本サイトは、九州大学大学院芸術工学研究院 中村美亜研究室、ラボラトリオ株式会社、NPO法人ドネルモが協働で実施している研究プロジェクトについてまとめています。
認知症ケアの場で、さまざまな芸術活動が行われるようになっています。これまでの研究から、即興的で共創的な芸術活動は、認知症の人本人だけでなく、認知症の人と介護者の関係性にも良い影響を与えることがわかっています。
しかし、実際にどのような活動を実施すればよい効果が得られるか、それらをどう評価すればよいのか、より根本的には、どのようなメカニズムで効果が得られるのか、既存のセラピーや介護で期待される効果との違いは何か、という点がまだ十分明らかになっていません。
そこで、医療、福祉、地域活動の専門家と一緒に、芸術活動が変化を生み出す仕組みや効果的な活動のデザインについて実践と理論の両面から研究を行っています。
2025年4月3日 論文、メディア掲載
『芸術工学研究』因果関係の解明に向けて:認知症の人たちとケアスタッフを対象とした即興演劇ワークショップの参加型評価(日本語版)が公開されました
2025年3月28日 シンポジウムのアーカイブ配信開始(5月1日終了しました)
Coming Soon… アーティストの方向けサポートブック
2025年3月8日(土)に開催したシンポジウム「共創するケア」、ご要望にお応えし、4月30日までアーカイブ配信いたします。 ⇒配信を終了しました。
高齢社会の進展とともに誰もが認知症になる可能性があり、私たち一人ひとりにとって身近な課題となってきています。一方で、ケアの現場では「認知症の人のために」という視点が中心となっており、「認知症の人とともに」という視点で関わり方への理解や実践が深められていません。このギャップを埋めるためには、ケアのあり方そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
そこで、本シンポジウムでは、主に認知症の人と介護職がアート活動に取り組んだ実践事例を紹介し、日常のケアがどのように変化し、新たな関わり方やコミュニケーションが生まれたのかを具体的に考えます。さらに、認知症ケアの場における「アート」がもたらす可能性について探りながら、共創によるこれからのケアの形を皆さんとともに描く新たな一歩にします。
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概要
日時:2025年3月8日(土) 14:00~17:00
会場:対面とオンライン(zoom)のハイブリッド形式
オンライン:ZOOMミーティング
定員:対面・オンライン各100名(先着順)
参加費:無料
対象者:誰でも参加可能
福岡市内の介護専門職、文化関係者、認知症に関わりを持つ人
全国の認知症に関わりのある人/認知症に関心がある人 など
プログラム(敬称略)
1)趣旨説明 中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院 教授)
2)アート体験 吉栁 佳代子 (演劇人チーム結実企画/九州大谷短期大学 准教授)
3)実践紹介①「共に創るアートワークショップ:重度認知症デイケアうみがめでの取組」
4)実践紹介②「足立邦栄会でのアートに関する取組」※オンライン登壇
野崎 建治郎(社会福祉法人足立邦栄会 足立ブロック事務長 情報マーケティング部長)
5)トークセッション「介護現場におけるアート活動実践」
野崎 建治郎(社会福祉法人足立邦栄会 足立ブロック事務長 情報マーケティング部長)
勢島 奏子(医療法人すずらん会たろうクリニック 認知症デイケアうみがめ 担当医)
矢野 美代子・前原 路(NPO法人福岡地域福祉サービス協会小規模多機能ホームひまわり大楠)
櫻井 香那(NPO法人ドネルモ)
南 伸太郎(ラボラトリオ株式会社・ファシリテーター)
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主催:九州大学大学院芸術工学研究院 中村美亜研究室
協力:ラボラトリオ株式会社/NPO法人ドネルモ
後援:福岡市、公益財団法人 福岡市文化芸術振興財団
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お問い合わせ先
ラボラトリオ株式会社 長島洋介(シンポジウム運営担当)
E-mail event(アット)laboratorio-lp.com ※アットの部分を@に変換ください
本研究では、2020〜2023年に、福岡市内の3箇所の認知症ケアの場で「共に創るアートワークショップ」を実施しました。
「共に創るアートワークショップ」は、アーティスト、認知症の方、介護者(介護スタッフおよびご家族)が一緒にその場で創るアートワークショップです。体を動かしたり、ちょっと「演じて」みたり…即興的なアートを楽しむなかでは、いきいきとその人らしさが解放され、普段は見えづらい一面が見えてくることも。
