携帯電話からスマートフォーン,無線LANから無線センサーネットワークと,近年,多種多様な無線システムが多数展開しています。 周波数は,無線通信にとって有限な資源であり,各無線システム毎に割り当てられてきました。 しかし,膨大な数の無線システム(既存無線システム)により,新たな無線システムに必要な周波数が不足しつつあり, 新たな無線システム(新規無線システム)の展開が非常に困難となっています。 梅林研では,本問題を解決するために「コグニティブ無線技術を用いたダイナミック周波数共用」の 研究にこれまで取り組んできています。 ダイナミック周波数共用では,新規無線システムが,既存無線に既に割り当てられている 周波数のなかで,使用されていない周波数を高精度に発見し, それを効率的に利用する技術の確立が必要となります。 下記に,そのための要素技術の一部を紹介します。
また、周波数利用の高効率化のアプローチとして、本研究室では既存無線の周波数利用に関する統計情報を用いた周波数共用システム を開発しています。現在、統計情報の取得するための下の写真の機器を用いて観測実験を行っています。
アレーアンテナ信号処理とは、複数のアンテナを用いて信号を検出したり、電波の到来方向推定などが可能となる技術です。 アンテナがひとつの受信機でも信号を検出する事は可能ですが、アンテナを複数用いることで、高精度な信号検出が可能となります。 また、アンテナがひとつの場合、電波の到来方向推定を行うことはできません。 このようにアンテナを複数用いることで、種々の利点があります。 本研究室では、主に電波の到来方向推定を高精度に行う方法や アレーアンテナに到来する信号の数を高精度に判定する技術の研究を行っています。
MIMOとは「Multiple Input Multiple Output」の略称で、複数のアンテナでデータの送信/受信を行う技術です。 複数のアンテナで同時に通信しデータの合成等をすることで、従来よりも高速かつ大容量の通信が可能となります。
アドホックネットワークとは、基地局を使わずに通信端末だけでつくるネットワークです。 端末がリレーのように情報を送ることで離れた場所と通信できます。 例えば携帯電話は基地局の圏外にいると通信できませんが、アドホックネットワークならいつでもどこでも通信することができます。 この技術を応用すれば、災害などで基地局が壊れてしまっても通信ができるようになります。 一方で、アドホックネットワークを作るには端末が基地局の代わりをする必要があります。 そのため本研究室では、欲しい信号を見つけたり邪魔な信号を打ち消すための信号処理技術や、 より良い通信手順(プロトコル)などについて研究しています。
物理レイヤセキュリティとは、盗聴が物理的に不可能になるように信号を送信することで、情報の安全を守る技術です。 近年、ハッキングによって企業の顧客情報が漏えいする事件が多発しています。 このような問題に対処するために、 情報セキュリティの重要性は高まっているといえます。 現在のセキュリティでは、主に暗号化という技術を用いています。 しかしコンピュータが発達することで、 将来的に暗号が解かれる恐れがあるため、完全には安全性を保証できません。 本研究室では、受信局には正しい情報を、盗聴局には盗聴を邪魔するための信号を受信させて、 盗聴を物理的に不可能にすることで安全を保証する技術を研究しています。