Blog

「アストロバイオロジークラブ」創部にあたって

4月29日更新 (高萩航)

学びの場が変わりつつあります。社会情勢の変化を受けて、今年予定されていた多くの学会やシンポジウムが中止となり、オンラインに移行しました。また高校や大学の授業などもオンライン化し、これまで以上に自主性が求められる一方で、やる気があればいつでも誰でも勉強が進められるコンテンツが充実してきました。


そんな中、私がオーガナイザーを務めていたアストロバイオロジーを学ぶ合宿は中止を余儀なくされ、一緒に学ぶはずだった高校生や大学生、また運営一同大変残念に思っておりました。しかしながら合宿の中止を補うような学びの場がまだ日本には多く存在せず、自主的にアストロバイオロジーを学びたいと思ってもその機会と関連する情報を得られる場の少なさが足枷となり、最初の一歩を踏み出せずにいる学生の声を多くいただきました。合宿や学会などの場でアストロバイオロジーに触れる機会はもちろん重要ですが、その一方で、もっと多くの人と情報を共有したり、仲間を見つけたり、また最前線の研究者からその研究の魅力や発展性を聞き気軽に議論を行える場があれば、日本でのアストロバイオロジー研究がより一層盛り上がっていくのではないだろうかと考えました。


そこで私は、2019年から行ってきた自主勉強会のメンバーとともに、日本におけるアストロバイオロジーの普及に尽力してこられた東京工業大学地球生命研究所の藤島皓介先生をゲストに迎え、Astrobiology Seminar ONLINEを開催させていただきました。こちらが240人を超えるリアルタイム視聴者にご来場いただき大変盛況だったことを受け、改めて日本においてアストロバイオロジーを学びたいという需要多さを実感するとともにその教育リソースがまだまだ不足していると感じました。


そこで私たちは、オンラインセミナーを定期的に行うとともに、アストロバイオロジーに関する情報を日本語で発信する場として、オンラインコミュニティの設立を構想し、「アストロバイオロジークラブ」の創部に至りました。


私は中高生の頃、宇宙は好きでしたがどこか遠い世界のように感じ、宇宙の研究ができるのはほんの一部の選ばれた人たちで自分には無縁と思い込んでおりました。しかしながら、私をアストロバイオロジーの世界へ誘ってくれた藤島先生をはじめとして、実に多様なバックグラウンドをもつ研究者、教員、友人がコミュニティに存在し、私を支えてくださっています。それぞれの考え方が多様かつ柔軟であるからこそ、分野横断的な学術分野であるアストロバイオロジー研究が遂行できているのだと思います。学歴や経験にとらわれず、誰でも足を踏み入れ触れられるということを、アストロバイオロジークラブを通して知って頂ければ幸いです。同時に、この研究分野の魅力やおもしろさを、多くの人と共有したいと思っています。


アストロバイオロジークラブは、未来のアストロバイオロジストとともにアストロバイオロジーに関する最先端の研究内容やニュースを共有し合う高度な研究コミュニティとしての役割を担いたいと考えています。


メインコンテンツ「アストロバイオロジーセミナー」に加え、日本でアストロバイオロジーを学ぶための情報の充実を進めていきます。2020年創部のオンラインコミュニティ、アストロバイオロジークラブを今後ともどうぞよろしくお願いいたします。