逆問題解析手法の紹介

逆解析で使用される代表的な方法について


★随伴変数法・・・以下のイメージ図のように,目的汎関数の極値となる様な設計変数の組み合わせを算定する問題に対して適用されることが多い.目的汎関数に対する制約条件を,目的汎関数内に取り入れたラグランジュ関数を定義し,ラグランジュ関数の停留条件を満足する設計変数の数値の組み合わせについて,算定が行われる.


★直接微分法・・・上記の随伴変数法とは異なり,目的汎関数の設計変数各々に対する勾配を計算し,この勾配を用いて設計変数の更新を行いながら解析をする手法である.随伴方程式ではラグランジュの未定乗数に関する方程式を解くことに対して,直接微分法では感度(勾配)に関する方程式を解く点が異なる.


★カルマンフィルタ・・・上記の随伴変数法,直接微分法は,確定論的な逆解析手法であり,カルマンフィルタは,確率論的な逆解析手法である.推定誤差を最小とする様にカルマンゲイン行列の計算が行われ,状態変数の最適推定解析では,観測値とシミュレーションの結果の差にカルマンゲイン行列を乗じて,シミュレーションの結果を補正することにより,推定誤差を最小とするような,状態変数の最適推定が行われる.