S-Hレジリエンス検査・ストレスパターン診断テスト 実践報告
<簡易報告① 検査編>
検査を行った目的
今回、ステップワン水戸では、利用者の方がストレスをどのように感じ、どのように立て直しているのかを知るために、S-Hレジリエンス検査とストレスパターン診断テストを実施しました。
この検査は、本人を評価したり、良い・悪いを決めたりするためのものではありません。
仕事や人間関係の中で、どのような時に不安や疲れ、怒り、落ち込みが出やすいのかを知り、必要な支援につなげるために行いました。
A型事業所では、作業の得意・不得意だけでなく、失敗した時の受け止め方、困った時の相談のしやすさ、人間関係での距離感、疲れをため込みやすいかどうかなども、働き続けるうえで大切になります。
そのため、今回の検査では、作業能力だけでは見えにくい「心の反応」や「ストレスへの向き合い方」に注目しました。
S-Hレジリエンス検査で見たこと
S-Hレジリエンス検査では、主にストレスから立て直す力を確認しました。
たとえば、次のような点です。
困った時に周囲へ相談できるか
支援や協力を受け取りやすいか
問題が起きた時に解決へ向かえるか
失敗や注意を受けた後に立て直しやすいか
人間関係の中で協力しながら過ごせるか
レジリエンスとは、簡単に言うと「立ち直る力」「回復する力」です。
ただし、これは我慢する力だけを意味するものではありません。
落ち込んだり、不安になったりしても、少しずつ戻ってくる力。
困った時に相談し、支援を受けながら前に進む力。
失敗を次に活かしていく力です。
検査結果からは、本人がどのような場面で支援を必要としやすいかを考える手がかりが得られました。
ストレスパターン診断テストで見たこと
ストレスパターン診断テストでは、本人に出やすいストレス反応を確認しました。
ストレスの出方は、人によって違います。
怒りとして出る人もいれば、不安として出る人、落ち込みとして出る人、疲労として出る人もいます。
今回の整理では、ストレス反応を次のような型として見ました。
イライラ型
オドオド型
クヨクヨ型
モンモン型
ヘトヘト型
ムカムカ型
たとえば、イライラ型やムカムカ型は、怒りや不満として反応が出やすい状態です。
オドオド型は、不安や失敗への心配が出やすい状態です。
クヨクヨ型は、過去の失敗や注意を引きずりやすい状態です。
モンモン型は、漠然とした不安や考えすぎが出やすい状態です。
ヘトヘト型は、疲れをため込みやすい状態です。
このように表現することで、本人にも職員にも、ストレス反応を日常的な言葉で理解しやすくなりました。
検査から見えてきたこと
今回の検査から、利用者の方の支援では、単に「作業ができるかどうか」だけを見るのでは不十分であることが改めて確認できました。
作業が不安定になる背景には、疲労、不安、自己否定、怒り、対人関係の緊張、相談しにくさなどが関係している場合があります。
たとえば、同じ「休みが増えた」という状態でも、背景は人によって異なります。
疲れをため込んでいる場合もあります。
人間関係で不安を感じている場合もあります。
失敗を引きずって自信をなくしている場合もあります。
怒りや不満をうまく整理できていない場合もあります。
そのため、検査結果は、本人の行動の背景を考えるための補助資料として有効でした。
検査結果の活用方法
検査結果は、本人を分類するためではなく、支援の方向性を考えるために活用します。
たとえば、相談や協力が苦手な傾向が見られた場合には、困った時にどのように伝えるかを一緒に考えます。
疲れをため込みやすい傾向が見られた場合には、休憩、作業量、断り方、相談のタイミングを確認します。
怒りや不満が出やすい傾向が見られた場合には、怒りを否定するのではなく、落ち着いて伝える方法を練習します。
失敗を引きずりやすい傾向が見られた場合には、失敗を自分全部の否定として受け取らず、次に活かす方法を考えます。
このように、検査結果を支援の言葉に置き換えることで、モニタリングや個別支援計画にも活用しやすくなりました。
職員にとっての意味
職員にとっても、今回の検査は利用者理解の手がかりになりました。
利用者の行動だけを見ると、「やる気がない」「態度が悪い」「言えない」「怒りやすい」と見えてしまうことがあります。
しかし、その背景に、不安、疲労、傷つき、自己否定、相談のしにくさ、対人距離の難しさがあると考えると、支援の仕方が変わります。
検査結果を通して、職員側も、本人の反応を「性格」として決めつけるのではなく、ストレス反応や支援課題として見直すことができます。
これは、より丁寧な支援につながる重要な視点です。
今回の検査の意義
今回の実践で重要だったのは、検査を実施して終わりにしなかったことです。
検査結果をもとに、本人の状態像を整理し、必要な心理講習や支援方法へつなげる流れを作りました。
つまり、検査は「判定」ではなく、支援の入口です。
検査結果を、本人理解へ。
本人理解を、講習選定へ。
講習を、モニタリングと個別支援計画へ。
この流れを作ることで、心理検査をA型事業所の実践に活かす可能性が広がりました。
まとめ
S-Hレジリエンス検査とストレスパターン診断テストは、利用者のストレス反応や立て直し力を知るための有効な手がかりとなりました。
検査結果は、本人を評価したり、分類したりするためのものではありません。
本人がどのような場面で困りやすいのか、どのような支援があると働き続けやすいのかを考えるためのものです。
今回の検査を通して、ストレス、不安、怒り、疲労、自己否定、相談のしにくさなどを、支援につなげる視点として整理することができました。
今後も、検査結果を一つの参考資料として活用しながら、本人の状態や希望を大切にし、モニタリングや個別支援計画へ反映していきます。
<簡易報告③ 総合まとめ編>
検査から講習、そして支援計画へ
はじめに
今回の実践は、S-Hレジリエンス検査とストレスパターン診断テストの実施から始まりました。
