屋根やブロックなどの対応をしてくださった技術系NPOの方々やボランティアの皆さんにお話を聞きました。活動・支援ありがとうございました!
一般社団法人カリタス南相馬
所長(看護師・社会福祉士)南原 摩利さん
活動内容:ボランティア活動のコーディネート、ボランティアの宿泊場所提供、地域支援活動
◆ 全国から駆け付けてくれるボランティアの受け皿に
3/16の地震の被災者支援では、カリタス南相馬では全国から駆け付けてくれるボランティアを受け入れ、宿泊と食事を提供し、ボランティアさんが心地よく支援活動できる環境を整える活動をしています。東日本大震災以降も、学生ボランティアさんなど沢山受け入れていましたが、今回の災害はコロナ禍ですので、3回目のワクチン接種済みの方や、来県前に抗原検査で陰性を確認できた方を受け入れています。
今回の災害は屋根被害が多かったため、一般のボランティアでは難しい屋根作業等を専門に携わって下さる方を優先的に受け入れました。その中でも、東日本大震災後の支援活動をきっかけに東北との関わりを継続してくださっている「チームふじさん」が仲間を引き連れ、横のつながりをもちながら南相馬に支援に入って下さったのは心強かったです。
一日の活動が終わり、夕食後の「振り返りの時間」では、今日一日の活動や、印象に残っていること、感じたことを話します。この場は、ボランティアさんが活動を通して感じた思いを話したり、それをお互いが受けとめる時間になり、重要な役割となっていると思います。
◆ 人と人が繋がるきっかけ作り
東日本大震災及び原発事故により家族や地域が離散したため、コミュニティ再生が大きな課題だと感じています。先日もヴァイオリンとピアノのコンサートを開催しましたが、こういったイベントやサロン活動を通して、ボランティアさんと一緒に地域と住民の方と繋がることができます。そして、声(ニーズ)を受け止めることができます。多様な活動を通じて、住民同士も繋がることができ、コミュニティづくりにも役立っていると実感しながら活動しています。今回のような災害時、顔の見える関係性の中で互いに支え合うことが出来ればと願っています。
ホームページ https://caritasms.com/
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騎馬武者ロックフェス(南相馬) 吉川勝彦さん(右側)
みらいと(新地) 目黒博樹さん(左側)
#サポウィズ トーキョー・タナカさん
活動内容:屋根対応、活動の後方支援など
●南相馬と新地で連携して活動
騎馬武者ロックフェスでは、主に南相馬と新地エリアで地震で被災した屋根対応の活動をしています。活動する時には新地町の「みらいと」と連携して、お互い行き来しサポートしあっています。人手が多く必要な現場作業の時には、両団体スタッフが結集して作業すると効果的に活動できるんです。あと、実は10代からの友人でもあるんです(笑)。
僕たちは、東日本大震災以降、ロックで南相馬を元気にしたいという思いからロックフェスをやってきました。今回も「地元をなんとかしたい」という思いは変わりません。(吉川さん)
●音楽で繋がる支援活動の輪
#サポウィズは、東日本大震災以降に結成した全国にいる音楽ユーザーの繋がりを活かした支援プロジェクトです。今までのノウハウとネットワークを生かした後方支援活動をしてます。ですが、私たちが表に出るということではなく、あくまでも地元団体が主体で活動しています。今回の地震の直後は、屋根対応の勉強会を開催したり、必要な道具や備品の提供をしました。(タナカさん)
●次世代へつなぐために動く姿を見せる
僕らの活動は「ボランティアに行きましょう」という感じではなく「困っている時はお互い様、地元だから」という気持ちです。外部支援の方々が背中を押してくれたり、様々な方が一緒に活動してくれることもあり、今回の地震でも「動かない」という選択はありませんでした。ただ僕らはプロではないのでやれる範囲のことしかできませんが、やっていきます!
