要望書




前橋市長 山本 龍 様




次期アーツ前橋館長職に関する要望書




団体名 アーツ前橋を応援する会

呼びかけ人

白川昌生(美術作家)

木暮伸也(アーティスト・写真家)

喜多村徹雄(アーティスト・群馬大学共同教育学部准教授)

八木隆行(美術家・ya-gins 主宰)




早春の候、ますますご清祥のことと存じます。


 標題の件、アーツ前橋の次期館長職には現代美術を専門とする人材の登用を要望するものです。


 アーツ前橋は、山本市長が諮問した芸術文化施設運営検討委員会の答申を反映した活動指針ならびに文化推進会議が市民とともに策定した3つのコンセプトの実現に向けて、7年間運営されてきました。


 この間、地域の美術活動を積極的に取り上げるとともに、地域の作家たちも近隣商店街を舞台に活動をおこない、その相互作用は地域内外から注目され、全国の美術関係者が前橋を来訪するようになりました。アーツ前橋が取り上げた地域の作家が全国的な評価を得るなど、地域の発信力にも貢献しています。また、教育や福祉などの社会課題にも当事者と連携して取り組むことで、美術の範囲を超えた貢献をしてきました。2013年はグッドデザイン賞、2018年は地域創造大賞を受賞し、各自治体や大学などの視察が続いていることは、その証左です。


 これらの成果は、専門職館長の下、学芸員が市民と協働することで実現できたと考えています。地域に根ざし、地に足の着いた活動は、地域の商店街にも支持されてきました。全国の美術関係者から注目されるなか、昨年12月に白井屋ホテルが開設したことは、芸術文化を通じた新たな芽吹きが前橋に根付きつつある一つの事例だと言えます。芽がしっかりと根を張り、成長への期待が確信へと変わった矢先、令和2年度末での館長退任が公表されました。同時に、次期館長が未定であること、4月から三ヶ月間休館するとの報道を受け、芸術文化による新たな芽吹きが後退してしまうのではないかと大きな不安を覚えています。水と土を与えなければ若葉は大樹になりません。前橋にとって水であり土であるアーツ前橋の活動は、これまで以上に継続発展する必要があるのではないでしょうか。


 社会課題と取り組み、地域とともに成長する次世代の美術館像を指向するアーツ前橋の館長職には、芸術という資源を適切に扱うことができ、地域のコミュニティと連携する滞在制作や地域アートプロジェクトにも通じた現代美術を専門とした人材の登用を要望します。


 以上の件につき、宜しくご配慮賜りたくお願い致します。