道の駅

◆そもそも「道の駅」計画の概要は?

日進市は、令和5年度の開駅を目指して「道の駅」事業を進めていて、計画の概要は「日進市道の駅基本計画」に掲載されています。詳細は「第3.1版パンフレット(日進市「道の駅」)」参照。 HP

「日進市道の駅基本計画」は「日進市道の駅基本構想」に基づき、導入施設の機能や規模、整備・管理運営手法及び、道の駅整備実現に向けた今後の取り組み等を整理するもので、平成30年2月に策定。


●計画地は⽇進市のほぼ中央に位置する尾三消防本部⽇進消防署より、主要地⽅道瀬⼾⼤府東海線を挟んだ⻄側付近(本郷町前⽥周辺)で、現況の⼟地利⽤は農地。

●費用(2019年12月議会公表)
〇用地購入費
5億3400万円
<うち市債(借金)3億3千万円>
〇事業費予定総額(国・県の補助あり)
21億円
<建物等14億円+周辺道路整備費2億円+用地費5億円 >

●用地買収に関するこれまでの経過(2021年5月現在)
R2年度(2020年度)に「道の駅」用地購入費5億3400万円を予算化。
市は2021年3月ぎりぎりまで地権者と交渉。しかし購入できたのは周 辺道路整備部分や市道を拡げる部分14%のみ。3月議会閉会日に買えなかった分約4億6000万円(86%)の予算を減額。
今後は「尾張土地開発公社」が土地を購入。R4年度からの3年間かけ公社から市が土地を買い入れる予定。
(地権者との交 渉は引き続き日進市がおこなう)
公社からの買い入れにり、用地購入費は約4600万円増加する ことに。
(R2年度予算用地購入費5億3400万円→公社からの 買い入れ総額5億7976万円)
また開駅はR5年度中→R6年度に再々延期の可能性大。
「道の駅」の用地を土地開発公社による代行取得とした理由は、 R3年度は財政状況が厳しくて、R2年度のように一度に5億円 以上の大きな額の起債(借金)ができない。公社からの買戻しは 数年度に分けて起債ができるからとのこと。これにより事務手数 料100万円と地価変動額(2700万円+利子1800万円。鑑定評価による)が上乗せされる。


⇒事業費が約4600万円増額しても、なんとかしてこの事業を進めたい市の姿勢がみられますが財政状況が好転するまで、総額21億円の「道の駅」事業は凍結すべきではないでしょうか。
 

尾張土地開発公社とは…日進市・長久手市・清須市・北名古屋 市・東郷町が出資し、共同で設立している法人。公用地の先行取 得等の事業をおこなっている。公社が取得した土地は、その用地 を必要とする自治体に譲渡されるが、このとき、譲渡価額は、原 則として買収価額に資金コスト等を加えた額になる。

◆「道の駅」年表


平成29年

2月

「日進市道の駅基本構想」策定


平成30年

1月

本郷区対象説明会実施

1月~2月

パブリックコメント実施

2月 

「日進市道の駅基本計画」策定

4月

本郷区から要望書提出

6月

「道の駅整備事業の賛否」アンケート実施

10月

本郷区道の駅対策委員会から陳情(道の駅の場所変更)提出

6月~11月

日進市「道の駅」の設計に関する利活用希望調査実施

12月

基本設計概要書作成、収支分析試算実施

開駅予定がH33年(R3)から35年(R5)に変更(パンフレット第2版)


平成31年・令和1年

1月

国の「重点道の駅」認定

9月

愛知県と日進市が「道の駅「(仮称)にっしん」の設置に関する基本協定書」を締結

11月

「にっしん道の駅」を考えるタウンミーティング開催(まちづくりアクション@日進)

12月議会

用地購入費:5億3400万円、事業予定総額は21億円(市答弁)


令和2年

3月

本郷区での道の駅についてのアンケート実施(まちづくりアクション@日進)

12月議会

「24時間オープンしている授乳室整備」という国の登録要件のため、

計画を一部修正する(市答弁)


令和3年

3月議会 

用地取得ができなかったため、R2年度予算を4億6000万円減額補正

用地取得の遅れにより、開駅予定がR5年度から1年後ろ倒しになる見込み(市答弁)

4月

開駅予定がR5年度からR5年度終盤~R6年度に変更(パンフレット第3.1版)

6月

道の駅の運営に関するアンケート調査実施

12月

愛知県に道の駅事業認定申請書を提出


令和4年

6月

道の駅整備事業に関する愛知県公聴会開催 

9月議会

道の駅の建物ZEB(ネットゼロエネルギービル)化決定(市答弁)

10月

愛知県事業認定審議会で道の駅事業認定は継続審議となる

12月議会

修正設計(ZEB化)の完了がR6年1月頃(市答弁)

開駅予定R7年に変更

12月

愛知県事業認定審議会で付帯意見付きで事業認定される


令和5年

2月

開駅予定がR5年度終盤~R6年度からR7年に変更(パンフレット第3.3版)

3月

日進市道の駅地域振興施設の設置及び管理に関する条例を制定

7月

敷地内整備工事開始

9月議会

工事費・用地費合わせて事業予定総額は25億円

(7割市負担、交通対策費は含まず)(市答弁)

9月

道の駅名称決定、指定管理業者決定

「道の駅」に関する日進市の動きは?

