開催のご挨拶


第10回中部日本ハンドセラピィ研究会開催にあたり

第10回中部日本ハンドセラピィ研究会

代表世話人

広島大学大学院医系科学研究科

車谷 洋


 ご挨拶に先立ちまして、日夜、臨床現場でCOVID-19感染症に対峙されている医療者の皆様に心から感謝し、敬意を表します。

 この度、第10回中部日本ハンドセラピィ研究会代表世話人を拝命し、令和5年1月28日(土)に広島県医師会館にて開催させて頂くこととなりました。当研究会は第40回中部日本手外科研究会会長 砂川融先生のご厚情を賜り共催と相成りました。砂川先生をはじめ、中部日本手外科研究会の諸先生方の格別の御高配に厚く御礼申し上げます。広島の地で、当研究会を担当させて頂くことは浅学短才の私には大変光栄なことでございますが、諸先輩方の当研究会への思いを引き継ぎ、発展させる責務の大きさに身の引き締まる思いでおります。

 さて、コロナ禍で多くのことが制約され、研究会や学術集会はWeb開催となっていました。ポストコロナに向け、徐々に現地開催が始まってきています。第39回日本ハンドセラピィ学会学術集会では現地開催も行われ、多くの先生方とお会いしてディスカッションができる喜びを感じることができました。コロナ禍でweb開催の学会には参加していましたが、コロナ禍後の対面開催は初めての参加で、ポストコロナ時代の対面開催の「はじめの一歩」を踏み出せたと思っています。

 臨床や研究を含め、何事にも「はじめの一歩(First step)」があり、勇気をだして一歩を踏み出すことで、新たなことに取り組むことができると思います。このFirst stepは全ての人にとって大切なものですが,とてもエネルギーの必要なことでもあります。このFirst stepを応援して後押ししたい,また本研究会ポストコロナ時代へのFirst stepになりたいと考え,当研究会のテーマを「First step ~ステップアップのために~」と致しました。

 プログラムはステップアップセミナー、ミニレクチャー、一般演題を予定しています。臨床で御活躍されている先生方に、ハンドセラピィの臨床で接することの多い病態について、First stepを踏み出した若手の先生方にも分かりやすいご講演を頂きます。一般演題は発表者と参加者とが討論することを通して、参加者だけでなく発表者のステップアップにもつながるFirst stepです。とはいえ、発表すること自体が「敷居が高い」、「臨床業務で忙しいから」と敬遠されること,発表準備にも多大なエネルギーを要することも事実だと思います。混沌とした時代だからこそ、First stepを踏み出そうと頑張ったことが認められる世の中であってほしいと思います。そこで、一般演題を発表しようとFirst stepを踏みだしてくださった先生方、特に若手の先生方のFirst stepを応援するため、優秀な演題を表彰させて頂きます。

一般演題では、症例報告、実践報告、臨床研究、基礎研究など幅広く募集いたします。学生時代に恩師から「書かれた医学は過去の医学であり、目の前に悩む患者の中に明日の医学の教科書の中身がある」という東京大学の沖中名誉教授の言葉を教えていただきました。セラピストは一症例一症例の精査を積み重ねることで、自分の中の教科書をアップデートして成長していくと思います。症例の中にこそ手の治療学の教科書があります。本研究会では、セラピストのFirst stepである一例の症例報告も歓迎いたします。奮って演題のご登録をお願いいたします。

研究会の開催される時期も活動には制約があるかもしれません。しかし、明けない夜はなく、春の来ない冬はありません。この研究会がハンドセラピストの先生方のポストコロナ時代の仲間づくり、関係づくりのFirst stepになれれば、望外の喜びです。ご参加いただいた先生方にきっと満足していただけるものと思っております。

「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」

 今回の研究会が皆様の大きなFirst stepとなりますことを願っております。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。何卒、ご支援、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。