1960年、30億人だった人口が50年後の2010年には69億人になり、2060年には100億人に迫ると予想されています。安定した国際社会形成のためには、需要に見合う食料生産が必要ですが、地球温暖化が作物生産に負の影響を与えると指摘されています。また、農業から排出される温室効果ガスや、農業に必要な真水や肥料資源の枯渇が問題視されています。
私たちは、高温や干ばつに強く、少量の水や肥料でも育つ小麦の開発を通じて、持続的農業に貢献しようと考えています。
重要研究の一つとして生物的硝化抑制(BNI)強化コムギ育成があります。BNI形質とは最近明らかになってきた新規植物形質で、窒素肥料の大幅削減を可能とするものです。コムギにはBNI形質が無かったのですが、コムギ野生種の一種であるオオハマニンニク(Leymus racemosus)から高いBNI形質を導入したBNIコムギ系統を、国際農林水産業研究センターおよび国際コムギ・トウモロコシ改良センター(CIMMYT、メキシコ)と共同で世界に先駆け育成しました。現在はインド等でBNIコムギ実地試験をしています。また野生種の高いストレス耐性を利用し、高温乾燥耐性コムギ系統の開発を精力的に行なって来ています。これ以外にも、野生種からの未知な有用形質の作物の導入を目指しています
植物の染色体の構造や挙動を解析する細胞遺伝学を基盤に、作物の新たな育種技術の開発に取り組んでいる。特にイネ科植物を対象に、種間交雑において生じる染色体脱落や分配異常の仕組み、生殖的隔離の要因を解明することで、通常は交配が困難な遠縁種間での遺伝子導入を可能にする研究を進めている。また、異なる種の細胞融合によるゲノム融合(サイブリッド)や、花粉を利用した新規ゲノム編集技術の開発にも注力している。TFMSAを利用した新たな交配技術の開発などを展開している。これらの研究は、乾燥地でも生育可能な作物の改良や新たな遺伝資源の創出につながり、持続可能な農業の実現に貢献することを目的としている。
私たちはいくつかの研究プロジェクトを動かしていますが、その一つはSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)とよばれるもので、世界の小麦生産地で最も高温であるスーダンをフィールドに、高温乾燥耐性コムギ系統を開発しようとするものです。すでに、これまでスーダンで栽培されている品種より高い生産性を示す遺伝資源を見いだしており、これを用いてスーダンの高温乾燥環境に適応できる小麦品種の開発を目指します。また、CREST(戦略的創造研究推進事業)にも参画し、この中では乾燥地研究センターの砂地圃場に乾燥環境を作り、ここを利用してダイズの遺伝子型・環境相互作用の研究をしています。
私たちは鳥取大学大学院教育に参加し、大学院生を指導しています。修士課程および博士課程ともに国際乾燥地科学専攻において、現在の私たちが直面する問題を認識し、持続性社会を創生するために、作物改良の技術が貢献できることを学びます。研究室は留学生が多く国際的で、セミナーや討論は基本的に英語で行うので、自然と英語力や国際的感覚が養われます。学生とともに海外の乾燥地の現場に飛び出して一緒に考え行動しようと思っています。【詳細はここをクリック】
2030年までの私たちの行動がその後の地球の運命を握っているとされています。人類は叡智を結集して、これまで通り人類が生存できる地球を護る必要があります。私たちは、世界の状況を知り、他の分野との交流し、自らの専門分野を深めて、世界の全ての人々が平和で幸せな生活ができるように活動したいと思っています。