目次

外国語を学ぶ理由、英語が求められる理由を簡単にかきました。必ず読むようにしてください。

要点:

  • よく言われるグローバル化でこれまでのままではうまくいかなくなる

  • これからの時代、社会や経済を成り立たせるのに必要なスキルの一つ

  • 社会人になってからと思っても時間をうまく作れなくなる

  • スキルを増やす、視野を広げるなど頭を鍛えるのにいい

  • なんで英語が世界言語になってしまったのか(おまけ)

グローバル化で自分の身の回りがどうなってるか考えてみる

  • みなさんはこれからの時代を生きていくことになります。常に状況に合わせて生きていく必要があります。

  • 海外いくわけじゃないし、英語使う仕事につかないから関係ないと思っている方がいたら考え方をあらためましょう。海外にでなくても語学が必要な状況が既におきていています。

  • 経済は日本国内で完結していません。東北は岩手盛岡などのローカルの酒屋さんはヨーロッパに酒を売りに出している状況です。

  • 国内の様々な分野で外国語が少しでもできていたほうがいい状況になっています。

  • 少子化のため海外から人材を入れる政策がすすめられようとしています

  • 2009年から2010年のたかが一年間で大手企業などは方向転換をしました。外国語を急に重視し始めて、海外の人材を獲得するようになりました。

  • 十年たってそれが普通になりました。目に見えるような転換ではないですが、日本だけで経済が完結しているわけではないので必然的なながれです。

  • 先生が十年前就活で経験したことですが、面接官に「なんで応募してきたの?外国語出来る人はいっぱいいるし、必要な時に教育すればいいし、君みたいな海外の大学いって遊んできてるのに外国語できますって思い込んでる人いらないよ」と言われたことがありました。でも次の年、その企業は、就活サイトにTOEIC800以上の人と条件をつけるようになりました。一年でガラッと変わる。あるいは勝手に方針を変えることはある。

  • 海外と直接関係のない業種や地域に関わるような分野の仕事もグローバル化は例外ではありません。グローバル化だからいいというわけではなく、皆さんは嫌でもそれに対応しないといけない。アメリカなどでグローバル化の並に対応できなかった人たちは、その波においてきぼりにされるという危機感から、アメリカ・ファーストと言い始め、自国主義になっています。それでは具合が悪い状況になる。

  • 研究職などは海外から相手にされなくなりはじめています。一部の競争が激化している分野は日本が取り残されている状況になっています。

  • 勉強するなら時間が社会人よりある学生の時です

  • 卒業後仕事しだすと時間をつくるのが今より難しくなります

  • 世界の状況は刻々と変化しています。不透明な状況で何がおきるかわからないと言われるのはそのためです。外国語はそういう状況に対処できる一つのスキルです

  • 手に職がつくと思ってください。

  • 一生色々なことを学ぶことは続きます。外国語習得はその際の情報量を増やすのにも役に立ちます。

たのしく学んでいきましょう。


21世紀以降生き残るためのスキル

Organization for Economic Co-operation and Development, OECD)は、21世紀以降の社会において豊かな暮らしを維持するのに必要な能力として「異なる背景を持つ人達と同じ空間で生きていく能力」をあげ、 2006年に、“The Definition and Selection of Key Competencies (人間が備えておくべきキー・コンピテンシーの定義と選定)” と題し報告を行いました。日本語では「人間力」と定義されたものです。OECDは、報告書の中で、今後の社会で生きていくには次の能力が必要だと主張しています:

今OECDは未来に向けた教育改革2030年(Future of Education and Skill 2030)として上記のコンセプトを下に教育プロジェクトをすすめています。そこでは、ITのスキルも含まれていますが、異文化交流スキルを身につける必要があり、AIでは限界のある言語運用能力(コミュニケーション能力)もますます必要になっているとしています。そういう意味で外国語が実際に使える必要があります。語学テストが解けることは求められておらず「実際に話す、書く、聞ける、読める」」能力が求められています。

人、モノ、情報が容易に国境を超える現代社会では、嫌でも多くの情報に接することが増え、異なる背景を持つ人と共同生活を迫られます。そのような環境下において、戦争など極限の状態を極力避けるにはどうしたらいいのか、多くの研究調査が行われ、必要な能力として「異文化理解」が必要ということになりました。ここでいう異文化理解は、必ずしも仲良く過ごすという意味ではありません。共通するアイデンティティーを持たない者同士がいかにして意思疎通を図るのかが重要ということです。意思疎通や異文化を理解するということは、言葉以外の要素も大事になってきますが、手段としては言葉が必要になってきます。外国語学習は、これら要素を身につけるための手段です。

なんで英語? 世界標準語っていうけれど... 中国語は?

英語の必要性については、世界史と大きく関わっています。もし歴史の科目を履修していたのであれば、中学校や高校で学んだ世界史を思い出してほしいです。

16世紀以降から現在までの歴史を辿ると、最終的に世界を制覇したのは英語圏です。16世紀から17世紀にかけて、イギリス(英国)が他国を植民地化し、海外への影響力を広げていきました。その後も領土を拡大させていくのですが、18世紀以降は、イギリスから独立したアメリカ合衆国が、同じように各国へ自国の経済的影響力を広げていきます。英語圏の勢力が拡大する以前は、スペイン、ポルトガル、オランダなどが強い国でした。もし歴史が異なれば、スペイン語やオランダ語が世界の主流言語になっていたかもしれない。スペイン語が多くの中南米国で公用語として使用されるのは、この世界史と大きく関係しています。スペインが植民地化を進めていた時代があったからです。

なお大学や研究機関など、アカデミックの世界で英語やドイツ語などヨーロッパの言語が主流となった背景には、世界中で勢力を伸ばした欧米各国が科学分野を長らくリードしてきたことがあげられます。現在、最も多く使用される言語は中国語です。人口が一番多い国のため統計上では一番使用される言語となります。

また、スペイン語は多くの国で使用されていますが、英語圏であるはずのアメリカ合衆国は、スペイン語を話す人口がスペインより多い国となっています。話す人がどれだけいるかに関わらず、英語は国連で使用される公用語の一つであり、学問の世界でも英語論文が求められます。英語が、世界的に使用される言語の一つであることにかわりはないのです。

ほかの外国語もできれば学ぶといいのですが、英語が何故か主流となっている分野は多く、いずれにせよ英語はできないよりかはできたほうがいいでしょう。将来、仕事をするための武器として語学能力を習得することは損ではありません。

ただし、英語が世界言語とされていても、私達が住んでいるのは日本語圏です。はたして、英語を全ての人が学ぶ必要はあるでしょうか?また、大学で英語を学ぶ必要はあるのか?余裕があれば考えてもらいたいと思います。これに正答はなく、今まさに言語教育に関わる専門家が議論している問題です。

通常、私を含め英語を教える先生は、裾野を広げる意味でも、可能であれば出来るだけ多くの人が英語を使えるようになったほうが良いと考えます。ただ、全員が英語をメインに使う仕事に就くわけではなく、英語を話さない人が多いのも事実です。英語の文字を見ることに抵抗を感じていて、どんなに良い方法で教わっても、断固英語の使用を拒否する場合は、無理して習得する必要はないと思います。英語ができないという理由で、生きていけなくなるわけではないので。また、それだけで人生はきまりません。いずれにせよ、日本語、母国語以外の言語を実際に修得する経験があったほうがいいと思っています。