研究内容
Research Contents
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哺乳動物における哺育は、母乳中の抗体を通じて免疫の弱い子に母体の免疫を移行させる重要な仕組みです。授乳期にのみ発達する乳腺には、抗体を産生する形質細胞が集まり、母乳中に抗体を分泌します。私たちは、この「乳腺免疫」の仕組みや形質細胞の移動経路を解明することで、哺育の質を高める免疫戦略の構築を目指し、広く生命科学への貢献を志しています。
ヒトや動物の免疫機能は胎生期から形成が始まり、免疫臓器は出生前に“かたち”作りを開始します。免疫細胞は特定の誘導物質に反応して目的の免疫臓器に集まり、その構造を作り上げます。私たちはブタを用いて、この免疫臓器の形成と成熟のプロセスを解析し、難治性の免疫不全症治療法の確立を目指しています。胎生期からの働きかけにより、出生後の治療効果を高める、医療と農学を結ぶ新たな研究を展開しています。
ヒトや動物の腸内フローラは、腸管免疫をはじめ健康に大きな影響を与えます。特に子牛は下痢症を起こしやすく、抗生物質の多用が薬剤耐性菌を生む懸念があります。私たちは、健康牛の糞便を下痢症の子牛に移植する「糞便移植」により、治療の有効性を確認し、その作用メカニズムを解析しています。この研究によって、生産現場で活用できる新たな獣医療技術の基盤構築を目指しています。