2025年 Student-led Field Study(SFS) 海士町報告
2025年 Student-led Field Study(SFS) 海士町報告
私たち、国際地域学科3年生15名は2025年度春学期Student-led Field Study (SFS) 海士町という研修に参加した。この研修では国際地域学科が掲げる「現場主義」に通ずる、現地でしかできないフィールドワークや体験、また事前事後の活動を通して、海士町に関する学びを積み重ねてきた。
本研修先である島根県隠岐郡海士町は、日本海に浮かぶ隠岐諸島の島前地域を構成する自治体の一つである。この海士町を含む島前地域は「島は社会の縮図」とまで言われるように、現代日本の抱える人口減少、超少子高齢化、超財政難といった課題が存在する。それに対して地域資源の活用、及び人的交流の様々な取り組みを通じて、人口減のスピードを緩和させ地域活性化を行っている町として、全国でも注目されている自治体である。
本研修では、4月からグループに分かれて文献を用いた学習を行い、海士町の人口動態・自然・地理・歴史、経済・生業、しごとやひと、すまいづくりの観点から見た地域活性化の現状について学び、全体での共有をもとに基礎知識を習得した。その後実際に海士町の方による講義を受け、海士町における地域活性化の取り組みに関して理解を深めた。そして学生それぞれが興味のあるテーマをもとにグループに分かれ、調査テーマや現地での調査の準備を行った。また現地での日程や取り組む内容に関しては学生が主体となり先方担当者と調整を進めた。
海士町には6月23日から28日の6日間滞在し、それぞれのグループが仕事体験を通じて地域の方々と関係を構築し、その上で聞き取りやアンケートなどの調査を実施した。
私のグループでは海士町における特徴的な取り組みである人材還流プロジェクト「大人の島留学」という制度に着目し、大人の島留学生(以下島留学生)の動機や経験評価(ギャップ)を明らかにすることを調査課題として設定した。実際に仕事体験をさせていただくと、私たちの調査対象である島留学生が多く関わっていて、農作業やリネン作業を共に進めながら交流を深め、インタビューを実施した。またインタビューを受けてくださった方から数珠繋ぎで別の方を紹介してもらったり、島留学生が住むシェアハウスに招いてもらったりしたことで現地の島留学生の「生」の声をたくさん聞くことができた。調査結果の中で、海士町よりも「島留学制度」に魅力を感じて参加している方が多いことや経験評価(ギャップ)において生活で不便を感じる方はそこまで多くないといったことが特に印象的であった。
調査だけではなく移動や自由時間には田んぼや山、海などの海士町の雄大な自然を感じながら日々を過ごし、都市部では得られない時間の流れを体験することができた。滞在中に印象的だったのは、海士町のスローガンである「ないものはない」の精神である。これは、物理的に存在しないことを否定的に捉えるのではなく、今あるものに目を向け、その価値を見出していくという考え方であり、今回の滞在にもその意味を見いだすことができたように感じる。
今回の研修を通して、デジタル社会が進展する現代においても、実際に現地を訪れることでしか得られない情報や経験が多く存在することを認識した。そして、そうした「現場」での体験こそがフィールドワークの醍醐味であると実感した。今後もこの経験を糧に、国内外さまざまな地域へと自らの足で赴き、学びを深めていきたいと思う。
国際地域学科3年 原崎海斗
e-bike で移動中。森の中て突然牛が現れ、念願の牛に一同釘付け。
田車を押す。除草と土壌に酸素を供給するという意味がある。
直会という打ち上げをし、楽しかったと同時に帰りたくない気持ちでいっぱいに。
最終日に15人全員で早起きをして朝日を見に海岸まで。
滞在中お世話になった但馬屋さんにて。