2025年
写真家・鈴木幹雄(1949–)は、今から50年前、「本土復帰」から間もない沖縄県名護市にある国立療養所沖縄愛楽園を訪れました。ハンセン病の回復者・患者たちが隔離のなかで生き、日々の暮らしを営む姿を、鈴木はカメラで丁寧に記録しました。
差別や偏見が根強く残る社会の中で、一般の入所者が顔や名前を明かすことは極めて困難でした。それでも鈴木の写真には、孤独や悲しみと向き合いながらも、自分の人生を少しでも豊かにしようと懸命に生きる人々の姿が映し出されています。
2025年、撮影からちょうど半世紀を迎える節目に、赤々舎より写真集『命の記憶─沖縄愛楽園1975』が刊行されます。それにあわせて、沖縄を主会場とし、京都、東京のサテライト会場で同名の巡回写真展を開催いたします。
□会期 2025/5/17-10/31
□報道 河北新報(2025/3/6)
琉球新報(2025/5/15)・(2025/5/24)・(2025/6/15書評)・(2025/6/18展評)・(2025/8/14)・(2025/11/5月評)
沖縄タイムス(2025/6/10)・(2025/8/2書評)・(2025/9/5)
京都新聞(2025/6/14)
東京新聞(Web版2026/6/24①、②)・(2025/6/27)
読売新聞(2025/7/8)
朝日新聞(2025/7/9) Yahoo!ニュース(2025/7/10)
OTV(2025/7/28) Yahoo!ニュース(2025/7/28)
TOKYO ART BEAT(2025/5)
美術手帳(2025/6)
ほぼ日(2025/6)全7回
Newsweek (2025/7/5) Yahoo!ニュース(2025/7/6)
週刊金曜日(2025/8/7)
1978年、沖縄に移住した桝井は、熱帯魚採取と販売を長年営み、海中の世界とその変化を見続けてきました。その経験を源泉とする絵には、イメージとしてでなく、無数の生命がたゆたいながら混在する海が、具体を伴って描かれています。
桝井が頻繁に潜った場所の一つがこの屋我地島周辺の海でしたが、この海は園で暮らしてきた人たちにとっていくつもの意味をもつ場所でした。海は、差別から逃れ存在を隠すものとなり、家族や故郷に思いをはせ、涙する場であり、命をつなぐ糧を得る場ともなりました。
本展では1980年代から2025年までの作品から30数展が展示されます。これまでまとまった作品の展示は行われておらず、作品の変遷の一端についても本展示で感じていただけることと思います。
□会期 2025/2/22~3/30
□報道 琉球新報
2024年
富士フィルムGFX Challenge Grant Program 2022大賞受賞作となった「カリバリー島─生の記憶を辿る」をベースに、回復者や家族のポートレートを加えた写真家、小原一真の個展。
□会期 2024/6/22~9/23
□報道 沖縄タイムス(7/14)
2023年
兵庫県川西市出身の小林くみこは、京都市立芸術大学(版画専攻)を卒業後 、中学校の美術教員を勤めながら精力的に制作を続けてきました。作品は主に関西圏で発表され、春陽会読売新聞社賞や日本・フランス・中国現代美術世界展欧美賞を受賞しています。
また、教員生活のなかで岡山県のハンセン病療養所長島愛生園入所者のキム・テグさんと出会い、学生たちと療養所を訪れたり、キム・テグさんの講演会を学校で開催するなど交流を深めました。
自身や親しい人の不慮の出来事は、世界を変容させますが、悲しみの地層にも未来への希望が存在します。本展では「俟時」というテーマで、メゾチント作品を中心に展示します。
□会期 2023/8/5~9/24
□報道 OTV(8/20)
□イベント動画
ギャラリートーク「繋がる佇まい──キム・テグさんとの出会い」小林くみこ×鈴木陽子(当館学芸員)
歴史的に積み上げられてきた偏見と排除により、ヨーロッパでロマの人々は存在しないかのようにされてきました。今、ウクライナ戦争が長期化するなかで、ウクライナのロマの人々は国内、あるいは、避難先の国で排除され、孤立しています。78年前、社会から排除され愛楽園に隔離された人々も、沖縄戦の激しい爆撃を受ける園から逃げることができませんでした。戦争がもたらす排除される人々への差別と暴力を、愛楽園から考えます。
□会期 2023/2/25~4/23
□報道 琉球新報(2/24)、(3/4)②
2022年
学生時代京都で染色を学んだ平井真人は、京都での制作になじめず、1978年沖縄に移り住みました。自然を畏敬する祭祀、地域に根差した紅型の様式やあり方、離島苦や自然破壊、基地に起因する事件や親しい人の死、沖縄での暮らしは新たな作品づくりの地平へと平井を導きました。
布染を通して平井は、人の誕生から逝去まで暮らしに密着する布が、歴史を背景として形作られてきた差別と決して無関係ではなかったことに目を向け、無意識の差別に意識的であろうとしています。
作品と愛楽園という地との対話を通し、形づくられる平井の世果報(yugafu)の世界を体感いただければ幸いです。
□会期 2022/10/1~12/18
□報道 沖縄タイムス(10/15)
□イベント動画
地上戦を経験した沖縄では、1950年代ハンセン病を患う人が増え、1000名近くの人が愛楽園で暮らしました。その中には子どもたちもいました。多い時には80名近くの子どもたちが少年少女寮で暮らしています。
戦後も患者隔離が推し進められる一方、1949年から沖縄でもプロミン治療が始まりました。園の大人たちは、愛楽園で暮らす子どもたちが園外の子どもたちと同等の教育を受け、一般社会で暮らす力を身につけることを望みました。1950年代始め、愛楽園では文芸活動が盛んで、沖縄文壇でも活躍します。子どもたちも様々な文芸作品を園内の機関誌に発表しました。
新型コロナ禍の只中にある今、子どもたちの作品から、愛楽園の中で子どもたちがどのように暮らし、何を思っていたのか、感じていただければと願っています。
□会期 2022/7/23~9/11
□報道 沖縄タイムス①(7/19)、②(8/3)
□イベント動画
2020年
写真家、勇崎哲史と布染家、平井真人によるコラボ展。沖縄戦跡で蝉が羽化する瞬間をとらえた勇崎の「蝉、生まれいずるころ。」と平井の布染「蔓草の杜」の展示。開館5周年を記念した第3弾企画展。
□会期 2020/11/21~2021/2/28
□報道 沖縄タイムス①(2020/12/1)、②(2021/2/3)
□イベント動画
ギャラリートーク 勇崎哲史×平井真人
朗読劇「島」「穴」・クラシックピアノ演奏 役者=上江洲朝男・高宮城六江(UOの会)、森川久美子
証言朗読 協力=劇団ビーチロック
沖縄を代表する絵本作家・版画家の儀間比呂志(~2017)は、生涯「沖縄」をテーマにした作品を制作し、1980年代からは沖縄戦を、一貫して住民の視点から描き続けました。『ツルとタケシ』は儀間の晩年に制作された作品の一つで、宮古島を舞台に沖縄戦とハンセン病差別が描かれています。当館が所蔵する原画を展示します。開館5周年を記念した第1弾企画展。
□会期 2020/4/11~8/23
□報道 琉球新報(2020/5/31)
沖縄タイムス(2020/8/9)
□イベント動画
絵本「ツルとタケシ」読み聞かせ(トトロの会)