寄付のお願い

昨今メディアでも多少報道されるようになりましたが、日本の研究費の支援額は欧米に比べると少ないです。一般的に実験は装置の購入、組み立てがあるので最初の実験室の立ち上げの際に一番お金がかかります。私の行っているような実験ですと欧米であれば新任のassistant professorは日本円に直して1億円程度の初期費用が研究機関から付与されますが、日本では一般的にこれよりも2桁ほど少ない金額となっています。科学研究費助成事業を始めとする公的な研究費助成のシステムもありますが、通常1億円程度といわれる原子物理の研究の立ち上げに必要な額を研究立ち上げ段階の数年で入手できるタイプの研究費を新任の研究員が獲得するのは難しいシステムになっています。

このような観点から、広く寄付を募りたいと思っています。寄付金は研究に必要な装置、消耗品の購入ないし研究発表に必要な旅費に使われます。寄付をいただける場合、いくつかの方法があります。私の所属組織を通す場合、寄付のページの手順に従っていただき、使途特定寄附金として計量標準総合センター、物理計測標準研究部門、時間標準研究グループの川崎瑛生が行う研究に使われることと指定していただけると確実です。

また、私の所属組織においては100万円以上の物品の購入に関してはすべて競争入札を経なければならないという規則があります。このためには仕様書の作成から始まり、時間のかかる手続きを経る必要があり、見積書を取ってそれをもとに注文する一般的な方法と比べて1ヶ月ほど余計に時間と労力がかかります。また、「これまでに特定の会社の製品を使っていて長く使っても壊れないことを知っている」という経験にかかわらず希望している製品とは別の製品が価格が低かったためという理由だけで納入される場合もあります。これは低価格の製品がすぐに壊れてしまえば結果的には再度購入する必要が出てきますし、使ったことのない装置が納入されれば装置の使い方を習得するために一定の時間が必要になります。

このような現状が研究者が十分な研究時間を確保すること並びに研究費の効率的な使用を妨げるものであることをご理解いただけ、かつ高額の寄付をしていただける方におかれましては装置を現物で寄付することもご検討いただけますと幸いです。詳細はお問い合わせください。

さらに、所属組織の旅費規程は定額支給となっており、この支給額は基本的には40年前から変わっていません。そのため、着実に経済成長している諸外国のみならず、インバウンド観光客の増加などに伴って宿泊費が上昇している日本国内でさえ都市部では十分ではありません。このような状況を鑑みて、個人宛の寄付も歓迎します。詳細はお問い合わせください。

最終更新日: 2023年8月26日