第5回 アーベル関数論セミナー
日時:2025年3月11日(火)15:00~17:00
場所:Zoom
講演者:四之宮 佳彦 氏(静岡大学)
タイトル:Period matrices of some hyperelliptic Riemann surfaces
アブストラクト:一般種数のリーマン面の周期行列の明示的な表示例はこれまであまり多くは知られていない.この講演では一般種数の超楕円的リーマン面をいくつかの長方形の貼り合わせから構成する.構成したリーマン面に対応する代数方程式が$w^2=z(z^2-1)(z^2-a_1^2)(z^2-a_2^2)¥cdots (z^2-a_{g-1}^2)$ ($1<a_1<a_2< ¥cdots <a_{g-1}$)で与えられることを示し,逆にこの形の代数方程式から定まるリーマン面は全て今回の構成法から得られることも示す.これらのリーマン面に対して,symplectic 基底を具体的に構成し,周期行列の明示的な表示を与える.特に種数2の場合に関してはより詳細な表示として,周期行列の各成分をあるパラメータに関して有理関数で表示する.
第3回 アーベル関数論セミナー
日時:2024年10月18日(金)15:00~17:00
場所:大阪公立大学 杉本キャンパス 理学部E棟4階 E408 (大講究室) & Zoom (ハイブリッド開催)
講演者:松谷茂樹 氏(金沢大学)
タイトル:閉リーマン面でのワィエルシュトラスσ関数の代数的構成
アブストラクト:ワィエルシュトラスの楕円関数論をそのまま一般の閉リーマン面へ拡張し,アーベル関数論を代数的に構成する方法についてその概略を述べる.ワィエルシュトラスの楕円関数論が標準形で記述された曲線から出発するように,この構成においても,代数曲線$X$をワィエルシュトラス標準形として知られるアファイン曲線に限定する.この標準形は一般の閉リーマン面を表現可能なことが知られており,また,数値半群により多くの特徴が定まる.アファイン曲線の座標環$R_X$の数値半群から定まる加群に着目し,その相補加群を同定することで,デデキントの差積定理により,第一種微分,第二種微分,第三種微分を構築できる.これらを使うことで,曲線$X$に関わる楕円関数論と同様の一般の閉リーマン面に対するσ関数が構成でき,ヤコビの逆問題が解かれることになる.講演ではワィエルシュトラスの楕円関数論を概観した後に,それらの拡張として上記の構成について述べる.時間があったらDNAの超らせん構造の超楕円関数による表現についての最近の進捗についても触れる.
第2回 アーベル関数論セミナー
日時:2024年1月9日(火)14:00~16:00
場所:Zoom
講演者:市川尚志 氏(佐賀大学)
タイトル:Abelian integrals and solitons
アブストラクト:Riemann面のSchottky一意化表示を用いてAbel微分と積分の明示公式を導き,トロピカル曲線に付随したソリトンの構成と計算に応用する。
第1回 アーベル関数論セミナー
日時:2023年12月4日(月)14:00~16:00
場所:Zoom
講演者:中屋敷厚 氏(津田塾大学)
タイトル:佐藤のグラスマン多様体とテータ関数入門
アブストラクト:ソリトン方程式であるKP階層の解空間を記述する佐藤のグラスマン多様体のテータ関数への応用について、楕円曲線、楕円関数、楕円テータ関数を例にとり、基本的な考え方を説明する。