味しい。
トッポギ汁
辛い。さすが韓国。でもおいしい。
キムチ
辛くない。なぜだ。辛いより酸っぱいのほうが勝っている。発酵が進みすぎているのか?美味しくないわけではないけど、トッポギ汁を食べたあとだと拍子抜けしてしまった。
肉まん
電子レンジで温めるだけで美味しい。出来合いの料理はすごく楽だ。料理を作るのはまだマシだが、皿洗いは人生の無駄使いとしか思えない。こういう惣菜が徒歩数分のコンビニで手に入ればいいのに。
松茸の味お吸い物
美味しすぎて感動した。これが出汁か。自分で作っている野菜スープとぜんぜん違う。(野菜スープはお吸い物として作っていないので当たり前だが。)アメリカで食べたもので一番美味しいと思う。
お茶漬け
永谷園は偉大だ。お吸い物といいお茶漬けといい、お湯をかけるだけで心を満たしてくれる。渇ききった心に日本が染み渡っていくのを感じた。
たこ焼き
冷凍のたこ焼きがあったので買った。普通。感動するほどではなかった。これはたぶんアメリカだからというわけではなくて、冷凍のたこ焼きは日本でも最高とは言い難い。冷凍のたこ焼きはなんだか小さいし塩辛い。大きくて柔らかいたこ焼きのほうが好きなんだよな。
しめじ
電子レンジで温めてポン酢をかけて食べた。ほっこりする。こういうのでいいんだよ。京都の研究室で同じものを食べたのを思い出した。
冷奴
豆腐も買ったので醤油をかけて食べたら、日本でいつも食べていたのと違う。硬いし重い。ゴーヤチャンプルー用の豆腐じゃないかこれ。これだけでお腹が一杯になってしまう。
ピーマンチャンプルー
チャンプルー用の豆腐ならチャンプルーにすればいいじゃないということで、ピーマンとしめじと一緒に電子レンジでチンして(チンとは鳴らないのだが)めんつゆをかけて食べた。めんつゆばかりだと甘ったるくなったので醤油もかけた。これでしっかりしたおかずだ。
12月27日
少し前の出来事
うなぎ
韓国スーパーで冷凍のうなぎの蒲焼も買っていた。値段は見ていないが、こんなのを買ったから1万7千円もしたのかもしれない。流水と電子レンジで温めてご飯に乗せて食べた。おいしくて感動した。松茸の味お吸い物と同じくらい美味しい。こういうタレは久しく食べていなかった。塩味、醤油味、味噌味といった調味料単体で味付けしたものばかり食べていた。渡米直後に作ったツナ大根が例外だが、調理が面倒なので最近は作っていない。日本にいた頃は特別な存在とは思っていなかったが、一気にうなぎが好きになった気がする。(といっても残念ながらこの一度以来食べられていない。)
辛子明太子
同じく韓国スーパーで買った。お茶漬けといい明太子といい、ご飯がすごく美味しく食べられる。カレーをかけて食べるのとは違う幸せがある。
そば
韓国スーパーで緑のたぬきを買った。小腹がすいたので食べたら、去年の年末を思い出して懐かしくなった。大晦日にビザサンタがくれた緑のたぬきを食べたんだ。あのときは他人に食べ物を恵んでもらって生き残れた。(もちろん本当にお腹が空いたら自己隔離なんて無視してスーパーに行ったと思うが。)食べ終わってもまだお腹が空いていたので、同じく韓国スーパーで買った普通のそばを茹でて緑のたぬきのだしに入れた。麺の食感がぜんぜん違う!アマゾンで買った七味を入れたらもうちゃんとしたお蕎麦ではないか。緑のたぬきで油断したあとにちゃんとしたそばを食べて感動してしまった。
Amazonの荷物行方不明
数週間前に頼んだ荷物が届かない。Amazonのウェブサイトで確認してみると、「荷物がなくなりました」と書かれている。毎週食料を買っているが、それもいままで数回なくなっている。なんでこんなことになるんだ。荷物を届けるという仕事でお金をもらっているんだから荷物を届けろよ。Amazonに問い合わせると改めて商品を送ってもらえた。(返金も選べたが、商品が必要だったので新しいのを送ってもらった。)Amazonはちゃんとした企業なので電話ではなくオンラインによるチャットで問い合わせができるし、対応も速い。こんな優良企業が程度の低い配送業に足を引っ張られているのがふびんでならない。全体的に、アメリカのトップは世界のトップだと思うのだが、それ以外の大多数が猛烈に足を引っ張っている。何億円もする実験装置が冷却水や電気が止まるせいで動かないのと同じだ。世界最高の研究環境を補って余りある住環境の悪さである。