●2020年6月議会答弁より
道の駅の防災機能について、市は「道の駅はコロナ対策ともなる 避難機能がある」として災害時には駐車場の車で避難生活ができる事をメリットと答えていました。しかし「にっしん道の駅基本計画」にはそのような機能は何も位置づけられておらず、災害時には物資の輸送拠点とするために、駐車場横の広場をヘリポートとして使うことになっています。道の駅の整備理由として、急に浮上してきた駐車場の避難場所としての活用とヘリポートの関連はどうなるのでしょうか。 

●2020年12月議会答弁より
用地は13%購入(主に道のつけ換え部分)
日進市は今年度「道の駅」予定地の購入費用として5億円を予算化していますが、コロナの影響により業務が遅れていることを議会で説明しています。12月議会で市はこれまで用地は13%購入と答弁。国が登録要件に「24時間オープンしてい る授乳室を整備すること」を入れてきたため、現在計画を一 部修正とのことです。
「道の駅パレットピアおおの」の駐車場の一部は 夜間閉鎖
日進市がモデルとしている 「道の駅パレットおおの」はオープンして2年目ですが、現在駐車場の一部が夜間(夕方5時~翌朝9時まで) 閉鎖されています。夜間の自動車、バイク利用者による騒音・集合行為による問題が多発したためとのこと。 日進市の道の駅予定地は、 本郷区が隣接しており、同様の迷惑行為について心配の声があります。市は具体的な対策を示す必要があります。

●2021年6月議会答弁より
コロナによる影響で財政が厳し、市は単年度で用地購入ができないため、尾張土地開発公社に買ってもらい、それを何年かかけて買い戻す予定。用地購入の議決がされてからしか指定管理者の選定ができないため、事業開始の時期はまだ見えてきません。地元含め市の説明不足が指摘されています。 

市が県に「事業認定申請書」を提出
日進市は2021年12月17日付で愛知県に、道の駅の「事業認定申請書」を提出しま した。 これは道の駅整備の中で市が整備する部分についての事業認定です。これにより地権者が用地を売る際に5000万円まで税金控除が受けられます。この事業認定申請書は年末年始をはさむ2週間、市役所で 「縦覧」できました。施設利用予定者はだれでも意見を提出できるということで、メンバー数名も意見を提出しました。

●用地購入費5億円が再度2022年度予算に計上
日進市は2021年12月17日付で愛知県に、道の駅の「事業認定申請 書」を提出しましたが、市民から意見書が提出されたことで協議、調整中とのこと。事業認定がされてから用地購入とな りますが、「瀬戸大府線の渋滞、住宅地内の抜け道利用など 交通面の問題」「不特定多数の人が出入りする治安、防犯面 の心配」「朝夕の通学への影響」「24時間駐車による騒音・ 排気ガスの問題」など、地元の要望への対応はできているのかいまだ不明です。 

●県の公聴会開催
道の駅整備事業に関する県の公聴会が、2022年6月30日(木)に 市民会館小ホールで開催されました。詳細はこちらをご覧ください。

県の公聴会で5人が意見陳述 


14号記事から(2022年7月)


昨年度、日進市は愛知県に対して、「道の駅整備事業」の「事業認定申請書」を提出しました。これは道の駅整備のため土地を売却する地主に、上限5000万円の税金控除を適用するための事業認定申請です。県はこの事業認定について広く意見を求め、公聴会を開くことが法律で定められています。

公聴会は2022年6月30日に日進市民会館小ホールで開催され、5人の公述人が(「道の駅」事業推進の立場から、前副市長、地権者、農協の理事の3人。事業の問題点を指摘する立場から2人)ひとり30分の制限時間の中で意見を述べました。 

「まちづくりアクション@日進」代表の島村も公述人のひとりとして、2年前に実施した地元本郷区へのアンケート調査の結果を詳細に報告し、住宅地近くに24時間営業する「にっしん道の駅」事業に対して、抜け道利用や通学路になっている周辺道路への影響や防犯についての地元住民の懸念について解決策が示されていないと意見を述べました。

意見陳述全文を以下に掲載しましたので、ぜひお読みください。

「道の駅」に関する公聴会・公述原稿

日進市南ヶ丘 2-10-8 に居住しております島村紀代美です。本日はこのような意見陳述 の場を与えていただき、心より感謝いたします。今日は日進市が土地収用法に基づく事業 認定を求めました「道の駅整備事業」につきまして一市民の立場から意見を述べさせてい ただきます。

 はじめに私個人と本事業の関わりについて、少し述べさせていただきます。 私は 2007 年(平成 19 年)から 2018 年(平成 30 年)末まで日進市議会議員を務めてお りました。日進に「道の駅」を整備する事業は 2015 年(平成 27 年)の市長選挙で前市長 の萩野耕三氏が公約に掲げ、3 期目の目玉事業として推進されたため、私も議員としての 任期中、議会で何度か取り上げ質問をしています。今回起業者である日進市が県に対し 「にっしん道の駅」の事業認定を申請しましたが、これまでの経緯また掌握している事実 を、公開の場で認定権者である県に対してお伝えすることは極めて重要と考え、公述人申 請をいたしました。少し長い陳述となりますが、よろしくお願いいたします。 

まずはじめに本事業認定の根拠法である「土地収用法」に照らして意見を述べます。 起業者日進市は、「土地収用法」第 16 条の規定により本事業認定を申請しています。 そもそも「土地収用法」の立法主旨は、「法律の目的」として第 1 条に定められており、 

「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、 手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財 産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする」と あります。また第 2 条には土地の収用または使用するにあたっての根拠が定められており、 「公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当 該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定める ところにより、これを収用し、又は使用することができる」 

とあります。つまり事業認定にあたっては当該事業が「国土の適正かつ合理的な利用にあ たるか」「公共の利益の増進にあたるか」ということが問われることになります。 加えて、それが 3 条に規定された事業であり、かつ第 20 条各号の要件が充足してはじめて、 収用のまたは使用の許可の手続きに進める法のたてつけとなっています。

 起業者日進市の事業認定申請書によれば、土地を収用し、又は使用することができる事業 として、「道の駅整備事業」は第 3 条第 32 号に該当しているとしています。

 32 号は 国又は地方公共団体が設置する公園、緑地、広場、運動場、墓地、市場その他公共の用に供する施設 

となっており、ここには「道の駅」といった直接的な施設名はありませんが、広場、市場 その他公共の用に供する施設という言葉は含まれており、対象となると考えられます。 しかしながら法第 20 条「事業認定の要件」につきましては疑義があると考えますので、 その理由を述べます。 


