ヨハネの黙示録
創造現場ルポ2023-2024

1、コンセプト

・ヨハネの黙示録の全文を最小単位のまとまりごとに文章とイラストを1セットとしてScrapBookにまとめて展示します。小さなメモ帳サイズの紙に文書を書き写し、その文章から連想することを描き、全部で405の文章とイラストの作品です。

・最初から最後まで、すべての文章を対象にして、描くことを通して見えてくるものに取り組みます。
・その上で、描いたいと思う情景や生き物についての考察と取り組みを深める契機としたいと思っています。この「ヨハネの黙示録 創造現場ルポ」は、自分自身の制作活動にあたって、TEXTであり参照元となるような、そんな位置付けの作品になるのではないかと思っています。

2、「ヨハネの黙示録 創造現場ルポ」の誕生秘話

・今回、作品タイトルにした「ヨハネの黙示録 創造現場ルポ」。この作品を作成するにあたっては、二つの出会いがありました。
・一つは、ScrapBookです。実行委員である大谷さんみおさんの息子であるアラちゃん。アラちゃんが日々の描いたものや行った場所でもらったパンフレットやチケットなどなど、ありとあらゆるものをScrapBookに貼っていた。そのScrapBookを見て、これだという感覚がありました。
・すぐに購入して、毎日の日記を描くことにしました。数ヶ月描き続けて見ると、文章だけの日もあったり、イラストと文章のバランスがいいなと思う日や、イラストだけという日もありました。
・そうした中で、もう一つの出会いが、『イラスト・ルポの時代』という本でした。行こうと目指して自転車で向かった本屋はあいにく閉まっていました帰り道以前行ったことがある本屋を思い出して、そこで目に止まった一冊。背表紙の”イラスト・ルポ”という言葉に惹かれて、手に取りました。中を開くと、イラストと文章で構成された本でした。
・僕は何かに取り組もうとする時、いつも完璧をというか、準備ができてから取り組むということが多く。頭でっかちで手をつけるまでに時間がかかる傾向があることは自覚していました。書いたり、書いたものもバラバラとしてしまっていたりするところがあります。とにかくどんどん描いたものを1つの場所に貼っていく。その場所にすべて留まるということがいいなと思いました。
・ヨハネの黙示録の情景を描くというのは、文章に書かれたことを絵にするという取り組みであり、イラストと文章という組み合わせはまさに、僕自身が取り組もうとしてきた、ラフで取り組んできたことそのものだと思いました。敷居を下げ、最小単位にして取り組むこと。ScrapBookでの取り組みなら、気軽な感じで日々の中で取り組むことができる感じがありました。自分にとっての現場としてのヨハネの黙示録を読むことを通して体感したことを表現すること。その試みとして現場体験ルポはあります。

3、展示場所・まるネコ堂会期中の在廊予定

まるネコ堂本館1階 台所横のスペースに展示します。
・会期中の在廊予定(4/21、最終日4/29終日)

作成記録

展示の様子など(2024年4月21日, 28-29日)

・まるネコ堂芸術祭での展示の様子です。Scrapbookの作品とともに、制作活動において使っていた道具なども合わせて展示しています。
・毎日3枚という計画でしたがなかなか難しかったです。

まるネコ堂芸術祭の出展前に制作活動を振り返る (2024年4月20日)

・2024年4月19日2時14分に405枚を描き終えた。描き終えた時、「できた!!」とつい声に出したくなって出した。

・シーンとして描くこと。最初は記号的に、言葉になっていることを具現化すること、とにかく紙に描くことをやっていた。枚数を重ねていくうちに、だんだんと文字を記号的に描くだけでは、描くことができない、捉えることのできない文章に直面した。全体の文章や章などのまとまりの中での、一部であっても、その一つのまとまりから何を描き出すか、表現するか。

・単語として聞いたことがあっても、具体的にどういうものであるか、何色なのか。正直、どうしたらいいのかというものに直面していった。だけど調べ出すとキリがなく、また止まってしまう。今の自分が、その時の自分が表現できること。文章を読んだときに思い浮かんだこと、イメージしたことを、とにかくそのままに描くということに取り組んだ。

・1枚の紙の中に、書くことと描くことがある。書くはとにかく一文字一文字を書き写していく。間違ったり、納得がいかないときには、1から書き直す。一発で書ける場合もあれば、何度も何度も書き直してしまうという場合もあった。その時の僕自身の状態や集中できているかどうか。どこか上の空になっていたりすると同じところで間違える。無意識のうちに間違う場合もあった。

・言葉からの連想であり、実際にどういうものであるのかということが気になり出すけど、そういう気持ちはおさえて、2周目、3周目のときに取り組んでいけるといいのではないかと思ったりしている。まずは全体を通しで読むということに取り組んでみたらいいのかなと思ったりもしている。

