2025年12月1日(月)に第2回オンラインワークショップを実施しました。『伊勢湾・三河湾の貧栄養化と漁業について』というテーマで、鈴木輝明先生(名城大学大学院総合学術研究科特任教授)にご講演いただきました。平日の夕方にも関わらず、オンライン配信で約190名の皆様にご参加いただきました。ご講演いただいた鈴木先生と、お忙しい中ご参加いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。
第1回オンラインワークショップでは「水質環境基準の運用の見直し」について環境省水・大気環境局の野口様にご講演いただきましたが、第2回ではその具体的な事例として、長年にわたって伊勢湾・三河湾の研究を精力的に進められてきた、名城大学の鈴木先生にご講演いただきました。
講演でははじめに、伊勢湾・三河湾では長年にわたる総量規制が実施されてきたものの、COD、貧酸素化、赤潮は改善せず、TN、TPだけが減少する「貧栄養化」が進行しており、TN、TPの環境基準(Ⅱ類型)達成の頃(2010年代半ば)から漁業生産が顕著に低下していることをご説明されました。その原因として水温上昇の影響が強調される中、貧栄養の影響が過小評価されているのではないかという懸念から実施した、伊勢湾イカナゴの資源減少要因の解析結果をご紹介されました。2014年以降イカナゴの夏眠期の生残率が低水準になっているものの、高水温と生残率の関係は見られないこと、2012年ごろから夏眠前の肥満度が低下していること、餌不足の状態で夏眠すると高水温に脆弱になることから、貧栄養がイカナゴ資源減少の主因である可能性が高いことを示されました。さらにTN、TP濃度が高かった2004~2006年(Ⅲ類型相当)を想定して計算したところ、イカナゴ資源量が大幅に増加する結果になったことを示されました。
漁業生産の急激な低下の一因として考えらえる貧栄養化の早急な解消のため、環境基準(COD)や類型指定の見直し、負荷処理の見直し(増量運転、広域流域処理から地域処理)の必要性を訴えられました。最後に、伊勢湾・三河湾における先進的な取り組みはどこから来ているのかと尋ねられ、豊かな海に生活圏をもつ人々の強い想いと、原因を明確に特定できるだけの長年のデータの積み重ねによるものだと述べられました。