第 1 に、法第 20 条 2 項「起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であ ること」の適合について意見を述べます。 「当該事業を遂行する充分な意思」という部分についてですが、起業者は当該事業を平成 28 年 3 月に「人口ビジョン・総合戦略」に位置づけ、令和 2 年には「第 6 次総合計画」に も位置づけました。基本構想、基本計画、基本設計と一定の手続きを段階的に進めてきて おり、議会においても事業遂行に向けて強い意思を示してきました。いわゆる紙面上の計 画、ハード面の設計はいちはやく進め、公の場で口頭による起業者の事業推進の意思表明 は継続的になされてきています。また議会も土地の取得予算計上についてて認めてきてい ます。

 では「事業遂行の能力」という点を鑑みますと、まず財政面についてですが、現在示さ れております総事業費における市の負担額が、用地費を含めるとおよそ 16 億円。市内の公 共施設のうち、昭和の時代に建設された学校や保育園、東部、南部の福祉会館、保健セン ター、市民会館、スポーツセンター、給食センターが老朽化している中、これらの建て替 えを先送りし、また修繕費もまかないながら新しい公共施設に多額の費用をかけることに 財政上の問題はないのか、その負担能力に市民として心配があります。用地購入費に関し て昨年度は、市が起債や一般財源で一括購入できない見込みから、一度は尾張開発公社か ら買い戻す方式に方針転換がされたことを含め、コロナ禍を経験した市民としては例えば さらなる感染症や南海トラフといった不測の事態が起こった場合に、対応できる財政上の 備えができるのか、疑念を持ちます。加えて起業者日進市は他にもスマートインターチェ ンジの整備事業も進めており、この 2 つをあわせた事業費は数十億円となり、将来的な財 政状況の他事業への影響が懸念されます。

 そして「道の駅」の開駅を見越しての準備組織体制については、市民から見て、現時点 で脆弱であると言わざるをえません。さきほども申し上げた通り、「道の駅」の施設概要に ついては、すでに「基本計画」「基本設計」ができていますが、いわゆるソフト部分につい ての検討組織の立ち上げがされたという情報がまったく聞こえてきません。起業者日進市 はこの施設において、市内において解決されていない地域課題、子育て支援、防災、農業 振興、観光振興等に取り組むと表明し、「これから魂を入れていく」と議会でも説明をされ ましたが、それから 3 年以上が経過した今、こうした他分野の取り組みを検討する場の大 きな動きがみえないのです。もちろん、この 2 年はコロナ禍で人を集めることが困難であ ったとはいえ、市のシビックプライドとしていくと表明している「道の駅」の施設運営の 中身について、いまだ検討していく動きがないのは、起業者に事業遂行する能力が果たし てあるのか疑問を持ちます。日進市がモデルとしている平成 30 年に開駅した岐阜県大野町 の道の駅「パレットぴあおおの」では、基本構想の段階から各分野の関係者との住民協働 ワークショップで、道の駅で何をしていったらよいのか、しっかり中身に就いて話し合い をしていますが本市では現段階において、そのような市民協働の推進体制が存在していな い状況です。 

またこの施設の図面によりますと「にっしん観光まちづくり協会」の事務所も入る予定 で、平成 30 年の段階では「にっしん版DMO構想」なるものを打ち出して、法人格取得を めざすとしていましたが、このことについてもほとんど進捗がみられず、ホームページの 情報も古いままです。 さらに「特徴的な農産物がない」という指摘に対して、起業者日進市は開駅を見越して かなり前から農業の 6 次産業化をすすめる姿勢を示していますが、今年度の予算計上は、 わずか 35 万円です。 「道の駅」を拠点にして、日進の観光を活性化する、地域資源を生かした価値創造へと つなげるといった構想は計画に書かれてありますが、その事業遂行は結局すべて指定管理 者に任せるということで、起業者としての実行能力に疑義を持たざるをえません。 


次に法第 20 条 3 項 「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものである こと」という認定条件について意見を述べます。これが 1 番重要です。 本要件については、当該事業の完成によって得られる「公共の利益」と「失われる利益」 とを比較衡量し、前者が後者に優越すると認められなければなりませんが、起業者日進市 作成の事業認定申請書はその検証が全く不十分です。 


「道の駅整備事業」については、具体的な動きが出てきた平成 29 年度頃から、継続的に問 題点として挙げられてきたのは、全国でも稀な「住宅地に近接する道の駅」の住環境への 影響です。本事業認定には公共施設として公益性が担保されるということが必須事項であ ると承知していますが、一方公益を優先させるがゆえに侵害される個人の不利益、地域の 不利益についても、十分な考察が必要と考えます。

 本整備事業実施による近隣住民の住環境への侵害については、多くの市民から指摘があり、 事業予定地に隣接の本郷区からも何度となく要望書が提出されています。その経過を述べ たいと思います。

 地元本郷区に起業者日進市から本事業について説明があったのは、平成 30 年 1 月 21 日 でした。ちょうど「道の駅基本計画」案ができあがり、これに対してパブリックコメント を募集していた時期でした。これに先立って 1 年前には「道の駅基本構想」が市役所職員 とコンサルで策定されていましたが、この段階で情報を聞いた地元住民から説明が遅いと いう指摘が議会でもされていました。しかし実際は 1 年後の説明会開催となったわけです。

 情報公開資料によれば、その後同年 4 月 22 日に開催された本郷区総会において、様々な な不安、不満の声があがり、それを時の区長さんが要望書にとりまとめて提出されました。 「本郷地区全般の交通安全・防犯を考えてほしい」「交番をつくってほしい」「児童の安全 のために白山交差点に歩道橋を造ってほしい」「旧道と瀬戸大府線がつながった道路を造っ てほしい」という内容です。これはもし「道の駅」をつくるということならという要望で すが、計画そのものについて、「どの様な意見をもとに「道の駅」をつくることになったの か納得していない人も多い」ため、再度地元の公民館での説明会開催を求められました。 

