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革新的な研究と学際的な協力を通じて、技術、社会、政策の間のギャップを埋めることを目指している。数学的モデル、システム最適化、および社会動態への深い理解を活用し、持続可能で効率的、かつ公共に受け入れられる技術的ソリューションを創造し、現代の喫緊の課題に取り組んでいる。
スマートグリッドとエネルギーシステム
バッテリー管理の最適化、熱制御戦略、スマートグリッド技術の公共受容に焦点を当てています。技術的および社会的ニーズを満たす持続可能なエネルギーソリューションの開発を目指しています。
技術採用と政策
新興技術、特にエネルギーインフラにおける社会的影響に強い関心を持っています。公共の安全、政策受容、技術革新の相互作用を探求しています。
システム最適化と品質管理
品質および生産性向上の修士号を活かし、エネルギー貯蔵やスマートグリッドなどの技術システム、および品質管理や生産性向上などの組織システムに最適化技術を適用しています。
経営,マーケティング
小売店を対象に、マーケティングミックスが顧客満足に与える影響を事例研究を通じて調査し、ベンチマーキングのための合意ランキングを導き出します。
応用数学と数理モデル
反応拡散システムや疫学的モデル(SIRモデル)を研究し、自然および工学システムにおける動的プロセスの理解に重点を置いています。
日本の研究文化のダイナミズムを探る: 大学院研究のケーススタディ
本研究は、日本の研究文化をマレーシアの高等教育制度、特に大学院の研究制度に取り入れる際の課題を検討するものである。文献調査やインタビューを通じて、研究慣行、制度的枠組み、指導者と学生の関係、共同研究、資金調達の仕組み、出版規範といった主要な分野を探る。その結果、日本は綿密な方法論と階層的な指導者と学生の関係を重視するのに対し、マレーシアは地域の課題に焦点を当て、より平等主義的な力学を育んでいることがわかった。両国とも共同研究を重視しているが、日本は学際的なプロジェクトや産業界との連携により重点を置いている。日本の研究は、より大きな資金とインパクトの高いジャーナルへの注力から利益を得ているが、マレーシアは地元の出版物も重視している。本研究は、政策立案者や教育者に、日本の研究文化を理解することで、どのように共同研究、学際的研究、国際的な関わりを促進することができるかについての洞察を提供するものである。また、限界を認めつつも、今後のグローバルな取り組みにおいて、精密さ、基礎研究、タイムリーな発信の重要性を強調している。
この結果はJournal of Electrical Systemsに掲載されている。
スマートグリッド推進における公共の安全受容に影響を与える要因を評価するモデルの構築に関する研究
本研究は、デジタル技術を取り入れた電力システムであるスマートグリッド(SG)のセキュリティ対策に焦点を当て、SGのセキュリティレベルに影響を与える重要な社会的動機要因を定義するための計画を立てるために、多基準分析およびモデリング技術を適用します。 従来のエネルギーグリッドは主に生産者から消費者への一方向の配電を目的として設計されていますが、スマートグリッドはモノのインターネット(IoT)技術を使用して、各ノードに知能と監視機能を追加しています。故障位置特定、隔離、およびサービス復旧(FLISR)は、グリッドの自己修復機能に利点をもたらす一方で、セキュリティ上の課題も生じます([1])。IoTデバイスの設計上の脅威に加え、消費者のセキュリティとプライバシーリスクの問題も存在し、ほとんどの議論はサイバーセキュリティに集中しています。実験のコストは増加しており、SGにおける新たなセキュリティ、プライバシー、オープンな課題が日々発見され続けている中、特に消費者の信頼を強化する心理的および政策的側面を統合した実際のSGセキュリティ対策のモデリングに対する期待が高まっています(図1参照)。
図 1 Research approach outline
研究目的と研究方法: スマートグリッドにおけるセキュリティシステムがサイバー攻撃に対処するのに必要な機能要件の重要性について、Walsham (1996) の方法を用いて各国のアンケートデータを元に分析作業を行う。House of Quality (HOQ)や安全要素の重要性を測定、ファジー論理数学とオペレーションズリサーチ方法を用いて、スマートグリッドのセキュリティと安全性を高めるための基盤としてのQFDを開発する。