排水口が詰まった
実はアメリカに来てから1年間髪を切っていない。「髪切ってください」って英語で言えない。というのは半分冗談で、アメリカの散髪屋を信用していない。単純にアメリカという国のサービスへの信頼は地に落ちているというのもあるし、アジア人の髪質に慣れていないから変な髪型になるという噂がある。長い髪を洗っているとお風呂の排水口が詰まってしまった。Amazonでアメリカ版パイプユニッシュ(パイプユニッシュと同じSC Johnson製だが商品名はDranoというらしい)を買って一本まるまる使ったらつまりが取れた。
柔軟剤を変えた
洗剤に続き日本から持ってきた柔軟剤もなくなった。日本でも知っているメーカーのものをAmazonで買った。パイプユニッシュといい、日本とまったく同じ商品は売っていない。国ごとに使っていい成分が異なるのだろうか?洗剤と同じく、「洗濯物がたくさんならフタの3のところまで」と書かれている。足を引っ張る側の人間にはこれがわかりやすいのかもしれないが、理系の人間からすればこんなものは説明になっていない。
腐った卵
毎日卵を割って電子レンジで加熱して食べているのだが、ある日卵を割ると黄身が溶けたようになっていた。黄身が割れたのであれば白身と完全に混ざることはないと思うが、今回は白身が黄色くなっている。なにかおかしい。しかし臭いを嗅いでみても硫化水素の臭いはしない。(中学校では硫化水素の臭いを腐卵臭として習うが、私は腐った卵の臭いを知らないので卵が硫化水素臭かどうかが判断基準だ。)とりあえず電子レンジで温めてみる。その間にインターネットで検索。やはり腐っているようだ。電子レンジから取り出してみると、エビのような甲殻類の臭いがする。硫化水素は腐卵臭ではないのか?電子レンジで温めたおかげで固まって捨てやすくなったのでそのまま捨てた。
腐ったスープ
ある日スープを食べようとすると、片栗粉を溶いたようにとろみが付いている。なにかおかしい。しかし臭いを嗅いでみても変な臭いはしない。少し口に入れてみたが味もまったく問題ない。ひょっとして腐っていないのか?とりあえず鍋で温めてみる。その間にインターネットで検索。臭いも味も変化せずにとろみが付くという症状がそもそも見当たらない。一件だけ見つかったページではとろみが付いていたら腐っていると書かれている。とろみが付いても大丈夫という情報は見当たらないし、残念だが捨てることにしよう。スープを捨てるのはとても面倒だ。生ゴミを受け止めるネットで具材と水分を分離して捨てた。
2022年4月2日
昔の出来事
水が止まった
水が止まりすぎてこれがいつのことだったか覚えていないが、また「明日水が止まります」という張り紙があった。お向かいさんのお風呂の天井から水が漏れているらしい。大学でも雨漏りや水漏れが頻発するし、アメリカの建物は手抜きもいいとこだ。
水が止まった
水が止まりすぎてこれがいつのことだったか覚えていないが、また「明日水が止まるかも」という張り紙があった。少し前からアパートの前の道が濡れていることに気づいていたが、どうやら駐車場から水漏れしているらしい。アメリカのインフラは手抜きもいいとこだ。張り紙には「止まるかどうかは工事が始まらないとわからない」と書かれていたが、ちゃんと止まった。しかも朝から夕方まで。(私は大学にいたから影響を受けなかったが。)率直に言って、こんなところに住み続ける人間の気が知れない。日本に来たらどれだけ感動してもらえるだろうか。
バッテリーがヘタってきた