この回答は 5 月 10 日に市から出されましたが、内容的に具体性がなく満足できるもので はないという回覧が区内でされています。そしてその後 6 月 3 日に開かれた説明会におい ても様々な要望が出され、本郷区では全区民に対して「道の駅整備事業の賛否」のアンケ ートがされました。結果はどちらかといえば賛成を含む賛成が 42.8%。どちらかといえば 反対を含む反対は 37.9% とりたてて意見なしが 19.3%で、この結果を区長さんは市に 報告されていますが、賛成と反対が拮抗しており対処に苦慮する、この結果をふまえて 「道の駅対策委員会」を立ち上げると表明されています。このアンケートの自由記述の内 容をみますと、市が発展するのは良いこと、防災や子育て支援に期待といった賛成意見も ありますが、反対とした区民の方からの自由意見が多く、例えば「通学路になっているの で車が増えるのは心配」「県道の東側であれば生活環境への影響は少ないのではないか」 「職員は移動するが地域住民は将来にわたり関係を持ち続けるのだから地域の事を考えて ほしい」「駐車場の騒音、排気ガスによる住民の健康被害への保障はだれがするのか」「生 活道路への渋滞、本郷区内の通り抜けが心配」「マーケットリサーチの結果の開示と同時に 環境悪化に関するリサーチも必要」といった様々な問題点の指摘、不安の声が記載されて います。 

特に計画地の南側を走る道路はまさに地元本郷区の重要な生活道路でありますが、道の 駅が開駅になった場合、これが利用者の抜け道として使われる恐れがあります。 

さらにこの道は西側で南北を走る道路に接続していますが、交差点ではなく信号もない ため、常に車両同士が状況をみながら道路に進入するという、「未整備」な箇所となってい ます。この地点から鋭角に西側の生活道路を通って香久山地区方面に抜ける車が非常に多 く、特に朝夕は大変危険です。中学生の通学路にもあたり、日進中学第2グラウンドの南 側の道路が抜け道となっている現状が改善されないまま、「道の駅」が開駅されれば、さら に状況は悪化すると考えられます。 

もうひとつの大きな懸念は、住宅地に近接する「道の駅」が 24 時間利用できる施設であ ることによる影響です。数年前にオープンした「道の駅パレットピアおおの」(岐阜県大野 町)でも駐車場に夜間駐留するバイク、トラック等の騒音が問題となり、駐車場が閉鎖さ れる事態となりました。住宅地からかなり離れている道の駅でもそのようなことが生じて いますが、市は防犯灯の設置、パトロール強化以外の対応策について有効な回答をしてい ないため、地元住民の不安は大きいものがあります。これは全国的にまれな、集合住宅地 に近い所に整備しようとする本整備事業が、特質的に抱えた大きな問題です。 

そしてこの本郷区の住民アンケート後に区内に設置された「道の駅対策委員会」より、 平成30年12月議会に「建設場所を本郷農園南側(瀬戸大府線の東側)に変更してほしい」 という陳情が提出されました。この陳情は結局は議会で審査されることはありませんでし たが、「基本計画」が策定されてから半年以上経過したのちに、こうした陳情が出されたの は、住民との合意形成の圧倒的な不足によります。 

このように道の駅当該地の近隣住民との合意がなされないままでも、起業者日進市は 着々と申請書類を進め、年明け 31 年 1 月に国から「重点道の駅」の認定をうけるに至って います。 

なお私が所属している市民団体で、令和 2 年 1 月に事業予定地近隣住民に「道の駅につ いてのアンケート調査」を実施しました。郵送返送による回収方式で、160 軒に配布しま したが、その目的は本郷区のアンケートから 2 年経過した、予定地周辺の住民のみなさん の率直な意見を知るためでした。回収率は46.9%でしたが、道の駅事業に賛成・反対 は全く拮抗しており、自由意見も多く書かれてありました。 

そして反対する理由としては、複数回答も含まれますが、「瀬戸大府線の渋滞、住宅地内 の抜け道利用など交通面の問題がある」を挙げた世帯が 27、採算がとれず、将来市の財政 負担となる」を挙げた世帯が 22、「不特定多数の人が出入りし、治安、防犯面で心配だ」 が 22、「朝夕の通学への影響」が 18、「24 時間駐車可能なので、騒音 ・ 排気ガスが気にな る」が 15 という結果でした。また賛成と答えた方のうち4名が、住宅内の抜け道利用、防 犯面の配慮、事故防止を合わせて要望されていました。このアンケート調査により、近隣 住民の不安はまったく解消されていないことが明らかになりました。

 こうした住民側からの要望に対して、起業者日進市は現時点で納得できる具体的な回 答をしていません。事業認定申請書に付された「事業計画書」には、本事業実施における 「失われる利益」に関して生物の絶滅危惧種への影響及び埋蔵文化財に関して記載がある のみで、全国でも稀な「住宅地近くに設置される道の駅」が及ぼす周辺住民の住環境への 影響に関しては、建設工事中の騒音への配慮のみ、わずか 2 行の記載となっています。 これは法第 20 条 3 項 「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであるこ と」という事業認定の条件を到底満たすとはいえないと考えます。


 次に法第 20 条 4 項 「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであるこ と」という認定条件について述べます。

本事業の公益性に関して起業者による事業認定申請書には、日進市の課題に対応して「農 業の担い手不足の解消」「市内外の住民が交流できる場つくり」「子育て環境の充実」「地域 コミュニティの確保」「にぎわいの創出」「地域防災力の向上」といった本事業の公益性が 羅列されていますが、こうしたいわば市内全域で展開されなければならない地域課題を集 約し「道の駅でなければ解決しない」という公益上の必要性の根拠の記載がされていませ ん。