図 2 Outline of HoQ transform to HoSGS design
公共のセキュリティ受容は、データプライバシーとサイバーセキュリティに関する懸念が高まる中で、スマートグリッド(SG)の展開を加速させるために非常に重要です。私の前回の研究では、SG電力供給システムの問題を取り上げ、従来のシステムとのトレードオフを含む特定のセキュリティ問題を明確にしました。具体的には、電力供給制御と並行して流れる大量の情報に関連する指標を定義し、定量化し、重要な項目を抽出して、それがSGのセキュリティ確保にどのように関連しているかを示しました([5])。この前回の研究に触発されて、今回の研究では、SGセキュリティのレベルに影響を与える重要な社会的動機要因を特定することを目的としています。これには、SGの普及を見越した新しいユーザーのセキュリティ対応メカニズムを調整することも含まれます。さらに、新しいセキュリティ戦略の立案により、エネルギー業界における政策管理やセキュリティ準備といった政治的観点を整理・分析し、最終的にはSGの普及地域における市場メカニズムを確立することによって、SGの電化が効果的に進められる可能性があります([6])。
本研究の特徴は以下の3点です。
(1) SGの普及における公共のセキュリティ受容に影響を与える要因を評価し、新しい地域におけるセキュリティレベルを仮定すること。
(2) SGの社会科学的現象における実際のサイバーセキュリティ上の懸念をモデル化するHoSGS(セキュリティガバナンスシステム)を導入し、公共のセキュリティ要件をSG市場設計プロセスの工学的特性に解釈すること。
(3) ASEAN5のSG新規ユーザーにおけるセキュリティ対応メカニズムを調整し、エネルギー消費に関連する個人情報を保護するために必要な詳細な対応策とともに、SGのプライバシーリスクに関する実践的なガイドラインを検討すること。
参考文献
[1] O-A.Otuoze, et. al. J. Elec. Sys. & IT, 5(3), 468-483, 2018
[2] P. Żebrowski, et. al. Risk Analysis, 1-16, 2022 DOI: 10.1111/risa.13900
[3] D. Abraham, et. al. Future City, FUCI, 18(1), 57-74, 2021
[4] H-P. Karmele, et. al. PsyEcology, 11(1), 148-160, 2018
[5] A. Poh, et. al. Int. J. Modern Eng. Research, 2(5), 3347-3366, 2012
[6] R. Trivedi, et. al. Energies, 15(3), 918, 1-30, 2022
スマートグリッドの情報セキュリティシステムに関する研究
研究目的と研究方法: スマートグリッドにおけるセキュリティシステムがサイバー攻撃に対処するのに必要な機能要件の重要性について、Walsham (1996) の方法を用いて各国のアンケートデータを元に分析作業を行う。House of Quality (HOQ)や安全要素の重要性を測定、ファジー論理数学とオペレーションズリサーチ方法を用いて、スマートグリッドのセキュリティと安全性を高めるための基盤としてのQFDを開発する。
図3. 研究問題
図4. 相関関係リング,基準値 0.4
図5. モデルの比較
図6. 品質機能展開(QFD)
ハウスオブクオリティ(HoQ)
研究者は2011年に、スマートグリッドに対するハッカーによる攻撃は大変危険であり、電力供給が不安定になるだけでなくシステム全体が停止させられる危険性があることを指摘したが、その上に立って、スマートグリッドのセキュリティに関して次のように研究を行った。
以前に行ったアンケート調査のデータから、サイバー攻撃に対処するのに必要な機能用件を特定し、そのデータを記述統計学的方法により解析した結果、諸々の要件の中でプライバシーへの配慮が最も重要であることを明らかにした。そして、スマートグリッドのセキュリティを高める方法についても議論した。これらの結果はJournal of Wireless Mobile Networks, Ubiquitous Computing, and Dependable Applicationsに掲載されている。
