ごあいさつ
このたび、第30回広島県作業療法学会の学会長を拝命し、令和6年12月8日(日)に広島県三原市本郷の本郷生涯学習センターにて開催させていただくこととなりました。公立みつぎ総合病院が担当する学会は第10回学会以来20年ぶりとなります。わたし自身は今年63歳となり定年退職後再雇用3年目です。今回は現役世代の学会長に託したかったのですが、公立みつぎ総合病院の全スタッフから依頼され引き受けさせていただくことになりました。
尾道市御調町と公立みつぎ総合病院は「地域包括ケアシステム」発祥の地といわれています。私自身も平成6年に入職して以来、公立みつぎ総合病院の作業療法士として「地域包括ケアシステム」の実践のために地域リハ活動を行ってきました。
現在、超高齢社会、人口減少の状況を背景として、かつてあった地域の相互扶助や家族同士の助け合いなど、人々の様々な場面において存在していた支え合いの基盤が弱まっています。そこで、本学会のメインテーマは「地域を支えるリハビリテーションの可能性~地域共生社会の実現に向けて~」としました。「地域共生社会」とは制度・分野ごとの『縦割り』や「支えて」「受けて」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会のことをいいます。「地域包括ケアシステム」はその実現に向けた基盤となるものです。内容としては「特別講演」「シンポジウム」「一般演題」を企画・検討しています。
特別講演は、福山市鞆の浦で共生のまちづくりを実践されている、鞆の浦・さくらホームの作業療法士羽田知世先生、赤澤壮介先生に「地域を支えるリハビリテーションの可能性~小さな港町が仕掛ける、共生のまちづくりプロジェクト~」と題してお話ししていただきます。そのなかで様々な地域資源と協業しながら利用者をまち全体で支援し、集いの場を提供する「地域共生」のまちづくりを地域の人たちと一緒に進めている取り組みを紹介していただきます。
シンポジウムはテーマを「地域包括ケアにおけるさまざまな取り組み~病院・施設、地域、司法領域の立場から~」として、それぞれの立場から3名のシンポジストによる発言をいただき、特別講演講師の羽田知世先生にも、コメンテーターとしてご助言いただき、意見交換を行うことで参加者が「地域共生社会」とその基盤となる「地域包括ケアシステム」の視座を高め、その深化に向けて一歩を踏み出せる場としたいと考えております。
一般演題は口述発表の形式とし、経験年数や領域、テーマを問わず、広く会員の皆さまの発表の場としていただきたいと思います。「研究発表」「実践報告」「症例報告」など会員の皆さまの積極的な演題登録をお待ちしています。
以上、参加していただく皆さまの明日への糧となりますよう学会実行委員全員で尽力いたします。ぜひとも会員の皆さま、他県の皆さま、学生の方問わず奮ってご参加くださいますようよろしくお願いします。
第30回広島県作業療法学会学会長
公立みつぎ総合病院
認定作業療法士 小榮浩次