 特に「子育て環境の充実」については、平成 31 年 3 月に実施された「子育て支援に関す る意識調査」によりますと、就学前世代の子育て支援ニーズは圧倒的に「保育サービスの 充実」であり、小学生世代の親の子育て支援ニーズは「放課後児童クラブ等の充実」です。 これは共稼ぎの子育て世帯が増加してきたことにも起因しています。平成 31 年 3 月の段階 の母親の就業率は就学前児童保護者が 56.1%、小学生児童保護者が 72.4%となっていま した。今はもっと高くなっていると考えられます。そして小学生児童保護者の放課後児童 対策の希望は多いものの、実態として約 7 割の子どもたちが自宅で過ごしている結果とな っています。地域に歩いていける公園の整備、子どもが遊べる地域の福祉会館が必要とさ れていることがこのデータからも見えてきます。まだまだ子どもの人口が増加しており、 保育園や放課後児童クラブの待機児童の解消がされていない本市の実状から見て、この道 の駅を子育て環境の充実のためとして優先的に整備することの公益上の必要性について、 大変疑念を持ちます。 

また申請書には災害発災時の帰宅困難者、道路利用者の一時避難所や支援物資の受け入 れ場所の整備が急務とありますが、瀬戸大府線沿道にはコンビニ等民間の飲食施設もあり 災害時には当然機能すると想定されます。道の駅に駐車場があれば、そこに一時避難する 車両は多くあると考えられますが、計画にある物資供給、人命救助のためにヘリコプター が広場に来ると言うことになった場合に、その車両をすべて移動させることができるのか、 大変疑問です。相反する課題解決の手法が事業認定申請書には並列記載されていると考え ます。 

加えて道の駅整備事業が必要な理由として「地域コミュニティの場の確保により、にぎ わいが創出される」とありますが、一体何を指すのか不明です。人がここに集まれば、地 域コミュニティが活性化されるということなのでしょうか。起業者日進市はこうした言葉 の羅列をすることで公益性を主張されていますが、実際に市民に向け充分な説明がされて いないため、具体性に欠けています。 

以上のことから法第 20 条 4 項 「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるもの であること」という認定条件について現段階では不十分であると考えます。 


最後に、日進市「道の駅整備事業」の早期整備の必要性についての疑問を述べます。 まず申し上げたいのは、本事業の構想段階における社会状況と現在の状況とは大きく乖離 しているということです。私たちは突然のコロナ禍に見舞われました。アフターコロナの 社会における住民ニーズ、必要な公益性のある事業について、改めて再考すべき時期にあ ります。地域情報発信についても今はスマートフォンでなんでも検索できる時代です。加 えましてそもそも日進市は「観光でいきるまち」ではありません。また「道の駅」を地方 創生の起爆材としなければならないほどの、逼迫した人口減少に悩むまちでもありません。 もちろん地域の防災力の強化、農業の担い手の支援は急務ですが、それが道の駅の整備一 択で解決につながるのか、その他手法についても充分に考える必要があります。「にぎわい の創出」という点では、長久手市はイケア等民間事業者を誘致し、東郷町も「道の駅」整 備事業をとりやめ、ご存じのように「ららぽーと」を核としたまちづくりにシフトしてお り、大きな自治体負担なく、民間の力を充分に活用しています。日進市も「プライムツリ ー」がオープンして赤池前を中心ににぎわっており、新たな住宅地の開発も進んでいます。 市費 16 億円を投資して、本事業を整備する緊急性には乏しくなってきている現状がありま す。 

そして起業者日進市は、本年 2 月に「ゼロカーボンシティ宣言」をしました。脱炭素社 会の実現に向けた持続可能な地域づくりに地域全体で取り組むことと、車での移動を支え る本事業の整備推進とのズレはどうしても否めません。社会の大きな変革に沿って、自治 体の取り組む事業の優先度を変更する勇気をもつことが今こそ必要と考えます。 

そしてこれまで申し上げてきた通りに、他の自治体設置の道の駅とまったく異なる「住 宅地近くへの整備」により生じている問題は、簡単には解決がつかないでしょう。これは 構想から整備予定地の決定にいたる段階において、充分に地域住民と話し合う、熟議を重 ねてこなかったことに起因しています。国土交通省の「都市型 道の駅」の推進に乗じ、 成長戦略という名のもと、交付金の活用を目途に行政主導で進めてきてしまったこと、そ こに事業整備により影響される人々の毎日の生活、暮らしへの視点が欠けていたのではな いでしょうか。 

現在の近藤市長は、市議会議員でいらっしゃった時代の平成 22 年 12 月議会と平成 26 年 9 月議会の 2 回にわたる質問で、「道の駅整備事業」の推進を求められました。

 その際果たして住民の暮らしへの影響についても思いをはせていらっしゃったのでしょう か。「道の駅は日進市が未来に向けて持続的な発展をするための投資」だからという説明で どこまで住民のみなさんが納得されるか危惧しますが、今となっては事業実施の主体とし て最後まで大きな責任を持っていただかねばなりません。今からでも地域住民としっかり 向き合い、熟議を重ねていただく必要があります。 

もちろんもし本事業が実行される場合、先祖伝来の土地を手放さねばならない土地所有 者への保障は充分になされねばなりません。だからこそ、多額の財源を投入する本事業の 公益が、現在においても市民の求める最重要なものであるのか、起業者日進市に対しては 市民に向き合い、再度熟議をしてほしいと願います。 

そして事業認可の権限を有する県におかれましては、これまで申し上げた意見を十分に 考慮いただき、将来的な禍根を残すことのなきよう事業認定の審査をしていただきますこ とをお願いし、私の陳述を終わります。 

「愛知県事業認定審議会」で「道の駅」事業認定は継続審議に

15号記事より(2022年10月)


