微生物から動植物およびヒトに至るすべての生物にとって、金属元素は単体のままで存在したり、あるいは多量に蓄積すると極めて有毒です。一方、ほとんどの金属元素は、生体内において生体維持や様々な生理機能に重要な役割を果たします。このような金属元素が担う重要な役割は、金属元素がタンパク質と結合することによって発揮されることが明らかになってきました。
しかし、生体内に取り込まれた金属元素が多数のタンパク質の中から目的タンパク質を如何にして探し当て、どのようにして正しく結合するのか、また、細胞内外の金属元素濃度を感知して吸収・輸送をどのように制御しているのか、解明されていないことも多く残されています。
そこで当研究室では、植物を用いて、生体内における金属元素動態(感知・調節・運搬)を制御するタンパク質に着目して、植物が金属元素を効率的に活用するメカニズムの解明に取り組んでいます。最終的には、得られた成果をもとに、レアメタル資源回収・環境浄化、高機能タンパク質の生産系の構築、ストレス防御システムを活性化した生物の作出、および有用性の高い機能性作物・医薬品の創成を目指します。