社会保険労務士は、1968年にできた比較的新しい資格です。
社会保険労務士制度ができた背景には、国民皆保険の成立(1961年)以降、社会保障制度が複雑化するなかで、企業内部だけでは対応が困難になっていったという事情があったようです。そこで、人事・労務に特化した専門家が必要とされるようになりました。
それまでは、行政書士が労働・社会保険の諸手続等も行っていました。1980年には行政書士と社会保険労務士の業務が完全に分離され、現在に至っています。
社会保険労務士の使命は、社会保険労務士法第1条で次のように定められています。
「社会保険労務士は、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて適切な労務管理の確立及び個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与することにより、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上並びに社会保障の向上及び増進に資し、もつて豊かな国民生活及び活力ある経済社会の実現に資することを使命とする。」
2025年の法改正で、社会保険労務士の公共的な役割がより明確化されました。
社会保険労務士の主な業務は、労働・社会保険の問題の専門家として、
①書類等の作成代行
②書類等の提出代行
③個別労働関係紛争の解決手続(調停、あっせん等)の代理(ただし、特定社会保険労務士に限る。)
④労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等
を行うことです。
具体的には、就業規則の作成・改定、労使協定の届出、雇用契約書の作成、給与・賞与計算、社会保険の算定基礎届、労働保険の年度更新、社会保険や雇用保険の資格取得・喪失、健康・雇用・労災保険の各種給付の申請、問題社員対応に係る相談、労使間・従業員間トラブルの相談、各種ハラスメントの相談、行政機関による調査の対応等を行っています。
職業柄、どうしても使用者側からの依頼が多くなるわけですが、個人からの年金相談、未払い残業代、精神障害の労災認定等の相談を受けることも増えてきています。
社会保険労務士は、品位を保持し、常に人格の陶治にはげみ、旺盛なる責任感をもって誠実に職務を行い、もって名誉と信用の高揚につとめなければならない。
社会保険労務士の義務と責任
1 品位の保持
社会保険労務士は、品位を保持し、信用を重んじ、中立公正を旨とし、良心と強い責任感のもとに誠実に職務を遂行しなければならない。
2 知識の涵養
社会保険労務士は、公共的使命と職責の重要性を自覚し、常に専門知識を涵養し理論と実務に精通しなければならない。
3 信頼の高揚
社会保険労務士は、義務と責任を明確にして契約を誠実に履行し、依頼者の信頼に応えなければならない。
4 相互の信義
社会保険労務士は、相互にその立場を尊重し、積極的に知識、技能、情報の交流を図り、いやしくも信義にもとる行為をしてはならない。
5 守秘の義務
社会保険労務士は、職務上知り得た秘密を他に漏らし又は盗用してはならない。業を廃した後も守秘の責任をもたなければならない。