~道の駅の「公益性」について説明不足が指摘される~

日進市は愛知県に対して、「道の駅整備事業」の「事業認定申請書」を提出。これは公益性が認められる事業に対して土地を売却する地主に、5千万円の税金控除を適用するための手続きです。県はこの事業認定について去る2022年6月30日に日進市で公聴会を開催。ここで出された意見をもとに、法に照らして審議する会が、2022年10月13日「愛知県自治センター」にて開催されました。

ポイントは「土地収用法」第20条の認定要件がすべて満たされているかということ。


「日進市道の駅」が公共の利益となる事業なのか

起業者(日進市)に十分な意思と能力があるか

事業を実施することによって得られる利益と失われる利益を比較検討したか

利用予定の土地は適切な場所か


委員は新聞社の論説委員、弁護士、学識者6名。直接現地を視察された委員もおり非常に活発な審議が展開されました。



【主な質問と意見】

この事業のメリット・デメリットの比較が必要だが資料が足りない。

費用対効果については説明がいる。「ららぽーと」開業後の収支の見込みはどうか。

日曜日でも瀬戸大府線は渋滞していた。予定地南側の道路は非常にせまいが大丈夫か。 

「道の駅」は特産物を楽しむイメージがある。行きたくなる様な付加価値はあるか。

生活環境調査はしていないのか。周辺の環境について説得力あるデータを出すべきだ。

「総合計画」において優先度が高い事業となっているのか。 

候補地は3カ所あったが、住民に対する影響をどう比較してこの場所になったか説明を。

年間利用者78万人という数値の妥当性は? 説得材料がいる。

既存の子育て施設、地域振興施設の何が足りないのか検証が必要。



これらの意見に対して、県の担当からの回答が不十分だったため、増沢陽子会長が「今日は答申をまとめられない。次回に継続とする」と発言。


次回の審議会がいつ開催されるが未定ですが、委員の疑問、資料提出の要請に対して日進市がどのように対処するのか、注目です。今回の審議会の詳細な議事録は、県のホームページにて公開されます。

◆市民の意見は?

まちづくりアクション@日進は、道の駅に関して、市民の皆様のご意見を様々な形でお聞きしました。

●「にっしん道の駅」を考える タウンミーティング
(2019年11月13日開催  参加者60名)
20億円近い税金が投入される見込みの「道の駅整備事業」。 これまで市は全市民対象の説明会や意見交換会をしていないので、 「まちづくりアクション@日進」主催で市の担当職員をお呼びし、さまざまな視点から「道の駅」について考える「タウンミーティングを開催しました。

第1部  市職員による出前講座「道の駅整備事業」
《道の駅のコンセプト》は…
観光だけではなく4つの地域課題 (子育て支援・防災・農業振興・ 市民まつり他)にも取り組む地域 活性化の拠点。

《おもな質問と答え》
Q:赤字になったら税金で補填?
A:公共施設なので収益追求だけの施設ではない。 収益を管理運営にあてるので、指定管理料ゼロ円をめざす。
Q:子育て支援は住宅地でやるものでは?
A:車で立ち寄れ、常時開いている子育て支援施設の要望があった。
Q:瀬戸大府線の渋滞の心配がある。 救急車も動けなくなるのでは?
A:渋滞対策は重要。進入レーンをもうけたり、工夫する。
Q:用地買収は可能?
A:購入を希望しているが現在交渉中。 

第2部  みんなで考えあう「にっしん道の駅」
~参加者ワークショップ~
8つの視点について「よいと思うこと」「心配されること」を出し合い、意見交換しました。

●道の駅予定地本郷区のみなさんに アンケートを実施 


「道の駅」計画に対して予定地近隣住民の方のご意見はどうなのか? 具体的に把握するために、アンケートをお願いしました(160軒)。回収率は46.9%
賛成、反対それぞれ10項目の理由を選択(無記名・複数回答可)自由意見もたくさん寄せられました。地元住民の率直なご意見がとてもよくわかる結果となりました。 

「道の駅」の賛否を問う本郷区のアンケートは、意見がまったく半分に分かれる結果となりました。

 

事業に賛成の自由記述として7人の方から、「日進には目玉がないから必要」「中心部なので防災拠点、子育て拠点として最適」といった全面賛成のご意見が寄せられました。


また4名の方は、賛成の立場でも住宅内の抜け道利用、防犯面の配慮、事故防止を合わせて要望されていました。 


一方、自由記述があった反対意見は17通と大変多く、生活面への影響 だけではなく、市の財政、事業優先度からの問題など、内容は非常に多様で、中には別紙で1ページぎっしり書いて送ってくださった方もみえました。 


さらに「わからない」と答えた方からは「市から具体的な説明がなく 判断できない」というご意見があり、住民への説明不足が読み取れま したが、これは市全域でのシールアンケートでも同様でした。 


アンケートの結果から、事業実現のためには地元住民が納得する「交通対策」「防犯対策」が必須ですが、そうすると対策への新たな費用 が必要となり、事業費総額は膨らむことが予測されます。 新型コロナの経済への打撃の影響は、特に日進市のような財政力指数が1に近い不交付団体(自立できるとして国から補助金がもらえない)では、非常に大きく、これから数年、税収が落ち込むことは間違いないでしょう。 


予定地の地元でも賛否が真っ二つに割れ、他地域での調査でも反対意見が多く、不急の「道の駅」整備計画。ここに今多額の税金を投入す ることがこのまちにとって果たしてよいのか、「まちづくりアクショ ン@日進」はこれからもしっかり検証していきます。 

(代表:島村紀代美) 

第2回県の事業認定審査会

16号記事から(2023年2月)

~付帯意見付きで事業認定される~


『公共事業』に本当に公益性が認められるのか否か? 異議が出た場合に開催される事業認定審査会。初回「これでは判断材料が足りない」と差し戻されたのを受け、2022年12月26日第2回が開催されました。とはいえ新たに追加されたデータはなく、当初の資料の重箱の隅まで総動員した『丁寧な』説明をもとに論議するという運びになりました。


