Aspects of Mirror Symmetry 2023
日時: 2023年9月4日(月)-6日(水)
場所: 千葉大学 理学部1号館 (西千葉キャンパス), 109大講義室 (千葉大学へのアクセス方法)
参加を希望される方は登録をお願い致します. 登録フォーム
今年の研究集会は連続講義+研究講演の形式で開催します.
::: プログラム :::
9月4日
13:00-14:00: 三田史彦 (学習院大学)
14:30-15:30: 三浦真人 (大阪大学)
16:00-17:00: 大川新之介 (大阪大学)
9月5日
午前中: 研究討論
13:00-14:00: 三田史彦 (学習院大学)
14:30-15:30: 平野雄貴 (東京農工大学)
16:00-17:00: 大川新之介 (大阪大学)
9月6日
午前中: 研究討論
13:00-14:00: 三田史彦 (学習院大学)
14:30-15:30: 中西隼斗(千葉大学)
16:00-17:00: 大川新之介 (大阪大学)
::: 講演概要 :::
::: 三田史彦 ::: 圏論的ミラー対称性の文脈で現れる導来圏の半直交分解 (連続講義)
(open)Calabi-Yau多様体Yとその上の正則関数Wの組をランダウギンズブルグ模型という。(Y, W)に付随してFukaya-Seidel圏と呼ばれる圏が定まりこれはWの特異点の連結成分への分解に対応する半直交分解を持つと期待される。一方(Y,W)からは行列因子化の圏と呼ばれる圏も定まりこれは特異点の連結成分への分解に対応して直交分解する。さらに行列因子化の圏のcyclic homologyはWのガウス-マニン接続(のフーリエ双対の形式冪級数版)とかかわると期待されている。そしてこのような現象のミラーとしてFano多様体Xの連接層の導来圏の半直交分解、深谷圏の直交分解、量子D加群の間の深い関係が示唆される。本講演では以上のような視点からDubrovin予想とその周辺について解説する。::: 大川新之介 ::: Artin-Schelter正則代数による非可換del Pezzo曲面の研究について (連続講義)
Del Pezzo曲面は全部で10種類の変形類を持つが、これらの非可換変形をArtin-Schelter正則代数と呼ばれる非可換次数つき代数(の一般化)によって統一的に記述・研究することに興味がある。より幾何学的な言い方をすれば、これは"偏極"ないし"marking"が指定された非可換del Pezzo曲面を考えることに他ならない(正確には、ある種のhelixが指定された(導来)圏を考えることになる)。さらに、"点"のモジュライ空間によってそれらの代数を分類することができると期待されている。講演ではこのテーマについての現状を概説し、今後の色々な方向性について紹介したい。::: 三浦真人 ::: Calabi--Yau超曲面の幾何転移とミラー対称性
KreuzerとSkarkeによる4次元反射的多面体の分類の副産物として、これらの多面体の同型類が包含関係の列によってつながることが確認されている。これに対応して、4次元トーリック多様体のCalabi--Yau超曲面は、フロップを法として幾何転移の列によってつながることが示される。実際には、多面体の包含関係がちゃんと幾何転移と対応することを示すために、GorensteinトーリックFano多様体の特異点解消とは限らない双有理モデルまで考慮する必要がある。この辺りの事情をFredricksonによる典型的な例 (射影空間の2点爆発に付随する例) を用いて解説する。また、こうして得られる幾何転移は、その構成から自動的にミラー対称的である。そこで、とくにただ1つの孤立特異点を経由する原始的な幾何転移を取り上げ、そのミラー対称性を議論する。::: 平野雄貴 ::: 擬対称表現に付随する非可換クレパント解消の変異について
正規Gorenstein環Rに対し, Rのクレパント解消の類似として非可換クレパント解消と呼ばれる非可換R-代数がVan den Berghにより導入された. 非可換クレパント解消は, クレパント解消と同様いつでも存在するとは限らず, 森田同値類での一意性も一般には成り立たないが, 存在する場合は互いに導来同値となることが期待されている(非可換Bondal-Orlov予想). 伊山--Wemyssは, 非可換クレパント解消から新たな非可換クレパント解消を作りだす操作を導入し, これら2つの非可換クレパント解消が導来同値となることを示した. この操作は変異と呼ばれ, クレパント解消のフロップの類似となる操作である. 本講演では, 簡約な線形代数群Gのジェネリックな擬対称表現に付随する商特異点Rに対し, マジックウィンドウと呼ばれる圏からRの非可換クレパント解消が定まることを説明し, Gがトーラスの場合にこれらが変異により繋がることを説明する. 本講演は, 原和平氏との共同研究に基づく.::: 中西隼斗 ::: モースホモトピーを用いたトーリックファノ曲面のホモロジー的ミラー対称性
ミラー対の構成法の1つとしてSYZ構成がある。トーリックファ ノ曲面に対してはモーメント写像を用いることで自然にSYZ構成を考えることが できる。本講演では、特に複素射影平面の2点ブローアップを複素多様体として 考え、シンプレクティック側の圏として トーラス束のモースホモトピーの圏を 用いたホモロジー的ミラー対称性の定式化を説明する。なお、本講演の内容はプ レプリントarXiv:2303.07851に基づく。
::: 世話人 :::