電動キックボードに乗り始めた頃は、大学との往復で充電を半分強しか使わなかった。しかし今は行きだけで半分以上使ってしまって往復できない。仕方ないので大学で充電している。外にコンセントが無いので居室に持ち込んで充電しなければならないのでめんどくさい。半年でここまでバッテリーが劣化するのか。この話を研究室の人にすると、「冬場は気温が低くてバッテリーの性能が落ちる」という話を聞いた。ホンマに?インターネットで調べてみると、技術的には本当に気温が低いと性能が落ちるらしい。しかし携帯のバッテリーはそこまで気にならないぞ。やっぱり経年劣化してるんじゃないかな?冬が終われば性能が回復するのか?気温のせいにしろ経年劣化にしろ、この程度の信頼性のバッテリーで電気自動車を普及させようとしているのか?冬になったら劇的に走れなくなるぞ。そもそも電気というのは流してこそ意味があるんだ。「電気を貯める」という発想が効率を下げている。道路に電線を張り巡らせてリアルタイムに電気の供給を受けるべきだ。そして5人乗りの箱に運転手一人しか乗っていないのも効率が悪いから車体を大きくするべきだ。つまり電車だよ。動力をガソリンから電気にするんじゃなくて車社会をやめればいいのに。
スパゲティー
さすがにカレーとシチューとハヤシに飽きてきた。電子レンジでスパゲティーを茹でられる容器をAmazonで買った。15分ほどで一食茹で上がるので便利。しかしAmazonで買ったソースがなんとも味気ない。イタリアンハーブという名前だが、肉なしのミートソース(つまりただのトマトソース)のようだ。多分自分で具材を追加するものだと思う。冷凍の小エビを入れてやりすごしている。
チャーハン
さすがにカレーとシチューとハヤシに飽きてきた。CookDoの香味ペーストをAmazonで買った。ご飯を炒めるくらいできるだろうと思ったが、どうやらチャーハンを甘く見ていたらしい。まず小さいアルミ鍋でご飯を炒めるのは難しい。フライパンと鍋は違うものだということを学んだ。そして卵を入れてもうまく広がってくれない。味付けは香味ペーストだから間違いないのだが、食感とか見た目とかがチャーハンとはいい難い。伝わらないと思うが、これはチャーハン味のご飯にすぎない。たぶんもう作らない。
スープかけご飯
CookDoの商品紹介動画を見ると、香味ペーストで味付けしたスープを香味ペーストで味付けしたチャーハンにかけて食べている。同じ味付けだからまずいはずがない。チャーハンは作れないが、スープに香味ペーストを溶いて白ご飯にかけるくらいはできる。作ってみたが……、これはなしだな。中途半端に汁がかかったご飯というのは食欲をそそらない。お茶漬けのようにもっとシャバシャバにして、ご飯入りスープとして食べたほうがマシだと思う。たぶんもう作らない。
白身魚
タンパク源が冷凍の小エビかフライドチキンか爆発させた卵しかないのは寂しいので、冷凍の白身魚をAmazonで買った。小エビは調理済みのものが冷凍されているので温めれば食べられるが、白身魚はおそらく生のまま冷凍されているのでしっかり火を通さないといけない。スープを温める段階で白身魚を入れて、ハヤシライスにして食べた。小エビ以外のレパートリーができて満足。
メキシコ料理
大学の食堂というか、大学内にあるいろんなお店が入ったフードコートに行った。研究室スタッフの実験を手伝っていたら装置トラブルで遅くなったので、お礼にメキシコ料理を奢ってもらった。NISTにいる日本人研究者と一緒に食べたのもメキシコ料理だったし、アメリカではメキシコ料理が人気なのだろうか?(「アメリカ料理」というとハンバーガーとかピザになってしまうので他国の料理が人気なのはうなずける。研究室の大学院生は「アメリカの料理なんて料理と呼んでもらえることすら光栄やわ」と言っていた。)奢ってもらえるのはありがたいけど、晩ごはん用に炊いてるご飯とかが余るからちょっと面倒なんだよな。臨機応変に対応するのがめんどくさい。外食するというのは日記に書けるくらい珍しいことだ。