結論的には「公共事業として認可する」で全員一致でしたが、委員の意見としては「今後諸問題の発生が予想される。責任ある対応が必要」、あるいは「採算が合わなくても子育て、農業振興など公益事業は運営の継続を」と、収支については不信感を表すような意見など、市民間にも残る懸念と重なるものがありました。


こうした議論の反映か、答申は「的確な情報開示、市民協働、開駅後の適切な状況把握と対応」を求める意見付きに。事業認定庁である県はもちろん、市議会そして市民も今後をこそ注視していくことが要請されたのではないでしょうか。

事業費増額について不明なまま開館時間などを条例で規定

17号記事から(2023年4月)

既に用地は全体の91%購入済み(約4億5千万円)で、令和5年度は修正設計やかさ上げを含む造成工事、周辺の道路改良工事で約3億4千万円が計上されています。

現在資材が高騰しており、愛西市の道の駅リニューアルでは当初の計画35億円⇒49億円に事業費が膨らむ予想とのこと。日進市も事業費がどれくらい増額となるのか、できるだけ早い公表が必要です。また、道の駅の施設内容、開館時間や使用料、指定管理者に管理させる範囲について規定する条例も賛成多数で可決。開館時間は9時~21時となっていますが、地元本郷区には相談していないとのこと。トイレ等休憩施設は24時間オープンになるため住環境への影響が心配されています。県の事業認定審査会では、「的確な情報開示、市民協働」を求める附帯決議をされているので、これから市がどのように進めていくのかしっかりみていきましょう。

用地取得未完了でも造成工事開始、総事業費も不明、災害拠点としても???

18号記事から(2023年8月)

名称の市民投票も始まり、いよいよ本格的に開駅に向けて動き出した道の駅事業ですが、今回の議会でも見過ごせない問題点が明らかになりました。市は想定されるリスクをしっかり検証せず、甘い見通しで、とにかく事業をすすめようとしているようにしか見えません。今後もまちづくりアクション@日進では道の駅事業について注視していきます。

1)用地取得が完了しないうちに、造成工事を令和5年7月から開始

道の駅の用地が全て購入できていないにも関わらず、令和5年7月から造成工事が始まります。「用地購入が完了しないまま工事を開始して大丈夫なのか?」「1年経っても用地取得が上手くいかない場合どうするのか?」という白井議員からの懸念に対しても、市からは「そんなことは起きないようにする」という具体性を欠いた答弁しかありませんでした。

2)総事業費はどれだけ必要かわからないけど青天井?

ここ数年建築資材費の高騰が著しいため、島村議員、坂林議員から総事業費の見込みについて質問がありましたが、市は資材費高騰の影響は認識していると言いつつ、総事業費はまだ見通し不明と答弁。さらに、見通しが立っていないはずなのに、事業費がどれだけ高額になっても事業をすすめる旨答弁しています。

3)災害拠点だけど周辺は水没?

洪水ハザードマップでは道の駅南側一部が30cm程度浸水する想定となっているが、道の駅敷地は盛り土をするため浸水しないと市は説明。「周辺が浸水する可能性があるのに、洪水時も災害時の救援拠点として使用するのか」という坂林議員からの質問(懸念)に、「洪水時でも災害時の人命救助の活動拠点として活用する」と市は答弁しています。

◆工事が開始するも、問題山積。事業費は大幅増大!

19号記事から(2023年11月)

工事が始まった道の駅事業ですが、まだ解決していない問題が山積みです。今までも、公共下水道整備の対応、用地取得の遅れ、設計変更の対応により、開駅予定が延期されてきています。事業費も当初予定の21億円から増え、現在総額28億円の大型事業ですが、このまま進めて大丈夫でしょうか?

1)用地の取得が完了していない

用地の9%が未だ取得できていません。取得できていない用地で稲作が行われているのにも関わらず、市は令和5年7月に造成工事を開始しました。「このまま用地が取得できなければどうするのか?」という懸念に対しても、市は「そんなことにならないようにする」と議会で具体性のない答弁をしたのみです。

2)周辺地域との調整ができていない

地元である本郷区住民との、交通と安全に関する具体的な対策案についての協議が終了していません。香久山方面から道の駅予定地へ行く途中のクランク形状の交差路は、現在でも渋滞している白山交差点を回避する抜け道として利用されており、小学生・中学生の通学路にもなっているため、強く安全対策が求められています。また、駐車場・トイレは24時間利用できる想定のため、周辺地域の住環境が脅かされるのではないかという懸念の声があがっています。

3)事業採算性の詳細が不明

指定管理業者が決まりましたが、道の駅でどうやって収益を出すのか?何ができるのか?どんなものが販売されるのか?などの具体的な詳細は不明です。建設費用の日進市の負担分だけでも(交通対策費と合わせて)20億円程度が想定されており、市民一人当たり2万円以上の負担です。指定管理業者からの納付金350万円(年額)に加えて、収益からの一部が市に納付される予定ですが、収益がでなければ、維持費も市民が負担していくことになります。道の駅パンフレットにのっている収支計画は平成30年のデータです。「指定管理業者が大丈夫と言っている」という情報だけではなく、日進市としてどう収益を確保していく算段なのか、市民が安心できる情報提供を求めます。

4)他にも…

最大規模の浸水想定では浸水してしまう地域にある道の駅が災害拠点として成立するのか、「にっしん観光まちづくり協会」は実質市役所職員が担っているのに、DMO(観光地域づくり法人)活動拠点となっていること、農協との棲み分け、屋外広場の安全性など検討しなければならない問題がいくつもあります。

本当に今の計画内容で日進市の発展につながるのか、他にもっと良い施策ややり方はないのか、広く市民に問いかけ、考える必要があるのではないでしょうか。

◆道の駅について住民投票実施を求める決議が提出されるも実現ならず! 

