アドラー心理学とは、オーストリア出身の精神科医・アルフレッド・アドラー(1870~1937)が創始し、彼の弟子たちが発展させてきた心理学です。アドラーは、第一次世界大戦に軍医として招聘された経験や、戦後の市民の悲惨な暮らしぶりを目の当たりにしたことなどから、争いのない平和な世界をつくるためには、どうしたらよいかと考えるようになりました。
やがてアドラーは、暴力ではなく、話し合いで問題を解決する社会へと変えていくには、これからの世界を築いていく子どもたちを、どう育てるかが大事だとの結論に至りました。そうして、「育児」や「学校教育」についての研究を熱心にしたとされています。アドラー没後も後継者たちによって、子どもたちがよい未来をもたらしてくれるよう、育児と教育についての研究・実践が重視されてきました。
日本においても、米国のアルフレッド・アドラー研究所で学ばれた精神科医の野田俊作氏(1948~2020)によって子育てプログラムが開発され、30年以上にわたり、アドラー心理学にもとづく育児が実践されてきました。現在「一般財団法人 野田俊作顕彰財団 Adler Institute Japan」が提供する『Passage』(パセージ)という育児学習コース が、AIJ認定リーダーによって全国で実施されています。