大気至誠拳法(通称:太気拳、以下太気拳と称す)は武道や武術に詳しい方々には、最強の中国拳法として知られています。それは、面やパンチンググローブなどの防具の類は一切つけず、顔面攻撃有の素面・素手による組手を行う事に原因があると考えられます。
太気拳同好会を除く、太気拳至誠塾では、成人を対象として武道・武術としての拳法を追求しています。格闘技やスポーツ武道とは一線を画しています。私たちの考える武道・武術と格闘技やスポーツ武道との相違については、別ページで解説を行っているのでそちらをご参照ください。ここでは簡単に武道・武術とは、自分や自分にとって大切な人や”もの”を守るために戦うための技と体、そして精神性を養う道だとしておきます。
日本では、ほとんどの人がその一生において、身の危険を感じることが少ないか全くないと思います。しかし、誰しもがそんな場面に遭遇しないとは限らないはずです。そのような不測の事態において身を守る術を身に着けることが武道の目的であると思います。太気拳は武道であると考えています。人と人とが肉体を使って戦う場面においては、互いに相手の弱いところ、とりわけ顔面を攻撃し合うことが最も多いケースになります。そのため、太気拳では最終的に素面・素手による組手が必須になります。
太気拳至誠塾では、塾長である高木康嗣先生はパーフェクトディフェンス(完全なる防御)を稽古の一番の目的に掲げています。そのため、至誠塾では、いついかなる場面においても自分の身の安全を確保しながら戦う技を磨きます。そして、太気拳では、そのような技を身に着けたときに初めて組手を行うことが可能になります。至誠塾では、1年に1回、忘年会を兼ねた組手会が実施されます。しかし、至誠塾では高木先生が
①最低1年は組み手をやらせない。
②1年を過ぎたとしても組み手への参加は強制ではない。
という方針を掲げています。
私自身の実感で言うと、至誠塾では、自分自身の身を完璧に守ることを前提としたうえで攻撃と防御(このように分けることにあまり意味はないのですが)の動きを磨き、それができてきたときに自然と自分自身の技術を試してみたい気持ちになり、人によって組手に参加できるようになるまでの期間は異なるものの、皆、自分自身の意志によって自然に組手会に参加するようになると思います。
伝統的な日本文化とは、互いに支え合い、互いに助け合って暮らす社会の実現であると思います。そのような世界を実現するために日本人は武士道という道徳観を育ててきたのであり、それを身につけるための手段として武道があると思います。何度も強調いたしますが、太気拳は武道の道を追求いたします。決して他人を倒すための闘争術を身に着けるためのものではありません。
太気拳至誠塾ではこのような指導方針の下、塾生が楽しく練習を行っています。
太気拳同好会においては、青少年を対象とした指導も行っています。心身両面において成長期にある方々ですので、こうした方々を対象とした指導においては、安全面を十分考慮した上で武道スポーツ的な指導を行います。