19号記事より(2023年11月)

議会最終日の本会議で、「日進道の駅整備事業の賛否を問う住民投票の実施を求める決議」が提出されました。日進市には「住民投票条例」がありますが、議会請求手続という形で今回初めて活用されました。

提案理由は、「道の駅事業については、地域課題解決に繋がるとの期待がある反面、未だ用地買収や近隣住民との協議も完了せず工事費大幅増による収支悪化懸念もある。市の財政に多大な影響を及ぼす案件なので、住民投票で市民全体の賛否を問うことが必要だ」というもの。

討論では、「既に議会審議等で事業推進を前提とした結論が出ている」「造成工事も始まり名称や施設管理者も決まるなど事業は着々と進んでいるので、今さら市民の意向を確認する必要はない」との反対意見が出ました。これに対しては、「市は市民の疑問に対して充分に答えておらず、住民投票によって議論が活性化し市民の理解が深まる」「議会での賛否は拮抗しており意見が一致している訳ではない」「今後多額の市民負担が発生するので、今まさに民意を明確にすべき」といった数多くの賛成意見が出されました。

採決の結果は、討論の趨勢とは逆に賛成8、反対11となり賛成少数で否決されましたが、本当にこれで良かったのでしょうか?

長期に亘って市民に大きな影響を与え、かつやり直しのきかない事柄については、熟慮を重ねることが重要です。代表者(市長や議会)の判断だけで決めるのではなく、市民の総意を確認することによって、その結論に多くの市民が納得することができるのではないでしょうか。

◆道の駅計画に関して<住民投票を求める運動>がスタート

20号記事より(2024年1月)

道の駅計画に対して新しい動きがあります。令和5年9月に市議会で道の駅の賛否を問う住 民投票実施を求める決議が提案されました (結果は否決)が、今度は市民の側から住民投票を求める運動が始まりました。市民有志によって立ち上がった「道の駅住民投票の実現を めざす市民の会」では、「だから道の駅住民投票」を合言葉に署名集めを計画しています。有権者の1/6の署名が集まれば住民投票が実施されるという日進市住民投票条例の手続を利 用して実現をめざそうというものです。

「道の駅計画は総事業費が30億円規模の大型公共事業。事業費が大幅増額となって市民負担も増えているのに市民にはキチンとした説明もなく、施設内容が市民の求めているものかどうかもわからない状況。老朽化する既存の公共施設の更新との優先順位もはっきりしない中で、やみくもにこの計画を推進するのは将来に禍根を残すと思います」と会の代表者は述べています。

このまま進めるのか、住民参加で見直すのか、あるいは中止するのか?!

いずれにせよ、ここで立ち止まって多くの市民 が熟慮して決めることが必要です。そのための契機と時間を確保するという意味で、住民投票は効果的で高い意義を持つと言えそうです。

◆<住民投票を求める署名活動>がスタート! ☆new☆

21号記事より(2024年4月)

来年度予算の審議、採択過程において、道の駅の施設建設費や資金調達法、施設の設計と利用目的が明らかになりました。シリーズ道の駅でお伝えしてきたこの事業の問題点が以前にもまして明確になりました。「道の駅」計画は、現在の内容で大丈夫なのでしょうか?21号では、計画の問題点について取り上げました。

🔵多額の借入れと甘い収支分析

総事業費30億円のうち、13.5億円は借金(公債)です。20年にわたって利子も含めて年間7500万円の返済が必要です。収支分析は平成30年から見直ししておらず、「近隣のショッピングモールと道の駅は競合しない」と市は答弁。「道の駅の想定利用者は辛めに算出して1日あたり約1800人(年間66万人)」とのことですが、大都市の小型スーパーの1日あたりの平均来場者約1700人やコンビニの約800人と比べると、達成は厳しいと思われます。このままでは赤字経営に陥り、市の負担が更に増えるのではないでしょうか。

🔵防災機能縮小

基本計画から大幅に後退です。もともと、南海トラフ地震の防災対策推進地域でありながら、防災拠点の総合運動公園が不便な場所にあり、防災倉庫の容量も足りないため、道の駅で防災体制を充実させる計画でした。しかし、防災倉庫の面積は500㎡から150㎡に減少し、地下埋設型耐震貯水槽(100㎥)は取りやめになりました。そして、屋外へリポートは中小型機用で、自衛隊の災害出動に使われるような大型ヘリコプターの発着はできません。道の駅は避難場所ではなく、道路利用者、帰宅困難者や近隣住民が2〜3日程度利用できる一時的な避難施設に過ぎません。災害が発生したら、今の仕様で大丈夫でしょうか。

🔵子育て支援?

子育て支援施設とされていますが、道の駅では、子育て相談は常設ではなく、子育て支援センターによる出張相談で対応する予定です。プレイルームとイベントのみで、子育て世代の支援ニーズに対応できるのか疑問です。

🔵市民への説明無し

愛知県の事業認定審査会は、道の駅事業について「的確な情報開示、市民協働、開駅後の適切な状況把握と対応」を求める意見付きで認定しています。その後、議会や委員会では様々な問題が指摘されていますが、市は、市民に対して計画変更や詳細について説明をしていません。何をもって「道の駅については議論を尽くした」と市が主張しているのか理解に苦しみます。


◆住民投票のための署名にご協力お願いします!◆

日進市には常設型の住民投票条例があり、市民が有権者の1/6の署名を集めれば、住民投票を実施することができます。総事業費30億円という大型事業の道の駅について、住民投票で市民の総意を明確にするために、「道の駅住民投票の実現をめざす市民の会」が中心になって、署名を集めています。住民投票は、市民が市政に直接関わり、意思を表明する貴重な機会です。ぜひ署名にご協力ください。詳しくは、同会HPへ。

道の駅住民投票の実現をめざす市民の会