第147回 第2土曜会 冒頭問題提起
日日是好日
霞江 翔 氏 (24/12/14) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
現代の社会の発展は私たちの暮らしを原始時代に比べて驚くほど便利にしました。ビニール袋一つとっても、それと同じ利便性のものを野生環境から手に入れるには枯れ草を編んだり、土を捏ねて焼いたりと、大変な手間が必要だ。しかしたかがビニール袋一枚に価値を感じる現代人はほとんどいないのではないだろうか。現代は価値を感じ取りにくい時代かもしれません。
そこで今回は、身の回りでみなさまにとっての価値のあるもの※とその理由についてをご共有いただきたいと思います。そのことを通じて、居合わせた皆様が身の回りのものの本来ある価値や新たな価値に気づき、毎日がより楽しくなれたらと思います。
※注:「価値あるもの」は物質に限らず、生命、出来事、社会通念、人間関係など、カテゴリーに縛られず、なんでも大丈夫です。
第146回 第2土曜会 冒頭問題提起
日本アニメ・マンガ哲学史-人類の実存と超越
脇本佑紀 氏 (24/11/8) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
私たちが何か考えを巡らせるとき、そこには現状に対するNOがあります。そうしたNO、すなわち反-現実はまさしくアニメや漫画が描いてきたものに外なりません。アニメやマンガは日本の文化であると認知されて久しいですが、その背後で継承・発展されゆく哲学史については顧みられることが少ないように思います。今回は「人類の実存と超越」をテーマに私の独断と偏見に基づいて20点の作品を選んで紹介し、「コミックとしての思想」を掘り下げてみます。言及しきれなかった重要な作品については皆さまの補足をお待ちしています。言及予定なのは:手塚治虫『火の鳥』,萩尾望都『ポーの一族』,竹宮恵子『地球へ・・・』,永井豪『デビルマン』,大友克洋『AKIRA』,諸星大二郎『妖怪ハンター』,士郎正宗『攻殻機動隊』,木城ゆきと『銃夢』,上田耕行『serial experiments lain』,岩明均『寄生獣』,庵野秀明『新世紀エヴァンゲリオン』,弐瓶勉『BLAME!』,都留泰作『ナチュン』,水上悟志『プラネット・ウィズ』,相田裕『GUNSLINGER GIRL』,あずまきよひこ『あずまんが大王』,長尾謙一郎『クリームソーダシティ』,江野朱美『アフターゴッド』,今石洋介『サイバーパンク:エッジランナーズ』
第145回 第2土曜会 冒頭問題提起
[続]スポーツを通して考える
松尾 氏 (24/10/12) 1 pm on Zoom
アスリートが競技に取り組んでいるとき、非常に繊細な身体感覚が生じることがあるようです。
それゆえ、アスリートの言葉を聞くと、普段なにげなく抱いている"常識"に対して、多くの疑問が涌いて来たりすることがあります。
今回の第2土曜会では、アスリートの言葉 や スポーツ科学の研究成果などを通して「自分」「世界」「認知」「学び」などに関する問題を提起し、皆様と一緒に考えてみたいと思います。
今回は、以下のようなことについて、考えてみたいと思います。
・知覚や思考に、身体感覚や動作リズムが果たしている役割
・言語と身体感覚
・頭の学びと身体の学び(その違いと一体性)
・体感、直感(直観,直勘)、感性、暗黙知
・意識的な自己制御 と 無意識的な自己制御
・「自分」は制御する主体か、制御される対象か
・自分の思考や行動を決めているのは「自分」なのか
・スポーツにおける遊び心、探究心、没頭、無目的性
・遊び心、探究心、没頭、無目的性は、どこから来て、どこへ行くのか
第144回 第2土曜会 冒頭問題提起
『人間の内側にある時間』
川端 氏 (24/9/14) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
未来のために「いま」を過ごす人も多いのではないでしょうか。 人間らしい時間とはどんなものか、「いま」というときは一瞬だけなのだろうか。
本を開き文字を追うことで、その世界の時間が流れる。 おなじように、自分の内側で時間をとらえることはできないだろうか。
そんな話を皆さんとできればと思います。
第143回 第2土曜会 冒頭問題提起
『続 環境・経済・通貨』
中村 仁宣 氏 (24/8/10) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
前回『環境・経済・通貨』というお題で問題提起をしました。
その中で、私は、いささか抽象的ではありましたが、経済やお金について根本から考え直し、現在の環境・経済問題が、多数派によって経済と環境が切り離されて捉えられている事と、自由市場主義のあらゆる人間活動への行き過ぎた適用に起因するという問題提起をしました。そして、地域通貨がその問題の解決の一助になるのではないかというアイデアに触れましたが、そこで時間がオーバーし、肝心の地域通貨についてお話することができませんでした。
