DoGeNa RIDE Project
RIDE: Regional Integrated Digital-care & Education
RIDE: Regional Integrated Digital-care & Education
日本は世界でもっとも高齢化が進んでいる国です。
2024年10月1日時点で、65歳以上の人は人口の29.3%を占めています[1]。
とくに山間部などの地域では、若い世代が都市部へ移り住むことで高齢化がさらに進み、
高齢化率が50%を超える「限界集落」と呼ばれる地域もあります。
こうした地域では、
移動手段が少ない
病院や診療所に行きにくい
といった問題があり、健康面での不安が大きくなりやすいことが指摘されています[2]。
若桜町をはじめとする鳥取県東部でも、冬の積雪や交通の制限により、
受診や健康相談の機会が減ってしまうことが報告されています[3]。
一方で、北海道夕張市では市立病院が廃止され入院ベッドがほぼなくなったにもかかわらず、死亡率は横ばい、あるいは減少したという報告があります。また、医療費や救急搬送の件数も減少しました[4]。
その背景には、
医療と介護を一体化した24時間体制の支援
地域のつながりの強化
住民一人ひとりの健康意識の向上
があったとされています。つまり、健康は「病院の数」だけで決まるのではなく、地域のつながりや日々の行動とも深く関係しているのです。
いくつかの研究では、「歩くこと」や「外に出て人と交流すること」が健康や幸福感に良い影響を与える可能性が示されています[5]。
人と人とのつながり(社会的なつながり)は「社会関係資本」と呼ばれ、
それが私たちの健康を支える大切な土台になると考えられています[6]。
高齢者を「守られる存在」として受け身で支えるのではなく、
社会の中で主体的に参加し、役割を持ち続けられるよう支援することが重要だと考えています。そのためには、地域全体の平均値だけを見るのではなく、
身体の機能 心の健康 人とのつながり 日々の活動量 移動の状況
を一人ひとりについて丁寧に把握することが大切です。
これまでにも健康状態を測る指標はありましたが、それらを地域全体の生活圏や移動データと組み合わせて総合的に分析する取り組みはまだ多くありません。
本調査は、鳥取県の「令和7年度学生参画による地域課題解決補助金」を得て実施される事業です。事業は以下の二つのテーマで構成されています。
①医学部(医学科・看護学科)と連携した共同研究・交流企画
②住民向けの健康教室(保健事業と介護予防の一体的実施)
地域のイベントへ参加し、地域住民との交流を通して地域の実情を知り、更に健康測定会を開催して
身体機能・精神的健康・社会的ネットワーク
身体活動量・移動状況や生活ニーズ
を多面的に調査し、地域の特性を明らかにすることを目的としています。
地域の実情に合った支援のあり方を探り、
「住み慣れた地域で、元気に長く暮らせる社会」の実現を目指します。
参考文献一覧
1. 令和7年版高齢社会白書(内閣府)
2. 日本総合研究所「過疎地域における高齢者向け生活支援の課題」(JR Iレビュー 2020 Vol.11, No.83)
3. 鳥取県勢要覧2024
4. Kusunoki, H.; Morita, H. Reevaluating Hospital Bed Density in Japan: Toward Sustainable and Regionally Responsive Healthcare Reform. Preprints 2025, 2025070103.
5. Satariano WA, Guralnik JM, Jackson RJ, Marottoli RA, Phelan EA, Prohaska TR. Mobility and aging: new directions for public health action. Am J Public Health. 2012;102:1508-15.
6. リサ・F・バークマン, イチロー・カワチ, M・マリア・グリモール M.社会疫学〈上〉.東京:大修館書店,2017.