2025年11月8日|SAT
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東洋大学大学院社会福祉学研究科では、本学教育力強化特別予算により、2022年度から2024年度まで「東アジア諸国における社会福祉に関する研究教育のハブ機能の構築」に取り組みました。このプロジェクトをさらに発展させ、2025年度から2027年度までの3年間は「アジア福祉回廊構築プロジェクト」に取り組んでいます。
2025年度はこのプロジェクトの企画として、2025年11月に部局間協定を締結した、長春人文学院社会福祉学院の研究科を招いて国際シンポジウムを開催しました。
テーマ:「中国と日本の『高齢社会』におけるこれからの社会福祉学を考える」
日 時:2025年11月8日(土)13:00~17:00
会 場:東洋大学 赤羽台キャンパス HELSPO HUB-3 HELSPOホール
シンポジウムでは、本プロジェクトの考案者である伊奈川秀和・前研究科長による基調講演に続き、長春人文学院からの招聘教授、本学教員による発表と討議を行いました。両国の高齢化の著しい進行(日本は高齢化率が高く、中国は高齢者人口が多い)をふまえ、ICTの導入、政策主体・実践主体・地域コミュニティの協働という論点で、社会福祉(学)の今後の課題について議論を行いました。シンポジウムの資料は日本語と中国語に翻訳し、院生が今後の研究に役立てることができるものにしました。
以下では、当日のシンポジウムの様子を写真とともに紹介します。
13:00〜13:05 開会挨拶
開会挨拶 髙山直樹教授
総合司会 荻野剛史教授
13:05〜13:45 基調講演
*伊奈川 秀和氏(東洋大学大学院社会福祉学研究科 客員教授)
「アジア福祉回廊の構想について―グローバルとローカル、過去と未来の十字路としての社会福祉―」
基調講演 伊奈川秀和客員教授
13:45〜16:00 シンポジウム
*李 力紅氏(⻑春人文学院社会福祉学部⼼理福祉学科 学科⻑・教授)
「中国の高齢者福祉施設における高齢者の抑うつ傾向とデジタル介入に関する研究」
シンポジスト 李力紅教授
*李 淼氏(⻑春人文学院社会福祉学部 副学部⻑・社会福祉学科学科⻑・准教授)
「スマート高齢者ケアと文化的融合における高齢者ソーシャルワーク教育のデジタル・
トランスフォーメーション実践研究」
シンポジスト 李淼准教授
※14:45〜15:00 休憩
*佐藤 亜樹(東洋大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻 准教授)
「多頭飼育崩壊とSW 援助者の役割〜動物保護団体と社会福祉サービス機関との連携
が多頭飼育崩壊の当事者や地域コミュニティにおよぼす影響〜」
シンポジスト 佐藤亜樹准教授
*加山 弾(東洋大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻 専攻⻑・教授)
「日本における高齢化・孤立社会化と地域福祉政策」
シンポジスト 加山弾教授
16:00〜16:55 ディスカッション
*コメンテーター:崔 月琴氏(⻑春人文学院社会福祉学部 学部⻑・教授)
髙山 直樹(東洋大学大学院社会福祉学研究科 研究科⻑・教授)
コメンテーター 崔 月琴氏教授
16:55〜17:00 閉会挨拶
※日本語−中国語逐次通訳:索宏講師(⻑春人文学院)・孫⼼悦助教(東洋大学)
〇東洋大学大学院社会福祉学研究科では、教育力強化特別予算により、2022 年度から2024年度まで「東アジア諸国における社会福祉に関する研究教育のハブ機能の構築」に取り組み、さらに2025 年度から2027 年度までの3 年間は「アジア福祉回廊構築プロジェクト」に取り組んでいる。
〇その背景としては、高齢社会化、人口減少、ICT の進展、自然災害や環境問題への対応など、国際的な福祉課題が広がる中、諸国との連携を強化する必要があること、とりわけ日本の社会福祉教育・研究において遅れていた東アジア諸国との連携強化の必要性が高まっていることがある。
〇本研究科は、東アジアの留学生を多く受け入れ、研究者等の専門人材も数多く輩出してきた。そうした基礎の上に、台湾の朝陽科技大学との間で2019 年に部局間協定(交流協定)を締結し、2024 年度にはそれを大学間の包括協定へと発展させることができた。さらに、今年度は中国の⻑春人文学院とも部局間協定を締結した。2023 年度の赤羽移転後も、東アジアの社会福祉学の研究・教育のハブとしての交流の発展に努めてきた。このことは、これまで留学生からも評価を得てきた本研究科のプレステージを更に高めることにもつながる。