そこで今回の第2土曜会では、前回話しきれなかった部分についてのお話をし、再び皆さんと議論できたらなと思っています。
行き過ぎた自由市場主義の歯止めとしての地域通貨のアイデアから、具体的な導入事例についてもお話できればと思います。
第142回 第2土曜会 冒頭問題提起
絵本『やまとことば神話』読み語り〜神々の名前から読み解く日本人の言霊信仰
古寺 正樹 氏 (24/7/13) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
日本神話「古事記」の冒頭文の解説書は少ない。
なぜなら、複雑な漢字があてられた名前の神々が、現れては姿を隠し、現れては姿を隠し、しかもその後のストーリーにほとんど姿を現さないという、謎めいた記述が続くため、解読がむずかしいからだ。
しかし、その"神々の名前の音"を、やまとことば(漢字が入ってくる前の日本人の元々の言葉)から読み解いてみると、当時の日本人が、直感的に感じて捉えていた宇宙観が詰め込まれていることがわかってくるらしい。
しかも、それはビックバンから始まり138億年経て今の宇宙が作られたという現代の宇宙科学と一致することが多く、たいへん興味深い。
今回は、その古事記の冒頭部分を表した絵本『やまとことば神話』を用いて、神話から感じる言霊の力を味わい、古代の日本人が感じていた神々に対する信仰や、その感性に、参加者みんなで同期していきたい。
第141回 第2土曜会 冒頭問題提起
思考とはノンと言うことである
脇本 佑紀 氏 (24/6/8) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
私たちは日々思考をします。思考はきわめて内心的な行為であり、どのような思考も、ただ思考するだけなら外の世界へ影響を与えず、それゆえに全き自由が保障された行為であると、そのように感じる人が多いのではないでしょうか。しかし思考という行為が無意識に前提としていることおよび、その前提に起因する不自由さについてはあまり省察されることがないように思います。今回は「思考すること、それはノンということである」という仏哲学者アランの言葉を中心に、デカルト以来の哲学からポスト・モダンを辿り、思考はおのずと権威の解体と自己権威化をもたらすものであるという視点を提示します。そして宿命的に不自由な思考が、今日においてどのような意義と可能性を持っているのか模索してみます。事前にご確認いただく必要はありませんがノートをhttps://drive.google.com/file/d/1XKPE6YvUDlBoTmyNskaYDOWDyzIO64j6/view?usp=drive_link
にアップロードしていますのでもしよろしければご覧ください。
第140回 第2土曜会 冒頭問題提起
スポーツを通して考える「時間」「空間」「現実」「自分」
松尾 氏 (24/5/11) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
アスリートが競技に取り組んでいるとき、非常に繊細な身体感覚が生じることがあるようです。
それゆえ、アスリートの言葉を聞くと、普段なにげなく抱いている"常識"に対して、多くの疑問が涌いて来たりすることがあります。
今回の第2土曜会では、アスリートの言葉やスポーツ科学の研究成果などを通して「時間」「空間」「現実」「自分」などに関する問題を提起し、皆様と一緒に考えてみたいと思います。
具体的には、以下のようなことを考えてみたいと思います。
・私たちは、何を「今」だと認識しているのか
・私たちは、何を「現実」だと認識しているのか
・私たちは、何を「時間経過」だと認識しているのか
・私たちは、何を「自分」だと認識しているのか
・言語や思考を介さないような、直接的な認識(や直接的な反応)とは
・意識的に行うこと、無意識のうちに対応すること、意図的に無意識で対応すること
第139回 第2土曜会 冒頭問題提起
人はどうやって歩くのか~非線形力学系の妙を味わう~
脇本 佑紀 氏 (24/4/13) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
われわれはなぜこともなげに歩くことができるのでしょうか。そこには非線形力学系を背景とした同期現象が隠れています。今回は人間の歩行をテーマに非線形力学的世界観をみなさまと味わってみたいと思います。
第138回 第2土曜会 冒頭問題提起
環境、経済、通貨とそれらの繋がり
中村 仁宣 氏 (24/3/9) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
お金って何だろう?人はなぜ働くのだろう?労働とはなんだろう?
