1. 植物における微量金属元素の吸収・代謝メカニズムの解明と様々な分野への応用
(1) レアメタル資源回収・環境浄化を目的とした毒性元素微粒子合成システムの検討
環境中の亜セレン酸および亜テルル酸、その他、毒性の高い金属元素やレアメタル資源を植物および藻類を用いて無毒化および効率的に回収する方法を明らかにします。
*H28~30年度 科学研究費採択『環境浄化を目指した植物におけるセレン・テルルの代謝及び集積機構の解明』(基盤研究C 研究代表者・武田 徹)
⇒植物における亜セレン酸、亜テルル酸特異的還元系の探索
⇒セレン、テルルナノ粒子合成系の解明
⇒カタラーゼアイソザイムによる亜セレン酸、亜テルル酸還元系の解明
“産業のビタミン”であるレアアースは種々のエレクトロニクス製品の性能向上に必要不可欠な金属ですが、生態系や生物活性に及ぼす影響は不明です。本研究テーマでは、環境中(土壌、水圏)に存在するレアアースが、主に植物に及ぼす影響をタンパク質および遺伝子レベルで明らかにします。植物におけるレアアースの新規機能を解明し、最終的には、レアアース肥料の作出や遺伝子組換えに頼らない環境ストレスに強い植物の作出を試みます。
⇒植物におけるセリウム依存代謝系の解明
⇒根の形態形成に及ぼすランタンの影響に関する遺伝的解析
⇒軽希土類および重希土類元素の植物バイオマスに及ぼす影響
2. セレンによるタンパク質機能改変システムに関する研究
本研究テーマでは、細胞内に取り込まれた微量金属元素、特にセレンによりタンパク質の機能が向上するメカニズムを解明します。具体的には、解糖系や炭素代謝に関わる酵素タンパク質に翻訳後にセレンが取り込まれ、それによって、酵素機能が向上するメカニズムを明らかにします。最終的には、産業上有用な高機能タンパク質の生産系の構築を目指します。
⇒セレン高蓄積種におけるセレン化タンパク質の探索
⇒ブロッコリーNAD-GAPDHの翻訳後セレン取り込み機構の解明
3. 微量金属元素に依存したバイオファクター生産システムの検討
本研究テーマでは、植物および微生物における高い抗癌活性や抗菌活性を有する代謝産物の探索と合成系を明らかにします。最終的には、有用性の高い機能性食品や医薬品の創成を目標に、植物および微生物における効率的なバイオファクター生産システムの構築を目指します。
⇒マウス胎仔繊維芽細胞を用いたメタロイド代謝産物のバイオファクターとしての評価