本研究室では,主にリハビリテーション医療やフレイル・サルコペニア予防に関する疫学的な研究に取り組んでいます.
ここでは,私たちが現在取り組んでいる研究プロジェクトの一部を紹介します.
研究内容にご興味がある方,ともに研究を取り組んでくださる方は,気軽にご連絡ください.
回復期脳卒中者における身体活動量の基準値と機能回復に関連する指標の確立
(科研課題番号:21K21234)
脳卒中後の機能回復や再発予防には,積極的な身体活動が重要です.本研究では,脳卒中者の機能回復に関連する身体活動指標とその基準値を重症度別に明らかにします.本研究の成果は,一人ひとりにあわせた運動プログラムの設計に役立ちます.
身体活動可視化ツールを用いた身体活動促進プログラムの効果検証
(科研課題番号:24K20508)
最適な運動を指導するには,身体活動の頻度・強度・時間・タイミングを正しく測定し,把握することが重要です.また,健康行動を促すには,情報のacceptability(受け入れやすさ)も欠かせません.当研究室では、畿央大学の石垣智也先生が開発した「身体活動可視化ツール」の効果を検証しています.このツールは,身体活動のデータを視覚的に示し,直感的な理解を助けます.さらに、個々の状況に応じたフィードバックや指導が可能になります.
心不全高齢者のオーラルフレイル関連因子の解明:自律神経及び嚥下筋特性に着目して(代表:東京都立大学 板垣篤典 先生、科研課題番号:22K17654 )
オーラルフレイルとは,口腔機能の軽微な低下であり,誤嚥性肺炎などの重篤な疾患に繋がります.本研究では,心不全と自律神経機能,嚥下関連筋内脂肪の相互関係を検証しています.本研究の成果は,心不全患者における口腔機能低下のメカニズムや効果的な介入を検討する基盤となります.
上記以外に,日本神経理学療法学会 戦略的課題解決委員会や同研究推進委員会が実施している多施設共同研究に携わっています.
また,東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム フレイル・筋骨格系の健康研究テーマ(副部長 / テーマリーダー 笹井 浩行 先生)が実施しているコホート研究にも協力研究員として携わらせて頂いております.
さらに,本学科の運動生理学研究室(主宰者:小河繁彦先生)が実施している国際共同科研のプロジェクト(体・脳循環機能とその運動昇圧応答及び脳解剖学的特性の日本人と白人米国人との差異、科研課題番号:23KK0179)にも携わらせて頂いております.
本研究室では,学生自身の発想や興味による研究テーマも歓迎しております.
参考として,これまでに学生が取り組んだテーマの一部を紹介します.
就寝前のゲーム実施が睡眠に及ぼす影響
男子大学生における栄養知識と食品摂取状況および体組成の関連性
有酸素運動と水分摂取が汗腺機能に与える効果
対面およびオンラインでの会話時における自律神経活動の比較
テアニンの摂取が自律神経活動および認知機能に与える効果
ウォーミングアップ方法の相違が持久走パフォーマンスに与える影響
インソールが片脚着地動作に与える影響(SIDASジャパン株式会社からの受託研究)インタビュー記事
運動実施後の筋硬度を測定
インソールの相違による着地動作の差を検証
本研究室を希望する方へ
学部生の方
本研究室では,運動や高齢者の健康増進に関心がある方を歓迎しています.本研究室が扱うテーマは,生体医工学の王道分野からは少し離れておりますが,研究を通して培われる論理的思考能力や文章作成能力,プレゼンテーション能力,疫学・統計学の知識は,社会に出た後も役立つスキルです.
卒業研究では,自らの好奇心を大切にし,粘り強く取り組む姿勢を養って頂きたいと思います.また,本研究室では高齢者の体力測定会などのフィールドワークに参加し,疫学調査の現場を体験して頂きます.
リハビリテーションセラピストの方
当研究室では,博士後期課程の社会人学生を受け入れております.直接的に生体医工学と関連しない場合でも,臨床に資するテーマであれば歓迎いたします.
ご希望に応じて,私達が主導する多施設共同研究に参加したり,他大学や研究所の研究者,臨床現場のセラピストと交流する機会も提供できます.さらに,神経理学療法学会の戦略的課題解決委員会や研究推進委員会が主導しているプロジェクトに参加したり,東京都健康長寿医療センター研究所の研究生として研究に取り組むことも可能です.介護予防や臨床現場の課題解決とリハビリテーション科学の発展に向けて,共に頑張りましょう.