恐らく、誰もが考えたことのある問だと思います。
提起者はこの問題について知るために、経済学の入門書をぱらぱらと眺め、その度に、「価値」とか「効用」という言葉の説明に「捉え所のなさ」を感じ、その先に進めず、結局何も分からずのままで終わるという経験が度々ありました。
そんな、何となく「お金」や「経済」について「捉え所がない。よくわからん。」と、勉強することを避けてきた提起者が、環境問題や職探し、やりがい等を真剣に考え始めたのをきっかけに、自然環境、それと繋がった社会システムとしての経済、価値観の表現としての貨幣という面白そうな概念に出会い、それらについて調べ始めました。
そこで知ったのが、非主流派経済学的な見方から、地球環境システムの部分としての人間社会、その社会の一部分である経済、そして経済活動を潤滑にする役割を果たすお金、などの概念について考察をした先人たちの存在です。そして、環境破壊、気候変動、貧困、コミュニティの破壊、生きづらさなど、現在社会の問題は、それが内包する経済とお金の仕組みと深いところで繋がってるという認識に至りました。これらの問題は経済や貨幣の改革なしの根本的解決は困難であると感じる一方で、経済と貨幣を変えればそれらに同時に働きかけられる可能性もあるという希望も見えてきました。
問題提起者はこのように、経済・貨幣の面白みを見出し、この問題を皆で考える事の重要性を実感しています。
ぱっと出の素人が、ちょっとだけ調べた知識ではありますが、わかった事を皆さんと共有し、誰にとっても身近であるこの話題を、わからないなりに手探りで、皆さんと議論できればなと思います。
第137回 第2土曜会 冒頭問題提起
孤立原子分子と点欠陥:「ある」から出発するモノと「ない」から出発するモノの共通点と違い
飯澤 正登実(24/2/10) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
今回の冒頭問題提起では、古くから様々な分野で議論されている話題を取り上げる。すでに枯れきっているテーマであっても、テクノロジーの発展や社会情勢の変化などによってそのテーマが現実味を帯びた問題として新たに読み直されるということはしばしばあることである。各分野で先鋭的な議論を行っている皆様の知見を、いま・第2土曜会という場で展開することによって、世の中の変化の兆しが生まれることを夢想し、以下2点の問題提起を行う。
① 近年「1つの分子を見る」手法が開発され(2014年ノーベル化学賞)、アンサンブルではなく個々の原子分子をターゲットにした測定が可能になった。もしかするとこの技術は、粒子の「同一性」に関して新たな視点を与えるかもしれない。ではどういう新たな視点を与えうるだろうか?
② 固体中の1つの点欠陥をある種の1つの「分子」とみなして、欠陥自体の状態を制御する技術が盛んに開発されている。たとえば窒素-空孔(NV)色中心はその典型である。一方で、空孔(V)をある種の「原子」と見做すこの考え方は、「「ない」がある」という存在論や認識論でおなじみの話題を惹起する。まずなにも「ない」(いま一時的に場の量子論は置いておきましょう)ところに1つ「ある」を置くのが孤立原子の議論であるとすれば、空孔欠陥の議論は、まず一様に「ある」ところに1つ「ない」を置くことから出発すると言える。この両者の議論は非常に似通って見えるけれど、もちろん違いもある。一般に、「ない」から始めるのと「ある」から始めるのとでは、どういう議論の差が生まれるのだろうか?
原子分子や空孔欠陥に限らず、周期性を持った構造(結晶構造)を持つもの一般に(あるいは周期性を持っている必要もない?)、同様の議論ができる可能性がある。物理や情報理論に留まらず、社会現象や文学などの観点から、この問題意識の持ち方自体への批判や、この問題提起に関連する話題を皆様から提供していただけないだろうか。
直接的にこの文脈につながらない話題の提供もお願いしたい。例えば、一時期、Stanford Encyclopedia of philosophy で“Holes”という項が人気だった。“Holes”が注目される背景には、どのような人間の欲動が絡んでいるのだろうか?という議論もあり得る。また、大幅に脱線するように見えるが、『オデュッセイア』の Ούτις εμοί γ’όνομα. (Nobody is my name.)…あのストーリーも、うっすらつながっているように見えなくもない。否定辞や“be”の話とも関連してくるだろう。こういったものが煮えたぎる闇鍋的な場になることを、今回は(も!?)暗に期待している。
第136回 第2土曜会 冒頭問題提起
流れを捉える
霞江 翔(24/1/13) 1 pm Science & Art Room @松原&Zoom
私たちが面している外の世界は実に複雑である。さまざまな視点でそれを理解することを試みるも、どれも上手くいくように見えて、どれも上手くいかない。
今回はそこに答える一つの挑戦を皆様と共有できたら幸いです。科学はすでにうまく行っている視点のように見える。それをある程度認め、それに自然観察を交えた洞察によってさまざまな視点とそれを含む複雑な世界の整理を試みます。