我々を作る物質の究極の構成要素は何なのか? 宇宙はどのように誕生したのか? このようなことに疑問を抱いたことはありませんか? 我々のグループではこのような自然界の基本法則を探る研究をしています。自然界の基本法則を知っても今すぐに目に見えて生活が便利になることはないかも知れませんが、50年後、100年後の未来を豊かにする極めて重要な研究です(※1)。この研究に貢献してみませんか? もちろん物理の専門家であれば研究員として直接研究に関わることができますし、事務処理能力に長けている方は事務補佐員として貢献できます(公募情報のページを参照)。ここでは、これ以外の方法として寄付による財政支援について述べたいと思います。
一般に、研究にはお金が必要です。自然界の基本法則を探るには実験をする必要があり、装置は市販のものを組み合わせたり特注で製作をお願いしたりします。例えば私の研究でしばしば使うレーザーは市販品ですと少なくとも1台500万円程度はします。そのほかにも、研究は一人で行うものではないので研究員の雇用、研究成果を発表したり他の研究者と交流するための学会のための出張、論文をオープンアクセスで出版する場合の出版費用などにも資金が必要です。私の行っているような実験ですと新人の独立した研究者が研究室を完成させるのに必要な初期費用は1.5億円から3億円と言われています。足りない分の研究資金は通常は外部研究資金のプロポーサルを書き、これを応募して採択されると得ることができます(※2)。このような研究資金の一部であっても寄付いただけることの利点は、外部研究資金のプロポーサルや報告書を書く時間を削減でき、実際に物理について考えたり実験したりする時間が増えることです。
このような観点から、広く寄付を募りたいと思っています。寄付金は研究に必要な装置、消耗品の購入ないし研究発表に必要な旅費に使われます。寄付をいただける場合、いくつかの方法があります。私の所属組織を通す場合、寄付のページの手順に従っていただき、使途特定寄附金として計量標準総合センター、物理計測標準研究部門、時間標準研究グループの川崎瑛生が行う研究に使われることと指定していただけると確実です。所属組織には共同研究や技術コンサルティングのような他の研究資金提供の方法もありますが、寄付は研究所側に中抜きされることなく全額が研究資金になるという意味で一番効果的です。なお、所属機関は所得税法施行令第217条第1項第1号及び法人税法施行令第77条第1項に掲げる「特定公益増進法人」ですので、税法上の優遇措置を受けることができます。
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※1 科学技術の歴史を見て見ましょう。ミクロの世界の法則を突き詰めていった結果量子力学が誕生しました。量子力学がなければ皆さんが使っている携帯電話に搭載された半導体技術は誕生しなかったでしょう。あるいは、アインシュタインが相対性理論を構築したのは光の速さで進む観測者が見る世界がどうなっているか、強い重力場における物理法則がどうなっているかを知りたかったからです。この理論なしにGPSは動きませんが、ロケットすらなかった時代に、GPSに応用して便利な世の中になることを目指して理論を作り上げたというわけではありません。
※2 「外部研究資金」があれば「内部研究資金」もあります。欧米ですと上記の1.5億円から3億円は着任時に所属機関から付与されますので内部研究資金に分類されます。
最終更新日: 2025年10月14日