〇前の期間(2022〜2024 年度)には、主に以下の取り組みをした。2022 年度 コロナ禍のため、オンラインにて朝陽科技大学との国際シンポジウムを開催し、その成果を院生及び教員に還元した。
テーマ「ポストコロナ時代の社会福祉とソーシャルワーク」
2023 年度 本研究科を終了した韓国人研究者及び社会福祉協議会関係者を移転後の赤羽台キャンパスに招き、院生・学部生や教員の出席のもと、国際シンポジウムを開催した。
テーマ「高齢者・障害者虐待に関するシンポジウム」
また10 月には、朝陽科技大学において開催された「ポストコロナ時代の福祉国家の新たな展開―人口減少社会における社会福祉の挑戦」をテーマとするシンポジウムに本学教員が参加し、朝陽科技大学の教員・学生と交流を深めた。
2024 年度 最終年度となり、本事業の締めくくりとしての国際シンポジウムを⾏った。コロナのパンデミックを経て、東アジア諸国の間では少子高齢化、人口減少、経済のグローバル化、大規模災害等の課題を共有しており、社会福祉においてもこうした動きと深く関わることが認識されている。このため、シンポジウムには朝陽科技大学に加え、ネパールのトリブバン大学の研究者も招聘し、日本の地域福祉関係者も交え、グローバルとローカルの両面から社会福祉の共通課題に接近した(これらのいずれの国も過去に大きな地震を経験しており、災害との関係で社会福祉を認識している点で共通している)。
テーマ「変貌する社会・経済・自然環境の中での共生社会の構築」
3 年間の事業を通じ、院生を含めシンポジウムの参加者が、より広い視点で社会福祉の共通課題を捉え、また共生社会の構築を自分ごととして捉える視点を養い、研究を深化させることに寄与したものと思われる。シンポジウムの資料は、可能な範囲で日本語、中国語、英語に翻訳し、院生の学習にも資する内容にしている。
〇新予算事業の初年度であることから、前事業の実績を踏まえつつもさらに交流を広げることをめざし、⻑春人文学院の研究者を招聘した。協定締結を⾒据えた交流でもあったことから、李力紅教授、李淼准教授、崔月琴教授の3 人(崔教授は短期海外招聘事業)を招いて、関係強化を図った。近年、中国からの留学生を多く受け入れていることから、今後の研究交流を発展させることも視野に入れたものである。
〇シンポジウムでは、本事業(アジア福祉回廊)の考案者である伊奈川秀和・前研究科⻑による基調講演に続き、⻑春人文学院からの招聘教授、本学教員による発表と討議を⾏った。両国の高齢化の著しい進⾏(日本は高齢化率が高く、中国は高齢者人口が多い)をふまえ、ICT の導入、政策主体・実践主体・地域コミュニティの協働という論点で、社会福祉(学)の今後の課題について議論した。
テーマ「中国と日本の『高齢社会』におけるこれからの社会福祉学を考える」
なお、シンポジウムの資料は日本語と中国語に翻訳し、院生が今後の研究に役立てることができるものにした。
〇今回のシンポジウムに併せて、同学からの3 人の研究者と本研究科の留学生たちとの交流会を開催した。多くの留学生が参加して自分の研究内容について報告し、助言を受けた。⺟国語である中国語での意⾒交換は非常に活発で、留学生にとっても安堵しつつ研究の示唆を得る有意義な機会となった。また、短期海外招聘事業で招いた崔教授には、同事業での特別講義、大学院での授業のほか、東洋大学福祉社会開発研究センターとの共催による講演会も開催し、多くの院生、教員の参加を得た。
〇今回、こうした取り組みの基礎の上に国際的な研究交流のネットワークを東アジア以外のアジア各国にも目を向けつつ、さらに発展させるべき時期に来ている。何故なら、第1に発展するアジア各国において、福祉人材の開発、持続可能な社会福祉制度の構築が益々必要になっているからである。第2 にこうした課題を解決するためには、分厚い社会福祉の研究・教育の基盤が必要であり、本学の100 年を超える社会福祉の蓄積は、アジア各国の研究・教育に貢献することができるからである。第3 に赤羽居住の外国出身者は、バングラデシュなど多様であり、ローカルな中でのグローバル化という点でも、アジア諸国を広く射程に置く必要があるからである。このように、今回のシンポジウムが契機となり、更に研究・学術交流が発展することが期待される。朝陽科技大学、⻑春人文学院との協定締結と同じように、さまざまな国・大学との関係強化を図る予定である。