カラン・メソッドに救われました:
内向型人間が英語スピーキングを鍛える方法
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カラン・メソッドに救われました:
内向型人間が英語スピーキングを鍛える方法
好きこそものの上手なれ、と言うように、他者とのコミュニケーションが好きな人は母国語以外の言語習得も早い傾向にあります。では、他者とのコミュニケーションが得意でない内向型人間はどうしたら良いのでしょうか。
そんな悩みをずっと抱えていた私ですが、実はオンライン英会話を始めて1.5年が経ちました。正直、こんなに続けられると思わなかったです。最近、始める前に比べて成長したと感じるとともに、なぜ私が続けられたのかがなんとなく整理できてきたので、少し文章にまとめてみようと思います。
まず、私がずっと受講しているのは、カラン・メソッド(Callan method)というものです。端的に言えば、カラン・メソッドは発する言葉の一言一句が定められている英会話レッスンです。内向型人間の私には、これがとても合いました。(この時点で理由が思い当たる方は仲間かもしれませんね)
カラン・メソッドの詳細については以下のサイトなどを参照してみてください。
さて、少し時を遡り、私が、オンライン英会話を検討していたときの私の心理を説明させてください。
ネット上には、オンラインと対面の英会話教室を比較したメリット・デメリットをまとめた記事があります。私はそれらを調べ、オンライン英会話の受講を検討する中で、大きな2つの懸念を抱えていました。
自身の内向性と興味関心の偏りです。
前者について、これだけ文章を書いて公開しておいてどこが内向的か、と思うかもしれませんが、私にとって、それなりに吟味した言葉を公開するのと、その場の会話の流れで言葉を発するのとでは、大きな違いがあります。ましてや相手が初対面のオンライン講師となれば、まずはお友達になるところから始めませんか状態で、英語で話す練習どころではありません。ぶっちゃければ、お互いをほとんど知らず、共有するものが皆目検討つかない相手(個人的には、相手の興味や所属など何か一つでも分かっているだけでかなり話しやすく感じます)と、オンラインという雑談の小ネタが激減した環境で雑談するのは、ストレス以外の何物でもないわけです。
そんなこと言っても以前も英会話教室に通っていたのだから変わらないでしょう、と思われるかもしれません。違うのです。対面の英会話教室は、そもそも講師の数が限られており、講師を指名しなくともお世話になる講師が数名に固定化されます。初対面の講師にあたるのなんて最初の1ヶ月だけです。
そんな人見知りを発動する私にさらに追い打ちをかけるのが、自身の興味関心の偏りです。多くのオンライン英会話教室では、日々のニュースや身近なトピックに関する教材をたくさん用意してくれています。しかし、そもそも私は、それらに興味を持って積極的に英語で話せるのでしょうか。私は興味がある事柄には淀みなく言葉が出ますが、興味がない事柄には「無」の一文字です。YESもNOもなく、ただ、「はあ、そうですか」の一言が出そうになります。興味がない事柄に対して、自分の感想や意見を述べることもストレスなのです。
なら、興味のあるニュース・トピックをちゃんと選んでレッスンに臨めばいいじゃない、と思いますよね。残念なことに、私は、そこに時間を割くのは手間だと感じてしまうのです。できることなら、今回はこれ、次回はそれ、さらに次回はあれ、と自分にリードがない方が気楽なのです。(こうして文章にまとめてみると、いかに自分が言語習得に向いていない性格であるかを思い知らされますね...)
これらの自己分析に基づく懸念から、私が英会話レッスンをできるだけ長く続けるためには、金銭的/時間的だけでなく、精神的な負荷がない/少ない形態を模索する必要がありました。そして、これらを解決したのがオンライン英会話教室でのカラン・メソッドです。
先にも述べた通り、カラン・メソッドは発する言葉の一言一句が定められている英会話レッスンです。相手が初対面の講師であろうとなかろうと、話す内容は決まっています。私の興味の有無に関わらず、話す内容は決まっています。Stage 1からStage 12まで約200単元すべて、講師がリードして進めてくれます。私の精神的負荷は限りなくゼロです!