しかし、取り組みを進める中で、検査結果を出すことだけが目的ではないことが明確になりました。
大切なのは、検査結果を通して、本人がどのような場面でつらくなりやすいのか、どのような支援があると立て直しやすいのかを考えることです。
痛みや不安、疲れ、怒り、迷いは、単なる弱さではありません。
それは、本人が働き、関わり、変わろうとしている中で生じる反応でもあります。
その反応を評価するのではなく、受け取り、必要な支援へつなげることが、今回の実践の中心です。
検査で見えたこと
S-Hレジリエンス検査では、主にストレスから立て直す力、困った時に相談する力、周囲と協力する力、問題解決へ向かう力を確認しました。
ストレスパターン診断テストでは、本人に出やすいストレス反応を確認しました。
ストレスの出方は、人によって異なります。
怒りや不満として出る人もいます。
不安や心配として出る人もいます。
過去の失敗を引きずる人もいます。
漠然と考え込む人もいます。
疲れをため込む人もいます。
相手の言葉を悪く受け取りやすい人もいます。
こうした反応を知ることで、本人の行動の背景をより丁寧に考えることができます。
同じ「休みが増えた」「作業が不安定になった」「人間関係で困った」という状態でも、その背景が疲労なのか、不安なのか、怒りなのか、自己否定なのかによって、必要な支援は変わります。
講習へつなげた理由
検査結果は、そのまま返すだけでは十分に活用できないことがあります。
本人にとっては、結果を見ても「では、どうすればよいのか」がわかりにくい場合があります。
職員にとっても、検査結果を日々の支援にどう活かすかが見えにくい場合があります。
そこで、検査結果から見えた課題を、心理講習として整理しました。
講習は、本人を分類したり、問題点を指摘したりするためのものではありません。
本人が自分の反応を知り、困った時に使える考え方や行動を増やすためのものです。
また、職員にとっては、利用者の行動の背景を理解し、必要な支援を考えるための共通言語になります。
整理した心理講習
今回の実践では、検査結果から以下の心理講習へつなげました。
レジリエンス講習
コーピングスキル講習
ストレスパターン講習
コミュニケーションスタイル講習
アサーション講習
アンガーマネジメント講習
人間関係の距離感講習
自己肯定感講習
これらの講習は、それぞれ別々の内容でありながら、互いにつながっています。
たとえば、怒りや不満が強く出やすい場合には、アンガーマネジメントやアサーションが役立ちます。
不安や失敗への心配が強い場合には、自己肯定感やコーピングスキルが役立ちます。
疲れをため込みやすい場合には、人間関係の距離感や、断る・相談する練習が大切になります。
過去の失敗を引きずりやすい場合には、レジリエンスや自己肯定感の視点が支えになります。
このように、検査結果をもとに、本人に必要な講習や支援テーマを選べるようにしました。
支援計画へのつながり
今回の実践では、検査と講習を、モニタリングや個別支援計画へつなげることも重視しました。
検査結果や講習名を、そのまま支援計画に書く必要はありません。
大切なのは、結果を支援の言葉に置き換えることです。
たとえば、相談が苦手な傾向が見られた場合には、
「困った時に確認・相談できるよう支援する」
という目標につなげることができます。
疲れをため込みやすい傾向が見られた場合には、
「作業量や体調を確認し、無理をため込まないよう支援する」
という支援につながります。
怒りや不満が出やすい場合には、
「落ち着いてから気持ちや希望を伝えられるよう支援する」
という関わりが考えられます。
失敗を引きずりやすい場合には、
「できたことや次に活かせることを一緒に確認する」
という支援が有効です。
このように、検査結果を本人理解へ、本人理解を講習へ、講習を支援計画へとつなげていくことができます。
職員にとっての意味
この取り組みは、利用者だけでなく職員にとっても意味があります。
職員は、日々の支援の中で、利用者の行動だけを見てしまうことがあります。
しかし、その背景には、不安、疲労、怒り、傷つき、自己否定、相談のしにくさ、人間関係の距離感の難しさがある場合があります。
心理検査と講習を組み合わせることで、職員は本人の行動を「性格」や「態度」として決めつけるのではなく、支援課題として見直しやすくなります。
これは、より丁寧な支援につながります。
また、講習内容は職員自身の振り返りにも役立ちます。
支援者側にも、イライラ、ヘトヘト、クヨクヨ、モンモンといった反応が起こることがあります。
利用者理解と同時に、職員自身の関わり方を見直すきっかけにもなります。
今回の実践の意義
今回の実践で大きかったのは、検査を「実施して終わり」にしなかったことです。
検査結果を整理し、本人理解につなげ、心理講習を作成し、さらにモニタリングや個別支援計画へ反映できる流れを作りました。
つまり、心理検査を、支援の入口として活用したということです。
検査結果を、本人理解へ。
本人理解を、心理講習へ。
心理講習を、モニタリングと個別支援計画へ。
この流れによって、心理検査は単なる判定ではなく、本人の困りごとを受け取り、必要な支援へつなげるための道具になります。
まとめ
S-Hレジリエンス検査とストレスパターン診断テストは、利用者のストレス反応や立て直し力を知るための手がかりとなりました。
そこから、レジリエンス、コーピング、アサーション、アンガーマネジメント、人間関係の距離感、自己肯定感などの心理講習へ発展しました。
この取り組みは、本人を評価・分類するためのものではありません。
本人が自分の反応を知り、職員が必要な支援を考え、働き続けるための方法を一緒に見つけるためのものです。
今後も、検査結果を一つの参考資料として活用しながら、本人の状態や希望を大切にし、支援計画や日々の関わりに反映していきます。