四文転結の乱
2019年10月の四文転結トーナメント
2019年10月の四文転結トーナメント
投稿:359作品(78アカウントからの投稿)
UBEBE(T. Misaka)(@TM_Official )さん
『いやらしい絵』
美術館の最後に『いやらしい絵』という作品があった。
作品には、人目を避けるためかカーテンがかけられていた。
閉館まぎわの人がいなくなったタイミングで、俺はこっそりカーテンをめくってみた。
そこは鏡になっていて、いやらしい男の顔が映っていた。
makihide00 (@makihide00 )さん
『飯はまだかい』
「婆さんや、飯はまだかい」
「嫌ですよお爺さん、さっき食べたじゃありませんか」
「あ、そうか、そうじゃったのう…」
十日後、餓死寸前の二人が発見された。
てつ(@XC45yQVqBXGKJwk )さん
『死』
悪魔が女性に「願いを叶える代わりに死後は魂を貰いたい」と持ちかけた。
女性は自身がロボットである事を伝え、魂が欲しいと願った。
叶えなければ沽券に関わり、叶えても手持ちの魂を渡すので無利益。
何よりロボットの死とはなんなのかと悪魔は頭を抱えるしかなかった。
TAPIRUS 渋谷獏 (@ShaTapirus )さん
『夜道』
さっきからおれと同じ歩調で前を歩く男がいた。
追い抜こうとすると速度を速めるし、おれが立ち止まると男も立ち止まるのだ。
あまりの気持ちの悪さに、おれは元来た道を引き返そうと後ろを振り返った。
そこには、果てしなく続く男たちの行列ができていた。
タイトルから各作品を読めます。
《決勝戦》(2019.10.26)4作品4名 → 1作品1名
『死』てつ(@XC45yQVqBXGKJwk )さん
『夜道』TAPIRUS 渋谷獏 (@ShaTapirus )さん
『飯はまだかい』makihide00 (@makihide00 )さん
『いやらしい絵』UBEBE(T. Misaka)(@TM_Official )さん
《四回戦》(2019.10.25-10.26)8作品7名 → 4作品4名
『死』てつ(@XC45yQVqBXGKJwk )さん
『悪魔』TAPIRUS 渋谷獏 (@ShaTapirus )さん
『造花』草野理恵子 (@riekopi158 )さん
『夜道』TAPIRUS 渋谷獏 (@ShaTapirus )さん
『食べ放題』むう(@nomunomutayuma )さん
『飯はまだかい』makihide00 (@makihide00 )さん
『いやらしい絵』UBEBE(T. Misaka)(@TM_Official )さん
『進化』壬生乃サル (@saru_of_32 )さん
《三回戦》(2019.10.24-10.25)24作品15名 → 8作品7名
《二回戦》(2019.10.22-10.24)92作品38名 → 24作品15名
《一回戦》(2019.10.20-10.22)359作品78名 → 96作品38名
(小竹田夏)
大盛況のうちに四文転結の乱を終え、快く招待作家を引き受けてくださった作家の方々、投稿・投票いただいた皆様に感謝します。
Twitterアカウントの機能制限などを含め、想定していなかった問題や課題も浮き彫りになり、途中の運営方針の変更もいくつかありましたが、無事に決勝戦を終えることができ、まずは一安心しております。
さて、今回は「四文転結」という形式を皆様に広く知ってもらうため、
に重きを置きました。
実は、四文転結には「3or4」という前身があります。三文で序破急、四文で起承転結という形式です。半年ほどTwitterで普及活動をしましたが、正直なところ人気を得ませんでした。理由として、それがどういう形式なのかがわかりにくかったためと考えました。
そこで、直観的にわかるよう「四文」に絞って「起承転結」を前面に出し、「四文転結」とすることにしました。さらに、今回は「オチた」を評価基準に据えることを事前に公表し、「文学的大喜利」とも銘打つことにしました。この戦略は広く知ってもらうという点で、功を奏したと思います。
いざ蓋を開けてみると、笑いを誘う作品だけではなく、幅広い作風の作品が寄せられたことはとてもうれしく、四文転結の今後の可能性を感じました。特に詩作をされる方にも参戦いただき、豊かな世界観を持つ作品を拝見できたことは、大きな収穫の一つです。そして、最多得票を獲得した『いやらしい絵』を始め、素晴らしい作品の数々。これは小竹田が解説を加えるまでもなく、リンクから実際の作品を読んでいただければ納得いただけるかと思います。
また、全員参加型として「全作品一般公開投票」では、多くの方から投票いただき、宝の山になりました。他の評価方法同様、この方式にも問題やバイアス(作品の良さだけではなく作者の知名度等の要素が含まれた可能性)はありますが、自分の好みと一般の評価を照らし合わせるだけでなく、勝ち上がった作品、そうではなかった作品から学べることも少なくないと思います。皆様に投票をお願いした以上、投票から学び得たものをお伝えすべきだと思いますので、少し長めになりますが、以下に記します。
個人的には、勝ち上がった作品には、イメージしやすさと、意外性があったと思います。これは四文転結に限らず、おおよそ優れた物語が備えている要素だと考えます。票が伸びなかった作品は、まさにこの逆だと感じました。具体的な言葉を並べても、イメージしやすくなるとは限らず、例えば「太陽のような電卓」という表現から直接的なイメージを引き出すことは難しいと思います。自分の中のイメージがうまく伝わっているのか、投票結果は一つの指針となると思われます。
意外性については、ありがちな結末で終わった作品は、票が伸びない傾向にあったのではないでしょうか。一般的なツイートなら、あるあるで共感が得られても、作品となると、あるあるの先を読者は求めるように思います。何がありがちで何が独自なのか、時には作者自身の想定と違うこともありますが、経験によってこの辺りはある程度予測しやすくなるかもしれません。
最後に、今後の四文転結の課題をいくつか挙げておきたいと思います。今回、Twitterの性質上、1ツィートに収まるものが評価される傾向にありましたが、四文転結自体は140字以内に限定するものではありませんので、長めの作品も、見にくさを超えて評価される方法を検討します。
また一文を明確に定義しなかったために、句点が五つ以上の作品が散見されました。この点もルール設計上の課題とします。
定義という点では、起承転結も定義が不明瞭という意見がありました。しかし、前身の「3or4」の際にも複数の作家と議論しましたが、起承転結に対して抱くイメージは人それぞれで、明確に定義できませんでした。さらに今回皆さんの作品を拝見すると、ますます定義が困難だと感じております。