・この取り組みは僕自身にとって何であったか。やっていくなかで思ったこと。感じたこと。そして、これからどうしていくか。どうしていきたいか。今の気持ちとしては、完成を迎えることができ、気分爽快だと思っていたが、そう単純なものではないような感じがしている。ようやく1つの荷を下ろせた、そんな感じがしている。

・ようやくスタートラインに立つことができたように思う。恩師からの宿題であり、課題に、ようやく取り組むことができた。「あれができるようになってから」とか、「これをできるようにならないと」と、大風呂敷を広げては動けなくなってしまった。いざ取り組んでも、小手先というか、周辺を迂回し、本丸には取り組まない日々もあった。取り組めない。できない言い訳。やらない言い訳を並べ、もっともらしい言葉で自身のありようを正当化した。

・思い切ってとにかく1つ1つを完了させていくことの積み重ねの先に、今回の地平がある。研究会の最後の日、「始まりのための終わり。」という恩師の言葉。ふと思い出した。まさに今は、それである。始まりのための終わり。ここから始まるのである。

17枚の誤算からの405枚完成(2024年4月19日)

・4月18日から19日に日付を跨いだ1時過ぎごろにようやく完成することができた。本来であれば、一週間前の先週13日、遅くとも14日には完成させようという目標だった。
・しかしがら、終日外出をする予定があったりと、制作に充てる時間を作ることができなかった。夜にやろうと思った時には力尽きてやらなかった。
・言い訳をして、「できませんでした。」ということに今回はしたくなかった。必ず完成させるということがないといけないというのが今回の制作活動だった。
・もう完成が目の前に見えてきて、あと2章分というタイミングで、残り枚数として出ている数字と、目視して一覧になっている表で単純に足した数字の計算が合わないことに気づいた。それまではそれなりの量があったため、気づくことがなかった。
・よく見てみると、Excelの計算式で、数字を入れているところに余計な記号が入り込んでしまったようで、17枚分がカウントされていなかった。ここから一気に、アクセルがかかった。
・17枚がカウントされる前の残りの数字は、なんとか完成することはできそうだけど、ちょっときついなというギリギリな数字だった。そこから一気に加速して、追い込みをかけた。
・最終的に、出展の3日前という直前の完成となったものの、少し余裕を持って、展示のことも考えながら、進めるということが今回はできている。そのあたりも、これまでとは違っている。早め早めにということをやっていてもどうしても遅れてしまう。そういう中でも、なんとか完成することができて一安心だ。
・17枚に助けられた。あとは描いた作品たちをscrapbookにすべてを貼るだけだ。当日は、こうした完成までの過程の記録も冊子にして展示したいと思っている。とにもかくにも、まずはここに405枚の完成を書き記しておく。

出展作品の完成目標日まで追い込み(2024年4月10日)

・残り100枚。あともう踏んだりだ。1週間前までに完成させるということで、当初の前日までに完成するという目標からは上方修正するというこれまでにはない選択をした。
・実際にやり切れるのかというとわからないが、とにかくそんなことを考えている暇があるなら、どんどん1つでも進めるということしかない。それに尽きる。手を進めること。
・もっと余裕を持って取り組めばよかったと思っても、当初は1日3枚というペースで完成するということになっていた。ところが日々の中で、遠のいてしまったりした時期があったり、制作の中に日常があるということにはなかなか持って行くことが難しい。
・やろうと思わないとやらないし、日常の生活の中で、息をするようにというか、やりたいから、楽しいからついやってしまうということにはなっていない。
・どちらかというとというか、明らかに恩師との約束であり、それをなんとかして果たすということに対する義務感、やらなければという気持ちが大きい。そういう意味での切実さはある。

出展作品の完成目標日まであと10日(2024年4月1日)

・なんだかあっという間に月日が過ぎていく。というよりは、1日描かない日があると、10枚が累積する。それが数日となると、なかなかなボリューム感になってしまう。
・金曜から3日間で5枚だけしかできなかったために、その前からの積み残しも含めて35枚多く描かないといけない状況になっている。
・1日10枚描いたとしても、さらに35枚を描く必要がある。日中にということを思っているが、なかなか思うようにいかない。
・現在の到達点は、250/405で進捗状況としては62%。もう折り返しは過ぎており、ヨハネの黙示録の物語も、クライマックスに向けてあらゆる天変地異が起きている。
・立ち止まらずに、思い切って、読んでイメージしたものをとにかく描くこと。7人との天使が登場するけど、同じ天使は一人としていない。前のを参照するということはしないで、その時ごとに描く。
・イメージできるかたちや描き方はかなり偏りがあると思うし、思い込みもあると思うけど、今の僕が文章を読んで思い浮かんだものをそのままに描くと言うこと。