スマートグリッドの情報セキュリティシステムにおける顧客要求を、16の要件に渡って各国でアンケートをとり、そのデータ解析を行った。すると上記16の消費者ニーズの各々に関して強い相関関係が見いだされた。その際,Walsham(1996)の情報セキュリティに関する論文に紹介されている方法を用いてアンケートデータから顧客ニーズの各国のランキングづけも行った。この結果はInternational Journal of Modern Engineering Researchに掲載されている。
経営、マーケティングに関する研究
本研究では、マレーシアの選定された小売店の事例研究を通じて、マーケティングミックスが顧客満足に与える影響を慎重に分析するアプローチを採用しています。研究では、4Pマーケティングミックスモデルに基づき、ELECTRE Iモデルを使用して、複数基準意思決定法による合意ランキングを行います。さらに、記述的分析を用いて、4つのマーケティング戦術における最良の実践を特定しています。
結果として、アウトランキング法がベンチマーキングの行動理論を構築するための堅固な基盤を提供することが示唆されており、これがマーケティング戦略を形成する上で重要であることがわかりました。
実務的な含意としては、組織の強みを活かし、弱点や脅威に対応するためのマーケティング活動の設計について、マネージャーへの指針を提供しています。また、この論文は、マーケティングトレンドを予測するための複数基準意思決定法およびランキング法の効果的な適用を強調しており、戦略的意思決定を改善しようとするマーケティングマネージャーにとって有益です。
この結果はBusiness Strategy Seriesに掲載されている。
図7. 属性 – 4P’s – 小売店マッピング
エネルギデータ分析、クラスタリング、モデリングに関する研究
研究目的と研究方法: Heinz K. Kleinet.al.(1999)の手法でアメリカと日本のエネルギー関連の会社に関するデータの解析を行った。ロサンゼルス水道と電力部門のエネルギーデータ分析、クラスタリング、モデリングをビッグデータを利用し、エネルギーデータにおける統計特性の調査と予測に従事した。
図8.クラスターサイズに関する実際の消費量の変動性(実際のIEAデータ)
スマートグッド技術を採用する主要な目的は国や地域によって異なることに着目し、その中での日本の状況について調査した。近年のアジアのエネルギーバランス対策を先導する立場で、日本は低炭素社会に向けて,化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に積極的に取り組んでいる。その一環として,日本政府はスマートグリッド・パイロット・プロジェクトで,国内外でスマートグリッドの事業投資をしていくと宣言している。このように日本政府がグリーンエネルギーの取り組みに向けて採用している現在のコンセプトと戦略について分析した。その結果はInternational Journal of Computers, Information Technology and Engineering に掲載されている。
2013年に第一回 Rescale University Program Simulation Research GrantのHonorable Mention賞をアメリカのサンフランシスコにて受賞した。
スマートグリッドの開発調査、地域研究に関する研究
研究目的と研究方法: スマートグリッド技術を含む環境問題改善において将来日本が他国をどのように牽引していくのかについて研究。ロシアと日本のスマートグリッドの開発調査、地域研究を行う。
効率的なエネルギー管理を目指すスマートグリッドの実証は、米国、韓国、日本、中国をはじめ発展途上国でも実施されている。その結果、効果を挙げるための現実的な課題も明らかになってきた。導入効果が期待されているデマンドレスポンスなどのボトムアップの運用において、消費者をいかに巻き込むことができるかは、成否において大きな因子となるが、消費者の志向も考慮した形で参加を促進する価格設定などの参加環境整備のための仕組みの開発が期待されている。
