2026年3月2日(月)、環境省の西川絢子氏(環境省 ⽔・⼤気環境局 海洋環境課 海域環境管理室⻑)をお招きし、第4回ワークショップ『第10次水質総量削減の在り方について』を開催しました。今回は、長年続けられてきた「水質総量削減」から、近年の「豊かな海」を目指した新しい管理制度への転換をテーマにお話しいただきました。
■ 講演のポイント
・総量削減から総量「管理」へ:1979年から続いた水質総量削減制度により赤潮は減少した一方で、漁獲量の減少も課題となっている。今後は「削減」一辺倒ではなく、海域の状況に応じて栄養塩を「維持・増加」させる選択肢を含む、きめ細やかな「管理」制度に変えていく。
・「令和の里海づくり」の推進:良好な海域環境の保全・再生・創出のため、観光、教育、農林漁業など、地域の多様な主体(NGO、民間企業、DMO等)が連携し、守った資源を賢く使う「好循環」の形成を目指している。科学的知見の不足や活動資金の問題、連携不足や管理の煩雑化といった課題もある。
・DXによるサポート:専門知識がなくても視覚的に水質予測シミュレーションができるシステムの開発など、科学的知見を現場で活用するための支援も進めている。
ディスカッションでは、地域ごとに異なる海域特性(有明海と瀬戸内海の違いなど)に応じた柔軟な対応の必要性や、現場でのモニタリングの予算や人員が手薄になっている現状、「順応的管理」の重要性が語られました。また、環境・水産・下水といった各部局の垣根を越えた連携についても活発な意見交換がなされました。
「きれいな海」から「きれいで豊かな海」へ。制度の大きな転換期において、現場と行政、研究者がどう手を取り合っていくべきか、改めて考える貴重な機会となりました。