・そこに描き出されることによって、もっとこうしたい、もっとこうしよう。この言葉が指しているものは、当時のかたちとしてはどんなものであるか。これは何を意味しているのか。いろいろなことが浮かんでくるけど、すべてを取り扱おうと思うと果てしない。
・今の自分自身の到達点の中で、思い切り良く最大限に描くということをすることをやり切ること。何よりもそのことを成し遂げることをやることが今回のミッションだ。
・なかなか果てしなく、圧倒されるものを感じてはいるが、楽しく描き進めることはできている。

出展作品の完成目標日まであと25日(2024年3月18日)

・週末にまるネコ堂で展示場所の確認を行った。実際に作品を置くだけでなく、どういう配置で何を置くか。装飾として、日常の中にあるものも、一緒にいくつか展示する方向で考えたいと思う。
・作品の完成目標日を開催の前日に設定していたが、1週間前を完成日に軌道修正することにする。4月12日(土)までの完成を目指すと、1日10枚ペースで作成することが必要だ。
・1日3枚→6枚→10枚と2倍、3倍と膨れ上がっているが、それはそれとして、とにかく今決めている計画を完了させるために取り組みを続けたいと思う。
・平日の作成も夜の時間だけだとなかなかしんどいので、お昼休みの時間に作成するなど、1日の中でも刻んで作成していきたいと思う。

2024年3月3日現在の進捗状況
→全体の4分の1ほどの到達点。1日1枚ペースを維持できれば前日までには405枚すべてが完成する予定。可視化するとやれなければという意識もより高まる。

芸術祭の前日まで、あと50日(2024年3月2日)


・あっという間に100日が半分の残り50日。しばらく制作が止まってしまって、今日改めて1日何枚書く必要があるかを計算した。1日6枚を描くことで、なんとか芸術祭の当日には間に合う計算になる。

・当初は1日3枚描けばOKという計算だったのだが、しばらく制作していない期間があったことでこんな状況になっている。
・とはいて、今日1日で13枚の制作を行なった。まだ今日は夜、時間を確保することができそうなので、もう少し進めることができると思う。
・一回の制作あたり3枚を描くを基本にして、そこまでいったら他のことをやる。ある程度の時間をおいて、気持ちをリフレッシュしてから続きを取り組む。
・夜しか制作できないと決めつけないで、日中でも休憩の時間に30分でも時間を確保できたら、コツコツと描くようにすれば、1日6枚はなんとかギリギリ完了する見通しは立てられそうだ。
・しっかりと計算するまでは、ちょっとこれはまずいかもしれない。当日までに完了しないのではないかと思ったりもしたけれど、どうにかこうにか完成した上で、芸術祭には臨むことができそうだ。

作品制作の方向性が決まり、現時点を書き留める(時期不明:12月ごろ)


・前回の芸術祭を終えて、「やっぱり鉛筆がいい。」と思う。なぜなら、自分に最も馴染みがあって、使い慣れているし、表現としても、じっくりとどこまでも書き込んでいくことができる。自分のその時の到達点であり、その時の納得感が訪れたとき、その作品の完成を迎える。あくまでもその時点でのということではあるけど、一つの区切りとなる。

・油絵は、自宅でやるということにまだトライをしていないため、少し距離がある。自分の中での絵を描くということにおいて、鉛筆と油絵具では大きな隔たりがある。もっと気軽に、日常の中での油絵を描くということになっていくと、もっと違った展開にもなっていくように思うけど、そこには辿り着いてはいない。

・わりと最近のことであるけど、文章とイラストの組み合わせに惹かれるものを感じていて、そんな中で、大谷さんの息子であるあらちゃんがScrap Bookを使っている話を見聞きして、これはちょうどいいかもしれないと思った。A4サイズのScrap Bookを購入して、1日の中で印象的だったシーンやものやことをイラストにしたり、それができないときには、文章だけになったりしながらも、7月12日から現在継続中。描けなかった、書けなかった日は、何日分かをまとめてやるという場合もある。

・その後、サイズが2つ大きなScrap Bookを新たに購入して、『ヨハネの黙示録 創造現場ルポ』というタイトルを付けて、取り組みを開始した。全部で403枚を描くことになる。今日の時点での到達点は、49枚。全体の10分1はクリアしたことになる。ただ、この数日は一枚も描けていないので、どこかで調整をする必要がある。

・以降は、おそらく不定期にはなりますが、制作の過程、進捗状況をできる限り、書き溜めていきたいと思います。

まるネコ堂芸術祭の出展にあたって (2023/11/15)
 