本研究では、日本と中国をはじめとしたアジア視点からスマートグリッド普及に有効な消費者参加への本質的な要素や障壁を特定し、消費者の志向を反映した動的価格設定法を開発することを目的としている。まず、消費者のエンゲージメントを促進する3つのテーマに焦点を当てた日本、中国のスマートグリッド参加者の現状の調査を行う。ひとつは、価格設定である。消費者に電力の需要を抑制促進するための電力市場の信号を使用するもの方式の導入事例を調査する。次に、これら消費者の参加促進を行ったうえで、グリッド提供者が収益を上げてサステイナブルにサービスを提供できるかのビジネスモデルの調査を行う。共有スケール、費用対効果、リスクを達成するための事業戦略を開発する方法なども検討する。最後に、消費者教育である。例えば、消費者が参加することで、どのように価格システムをカスタマイズでき、需要者利便を高めながら、同時に公共受容性を向上させるかを丁寧に説明する。2012年7月からスマートグリッド技術を含む環境問題改善に関する有益な知見を得ている。
スマートグリッド技術を採用する主要な目的は国や地域によって異なることに着目し、その中での日本の状況について調査した。近年のアジアのエネルギーバランス対策を先導する立場で、日本は低炭素社会に向けて,化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に積極的に取り組んでいる。その一環として,日本政府はスマートグリッド・パイロット・プロジェクトで,国内外でスマートグリッドの事業投資をしていくと宣言している。このように日本政府がグリーンエネルギーの取り組みに向けて採用している現在のコンセプトと戦略について分析した。その結果はInternational Journal of Computers, Information Technolog yand Engineeringに掲載されている。
日本は環境先進国であり資源の再利用の技術や山林の緑地化についての高い伝統と技術を備えている点に注意を促し,スマートグリッド技術を含む環境問題改善において将来日本が他国をどのように牽引していくかを論じた。次に,Heinz K. Klein et at(1999)の手法でアメリカと日本のエネルギー関連の会社に関するデータを解析し,両国の比較を行った。さらに、現在の日本とアメリカの火力・原子力・水力発電所の状況を比較し,日本の石油依存率は低いことを示した。低炭素社会を目指す"Go Green Effort"プロジェクトについても調査した。本研究の内容International Journal of Advanced Science and Applicationsに論文として掲載されている。
図9. 2030年までの日本のPV普及率の推定(Source: METI)
図10. 日本スマートグリッドパイロットプロジェクトサイト
今後、地熱・太陽熱・風力などの代替エネルギーを利用していく方向性にあって,スマートグリッドの導入が重要なステップであることを論説する。また将来に渡ってどのようにスマートグリッドインフラを導入する必要があるかなどその事業計画案を提案する。
離散アレン・カーン方程式の解の漸近挙動に関する研究
研究目的と研究方法: アレン・カーン方程式は、反応拡散方程式の一種で秩序無秩序転移を含む鉄合金の相分離過程を表現する。連続変数の場合は、進行波の存在や安定性や遷移層の形成問題など、さまざまな数学的な結果が得られている。論文では空間のみを離散化した問題と、時間・空間の両方を離散化したアレン・カーン方程式の初期境界値問題を考え、その分岐解析と共に正値解の漸近挙動を解明した。
反応拡散方程式の中心問題に関する研究
研究目的と研究方法: 2成分の未知関数に関する反応拡散方程式で、その反応項に対する常微分方程式が非線形の渦心点をもつものを考えた。論文では反応拡散方程式の解に対して、時間無限大で空間一様化が起き、常微分方程式の時間周期解に漸近するための十分条件を導いた。論文では、常微分方程式の対称性の観点に基づき、リー群の一般論を使ってより広い非線形項を扱える一般論を論じた。
非線形熱方程式の爆発現象に関する研究
研究目的と研究方法: 非線形熱方程式において解の空間的な最大値が有限時間で発散する現象を「爆発」という。たとえば固体燃料の発火現象や流体の渦度に関する方程式などがそのモデルとして知られている。爆発問題の研究では解が爆発する時刻と場所、爆発時の解の形状などが興味の対象になる。
それまで半線形熱方程式の初期値問題に対して、無限遠で爆発するという現象が解析されていた。応募者はそれまで知られていた結果を拡張し、より複雑な拡散項をもつ準線形方程式について上記と同一の問題を解析した。これまで空間無限遠で爆発が起きる方程式のパラメータが知られていたが、適当に方程式のパラメータを選ぶと、空間全体で爆発が起こることを証明した。