アートを通じた「この人ってこんな人だったんだ!」「こんな関わり方もアリなのかも」といった発見が、ケアする(介護者)―される(認知症の方)という関係性をこえ、今よりもっと心が通じ合うケアにつながります。
2024年度は、アーティストの方向けの支援プログラムを実施しました。
2023年2月19日に福岡市科学館で開催された、未来研究室 第3回セミナー「認知症ケアへの創造的アプローチ」にて、本研究に携わる中村 美亜先生(九州大学大学院芸術工学研究院・准教授)、勢島 奏子先生(精神科医師・たろうクリニック重度認知症デイケア担当医)によるレクチャーと対談が行われました。
動画では、重度認知症デイケアうみがめで実施されている集団精神療法の取組や、うみがめでの共創的アートワークショップに関する紹介、対談の様子をまとめています。
・レクチャー1:勢島奏子「重度認知症デイケアと集団精神療法」
・レクチャー2:中村美亜「うみがめでの共創的ワークショップ」
・対談:集団精神療法と共創的ワークショップの違い、ワークショップ動画の解説、介護者へのアンケート、質疑
▼参考リンク
2020~22年に実施した「認知症の人と共に創るアートワークショップ」のケースをもとに、認知症ケアの現場とアートの橋渡しをするマネジメント方法について紹介しています。
福祉とアートの橋渡しをしている・関心があるコーディネーターの方、文化団体や文化芸術振興財団等、アートに関わるマネージャーの方、介護系の業界団体、介護施設のネットワークの方などにご高覧いただければ幸いです。
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発行日:2023年3月
企画編集・発行:ラボラトリオ株式会社、NPO法人ドネルモ
監修:中村美亜
デザイン:河村美季
(RISTEX、JPMJRX20A1の支援による)
2025.03.『芸術工学研究』因果関係の解明に向けて:認知症の人たちとケアスタッフを対象とした即興演劇ワークショップの参加型評価
(下記英語論文の日本語版)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?lang=0&amode=MD100000&bibid=7343266
2024.09.24『Cultural Trends』Addressing causality: participatory evaluation on improvisational drama workshops for people with dementia and their carers(中村美亜他)
https://mianakamura.themedia.jp/posts/55395929?categoryIds=5941914
2024.06.09『西日本新聞-随筆喫茶』認知症とアート(中村美亜)
https://mianakamura.themedia.jp/posts/54103094?categoryIds=5941186
2024.02『老年精神医学雑誌』認知症ケアの場での共創的演劇ワークショップ(中村美亜)※有料記事
https://mol.medicalonline.jp/archive/search?jo=aj2rsizd&ye=2024&vo=35&issue=2
2023.04.26 DIDI Newsletter vol.13 中村美亜先生
https://www.didi.design.kyushu-u.ac.jp/newsletter/2023_nakamura/
2022.12.02 認知症の人でも、実はできることがたくさんある
※九州大学 芸術工学部 未来構想デザインコース学生によるワークショップ報告
https://note.com/platform_b/n/n6081fac3a12a
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研究協力
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本研究は次の助成事業による成果を基にしています。
JST(科学技術振興機構)「SOLVE for SDGs – シナリオ創出フェーズ」「認知症包摂型社会モデルに基づく多様な主体による共創のシナリオ策定」(JST、RISTEX、JPMJRX20I5)
https://www.jst.go.jp/ristex/solve/project/scenario/scenario20_uchidapj.html
科研費(基盤B)「認知症ケアの場における芸術活動の多元的評価フレームワークの開発」
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22H00627/
科研費(萌芽)「芸術活動をめぐる文化と福祉の間の障壁」
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22K18456/