これまでの僕は、過去をなぞって、どうなるかある程度想像できる範囲内のことをやってきたように思います。第0回、第1回、第2回、第3回と回を重ねるごとに、はっきりとした言葉にはなっていませんでしたが、置きに行っているというか、やりたいこととしては間違いではない、やりたいと思ったことをやってきました。
でも、過去の延長線上において、やりたいことに取り組んでいたのだと思うようになりました。うすうすはわかっていました。描きたい作品は、時間をかければできると思っていましたが、まだ作品として完成していません。これまでいろいろなかたちで迂回してきました。完成形のイメージは既にあって、それに向けて取り組むということしていたように思います。

ある時点での力量において、これ以上はもう無理という自分の限界。と同時に自分自身の納得感があるかどうか。納得感があれば、素直にその時点での終わりを迎えることができます。でも、納得感がない時、やり切れていないが故に不完全燃焼であり、どこかうしろめたさを感じてしまったり、どこか引っ掛かりがあるような感じが残ります。

使う画材としては、油絵具が一番好きで、描きやすさというか身近なのは鉛筆です。第0回から第2回までは、鉛筆と油絵具で作品を描きました。そして、第3回ではボールペンを使ってみましたが、描きたいと思うものに対して、書きづらさばかりが目立ったように思います。

じっくりと時間をかけて描き込んでいくいうことが好きというか、好きな作品がそのような描き方をしており、そういう作品にあこがれを持っています。それまでに描きたいと思うモチーフを模写したり、想像で描くということをポストカードサイズで取り組んでみたり、ボールペンで描いたりしてきました。

そうした中で、常に念頭にあるのは、油絵具で緻密に大きな作品を描くということであることは変わらないように思います。でも、その描く取り組みは、もう1年以上休眠状態になっています。しっかり時間を取ってやろうとか、ちゃんとやりたいと思うと手が止まってしまう。取り組むということにすら行きつかない、その手前にずっといるような感じです。

僕の中での繰り返している感。ずっと本丸には取り組まずにいるという状況。いろいろな可能性があるだけで、手が止まってしまっていましたが、ようやく本丸に取り組む手応えを掴むことができました。『ヨハネの黙示録』の1章の1などもっとも小さなまとまりごとに、小さなメモ帳サイズの紙に文書を書き写して、その文章からイメージすることをとにかく描く。

正しさとかは傍に置いて、現在進行形の今の自分として、文章を通して思い浮かんだことをとにかく描く。まったくイラストにはならない文章もあるのではと思いましたが、案外どの文章でも何かしたらは描けるということがわかってきました。これは驚きですが、毎回試されている。全部で400ほど描く必要があるのですが、1日3枚ペースで描けば芸術祭当日に全部揃います。

今は、全体の1/10ほどは描くことができました。でも、この数日は貯金を食い潰して、まとめて取り組まないとペースが落ちている状況があったりで、どこかで追い付かないといけないと思ったり、具体的な目標があることで、遅れていてもそのことに自覚的で、なんとか1つ1つ前に進めることができ始めています。ただ当日に何を展示するかはまだ決めていません。

まずは400ほどの文章とイラストがセットのまとまりを作って、その上で、その先のことは考えたいです。イラストも400くらい描くことになるので、特徴的だったり印象深く描きやすいシーンということに囚われることなく、全体を眺めて、その中からフラットに描くものを選び取るとこができるのではないかと思っています。

本丸を描き出すことができなかったのは、完成までの道筋がとても果てしないものだと感じていたからです。描くためにはいろいろと準備が必要だと、油絵を習ったり、小さな絵で想像したものを描くとか、模写をするとかやってきましたが、そういうことはもうやめて、本丸そのものに取り組むということを手軽なところから始めるということで動き出した感じがあります。

自分自身の敷居を下げて、面白おかしく、こんなことをしてとどうなると思うことでも、思いついたことはどんどん試してく。思い切って描いていく。その積み重ねをしていく中で、可能性をどんどんやってみて、自分自身の描くこの先を掴んでいく。そんな取り組みを通して、自分自身の作品のかたちを掴んでいきたいと思います。

5、プロフィール

濵田恒太朗

      1986年生まれ。東京育ち。小さい頃から絵を描くことは好きで、進学の際に、美大への憧れはあったものの、自分には無理だと距離を置く。浪人時代、頭が疲れた時に絵を描いてみると頭がほぐれる感じがあって、再び描き始めることが楽しくなる。その頃は、ペンギンやくじらの絵をポストカードサイズの紙にたくさん鉛筆で描く。社会人になってからデッサンや油絵も始める。予備校時代の恩師の研究会でヨハネの黙示録をテキストとして扱う場に参加し、そこに描かれている情景や生き物を描くことにも取り組んでいる。