では果たして、講師の言葉をただ真似して、どれほどの意味があるのかと疑問に思うかもしれません。実は(私も親に指摘されて気づいたのですが、)この講師の言葉を真似する形態は、子どもが親の言葉を真似する言語習得過程と似ています。そう考えると、講師の言葉をただ繰り返すだけでも、効率的な練習なのだろうと納得してしまいます(蛇足ですが、この公開講座が面白かったです)。そもそも完璧に繰り返すこと自体が難しいんですよね...。ちなみに、カラン・メソッドによって基本的な英語力が向上することは以下の論文でも報告されています。
ところで、ただ講師の言葉を真似するだけなら、数ある無料音源のシャドーイングで良いのでは? と思うかもしれません。
その通りだと思います。
カラン・メソッドだと、講師が生徒のミスを即座に修正してくれる、実際に会話している風なのでモチベーションが続きやすい、などのメリットはありますが、やっていることは講師が音源のシャドーイングです。ただ、私は自分で音源を探す努力ができず、自力でのシャドーイング練習は続きませんでした(意志が弱い...)。そういう点からも、講師がリードしてくれて、Stageが上がるごとに自動的に難易度も上がっていくカラン・メソッドが合うのです。
ということで、カラン・メソッドは、私にとても合っていました。1.5年で170時間ほど受講し、使い慣れていない・使ったことがない単語・表現をひたすらに繰り返し発話しました(「英会話の筋トレ」と形容されるのも納得です)。これが、これまで小中高大と英語学習を積み重ねてきて単語・文法の知識はあるものの、発話が上達しなかった私に有効でした。また、発話できる単語・表現は聞き取りもできる、というスピーキングからリスニングへの正のフィードバックもありました。(残念ながら、数値で変化を示せるものがないのですが…)
私が最も成果を感じたのは、今年7月に参加したアメリカでの学会です。この学会では、これまでで一番積極的に現地研究者とコミュニケーションがとれました(これまでの国際学会での様子はこちらをどうぞ)。めっちゃ嬉しかったです。とはいえ、まだまだネイティブスピーカーとキャッキャッと話せるほどの余裕はなく、会話の流れすら汲めないことも多々あります。まだまだ、これからも精進したいと思います。
2025年12月31日
追記① カラン・メソッドのレビューを見ていると、間違えるのが怖い、全然ついていけない、というコメントが散見されます。「間違えるのが怖い」については、頑張るしかないように思います。これまでの英語学習の話にも書いた通り、私にもミスが怖った時期があります。でも、これは言語学習においてどうしても乗り越えなくてはいけない壁なので、避けて通れないのだと思います。強いて言えば、相性が良い先生(やる気にさせてくれる、励ましてくれる、フォローしてくれるなど)を探すことで多少はやりやすくなるかもしれません。
「全然ついていけない」については、予習を少し、復習を念入りにすることで多少はマシになるかと思います。また、これもやはり相性が良い先生(レッスン中の回答のリードが上手、こちらのテンポに合わせてくれるなど)を探すことでかなりやりやすさが変わると思います。予習をしない方が良い、早口でないと意味がない、という意見もありますが、レッスンに対するストレスが軽減されて、やる気が継続するなら全然OKだと思います。
追記② カラン・メソッドのデメリットとして、よく指摘されているのが、日常会話における応用力と語彙力が養われない、という点です。これについては、半分同意、半分反対です。
指摘されている通り、カラン・メソッドは、主語述語などをほとんど省略していない文法的に完成された文章を練習するため、日常会話に頻出する、その場の流れで生じる適当な相槌や空気感を読んだ表現はなかなか学べません。また、カラン・メソッド教材を通じて学べる単語には限りがあります。
ただ、前者に関しては、仮に仕事で英語を使う場面を考えたとき、やはり「主語述語などをほとんど省略していない文法的に完成された文章」が話せる方が損はしないのだろうと想像します。また、「主語述語などをほとんど省略していない文法的に完成された文章」がスラスラと口から出るようになっていれば、適当に省略することなど容易であること、同様に適当に省略された相槌の理解が早くなることを考えると、先にカラン・メソッドでしらみ潰しに英文法の発話をマスターしていく方が近道なのではないかと感じます。個人的には、カラン・メソッドを始めてから、洋画を英語字幕で観たときの理解度が上がりました。
後者に関しては、限りがあるとはいえ、1単元で最低30単語くらいが新しく登場するので、十分勉強になると感じました。また、そもそも一つの教材で非母国語をマスターしようとする方がナンセンスなので、そのあたりは個人の必要性に応じて他の教材を併用すれば良いのだと思います。