日本は災害大国なので、またいつか災害が起こるかもしれない。そういった時のために、今、自分たちが動く姿を見せることが、次に続く若い人たちに繋がるかなと。何か感じてくれる機会になればいいなと思っています。(吉川さん、目黒さん)
ホームページ
騎馬武者ロックフェス(KRF) http://kibamusha-rock-fes.com/
騎馬武者ロックフェス(KRF) https://www.facebook.com/kibamusha/
ホームページ
#サポウィズ ネット募金
公益財団法人日本財団 災害対策事業部 災害対策事業チーム
樋口 裕司さん
活動内容:技術系NPOのコーディネート、団体への助成金提供
●技術系アライアンスのコーディネーション
今回の災害では日本財団としては、資金提供団体でありながらも南相馬市に活動拠点を設けました。財団の職員も所属するDRTと技術系アライアンスの各団体は実働機能があるので、まずはそれがスムーズに機能するように、連携団体も一緒にその拠点を活用してもらうことで、活動の環境支援を行いました。支援活動にはロジが非常に重要で、拠点は大なり小なり必ず必要です。今回、拠点の設置場所として提供いただいた駐車場は、社協VCと地元の中間支援組織であるゆびとま事務所とも隣接し、日々顔を合わせて情報交流ができました。それにより、多様なNPOやボランティアが参加する中でも、地元側と信頼関係を深めながら連携した活動が展開できました。
一方で、屋根やブロック塀などの対応をする技術系の支援団体って、全国でもそう多くないんです。なので、そういった仲間は必然的に同じ場所や隣の市町など役割分担をしながら現地に入ることが多くなります。そうであれば、一つの団体が一つの拠点で完結するよりも、機材だけじゃなく人も含めて応援し合える形を取ることで単体ではできない活動になるのでは、という考えから始まったのが「技術系アライアンス」という試みであり、今回の特徴です。
●次の災害に生かしていきたい!
悩みながら工夫しながらも被災地支援をしていて、災害支援は何通りもあって、毎回災害ごとに違いがあります。被災規模、周囲環境、自分達が担う役割…なども変わってきます。今回は市・社協VC・地元NPOによる三者連携の会議にも高頻度で参加させていただきました。
いずれにせよ現地にいるからこそ見えることは多いです。これから財団としても検証やまとめが必要ですが、拠点の設置場所や設置のあり方はとても重要だなと思っています。とにかく毎回違う災害支援の中で、一つの型のようなものが見え始めたのが、今回の災害かなと思いました。
DRT JAPAN愛知 小野 貴澄さん
活動内容:屋根対応、ブロック塀対応など
●本業と調整しながら被災地支援へ
メイン作業は屋根の上に上がり、瓦のズレを元に戻したり、応急的にシートをかけて補修しています。重機の免許は西日本豪雨の時をきっかけに免許を取りました。長野県茅野市の土石流の時にも現場で土石流は土砂を取り除きたい時にどうしても重機が欠かせなかったので。
被災地支援は本業と調整しながら入っています。南相馬では5日間で7ヶ所ぐらいは屋根にあがって作業しました。僕も屋根対応は始めてでしたが「これはこうした方がいいよ」って都度、先輩方が教えてくれるので勉強しながら作業に入っています。
●本当に困ったときはお互い様
地元神戸の小中学校の道徳教育は、もう決まって阪神・淡路大震災なんですよね。「神戸からありがとう」っていうスローガンがあって、それを小さい頃から刻み込まれて育ったというか。それがすごくベースにあって、本当に困ったときはお互い様だし、あのとき助けてもらった、という想いが強いですね。なので、南相馬で活動する時にも「本当に遠くからありがとう」ってよく言ってくれる方が多いんですけど、それこそ「あのとき遠くからありがとう」って思っています。
参考Facebook https://www.facebook.com/drtjapan/
参考ホームページ
特定非営利活動法人災害救援レスキューアシスト
代表理事 中島 武志さん
活動内容:屋根対応、ブロック塀対応など
●地震の次の日に南相馬へ
3/16の地震後、3/17に関東から北上してきたのですが、地震被害が他の地域に比べて大きいな、厳しいなと感じました。鹿島地区は特に瓦などの破損が大きいというのが特徴だと思います。去年の地震では南相馬での被害がそこまでなかったので、逆に被害が目立ってしまっていることもあるのではないでしょうか。
例えば新地町だったら去年ブルーシートを掛けてそれを修理した後なので、その道沿いの地域の屋根が大きくずれることがない状態でした。目に見える範囲では少なかったんですよ。
●少しでも被災された後の心が楽になれば
活動への思いとしては、熊本地震から屋根の被害に遭った被災者支援をずっとやってきたので、被災された人の声をたくさん聞いています。だからこそ、この地域たちが困っているっていうのを、経験上わかっています。熊本、大阪北部地震、台風15号だとか千葉の台風とか、たくさん被災された方の声を聞いて早く対応しないといけないな!っていう気持ちがあります。何とか行政とか社協さんと協力してやりたいなと。僕の根底の思いは、少しでも被災された後の心が楽になればと思って活動しています。
ホームページ https://rescue-assist.net/
特定非営利活動法人災害救援レスキューアシスト
川島 浩義さん
活動内容:屋根対応、ブロック塀対応など
●ボランティアがどこまでやるか―
本格的に技術系支援をやるようになったのは、大阪北部地震が活動からでした。全部必要に迫られて対応する中で、長持ちするシートの掛け方を考えていきました。
ですが、正直、ボランティアが屋根に登らなくていい世の中にしたいです。講習会で僕らが安全の話をする時は、基本的には「屋根に上がってくれるな」なんですよ。
災害で家屋に被害を受けないのが理想ですけど、それは多分ものすごく時間と費用がかかります。元々、ブルーシートを掛ける事業者もいないし、ブルーシート職人もいないのが今です。そんな中で、例えば地元の消防士とか自衛隊とか、国民の生命と財産を守るために働いている人達がいますよね。その人達が、地震とか台風被害でも1軒1軒のお家を回って対応出来ればよいのではと思います。実際、千葉県の災害では消防士や自衛隊が屋根に上がっている事例もあります。
●地元で対応できる力を
今回の地震被害は、こっちの方言で言う「ぐし」(屋根の上の部分)の被害が多かったのが特徴だと思います。応急修理としてブルーシートをかけましたが、今後も張り替えなどのブルーシート対応は短く見ても1~2年は必要になります。劣化や風で飛ばされたら、また雨漏りが起きてしまいます。ですが、県外の俺らはずっとは寄り添えないんです。
なので、1番に緊急対応、2番に地元の支援者をとにかく見つけて、屋根に誰でも登れるもんじゃないっていう認識を植え付けつつ、地元の支援チームを作らなければと思っています。取り残される人が出ないよう、被災者が本当に普段の生活に戻れるよう、年単位で対応できる地元の支援チームを、地元力を作っていきたいです。
ホームページ https://rescue-assist.net/
災害エキスパートファーム(DEF)
代表 鈴木暢さん
活動内容:屋根対応、ブロック塀対応など
●度重なる被災で住民も我慢-把握しづらい課題
3月16日の地震災害は、被災が大きい割には皆さん我慢されている…そういう印象をまず感じました。どこの災害も一緒ですが、個人情報を持っているところはあまり外には出さない。でも今回は、南相馬パブリックトラストのこのゆびとまれ事業と社会福祉協議会さんとが連携をしているので、やっぱり初期的に連携出来ているのはすごいなと思います。
今回南相馬で、技術系案件の対応をしつつ僕らNPO技術支援の方が自己反省したことがあります。それは、早期に社協や民生委員向けに「こういうシステムで家を救うことができますよ。家を救うことで家主さんに安心感を与えることができますよ」という勉強会をもうちょっと早めにやればよかったかなと思いました。それは家を直す技術を知ってもらうだけではなく「NPOはこういう動きをするんだよ」という、遠回しの意味合いも含めた勉強会です。
●平時から災害支援に動ける人材育成が重要
私は、普段は東京都あきる野市のお寺で住職をしています。お寺とか神社、教会っていうのはネットワークも広く公的な要素も強いので、災害時にキーになるのではないでしょうか。災害関連の活動としては、平時に消防士等を対象にしたチェーンソー講習や重機講習をメインに活動しています。今後も、DRTと一緒に災害に特化したボランティアを育てていきたいと思っています。
ホームページ https://deftokyo2019.wixsite.com/farm
Facebook https://www.facebook.com/DEF.TOKYO/
日本財団ボランティアセンター
災害担当 髙野葉朗さん
活動内容:ボランティア派遣のコーディネートなど
●現地調査~ボランティア派遣まで
発災後、日本財団災害対策事業部アドバイザーの黒澤さんと現地調査に入りました。被害が大きい地域や昨年の地震で対応された地域の家屋などを見て回り、現地の状況確認と今後の活動地域等についての検討を行う場に同席させていただきました。現地調査から戻った後、日本財団やDRT JAPAN、DEF TOKYO、レスキューアシスト、災害NGO結などの方々のご協力のもと、ボランティアを派遣するべく準備を開始しました。
スタッフ含め参加者全員の陰性を確認した後、感染対策も万全に、東京から貸切バスを使い4月16日(土)と17日(日)にボランティア計17名とスタッフが、東京から前夜発の弾丸日帰りで南相馬市に入り、倒壊ブロック塀の解体、搬出、被災家屋の剥がれ落ちた外壁への応急処置等を行いました。
●ボランティア派遣を通して
今回の災害は屋根被害やブロック塀の倒壊など、対応に特別な知識や技術を要するケースが多く、ボランティアが入る難しさも感じました。とはいえ現地にはたくさんのニーズがあり、多くの住民さんが困りごとを抱えている中で、外には現地のために何かしたいと思う方々がたくさんおり、ボランティア派遣を調整する立場としては「もっと多くの方を現地へ送れたらいいのに」ともどかしく感じていました。
技術系NPOの方々と同じレベルの人材育成は簡単にできるものではありませんが、最低限の知識を身に付け、高度なニーズに対応できるボランティアを増やすべく5月から自然災害家屋再生研修を開始しています。4月のボランティア派遣後も技術系NPOの方々と現地に入らせていただいており、個人的にも知識や技術をもっと身に付け、今後の研修や災害支援に活かしていきたいと思っています。
ホームページ https://www.volacen.jp/
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特定非営利活動法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)
30期学生代表 島田 晴さん(関西大学)
活動内容:被害のあった家屋の家財の運び出し・仕分け、ブロック塀の解体・運搬、技術系NPOの現場サポート
●実際に現地に行って初めて気づく被災地の現状
最初、被災地に行く前は報道もほとんどないこともあり、被害もあまり多くないだろうと勝手に思っていましたが、実際に来てみて住民の方とお話してみると、11年前の震災や去年、今年と続く地震から、精神的に疲弊されている方や、「もうこんなところに住んでも…」と悲観される方もいたりと、目に見えない被害がすごく大きいのを感じました。
住民の方から「偉いね」とか「しんどいのに、遊びたいだろうに、ここまで来るなんて」と言われます。でも、私達は住民の方とお話させてもらうこと、現地で活動出来るからこそ、勉強することができるので、シンプルにすごく楽しくて・・。この言葉がいいのかわからないですが、自分が被災した時に向けて勉強になっています。
●被災地は学びと気づきの宝庫
一番学んだことは“姿勢”です。ボランティアって無償だし、何か「してあげる、お手伝いしてあげる」みたいに最初は思っていましたが、これまでたくさんの住民さんや関係者の方々とお話させていただいて、「『いち学生』と『いち住民』というフラットな関係性を学びました。人と人との関係であって、『支援者』と『被支援者』という関係ではない」ということを知り、それが根本的に一番大事だと思っているので、いつも意識するようにしています。
参考ホームページ https://www.ivusa.com/
参考Facebook https://www.facebook.com/npoivusa/
災害NGO結
代表 前原土武さん(右)
事務局 西谷 明日希さん(左)
活動内容:技術系NPO・ボランティアの現地コーディネート
●地元NPOのサポートと技術系の繋ぎ役
3月後半に南相馬に先遣に入った時は、社協の災害ボランティアセンターでは対応できないニーズが沢山あったので、技術系ボランティアは必要不可欠だと感じました。ただ屋根のブルーシート案件等は、あくまでも目先の課題なので、そこから見えてくる生活支援や住民の困り事への伴走支援等、我々技術系団体が去った後を見据え、まずは地元が中心に動かないといけないと思いました。
まずは、技術系ボランティアと地元NPOの接着面作り・繋ぎを補う動きをしました。技術系の方々は各地の被災地で経験を積み、ノウハウも溜まっています。一方で被災地のスピード感に合わせるギアチェンジが難しい。なぜかと言うと、目の前で困っている方々へ最短距離で対応することが多いからです。
また、東日本大震災を経験している東北の方々が、外部支援者へのアレルギーをお持ちだということも感じました。そのためにも通訳・クッション役は必要だと感じました。被災地の状況に合わせ、目先のコーディネートだけではなく少し先の目線を持ち、皆さんの関係性に合わせながら、日々の活動の整理、繋ぎ役としても動きました。
●“人材”という地域資源を見極めながら、無理せず。持続可能に―
いつも私が思っているのは、風呂敷を広げすぎない、こと。支援の引き算と言いますけど、私達がいなくなった後に、やれる人間がいなくなった時に地域が苦しくならないよう、やりすぎないことはいつも意識しています。
被災地の方々が、地域を巻き込みながら、自分達がしたいことを自分達で出来るよう、期間も内容もしっかりメンバー内で決め、意思の疎通をしつつ、そのキャパシティをちゃんと決めて無理せず、コツコツとやることが重要です。私達外部支援者はいなくなる存在です。サロン等の場は提供できても、それをどう地域に落としていくか、ちゃんとバトンタッチして、支援していきたいなと思います。
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